お互いにエールを。
翌日曜日の午前中の長崎駅西口改札前。
飛行機キャンセルして「『リレーかもめ』で大阪に帰るなんて、奇特な人たちねぇ。
お二人の大阪での健闘を祈ってるわ。私は明日、飛行機で東京に戻って、しばらく六本木オフィスで仕事よ」

「本当に、お世話になりました」
天野次長が深々と頭を下げる。
「今度は、冬に“旬さば”のしゃぶしゃぶを食べに行きましょうよ」
「賛成!」と大杉主任。
「では、お気をつけて」
「伊達木社長も、どうかお元気で」
新幹線口ゲートの出発待合室で、二人は新幹線の出発を待っていたが、天野次長が部屋の外に出て、どこかへ電話をかけていた。
「亜希です。今回の長崎出張の手配、ありがとう。漁協の上田さんにも大変お世話になったわ。ちゃんぽんも美味しかったし。
……でね、もう一つ頼みがあるの。対馬の“黄金のあなご”、冷凍で送ってもらえない? 宛先は…」
そう言って、手元の名刺を読み上げている。
送り先は、もちろん伊達木社長の東京オフィスだ。
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