薺(なずな) 3/27撮影 神奈川県

皆様こんにちは

今回も茶花から、茶道や日本の文化
工芸を一緒に學んでいきたいと思います。

今回は【薺(なずな)】です。

もうすぐお正月。
正月は本来新しい歳神様(としがみさま)を
迎え、旧年の豊作と平穏に感謝し、
新年の豊作と無事を祈願する日です。

そして1月7日は

芹(せり)、薺(なずな:ペンペン草)、
御形(ごぎょう:母子草)、
繁縷(はこべら:はこべ)、
仏の座(ほとけのざ:田平子)、
菘(すずな:かぶ)、蘿蔔(すずしろ:大根)
「春の七種」「七草粥」として有名ですね。


◼️人日の節供と七草粥

里人の 裾野の雪を 踏み分けて
ただ我がためと 若菜つむらん

⚫訳
村里の人が山の裾野の雪を踏み分けて、
若菜を摘んでいるが、ただ自分が
生きてゆくためにと摘むのであろうか

このように日本では、
古くから年の初めに野で
芽出しの草を摘み取る
「若菜摘わかなつみ」が行われていました。

また1月15日小正月(こしょうがつ)の日の
朝には小豆粥を食べる習慣などもあり

これらの風習と

5~6世紀の中国の湖南・湖北地方の
年中行事や習俗を記した
「荊楚(けいそ)歳時記」の正月の行には
「正月七日を人日と為す。
七種の菜を以って
羹(あつもの:熱く煮た吸い物)をつくる」と
記載があり、この無病を祈る習慣が結び付き

日本でも1月7日の「人日の節供」には
「七草粥」を食べて邪気を祓い、
一年の無病息災と五穀豊穣を祈るとされる
「七草」の風習ができたと云われています。
◼️大正月おおしょうがつと
小正月こしょうがつとは?
月の満ち欠けを基準とする旧暦にもとづいて、
(もち)の正月、つまりその年の初めての
満月の日(旧暦の正月十五日)を
正月と考える習慣があり、これが
現在の小正月(こしょうがつ、
一月十五日)にあたります。

現在でも、小正月には餅花・繭玉、削り掛け
などを作ったり、成木責め、鳥追いなどの
行事を行なったりして、その年の農作物の
豊穣を祈る予祝(よしゅく)儀礼が
行なわれています。

また、左義長(さぎちょう)や道祖神祭など
一年の無病息災を祈る行事も行なわれています。

因みに、1月15日の成人式
その年の初めての満月の日に
由来しています。


◼️松の内は1月15日か?1月7日?

松の内は、小正月にあわせるように
元来は1月15日まででした。


1月8日都内 ビル群からトラックで搬出される門松

しかし、寛文2年1月6日 
江戸幕府により1月7日 を以ての
飾り納めが指示され、江戸の城下から
徐々に関東を中心に広まり、
現在は1月7日迄を松の内としている
地域もあります。

ただ門松や注連縄飾りを焼く
左義長(さぎちょう)、どんと焼が
1月15日という地域がほとんどですから
1月15日までが松の内という方が
分かりやすいですね。





◼️門松も、子/根引きの松から

門松は平安時代の宮廷儀礼である
「小松引き」がルーツと考えられています。

外出して小さな松の木を引き抜いてくる
貴族たちの遊びの一種で、
この「子の日の松」を長寿祈願のため
習慣から変遷したものと考えられています。

茶道御家元の玄関

現在でも「根引きの松」として
関西地方の家の玄関の両側に
根が付いたままの小松が飾られています。


君がため 春の野に出でて 若菜摘む
わが衣手に 雪は降りつつ
光孝天皇


以上紹介した日時には新暦、旧暦の
違いはありますが、
七草も、子/根引きの松~大きな門松も
新春の息吹に満ちた若菜摘に由来が
あると知ると、
家の大掃除や正月飾り
あるいは茶道の「初釜」の見方も
変わってくるかも知れません。

茶道を學ぶ事で、少し視点や意識が変わり
日本の伝統文化を意識した暮らし方が
少しでもできると
日本での暮らしがより愉しくなると思います。