KTC-1
コンビレンチ 国内編
【2022年9月27日追記】
KTCコンビレンチは、私にとってコレクションの一丁目一番地ですので、とても大事にしています。
本稿は2年ほど前に作り直していましたが、その後の2年の間にさらに多くの情報が分かってきましたので、以下6点を含め最新状態に更新します。
・JIS認証の取得時期を基にしてM41バリエーションの発売順を正しく修正
・"TOOL MAN"をKTC自身のブランドに修正
・商標登録、JIS認証、製造記号の情報を追加
・ロング版M45にフラットロングMF45を追加
・異形2つめの75度オフセット版を追加
・新たに発売された金色ネプロスを追加

- - - - - ◇ - - - - - ◇ - - - - -
本稿では、KTC自身のブランド、ならびに日本の他の工具メーカーにOEM供給されたKTC製コンビレンチを解説します。
また、KTCのルーツとも言える京都機械/一重丸京のコンビレンチも対象とします。
なお、KTC製コンビレンチの内、工具メーカー以外に納入した特注品(KTC-2)と海外ブランドへのOEM供給品(KTC-3)、さらにFULLER向け(KTC-19)については、本ブログの別稿にて解説しています。
さらに、これまでにKTC製品を色々な角度から取り上げていて、30を越えるページを作っていますので、全体まとめ(KTCの全て)からご覧になって下さい。
1.コンビレンチ一覧表

2.商標登録
1)会社ロゴ
KTCの3世代に渡る会社ロゴが商標として登録されています。
ブランドロゴとしても使われています。
ちなみに、一重丸京/京都機械の商標登録は見つかっていません。
戦前を含めて探したのですが、登録していなかった様です。

2)ブランドロゴ、5種


3.JIS認証

KTCは石川県の北陸KTCツール(株)を生産工場として1995年11月にコンビレンチのJIS認証を取得。
※JISのコンビレンチ規格/B4651は1989年1月に制定。
JISマーク右側の"丸H"が北陸KTC("H"okuriku)を示す製造者記号になっています。
JISモデルは第2世代のM41/M45後期が該当し、北陸KTCでのみ生産されています。
なお、2001年に切り替えられた第3世代(ミレニアムモデル)にはJIS認証を採用せず、2002年頃にコンビレンチJIS認証を返上しています。
JIS認証取得番号…474026(1995年11月15日認可)
※1974年に北陸KTCにてJIS認証を取得したメガネレンチと同じ認証番号になっています。
↓JIS/日本規格協会発行『標準化ジャーナル』1996年3月号より
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら(JIS/B4651コンビレンチ)
北陸KTCツール(株)は1970年にKTCの新たな生産拠点として石川県に設立されています。
メガネレンチとモンキーレンチ、ラチェットハンドルについては、KTC京都工場だけでなく北陸KTCでもJIS認証を取得しています。(コンビレンチは北陸KTCのみ)
4.製造記号について

裏面に2種類の製造記号が打刻されています。
凸パネル内の"G7"は製造年月記号、スパナ部付け根の"M2"は鍛造型番号になっています。
ちなみに、鍛造型番号の方は、旧製品(2000年頃まで)でのみ使用されています。
1)製造年月記号
KTCの製造記号は非公開と理解していましたが、公開することになった模様で、2022年7月15日付けのFactory Gear TV by YouTubeでKTCの商品開発部長が『ネプロスもKTCブランドもこの一覧表に基づく』と初めて公にしています。
製造年の末一桁と製造月のアルファベットイニシャルの2文字を10年毎に前後を交換して20年間を示しています。("G7"の10年後は"7G"、さらに10年後に再び"G7")
一覧表は1995年からになっていますが、M41を見る限りでは1990年頃から製造年月記号を採用しているようです。
一覧表内で1996年~2005年が『数字+アルファベット』の順になっていますが、実際の製品に刻印されている製造記号を見ると。この期間も前後と同じく『アルファベット+数字』の順になっています。
したがい、10年毎にアルファベットと数字の順が入れ替わるのは2016年からであり、この表の1996年~2005年は『アルファベット+数字』に読み替える必要があります。
つまり、1995年~2015年の製造記号は、全てが『アルファベット+数字』です。
2)鍛造型記号(M41/M45モデルの場合)
旧製品には裏面のスパナ根元にアルファベット+数字の2文字が浮き出し文字で刻印されていて、鍛造型を示しています。(商品現物からの当ブログ独自判断)
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら


5.商品解説(KTCブランド)
一重丸京 (京都機械)
戦前からの染色機械工具メーカーであった京都機械(株)は、海軍指定工具工場として海軍向けに工具を生産していましたが、戦後の事業再開と共に工具生産を復活。
防衛産業(自衛隊)への工具納入を得意としながらも一般市場へ初めて参入しています。
ロゴとしてKTC二重丸京の前身とも言える一重丸京を戦前から採用しています。
"京都機械"と呼ぶと、KTCの"京都機械工具"と混同するため、京都機械/一重丸京とKTC/二重丸京(またはKTC/京都機械工具)と呼び分けます。
なお、その京都機械/一重丸京は、1970年に工具生産から完全撤退しています。
1950年に工具事業を縮小した時に、工具部門の3人が独立して創業したのがKTC/京都機械工具です。
したがい、KTCが創業した1950年から京都機械/一重丸京が工具生産から撤退した1970年までの20年間は、京都機械/一重丸京とKTCは市場で競合していたことになります。(ただし、京都機械/一重丸京の重点は防衛産業、KTCは一般市場に強み)
ちなみに、京都機械/一重丸京は、本業の染物機械工具の生産を比較的最近まで続けていましたが、残念ながら2014年に倒産しています。
① 一重丸京 スタンダード (品番?)

*生産販売…1945年~1970年(戦後の事業再開から工具事業撤退まで)
コンビレンチの正確な生産開始時期は不明ですが、戦争が終わってまずスパナが生産開始され、その後にコンビレンチの生産が始まったものと思います。
なお、一重丸京スパナにJIS刻印モデルがありますが、コンビレンチのJIS規格は1989年に制定されていますので、京都機械/一重丸京のコンビレンチにはJIS付きはありません。
一重丸京に関するカタログ等の販売情報が見つかっていないため、品番は不明です。
日本の戦後コンビレンチの第1号になります。(戦前は後述)
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら(一重丸京のすべて)とこちら(社史『35年の歩み』)
【参考-1】海軍赤トンボ "天風"發動機のコンビレンチ
京都機械/一重丸京は、海軍指定工具工場として1940年から"榮"發動機/ゼロ戦などにスパナ等の整備工具一式を生産しており、当初より一重丸京ロゴを使用していました。
1943年に京都機械/一重丸京が生産した海軍/赤トンボ用の"天風"發動機向け整備工具一式の中にコンビレンチが含まれていて、これが京都機械/一重丸京のコンビレンチ第1号となります。
発注は海軍、生産は京都機械/一重丸京であり、海軍にOEM納入した形になりますので、参考として取り扱います。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら(一重丸京のすべて)
ちなみに、1936年に正式採用された海軍”光”發動機用の整備工具に昭和機械工具製作所製のコンビレンチが含まれていて、これが日本のコンビレンチ第1号と理解しています。(日本のコンビレンチ第2号は、この"天風"発動機用)

↑オイルフィルター脱着用で、メガネ部が6Pの異形ですが、片目片口ですので、れっきとしたコンビレンチです。
二重丸京/第1世代
京都機械/一重丸京とKTC/二重丸京は別会社ですが、ロゴ形状にも継続性があり、京都機械/一重丸京の製品作りの考え方をKTCが引き継いだと言って良いのだと思います。
② 二重丸京/第1世代 スタンダード(品番MCOD)

*生産販売…1950年頃~1965年頃
1950年にKTCが創業し、まずスパナから生産が始まり、トヨタへの車載工具用スパナを納入することで企業の経済基盤が確立した様です。
コンビレンチの生産開始はその後と考えるの妥当だと思いますので、実際のコンビレンチ生産開始は1950年よりも少し後かと思います。
楕円KTCと二重丸京のダブルロゴになっていて、楕円KTCロゴは1954年に商標登録されていますので、1954年頃からの生産と推測します。
メガネ部に立上げ角度が45度付いた所謂DINタイプです。
一重丸京に引き続き戦後2番目のコンビレンチになります。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら(2重丸京のすべて)
第2世代/楕円KTCロゴ
創業から15年が経った1965年に二重丸京とのダブルロゴから決別し、ロゴは楕円KTCに一本化され、スパナも含めて製品は第2世代に切り替っています。
③ M41 スタンダード前期(JISマーク無し) with KYOTO TOOL

*生産販売:1965年頃~1995年(JIS付きに切り替え)
JISマークが無くなり、サイズ表示も1カ所だけになって、シンプルになりました。
この前期タイプは30年以上も販売が続けられており、もっともポピュラーなKTCと言えます。
ブログ初回で紹介の通り、私が最初に所有したコンビレンチでもあります。
写真の商品は、製造年月記号"E1"より1991年12月の生産かと思います。
4項で前述した製造年月記号の一覧表は1995年からになっていますが、この写真の商品を見る限りでは1990年頃から採用されていたと推測しています。
④ M41 スタンダード前期(JISマーク無し) with KYOTO TOOL CO.

社名の英語表示"KYOTO TOOL CO., LTD."の一部である"KYOTO TOOL CO."と表示させたバージョンです。
どうもKTCには社名をあらゆる形で表示することを許容する文化があるようで、スパナにはさらに多くの表示方法が存在します。(スパナでの会社名表示のバリエーション詳細についてはスパナ編にて)
また、二重丸京②の表面にはKTC、KYOTO、京(KYO)、K.T.C.と京都のKが4回も出てきます。
CI(コーポレートアイデンティティー)やブランディングの観点から考えると、方向性が定まっていなかったという印象を持っています。
⑤ M41 スタンダード後期(JISマーク付き)

*生産販売…1995年~2000年頃(第3世代MS2にモデルチェンジ)
1995年に北陸KTCがコンビレンチ/B4651のJIS認証を取得して、JIS付きに切り替えています。
第3世代への切り替えが迫っていましたので、5年間の短命に終わっています。
JISマークと共に北陸KTC生産を示す丸Hマークの製造記号が刻印されています。
写真の商品は製造年月記号"G7"より1995年8月の生産になります。
【参考-2】M41 TOYOTAモデル

トヨタの車載工具とは別に、トヨタ販売会社のガレージ用にKTCの工具がプロ用として供給されています。
トヨタ品番…09032-2C120
ちなみに、KTCのマークは入っていません。
↓TOYOTAサービスツールカタログ2022年版より ⇒ Webカタログ
【参考-3】M41バリエーション
1)15mm

サイズ15mmに対し15mmとインチサイズ(19/32)の両方を刻印したモデルもあります。
19/32インチ=25.08mmですので、併記することに問題は無いかと思いますが、19/32インチというサイズに需要はあるのでしょうか?
2)20mm

サイズ表示はパネルの左側の1カ所のみが普通ですが、サイズ20mmで両サイドに表示されているモデルを見つけました。
⑥ MZ41 スピーダー

M41に対してスパナが早回し用に変更されています。
カタログNo.17(1977年版)に特殊工具として掲載されていました。
カタログ掲載時期より1980年頃までの一時期だけ販売されていた模様です。

⑦ Fullerボディー KTC版

ぱっと見では分からなかったのですが、入手した凸並行四辺形パネルのM41モデル群の中に凸丸パネルが混じっていました。
下の写真で分かるようにちょっと短くなっています。
サイズは16mmと18mmの2種類だけです。


理解するのにちょっと時間が掛かりましたが、1980年代にアメリカのブランドFULLERにKTCがOEM供給していた凸丸パネルでした。
16mmと18mmの2サイズに限定されていることから、以下のストーリーと推測しました。
16mmと18mmは余り需要の無いサイズのため、工場でのワンロットの作成数よりも需要数の方が少ないことから、暫定対応として在庫されていた無刻印のFULLERモデルにKTCロゴを刻印して出荷。(私の推測です)

ちなみに、16mmと18mmには正規の凸並行四辺形パネルもちゃんとあります。
⑧ M45 ロング前期(JISマーク無し)

*生産販売…1965年~1995年頃
M41スタンダードに較べて長くなっています。
M41⑤と同じようにまずJISマーク無し版が発売されました。
販売期間はM41と同じですが、ロングのニーズがまだ無くて販売数が少なかったのか、市場で見かけることはほとんどありません。
⑨ M45 ロング後期(JISマーク付き)

*生産販売…1995年~2000年頃
JISマーク付きです。
サイズ12mmで長さ190mmもあり、JIS/B4651で規定されている130mmよりもかなり長くなっています。
JISマーク付きでここまで長いのは、他社も含めてこのモデルだけです。
JIS規格を大きく逸脱していて、よくJISマークを付けるのを許されたなと思います。
ちなみに、スタンダードのM41もサイズ12mmで長さが145mmあり、JIS規格よりも長くなっています。
写真の商品は製造年月記号"U8"より1998年6月の生産になります。
⑩ MF45 フラットロング

M45ロング⑧、⑨のフラット版で、メガネ部のオフセットがありません。
かつ、通常は15度のスパナ部オフセットもほとんど無く、メガネ部もスパナ部も異例なモデルです。
ファクトリーギア高野倉匡人社長のお宝工具大集合vol.1で、複数の商品が載っている中の最後に『世に出るのが早すぎた』として紹介されています。
ちなみに、MF45の品番は与えられていますが、カタログには掲載されていません。
⑪ エキストラロング(トヨタ専用、14mmのみ)

M45ロング⑧、⑨よりもさらに長く、かつMF45⑩と同じようにボックス部にオフセット角度が付けられておらず、完全にフラットになっています。
TOYOTA向けに14mmだけ設定されています。
TOYOTA品番…09032-2C100

上から
① M41スタンダード
⑧ M45ロング
⑩ MF45ロング/フラット
⑪ トヨタ専用エキストラロング/フラット
スパナのオフセットが少ないのはMF45⑩だけで、トヨタ向けのエキストラロング⑪もM41①やM45⑧と同じく通常の15度になっています。

上から①、⑧、⑩、⑪の順で横形状比較です。
上の2つ(①、⑧)がメガネ部オフセットが通常の15度、下の2つ(⑩、⑪)がオフセットが無くフラットなのが分かります。
⑫ 異形-1(メガネレンチ変形)

最初に見た時は手で曲げるなりの後改造がされているのかと思いましたが、れっきとした製品でした。
下の写真で同サイズのKTCメガネと並べてありますが、メガネの片方をスパナに変更したのがこのモデルです。
アメリカの工具フォーラムGarage Journalで『TOYOTAディーゼルのグロープラグ用ツールで1960年代にアメリカでも販売されていた』と教えて貰いました。
It is a "glow plug wrench". It was included in a variety of Toyota diesel vehicles, I believe in the late 50s and early 60s. I am uncertain of exactly which vehicles, but I believe most of them were JDM.
TOYOTA刻印モデルだけが設定されていて、恐らくトヨタ販売会社の整備工場からのリクエストに基づいてトヨタ部品共販がKTCに依頼して作成されたのではないかと思います。

刻印のバリエーション3種。
一番上がアメリカ輸出用(TOYOTA MOTOR刻印は裏面)、下の2つは国内向けで、カタカナ"トヨタ"ロゴの有りと無しです。

KTC本社工場に併設されている"ものづくり技術館"の2階にOEM商品が展示されていて、その中でTOYOTA向けとして展示されているのがこのモデル(赤枠内)です。
『創業以来KTCを支えてくれるトヨタ自動車』のメモが付いています。
京都機械/一重丸京から独立したばかりのKTCに対してトヨタは車載工具を発注し続けたことへの感謝かと推察します。
※写真左の赤枠

⑬ 異形-2(75度オフセット)

これもメガネの派生モデルですが、オフセットが75度で大きく曲げてあります。
KTCに確認したところ、カタログモデルでは無く、かつ製造記録も残っていないため、何用として生産されたかは不明とのことでした。
ただし、KTC『ものづくり技術館』が開館する2003年より前に、現在の『明日のものづくり棟』2階にあった会議室に展示されていたとのこと。(KTC内でも珍しいモデルだったようです)
生産時期は、1987年8月以前と特定できるとのことです。(製造記号"44"から??)
第3世代/斜めKTCロゴ
ミレニアム(2000年)を機としてスタンダードモデルが第3世代に切り替わりました。
⑭ 第3世代 スタンダード(品番MS2)

*生産販売…2001年頃~現在
第3世代のスタンダードモデルです。
Iビーム形状になっていて、強度と重さのバランスが良さそうです。

上のサイズが46mmまで設定されているのは第2世代M41から変わっていませんが、下がM41では5.5mmまでだったのに対し、3.2mmまで広がっています。
他のブランドがJIS規格を守って5.5mm止まりとしているのに対し、フルサイズを揃えているブランドとしては下を3.2mmまで揃えているのはKTCだけだと思います。
ただし、3.2mmの出来がちょっとラフなのが残念です。
3.2mmまでモデルの他社との比較はこちらにて。
⑮ 薄口ロング/京都デザイン(品番MS3)

*生産販売…2014年~現在
KTCにとって新たな分野となる自転車用の工具で、8、10、15mmの3サイズだけの設定です。
京都デザインと銘打って、高瀬川の川面に漂う桜が刻印されています。
このデザイン、大好きです。
⑯ プロフィット(MS30)

*生産販売…2001年~現在
薄くて軽い工具を目指し、ぎりぎりまで薄くした拘りのモデルです。
打刻された"Profit Tool"と言う名前でスパナからスタートし、2001年にコンビレンチが追加された時に製品名を"Profit"に変更しています。
個人的にはKTCの最高傑作だと思っています。
にぎって良し、締めて良しで、手になじむ感覚が好きです。
また、表にはProfitとしか表示していない思い切りの良さも魅力のひとつです。
ミラーモデル
KTCはミラーモデルに50年の歴史があり、現行のネプロスで既に3世代目になっています。
⑰ Dツール(品番DMS15)

*生産販売…1982年、3,000セット限定
高級工具への参入を目指していたKTCがパイロット販売した工具セットです。
その販売結果より日本にも高級工具を受け入れる市場が存在することが確認できたとして、2年後の1984年に本格的な高級工具となるミラーツールの販売が開始されました。
超貴重品なので、手に入れることは無いだろうと思っていましたが、運良く新品未使用で手に入れることが出来ています。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら

⑱ ミラーツール(品番KM45)

*生産販売…1984年~1994年頃
Dツール限定販売での市場調査結果を受け、満を持して発表された高級工具ブランド。
さらに10年後に本命のネプロスに引き継がれます。
⑲ ネプロス スタンダード(品番NMS2)
*生産販売…1994年~現在
3世代目のミラーモデルです。
現在はミラー工具が主流になっていて、競合品が多い中で最高の表面仕上げとメッキ加工だと思います。
ほれぼれとする美しさです。
1点だけ気になるのは文字(刻印)が多すぎること。
表の"MIRROR"と"5GQ"(中身が不明な材質名)、それに"KTC"も無くして、"nepros"だけにした方がより魅力的になるでしょう。
プロフィットと同じようにするのが良いと思います。
でも、シンプルにすると、街にあふれているミラーモデルとの差が無くなってしまいますかね。
ネプロスというブランドが広く認知され、ネプロスの刻印だけで売れるようになった時に、ブランド名だけの刻印で強大な販売力を持つSnap-onと肩を並べることができるのだと思うのですが。
写真の商品は製造年月記号"8F"より2018年2月の生産になります。
Factory Gearによるネプロス紹介はこちら。
⑳ ネプロス ロング(品番NMS2L)

㉑ ネプロス ショート(品番NMS2S)


↑ネプロス3種類の長さ比較

↑歴代ミラーモデル3種の長さ比較(全てサイズ12mm)
㉒ ネプロス 鉄紺

*生産販売…2018年、2019年の2年間
イオンプレーティング真空メッキで紺色にした期間限定品です。
セット品しか無いので、手に入れるのに苦労しました。
⇒ KTCの解説ページは、こちら
イオンプレーティングのメカニズムを説明したKTCのページもあります。
㉓ ネプロス IPブラック

*生産販売…2016年単年
NEPROS販売20周年記念です。
工具箱付き工具42点セットとケース付き12点セットでのみ販売されました。
黒では無く、ごく薄いガンメタリックです。
私は42点セットから8~17mmを手に入れることが出来ました。
⇒ KTCの解説ページは、こちら
㉔ ネプロス 金色

*生産販売…2021年単年
ネプロスの金色(iPゴールド)の限定品。
『ネプロス初のゴールド』と銘打たれていますが、実は一般市販向けでは無い特注品のベースモデル(次の㉖)として金色が既にごく少数ながら存在しています。
したがい、ネプロスとしては2種類目の金色になります。
その2種類の金色は色度合いが異なっています。
限定品の2nd金色は、1stに較べて色が濃くなっていて、純粋に金色に近い色です。
色彩で表現するなら、1stは薄い黄色、2ndはオレンジ色気味の黄色。
金属の真鍮と金の差と言っても良いかも知れません。
⇒ KTCの解説ページは、こちら
↓ネプロス・スタンダードと限定品3種㉒~㉔

㉕ ネプロス 金メッキ/特注品ベースモデル

特注品のベースモデルとして生産された製品で、特注品を作成する第3者(発注元)にこの状態でKTCから出荷されています。
裏面は何の刻印も無くのっぺりしていて、第3者がロゴ等を入れるスペースになっています。
裏面の刻印を廃しているため、製造年月記号が無く、生産年が分かりませんが、2010年代と思います。
限定品㉔よりも薄めの金色(真鍮色)になっています。
↓上からネプロス・スタンダード、金色ベース㉕、限定品金色㉔

㉖ TOOL MAN

"TOOL MAN"は1977年にKTCにより商標登録されています。
KTCの刻印は入っていませんが、1980年前後に販売されたKTCの廉価ブランドと理解しています。
鍛造型記号の"F2"よりFuller向けボディーに"TOOL MAN"と打刻した商品であることが分かります。

↑KTCによる商標登録
スパナとメガネもあります。(こちらはKTCと同一ボディー)

↑スパナ(KTC S100との比較)
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら
6.商品解説(国内OEM)
OEMには2種類があります。
OEM元と同じ形状(同じ鍛造型)で会社名とロゴを変更したもの、もう一つはOEM専用のオリジナル形状のもの。
前者については、形状を比較すればOEM元がどこの会社か万人に分かることを前提に商品化されていますので、当ブログでも比較写真を明示したうえで掲載しています。
後者のOEM専用のオリジナル商品については、形状を見てもOEM元は分かりません。
ただし、RICK TOOLSについては、KTCに生産委託していることが周知の事実として語られていますので、公になっているのと同等と解釈して掲載します。
1)Ko-Ken

Ko-Kenの第1世代コンビレンチです。
アメリカで手に入れました。
Ko-Kenのカタログには未掲載のようですので、輸出専用だったのかもしれません。
ちなみに第2世代はイタリアBETAのOEMになっています。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら

形状よりKTC M41のOEMであることが分かります。
2)LOBSTER

LOBSTERの第2世代コンビレンチです。
製造年月記号"6J"より写真は2006年1月製。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら

形状よりKTC現行MS2のOEMであることが分かります。
3)RICK TOOLS

Snap-onの総代理店であった六工社が代理店業務から降りたのを機に始めたのがオリジナルブランドRICK TOOLSです。
KTCとの共同開発およびKTC生産であることが多くの方に周知の事実として語られています。
既存のKTC製品の流用では無く、RICK TOOLSのオリジナル商品になります。
RICK TOOLにKTC製造記号が使われているか不明ですが、使われていれば製造年月記号"N2"より写真は1992年11月製となります。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら

KTCミラーモデル2種との比較です。
RICK TOOLSが生産販売されたのは1990年前後の数年間ですが、KTCのミラーモデルとしてはMIRROR TOOLが販売されていた時期です。
KTC MIRROR TOOLとRICK TOOLSはスパナ形状が似ていますが、長さや胴長幅を含め細部の寸法はかなり異なっています。
また、その後KTCから発売されたネプロスのロングはRICK TOOLSとほぼ同じ長さになっていて、両者は雰囲気としては似ています。
(ミラータイプは形状的には個性が乏しいので、どのブランドも似てしまいますが)
但し、スパナ部の形状が丸形とやり型でかなり異なっているのが分かります。
4)HATAYA
畑屋製作所は100年以上前の1918年から自転車工具の製造販売を行っていた長い歴史のある会社です。
自転車工具として一重丸京と二重丸京のOEMと思われるコンビレンチがカタログに掲載されています。
残念ながら現物は見つかっていません。
⇒ 本ブログ内の詳細ページは、こちら
(1)一重丸京/名古屋畑屋コンビレンチ

"HATAYA TOOL CO."の刻印が入ったコンビレンチが名古屋畑屋の1953年カタログに掲載されています。
形状より一重丸京/京都機械のコンビレンチ(1945~1970年頃)のOEM版と理解して良いと思います。

スパナにも一重丸京のOEM版があり、こちらは入手済みです。

(2)二重丸京/東京畑屋コンビレンチ

東京畑屋の1959年版と思われるカタログの表紙にディープオフセット(いわゆるDINタイプ)のコンビレンチが載っています。
"HATAYA TOOL TOKYO"と東京畑屋の刻印が入っています。

畑屋カタログのイラストと同じ角度で撮ったKTC/二重丸京です。
形状よりKTC/二重丸京のOEMである可能性が高いと思います。
ただし、実際に商品化されていたのか情報は確認出来ていません。

7.諸元表
KTCカタログに掲載されている諸元表を冒頭の一覧表番号順に掲載します。
二重丸京時代の諸元表は滅多に目にしないと思いますが、重要な情報源ですので、本稿に記録として残しておきます。
ちなみに、サイズ有無や各部寸法、バリエーション有無の確認など、諸元表はコレクションの基本になります。
なお、京都機械/一重丸京のコンビレンチ諸元表/カタログは、スパナの一部が確認出来ているものの、残念ながらコンビレンチは見つかっていません。
② 二重丸京(1950年~1960年代)

M41 ③~⑤(1960年代~2001年頃)

⑥ MZ41 スピーダー(1980年頃)
※商品解説のみで、諸元表は無し
⑧,⑨ M45(1960年代~2001年頃)

⑭ MS2 スタンダード(2001年頃~現在)

⑮ 薄口ロング(サイクル編ページに掲載)

⑯ プロフィット(2001年~現在)

⑱ ミラーツール KM45(1984年頃~1994年頃)

⑲~㉕ ネプロス(1994年~現在)



この回、終わり
















