55話 公園の小さな逃亡者~フェレット、公園を駆け抜ける!~
嵐が過ぎ去り、公園にはいつもの穏やかな日常が戻ってきた。木々はまだ少し濡れているが、太陽の光が差し込み、空気が澄んでいる。タカシは今日も公園の片隅でクールに佇む。(嵐の後の環境データ…異常値は解消されたな。システムも安定稼働。よし、今日のデータ収集プランは…嵐で倒れた木の、回復力に関するデータ収集、だな。)
ハナちゃんは水たまりでピチャピチャ音を立てて遊んでいるし、ヨシダさんはベンチで濡れた新聞を干している。チヨは霊体なので、まだ公園に漂う嵐の霊的な残響(?)を感じ取っているらしい。「うーん…嵐の霊気、まだ残ってるわぁ…なんか体がフワフワする…」霊体のくせにまだフワフワしている。
そんな平和な午後、公園の植え込みの陰から、何か小さなものがヒョコっと顔を出した。茶色くて細長い、素早い生き物だ。周りをキョロキョロ見回している。フェレットだ!首輪をしている。迷子らしい。
「あれ?なんかいる!かわいい!」ハナちゃんが水たまりから出て、小さな生き物に気づいた。
ヨシダさんも濡れた新聞から目を離し、植え込みの方を見る。「ほう…珍しい生き物じゃな。イタチの子供か?ワシが若い頃、山奥で見たことがあってな…」また昔話が始まりそうだが、今回はいきなり動物だ。
チヨは霊体なので、フェレットの霊的なオーラを探る。「ん?なんや、あの動物…霊体?霊体ではないな…でも、なんか霊気を感じる…霊感…動物霊感か!?」チヨは霊感をフェレットに向けて集中させる。「うーん…なんか、『お腹すいたニャン…お家どこニャン…』って聞こえるような…霊感、迷走しとるか?」チヨは霊体動物の心の声を聞こうとしているらしい。
タカシは、未知の生物(公園では珍しい動物)データを検出。データ照合…フェレット…ペットとして飼育されている可能性高。首輪あり…迷子の可能性高。行動パターン…怯え、探索。
(フェレット…公園では珍しい動物だな。首輪をしているから迷子だろう。行動データは『怯え』と『探索』を示している。飼い主を探している可能性が高い。よし、データ収集と同時に…追跡システムを起動するぞ。)俺はシステムを追跡モードに切り替える。
フェレットはハナちゃんたちに気づくと、さらに怯えた様子で、あっという間に公園の奥へ駆け出して行った。素早い動きだ!
「あ!行っちゃった!待ってー!」ハナちゃんが追いかけようとする。
「待て待てハナちゃん!急に追いかけると余計に逃げるぞ!」ヨシダさんが慌てて止める。
チヨは霊体なので、フェレットの後をフワフワと追っていく。「おーい!待ってー!霊感で心の声聞かせてやー!お腹すいたんかー!霊体でも食べられるもん探したるでー!」霊体なのに食い物で釣ろうとしているのか。
タカシは追跡システムでフェレットの動きを追う。公園内のカメラネットワークを駆使してフェレットの軌跡を捉える。しかし、フェレットは小さくて素早い。植え込みの中や物陰に隠れると、すぐに捕捉が困難になる。
(フェレットの移動速度…予測を上回る!サイズが小さすぎて、カメラの死角に入りやすい!追跡精度…低下!データ追跡、役に立たない…!)俺はシステムが追跡に苦労していることに内心焦る。俺の追跡システムが…小さなフェレットに…!
「チヨ!フェレットの霊感データはどうだ!どこへ向かったか分かるか!?」俺はチヨに問いかける。霊感はアテにならないことが多いが、動物霊感(?)なら何か分かるかもしれない。
「うーん…霊感…モヤモヤする…霊気は感じるんやけど…『フワフワ…気持ちいい場所…』とか『なんか怖い匂い…』とか…具体的な場所が分からへん!」チヨは霊感を集中させるが、具体的な場所は分からないらしい。相変わらずアテにならない。
(霊感、アテにならないな!モヤモヤばっかりだ!)俺はチヨにツッコミを入れる。
「なんやて!霊感はフィーリングや!データと違うねん!」チヨが反論する。
ハナちゃんは公園中を走り回ってフェレットを探している。「フェレットちゃーん!どこー?出てきてー!」持ち前の行動力で探すが、見つけられない。
ヨシダさんはベンチに座って、腕組みしながら「ふむ…小さい生き物を探すのは根気がいるからのう。昔、ワシが宝物を…いや、これは違うな…しかし、小さいものは意外な場所に隠れているものじゃ。例えば…」昔話を始めそうになるが、今回は少し自重しているらしい。しかしアドバイスは的外れだ。
捜索活動は難航した。フェレットは素早く、隠れるのがうまい。タカシの追跡システムはフェレットを見失うことが多く、チヨの霊感はモヤモヤするばかりで役に立たない。ハナちゃんは空回りし、ヨシダさんは的外れなアドバイスをする。公園の真ん中で皆が右往左往する、ドタバタ劇だ。
「どこにもいないね…」ハナちゃんは少し疲れてきたようだ。
「まさか…フェレット霊になったんか…霊界に行ったんか…」チヨは霊体なのに、フェレットが霊界に行った可能性を考え始める。
(フェレット霊…データなし。)俺はチヨに伝える。
ドタバタの末、フェレットは公園の隅にある、使われなくなった古い物置小屋の陰に隠れているのを発見した。皆が慎重に近づく。フェレットは怯えた様子で、小屋の隙間から覗いている。
その時、公園の入口から、一人の女性が慌てた様子で入ってきた。「ココ!ココー!」女性はフェレットの名前を呼んでいるようだ。飼い主だ!
女性はフェレット(ココ)を見つけると、「ココ!」と叫んで駆け寄る。ココは飼い主の声を聞くと、怯えた様子から一変、嬉しそうに鳴きながら女性に駆け寄った。
飼い主はココを優しく抱き上げ、ホッとした様子でココを撫でた。「もう、心配したんだから!どこに行ってたの!」
飼い主はハナちゃんたちに気づき、「あの…この子を探してくれていたんですか?ありがとうございます!」と感謝の言葉を伝えた。
ハナちゃんは嬉しそうに頷く。「よかったね!ココちゃん!」
チヨは霊体なので飼い主には見えないが、「よかったなぁ、ココちゃん!お家帰れるんやで!」と霊体で話しかけている。霊体なので声は聞こえないが、感謝のエネルギーはチヨに届いたらしい。霊力が少し回復したような…?
タカシは、フェレット(ココ)と飼い主の再会のデータを記録する。フェレットの行動データ…「怯え」から「喜び」へ急激な変化。飼い主の感情データ…「不安」から「安堵」「感謝」へ急激な変化。霊体チヨの霊力データ…微かに上昇。感謝のエネルギー、霊力チャージに繋がるのか。
(小さな逃亡者騒動、解決したな。データ収集…迷子動物の行動パターン、飼い主の探索パターン、そして霊体チヨの動物霊感と霊力チャージの関連性…貴重なデータが取れた。)俺はシステムに記録する。
「ココちゃん、またねー!」ハナちゃんはココに手を振る。飼い主はココを連れて、公園を後にした。
小さな騒動は解決した。公園にいつもの平和が戻る。
「やれやれ、大変じゃったわい。しかし、小さいものは意外な場所に隠れているものじゃな。」ヨシダさんは今回の騒動を振り返る。
「チヨちゃん、霊感、全然役に立たなかったね!」ハナちゃんがチヨに言う。
「なんやて!霊感はアテにならへんかもしれへんけど、霊体パワーは現場で活躍したんや!」チヨが反論する。霊体パワーで何をしたのかは不明だが。
タカシは、収集したデータを再確認する。フェレットの追跡データ、チヨの動物霊感データ…どちらもデータとして不完全だが、今後のデータ収集に役立つだろう。
(今回のデータ収集で、霊体の動物霊感に関する知見が深まったな。そして、霊体も感謝のエネルギーで霊力チャージできるというデータも取れた。公園は、まだまだ未知のデータで溢れている。)俺のデータ収集魂は燃え上がる。
チヨが俺に話しかけてきた。「なあ、兄さん。霊体レスキュー隊の初任務、成功やな!まあ、霊感はアテにならへんかったけど。霊体でも食べられる美味しいもん探しの旅はいつ始まるんや?」
(霊体レスキュー隊、初任務成功だな。)俺は応じる。(霊体でも食べられる美味しいもの探しの旅…データ解析は継続中だ。霊感はアテにならないが、霊体パワーは役に立つかもしれないな。)
(霊感以外はアテになるのか?)俺は思わずチヨにツッコミを入れる。
「なんやとー!」チヨが俺に詰め寄る。
こうして、公園に現れた小さな逃亡者騒動は、ドタバタと捜索の末、無事解決した。タカシのデータ収集は、迷子動物や動物霊感といった新たな領域へ広がり、霊体レスキュー隊(?)の活動も始まった。公園の日常は、今日も予測不能な出来事とデータ、そして漫才のような掛け合いで彩られる。
55話 只今編集中(しばらくお待ちください)
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