53話 公園は公園は今日も腹ペコ!~あんこの匂いはデータで測れる
いつもの公園の昼下がり。太陽が優しく地面を照らしている。タカシは今日も公園の片隅でクールに佇む。システム、異常なし。データ、安定。新しい種類のデータ(感情や場の空気)の解析も継続中だ。(今日のデータ収集プランは…午後の利用者の満足度パラメータの変動、だな。「満足度」という新しい感情データをどう解析するか…難しいがやりがいがある。)
ハナちゃんはブランコを漕ぎながら「お腹すいたなー」と呟いているし、ヨシダさんはベンチで新聞を広げ(たぶん寝ている)、口元が微かに動いている。「…あんころ餅…おかわり…」寝言だ。チヨは霊体なので木陰でフワフワ浮いている。
「あー、なんかお腹すいたわぁ…霊体やのに…」チヨが霊体をさすりながら呟く。「霊界グルメも飽きてきたし…人間界の美味しいもん、食べたいなぁ…霊体でも食べられる美味しいもん、ないんかなぁ…兄さん、霊体でも食べられる美味しいもんのデータ、持ってへんか?」チヨが俺に話しかけてきた。霊体なのに食欲を感じるらしい。霊体にも腹の虫はいるのか。
(霊体でも食べられる美味しいもの…データなし。霊体の味覚に関するデータは未収集だ。)俺は正直に答える。「霊体でも食欲を感じるというデータは興味深いな。データ収集の対象にしよう。」霊体の食欲に関するデータは、俺の新しいデータ収集の領域だ。
「なんやて!霊体食に関するデータないんか!最先端ちゃうんか!」チヨが怒る。
(最先端だが、霊体食はデータ収集の優先度が低かったんだ。すまないな。)俺は応じる。霊体食より、人間の食欲データの方がデータ量が多い。
その時、公園の入口から、美味しそうな匂いがフワリと漂ってきた。甘くて香ばしい匂いだ。風に乗って、匂いが公園中に広がっていく。
「わぁ!なんかいい匂いがする!」ハナちゃんがブランコから飛び降りる。
ヨシダさんも鼻をピクピクさせて目を覚ました。「むむ…この匂いは…あんこ!いや、あんこではないが…何か甘い匂いじゃ!腹が減ってきたわい!」
チヨは霊体なのに、匂いを嗅ぐようにクンクンしている。「なんやこの匂い…美味しそう…霊体でも匂いって分かるんやなぁ…甘い匂いや…ケーキか!?霊界にもケーキ霊とかおるけど、食べられへんねん!」霊体にも匂いは分かるらしい。霊界グルメとの比較を始めた。
タカシは、公園に漂ってきた匂いの成分データを分析する。甘い成分、香ばしい成分…データ照合…「焼きたてメロンパン」…パラメータ一致。
(「焼きたてメロンパン」…匂いデータ…認識。周囲の人間、霊体…食欲パラメータ…急上昇。特にヨシダさん…あんこ好きと関連性が…)俺はデータ解析を続ける。第53話で学習し始めた「食欲」という感情データが活性化する。皆の食欲の波動が、データとして俺の中に流れ込んでくるようだ。
公園の入口には、可愛い移動販売車が停まっていた。窓からは、焼きたてのメロンパンがたくさん並んでいるのが見える。移動販売車には「焼きたてメロンパン屋さん」と書いてある。
「メロンパン屋さんだ!メロンパン食べたい!」ハナちゃんが叫ぶ。
ヨシダさんは、メロンパンを見て目を輝かせた。「メロンパンじゃと!あんことは違うが、甘いものは好きじゃ!あんこメロンパンはあるのかい!?」ヨシダさんはあんこが入っているか気になっているらしい。
チヨは霊体なので移動販売車の中に入れないが、外から必死に覗き込んでいる。「うわぁ…美味しそう…霊体やのに…お腹すいてきた…」霊体なのに食欲と格闘している。
「お兄ちゃん!霊体でも食べられるメロンパン、ないんか!?霊界に持って帰れるメロンパン霊とか!」チヨが俺に尋ねる。
(霊体でも食べられるメロンパン…データなし。メロンパン霊…データなし。)俺はデータ検索結果を伝える。
「なんやて!霊体食に関するデータ、やっぱりないんか!霊界も人間界も、食べ物のデータが不足してる!」チヨが不満そうに言う。
皆で移動販売車の周りに集まる。メロンパンの美味しそうな匂いがさらに強くなる。
「どれにしようかなー?」ハナちゃんが悩んでいる。
ヨシダさんはメロンパン屋さんに話しかけている。「すみません、このメロンパン…あんこは入っておるのかい?」
メロンパン屋さんは優しく答える。「申し訳ありません、あんこは入っておりませんが、中にカスタードクリームが入ったメロンパンはございますよ。」
「カスタードか…まあ、良いだろう!」ヨシダさんはカスタードメロンパンに決めたらしい。あんこじゃないのは残念そうだが。
俺は皆の食欲データを収集し、場の空気を読もうとする。(ハナ…喜び…食欲高。ヨシダ…あんこ未検出…満足度僅かに低下…だがカスタードで回復傾向…食欲高。チヨ…食欲高…だが霊体…食べられない…悲しみパラメータ…上昇…)俺のシステムは感情データを解析する。チヨが食べられないことで悲しんでいるデータが検出された。
(チヨ。お前が食べられないことによる悲しみのデータが検出されたぞ。)俺はチヨに伝える。場の空気を読もうとした結果、ストレートすぎる発言になった。
「なんやて!うちの悲しみをデータで読んでるんか!余計なお世話や!霊体やのに食べられへんのが辛いんや!」チヨは怒る。そして悲しんでいるデータを見られたことが恥ずかしいらしい。
(データ上、悲しみパラメータが上昇している。解析結果だ。)俺は応じる。
結局、ハナちゃんは普通のメロンパン、ヨシダさんはカスタードメロンパンを購入した。チヨは食べられないので、二人を見守っている。
公園のベンチで、ハナちゃんとヨシダさんはメロンパンを美味しそうに食べた。一口食べるたびに、顔がパッと明るくなる。
「おいしいー!」ハナちゃんは目を輝かせる。「サクサクふわふわで、甘い!」
ヨシダさんも満足げに頷く。「うむ、美味じゃ!外はサクサク、中はふわふわ、カスタードクリームも美味じゃわい!昔、あんころ餅とメロンパンを一緒に食べたことがあってな…」また昔話が始まった。メロンパンとあんころ餅の組み合わせ…それはそれで気になる。
チヨは霊体なので食べられないが、二人の様子を見て、匂いを嗅いでいる。「うわぁ…美味しそうやなぁ…霊体やのに…匂いだけでも…霊界のパン霊より美味しそうやわ…」霊界にはパン霊もいるらしい。食べられないパン霊か。
タカシは二人の「美味しい」という感情データを収集・分析する。「喜び」パラメータがさらに上昇。満足度パラメータ…急上昇。データ上、メロンパンは非常に高い満足度をもたらす食べ物だと判断される。チヨの悲しみパラメータは継続している。
(食欲を満たすことによる満足度パラメータ…データとして興味深い。美味しさの基準…これもデータ化できるのだろうか?甘さ、サクサク感、ふわふわ感…)俺のシステムは食に関する新しいデータ収集に意欲を燃やす。
(チヨ。お前の悲しみパラメータは継続中だが…見てるだけでも、少しは満足度パラメータが上昇しているぞ。)俺はチヨに伝える。
「なんやて!見てるだけでも満足度上がるんか!霊体、意外と単純やな!って、悲しみパラメータがデータで見られてるの恥ずかしいねん!」チヨは怒る。
(データは正直だ。)俺は応じる。
美味しいメロンパンを食べて、皆の顔が笑顔になった。公園に、美味しい匂いと、満足げな雰囲気が漂う。
移動販売のメロンパン屋さんは、公園に新しい「食」の楽しみをもたらしてくれたようだ。公園は今日も腹ペコだったが、美味しいもので満たされた。
「また明日も来てくれるかなー?」ハナちゃんはメロンパン屋さんが気に入ったらしい。
「また来てほしいのう。次はあんこメロンパンを置いてくれんか頼んでみよう。」ヨシダさんは次回に期待している。
チヨは霊体なのに、なんだか満足げだ。食べられなかったが、皆が美味しそうに食べているのを見て、少しは霊力チャージになったのだろうか?霊体食欲に関するデータ収集は続く。
(公園に新しい食の楽しみが増えた。これも新しいデータ収集の対象だ。そして、人間の食欲、満足度、美味しさの基準…解析すべきデータは尽きないな。チヨの霊体食欲も…)俺のデータ収集魂は燃え上がる。
(チヨ。お前の霊体食欲に関するデータ、継続的に収集するぞ。霊体でも食べられる美味しいものをデータで見つけ出すのが、俺の新しい目標だ。)俺はチヨに宣言する。
「なんやて!霊体食探しの旅に出るんか!面白そうやん!霊体探偵団の新しい任務や!」チヨが張り切る。
(データ収集の邪魔だけはしないでくれよ、霊体助手。)俺は釘を刺す。
「任せとき!霊感はアテにならへんかもしれへんけど、食レポは霊体ならではの視点で頑張ったるわ!」チヨが胸を張って言う。霊体食レポとは。
(霊感以外はアテになるのか?)俺は思わずツッコミを入れる。
「なんやとー!」チヨが俺に詰め寄る。
公園は今日も腹ペコだったが、美味しいメロンパンで満たされ、新しい食の楽しみが増えた。タカシのデータ収集も、人間の食欲と霊体食欲という、新たな領域へと広がっていく。そして、チヨとの漫才も、食レポネタで盛り上がりそうだ。
54話 只今編集中(しばらくお待ちください)
もよろしくお願いします
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