真夏の方程式 Ⅻ
軽快な排気音が駐車場に響く。
「しかし、お前もずいぶん詳しくなったな」
俺が感心して言うと、史は前を向いたまま答えた。
「そりゃそうでしょ」
少しだけ間を置いて続ける。
「お父さん、もう二度と入院したくないでしょう?」
「ああ。金輪際、入院も手術もまっぴらだ」
俺は即答した。
「そりゃそうだよね」
史は何事もなかったかのようにハンドルを切り、86を国道へ滑り込ませた。
目的地はバイク用品専門店「2りんかん」。
どうやら俺の安全装備強化計画は、まだ終わっていないらしい。
やがて、「2りんかん」の大きな看板が見えてきた。
「前にプレゼントしたヘルメット。あれ、ここで買ったの」
「ああ。あのヘルメットは機能性が高くて重宝しているよ。本当にありがとうな」
俺はあらためて礼を言った。
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