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cb650r-eのブログ

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なぜ神山町に…。

「では、赤木さん──なぜ“神山町”に高等専門学校ができたんでしょうか?」

俺の問いに、赤木氏は少し姿勢を正し、言葉を選びながら答え始めた。

「はい。神山町は、これまで過疎化の進行を防ぐために、さまざまな施策を実施してきました。たとえば、アーティストを一定期間受け入れる“アート・イン・レジデンス”や、企業のサテライトオフィスの誘致などです」

「聞いたことがありますね。外から“人”を呼び込む取り組みですね」

「そうです。ただ、どれも基本的には“大人”を対象としたものでした。もちろん効果はありましたが、長期的な視点で見れば、それだけでは地域の未来を支えきれない。結局、子どもが育ち、定着する仕組みがなければ、持続可能な地域にはならないんです。だからこそ、“教育”が次の課題として浮かび上がったわけです」

なるほど──「過疎の本質は教育にある」と言っているようだった。

俺は続けて尋ねた。

「では、神山町における“新たな教育の理想”とは、何だったのでしょうか」

「そこが非常にユニークな点です。神山町の人口は、およそ5,000人。新しく小中一貫校をつくれば、既存の公立校とバッティングしてしまいます。高校やフリースクールも同様の理由で現実的ではありません。かといって、大学は規模も資金も重すぎて、とても無理だった」

赤木氏は、資料の一枚をめくりながら続けた。

 



「そこで注目されたのが“高専”です。本校の理事長でもある寺田親弘さん──Sansanの代表ですね──は、かねてから神山町と関わりがありました。彼が“高専”という存在に可能性を見出し、以前から連携のあった地元のNPO法人『グリーンバレー』の理事、大南信也さんと協議を重ねたのです」

「高専だったら、神山でも実現できると?」

「はい。既存の教育機関と競合せず、むしろ“地域にない価値”を提供できる。しかも、テクノロジーと起業家精神を育てるカリキュラムは、これからの社会にフィットする。神山の理想にぴったり合ったわけです」

「なるほど……」

俺は、妙に納得していた。

“教育”という言葉の奥に、これほどまでに戦略と覚悟が詰まっているとは。
これは単なる学校じゃない。町全体の未来を賭けた──再設計なのだ。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

阿波経済研究所にて。

午前10時。俺は徳島市内にある阿波経済研究所を訪れた。
対応してくれたのは、上席研究員の赤木紳一郎さん。「真面目」がスーツを着たような方だった。

 



名刺交換と軽い雑談を終えると、すぐに本題に入った。

「赤木さん、さっそくですが……『神山まるごと高専』について、一からご説明いただけますか?」

「もちろんです」

彼は資料を開きながら、落ち着いた声で語り始めた。

 



「まず、学校の概要ですが──正式名称は『神山まるごと高等専門学校』。徳島県名西郡神山町に2023年4月に開校しました。定員は1学年40名、全寮制です。設置学科は“デザイン・エンジニアリング学科”で、テクノロジー、デザイン、そしてアントレプレナーシップを柱に教育を行っています」

「アントレプレナーシップ……つまり、起業家精神ですね」

「そうです」

俺は思わず感嘆の声を漏らした。

「なるほど……それは、かなり先進的ですね」

赤木氏はうなずき、さらに説明を続けた。

「この学校の設立を主導したのは、Sansan株式会社の代表取締役社長 兼 CEO──寺田親弘(てらだ・ちかひろ)氏です。彼は神山町に深く関わりを持つ実業家で、教育によって地域と世界をつなぐビジョンを持って、この高専を立ち上げました」

「Sansanって……あの、名刺管理のクラウドサービスの?」

「その通りです」

赤木氏は、寺田氏の経歴も手短に紹介してくれた。

「寺田氏は大学卒業後、三井物産に入社。米国シリコンバレーでベンチャー支援を経験し、帰国後の2007年にSansan株式会社を創業しました。以降、“働き方を変えるDX”を掲げて、さまざまなクラウドサービスを展開しています」

「たしかに、Sansanはよく耳にします」

「代表的なサービスは、法人向けの営業DXクラウド『Sansan』、請求書のデジタル化サービス『Bill One』、契約書のデータ管理ツール『Contract One』、そして個人向けの名刺アプリ『Eight』です」

「『Bill One』は……ああ、うちの会社でも使ってますよ」

思わず口に出た。

赤木氏は笑顔を浮かべながらうなずいた。

「利用企業は非常に多いですね。こうした“デジタルで働き方を変える”という企業理念を、次の世代の教育に応用したのが、神山まるごと高専なのです」

 

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ある施設とは。

9月の三連休明け、火曜日の朝。週初めの定例ミーティングが終わりかけたところだった。

「以上で本日のミーティングを終了します。──千﨑部長、何かございますか?」

司会の成瀬代理がそう声をかけると、千﨑部長が手を上げた。

「ああ、山本副部長にひとつお願いがありましてね」

「はい? 金曜日でしたら、今のところスケジュールは空いています。どちらに?」

 



「徳島県の神山町に行ってほしいんですよ。淡路島経由の日帰りで。社用車を使ってください。ちょっと強行軍ですが、頼みます」

 



「日帰りですか、それは……残念です。温泉にでも浸かれるかと思ったのに」

会議室に軽い笑いが起きる。

「観光じゃないですからね。最初に阿波経済研究所でレクチャーを受けてもらって、そのあと、ある施設を見学していただきたい」

「ある施設、ですか?」

「『神山まるごと高専』という学校です」

「……まるごと光線?」

「違います、『光線』じゃなくて『高専』。高等専門学校の略です」

慌てて訂正する千﨑部長の横で、天野次長たちがくすくすと笑っている。

「ちょっと気になってることがあるんですよ。詳しい話はまた後で、改めて説明します」

「了解です。面白そうですね」

 

9月19日、金曜日の朝。


俺は一人で大阪を出発し、社用車を西へ走らせていた。最終目的地は徳島県神山町。


地図で見れば近いように思えるが、実際はなかなかの距離だ。


淡路島を抜け、渦潮で知られる鳴門海峡を渡れば、四国に上陸だ。

──さて、「ある施設」とは何なのか。
その名前も、その存在も、俺はまったく知らなかった。

 

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意外とホントかも…。

構内に、博多行き新幹線のアナウンスが流れる。

「さあ、大阪へ帰りましょう」
「地域戦略部へのお土産のカステラは、文明堂と福砂屋、両方買いましたよ」
大杉主任が胸を張って報告する。

 



「どっちが好みでしょうね、皆さん」
天野次長がほほ笑む。

 



「湯村社長が言ってたんですけど――
お祝いの場には『文明堂』、お詫びの場には『福砂屋』を持っていくのが長崎の決まりごとだそうですよ」
大杉主任が真顔で言う。

「そんなの、ウソに決まってるじゃないの。ウソ、ウソ」
天野次長は吹き出しそうになりながら言った。

「え~、私騙されたんですか~」
大杉主任が嘆く。

「でも、全くのウソでもないかもしれないわねぇ。
――ザラメ砂糖の甘みが、怒りをやわらげるとか…」
そう言って天野次長は微笑み、「かもめ号」の扉をくぐった。

二人を乗せた「かもめ号」は、静かに発車した。
美しい稲佐山の夜景を、そっと車窓の向こうに置いたまま――。

 

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お互いにエールを。

翌日曜日の午前中の長崎駅西口改札前。


飛行機キャンセルして「『リレーかもめ』で大阪に帰るなんて、奇特な人たちねぇ。
お二人の大阪での健闘を祈ってるわ。私は明日、飛行機で東京に戻って、しばらく六本木オフィスで仕事よ」

 



「本当に、お世話になりました」
天野次長が深々と頭を下げる。

「今度は、冬に“旬さば”のしゃぶしゃぶを食べに行きましょうよ」

「賛成!」と大杉主任。

「では、お気をつけて」

「伊達木社長も、どうかお元気で」

新幹線口ゲートの出発待合室で、二人は新幹線の出発を待っていたが、天野次長が部屋の外に出て、どこかへ電話をかけていた。

「亜希です。今回の長崎出張の手配、ありがとう。漁協の上田さんにも大変お世話になったわ。ちゃんぽんも美味しかったし。
……でね、もう一つ頼みがあるの。対馬の“黄金のあなご”、冷凍で送ってもらえない? 宛先は…」

そう言って、手元の名刺を読み上げている。
送り先は、もちろん伊達木社長の東京オフィスだ。

 

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110円に救われるか…。

 

俺のCB650R e-clutchには、ひとつ心配がある。
納車の時からホンダ・ドリームの市古店長が、なぜかこのことについては歯切れが悪い。

そう、e-clutchは右側が横に出っ張っている。
そのせいで当時、適合するエンジンガードがなく、仕方なくスライダーを装着した。

……が。どう見ても右側(e-clutch側)のスライダーだけ、長さが足りない。
いざ転倒したとき、本当に守ってくれるのか?
その不安がずっと胸に引っかかっていた。

そこで俺はホームセンターに足を運んだ。
目に止まったのは、内径13mmの厚手ワッシャー、4枚入り――税込み110円。
これをスペーサー代わりにかませてみる。



結果、見た目は……なんとなく悪くない。
とりあえず解決した気分になった。

ただし注意点が三つ。

1.実際に転倒時のプロテクト効果が上がるかは不明。

2.構造上問題がないかも不明(専門家にご相談ください)。

3.作業にはジャッキが必須。エンジンを持ち上げないと、ボルトは抜き差しできない。

110円の知恵と汗で作った“還暦ライダー流カスタム”。
果たして、これが俺のCB650R e-clutchを救うのか――それは神のみぞ知る、である。

 

 

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日本人選手登場!

後半戦に、ひとりの日本人選手が登場した。背番号は「14」
ちょうど目の前でプレーしている彼にボールが渡ると、スタジアムは割れんばかりの歓声に包まれた。

 


「人気あるわね~あの子。KUBO君だって。あなたたち知ってる?」
伊達木社長が天野さんと大杉さんに尋ねる。二人は思案顔だった。
確かに、他の選手とはまとっているオーラが違う。

そして――後半に見事なシュートを決め、V・ファーレン長崎が1対0で勝利した。

「やったー! 長崎が勝ちましたよ!」
「幸先いいじゃないの、天野さん」
伊達木社長が満足げに言った。

試合後、KUBO選手がインタビューを受けていた。

 

 

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再びスタジアム・シティへ 

夕方5時。再びスタジアム・シティに足を運ぶ。
開場されたスタジアムは、既に観客で満席だった。

4階のエレベーターを降り、スイートルームに入ると、二人は思わず声を上げた。
「わぁ、スタジアム盛り上がってますねぇ、伊達木社長!」
屋外の観戦デッキに出てみたり、室内のソファに感激したり、大杉主任と天野次長は落ち着かない様子だった。

「さあ、乾杯しましょう。まずは魚のカルパッチョを肴に白ワインで」
「カンパーイ!」



ほどなくして試合が始まる。
「さっきスタッフに聞いたら、対戦相手はスペインのチームらしいわ。ソシエダなんとか。ひとり日本人選手がいるらしいわよ」

「始まりました~!」と大杉主任が報告。

 


「で、どっちが長崎?」
「青のユニフォームが長崎です。たぶん」
「青、がんばれ~」と伊達木社長が声援を送ると、隣のボックス席から視線が集まったが、こちらは誰も気にしていなかった。

前半戦は「0-0」で終了した。

 

 

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この部屋で観戦よ! 

食事を終え、和食ダイニング「旬」を出ると、伊達木社長が4階にあるダイヤモンドルームへ案内した。

 



「うわ、すごいお部屋ですね。今の時間だと観客席には、さすがに誰もいませんね」と大杉主任が興奮気味に話す。
「この部屋、お友達の春奈さんにめちゃくちゃ無理をお願いして、押さえてもらったの」
「3人だけで使うの、なんか申し訳ないですねぇ」

 

 


「まぁ、たまにはいいじゃない。サッカー観戦は夕方6時キックオフ。

 

 


それまでかなり時間があるから、インディゴに戻ってゆっくりしててくださいな」

「ちなみに今日の試合、どこ対どこでしたっけ?」

「V・ファーレン長崎と…どこか外国のチームだったと思うけど…」
伊達木社長も歯切れが悪い。

 



「まさかの、誰もサッカーに詳しくない展開?」

「まあ、それもいいじゃない。おいしいワインを部屋に準備させておくから。」

 

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お値段以上か?

「はい。先ほどお品書きを拝見しました。
今日いただいた“寿司会席”――価格は10,000円ですよね」

天野次長の声が、ほんの少しだけ低くなる。

 



「このロケーションで、ホテルで……“高揚感”という意味では、確かに価格に納得できるとは思います。
ただ……」

 



「その“価格の内訳”ね」
伊達木社長がふっと笑みを浮かべる。

「ええ。正直、ネタや握りの構成は、ごく標準的でした。
いわば、“場所代”が5割。料理そのものの価値は……」
天野次長はそこまで言うと、軽く頭を下げた。

「いえ、よく分かったわ」
伊達木社長が頷く。

「“ホテル寿司”って、そういうものなのよ。
でもね、今日、私が本当に聞きたかったのは――
“あなたたちが思い描く、おさかなマルシェの姿”が、この食事で少しでも見えたかどうか、ということなの」

「……はい。逆に、方向性がクリアになりました」
天野次長は力強く答えた。

「そう。ならよかったわ」
伊達木社長は、また穏やかな表情に戻る。

「ごちそうさまでした」
天野次長と大杉主任が声を揃えた。

晴れ渡る長崎の空の下、
高層階の静かな空間に、新しい構想の輪郭が静かに浮かび上がっていた。

 

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