来る3月9日はジュリエット・ビノシュの60歳の誕生日です。
(1964年3月9日生まれ)
それを記念して彼女の作品をご紹介します。

 

『存在の耐えられない軽さ』(1988)
監督 フィリップ・カウフマン 
共演 ダニエル・デイ=ルイス、レナ・オリン
撮影 スヴェン・ニクヴィスト
原作 ミラン・クンデラ

【あらすじ】
1968年のプラハ。国内外に民主化の風が吹き荒れる中、有能なる脳外科医トマシュは自由奔放に女性と付き合い、人生を謳歌していた。
そんな彼の生活が、出張先で立ち寄ったカフェでウェイトレスをしていたテレーザと出会ったことで一変する。
テレーザはトマシュのアパートに押しかけた挙句、同棲生活を始めると言い出したのだ。
女性と真剣に付き合ったことのないトマシュは困惑しつつも承諾するが、以前から付き合っている画家のサビーナとの関係も終わらせたくない---


ビノシュ初のアメリカ映画です。
とはいえ、ミラン・クンデラの名作小説が舞台のため、プラハ、ジュネーヴが舞台となります。


ここでビノシュは、東欧の田舎から出てきた、垢ぬけない「スモール・タウン・ガール」を演じています。
ダニエル・デイ=ルイスと付き合っているうちに、女性写真家に目覚めるのですが、その変貌が魅力的です。

ビノシュは、喜怒哀楽にあふれた情熱的な性格として描かれています。

 

彼女の最も美しいショットは、横顔や斜め前からのショットで、その美しい顎のラインと黒いショートボブの髪が映し出されるときですが、どうしてもアンナ・カリーナが想起されてしまいます。
 

なお、ここで共演したレナ・オリンとは、『ショコラ』(2000)で再び共演します。





 















 

 

全体主義国家からの亡命を余儀なくされる知識人の苦悩という問題ではなく、時代とともにあろうとする者から歴史との接点を奪ってしまう無時間性の支配に耐える愛のかたちを描こうとするのが、ここでのカウフマンの野心を欠いたに見える野心なのだ。(...)

 

映画的な時間の複雑な構造をきわだたせることだけが野心的な実験だと思われているときに、ごくありきたりな出会いと別離だけで、3人の男女の物語を破綻なく物語ってみせる映画作家は世界にそう何人もいないのである。

 

これが恋愛映画でないというのは、主人公の脳外科医をめぐって2人の女性が登場していながら、そこに排他的な構造がきわだつこともなく、いま、身近にいる方の女性との関係が、そこにキャメラが向けられているという理由で、より綿密に描かれ、距離や不在がメロドラマ的な期待を昂ぶらせたりはしないからなのである。(...)

 

レナ・オリンとジュリエット・ビノシュは、外科医のダニエル・デイ=ルイスと一緒に画面におさまっているときに、もっとも魅力的に撮られている。

また、外科医のダニエル・デイ=ルイスも、それぞれの女と同じ時間を過ごす瞬間に、もっとも幸福そうにみえる。

ここでの嫉妬は、ほとんど傍系のエピソードしかかたちづくってはおらず、亡命者の生活が描かれていながら、いま、ここにはいない女性や、いまそこにいるわけではない故郷が、距離の彼方の不在として意味を持つこともない。

 

無時間性の支配に耐える愛のかたちと呼んでおいたものは、まさにそれなのだ。(...)

 

2人の女優も、演技というより、時間の耐え方が素晴らしい。

(蓮實重彦)


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