高野箒(こうやぼうき) 1/13撮影 東京都

皆様こんにちは

今回も茶花から、茶道や日本の文化
工芸を一緒に學んでいきたいと思います。

今回は【高野箒こうやぼうき】です。


◼️弘法大師の教えから生まれた高野箒

読者の皆さんは以前、私が記事で紹介した
映画「空海」を見ていただきましたか?
まだ見られていない方は、
ぜひ年末年始にオススメします。

その弘法大師(空海)の開山した
高野山では利潤が得られる果樹や
竹の伐採を禁じたそうです。 
そこで竹の代わりに高野山で、
ホウキの材料とされたことから
高野箒こうやぼうき」の名前が付いたそうです。

◼️新年に相応しい【初子の玉箒(たまははき)】

初春(はつはる)の、初子(はつね)の今日(けふ)の、
玉箒(たまばはき)、手に取るからに、
揺らく玉の緒(を)

大伴家持

⚫訳
初春の初子(はつね)の今日、
賜った玉箒(たまははき)を手にとるや
玉の緒が音をたてた。
そのたまゆら(玉響)の響きに、
わが魂もふるえて甦るようだ。

天平寶字二年(758年)正月三日の
初子の日に孝謙天皇が
諸臣に玉箒を下賜され
宴が催されたときに詠われました。

この初子の玉箒とは、
高野箒を根引きし根付のまま束ねて箒とし、
その把手に紫で染めた鹿皮を巻き、
さらに金糸で巻きます。

そしてさらに、箒の先の細枝に
白・緑・黄・青・赤などの
色ガラス(ビーズ)玉を貫き通して
飾りつけたものです。

「魂 (たま) の緒(お)」の意から、
玉は生命(いのち)、魂(たましい)とされ、
緒(お)に貫くことにより生命の永続を祈念
されたと云われています。



子日目利箒(ねのひのめとぎのほうき) 正倉院蔵


手辛鋤(てからすき)


元来は天皇が手辛鋤で
田を耕す仕種しぐさをして豊穣と祖先を祀り
皇后は玉箒にて蚕室を掃き浄めて
蚕神(さんしん)を祀りました。


そして、その揺らせたときに
玉箒の枝先の玉と玉が触れ合う
その音の響きによって
新たなる年の養蚕の吉凶を占ったそうです。

その往時の初子の玉箒
「子日目利箒ねのひのめときほうき」が
正倉院の御物として作りが僅かに異なる
2本一対伝承されています。

この行事は、周・漢の時代の
正月の行事が日本に伝えられたと
され、唐の時代の観月宴「中秋節」
秋の月見」の起源と似ています。


令和三年、2021年
「初子の日」は、1月4日(月)です。

令和五年、2023年1月6日は
初甲子の日(はつきのえねのひ)
縁起の良い吉日とされています。
ゆえに、甲子の日から始めたことは長く続く
甲子の日に行動を起こすと
いい運の流れになるとされています。
暦は万物と呼応しています。
日を理解して
一日を健やかに過ごすことも茶道です。


初釜」には少し早いですが
今から1263年前、
758年の「初子の玉箒」に思いを走らせ
北川柚子、有機すだち、阿波山桃、美郷梅、
ゆこうなど四国産の果実を厳選した、
茜庵さんの和菓子「錦玉」(きんぎょく)を
玉箒の色ガラス(ビーズ)玉に
見立ててみるのも一興です。



また大正生まれの祖父は正月飾りの注連縄や筵など
なんでも、藁や竹で作ってくれました。
初釜の飾りとして「玉箒」は
私も作ってみたいと思います。

理由は刷毛目茶碗の
藁の刷毛を作る具合と似ているからです。