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地域戦略部には戦略が…

 


「まあ、明日発令されるから話してもいいだろう」
千﨑部長は静かに続けた。

「山本副部長は――大阪経済同友会の事務局に出向だ。事務所は元住銀行旧本店の二階にある」

「そうですか……」
言葉に詰まる俺を見て、部長は少し微笑んだ。

「いろいろとお世話になりました。勉強させていただきました」
「こちらこそだ」

短い言葉の奥に、この二年半の苦楽が滲んでいた。

「後任の副部長には、天野次長が部内昇格する。
成瀬代理は次長に――いい流れだ」

「俺がですか?」
成瀬が目を丸くした。

「ついでに、大阪で留守を守ってくれている大杉主任も部長代理に昇格だ。
新人も二人、異動してくる」

「いい人事ですね。納得です」
俺は笑顔で答えた。



――今の地域戦略部には戦略がある。
俺にはそう思えた。

 

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

海の幸と俺たちの夜


一方、俺は――。
いつも陰で支えてくれる成瀬代理と、天野次長の弟がプロデュースした「対馬あなご専門店」のカウンターにいた。

 


あなご料理を肴に、長崎の離島・壱岐の焼酎をロックで味わっている。

「いやぁ、大阪でもあなごの握りは食べますけど、刺身とか煮あなごなんて初めてですよ」
成瀬代理が感心したように言った。

「ほんとだな。今日だけ特別っていう“対馬の黄金あなご”――俺も初めてだ」

脂ののった白身が舌の上でとろける。
長崎の海の底には、まだまだ宝が眠っている――そんな気がした。

「アジにサバに、地元民が見落としてる食材、まだまだありそうですね」
「そのとおりだ」

俺はグラスをくるりと回し、氷が溶けていく音を聞いた。

そのとき、千﨑部長がやってきた。
「おう、二人とも。おつかれさんだったな」
「いえいえ、我々はサポートしただけです」

「まずは――乾杯だ」
「部長、ワインですか?」
「白ワインは和食にも合うぞ」
「まぁ、そうですよね」

三人のグラスが軽く触れ合い、カランと澄んだ音を立てた。
この二年半の苦労話に花が咲く。
笑い声とともに、あの忙しかった日々が遠く霞んでいく。

やがて――千﨑部長が、ふと真顔になって言った。

「ところで――山本副部長、いくつになった?」
「今年の七月で、還暦を迎えたところです」
「そうだよな」

一拍の間。
俺は、胸の奥がざわめくのを感じた。

「……異動ですか?」
思わず口をついて出た言葉に、千﨑部長はゆっくり頷いた。

「察しがいいな」

焼酎のグラスの中で氷が小さく音を立てる。

 

 

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約束の二年



「本当に――約束の二年でオープンさせたわね」
グラスを片手に、伊達木社長が微笑みながら天野次長に声をかけた。

 



「はい。伊達木社長、そして湯村社長をはじめ、皆さんのご協力のおかげです」
天野次長は深々と頭を下げ、その表情には達成感と安堵が交錯していた。

 



そこへ千﨑部長が加わる。

 


「千﨑さん、いい部下をお持ちでうらやましいわ。……お宅にはもったいないから、うちに来てもらうことでよろしいわね?」
伊達木社長の“作り真顔”に、周囲はどっと笑いに包まれた。

「絶対だめですよ、伊達木社長」
千﨑部長が即座に笑いながら返す。

「でもね、天野次長は昇格させるべきよ。もっと権限を与えて、思いきり活躍してもらわないと」
「分かってますよ、伊達木社長」

千﨑部長はそう言うと、伊達木社長が差し入れた高級ワインをぐいと飲み干した。
グラスの縁に映る赤いランタンの輝きが、オープン前夜の祝賀ムードを一層引き立てた。

 

 

 

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戦略完結

 

今日は――2027年9月30日、木曜日。
我々、地域戦略部の面々は「長崎うまいもの市場」の関係者向けプレオープン会場に集まっていた。
約2年に及ぶ準備期間を経て、いよいよ明日10月1日、グランドオープンを迎えるのだ。



舞台は、長崎市の繁華街に位置する「マルシェつきまち」地下1階。
そこに並ぶのは、選りすぐりの24店舗(鮮魚販売店含む)。
旨い魚料理はもちろん、長崎牛、ちゃんぽん・皿うどん、中華料理、名物トルコライス――。
考え得る限りの“長崎の味”が、この地下にすべて詰まっている。

短い準備期間でここまでこぎつけたのは、天野次長の情熱あってのことだ。
だが、資金・人材の両面で支えた伊達木社長、さらにフォレスト・トラストの関連会社が誇る企画力も、成功を決定づけた。
そして忘れてはならない。「マルシェつきまち」湯村社長の尽力である。
この四人の信頼と意地が、今日という日を引き寄せた。

オープン前日の地下1階は、関係者と招待客でごった返していた。
熱気と笑顔、そしてどこか漂う緊張感。
――長崎の夜に、新しい風が吹こうとしていた。

 

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また来るね富山

――翌日。
午前中は富山市ガラス美術館と老舗の池田安兵衛商店を観光し、二人は富山駅から新幹線に乗り込んだ。





車内では名物の鱒寿司と鯖寿司を広げる。
「旨いですね、コレ」大杉主任が口いっぱいにほおばる。
「ほんと、富山はいい所だったわね」天野次長も感慨深げに言った。
「そりゃ、ニューヨーク・タイムズが“2025年に行くべき場所”に選ぶはずですよ」
大杉主任が最後の一切れを平らげると、天野次長は会社のLINEに「帰路につきました」と報告を送った。

そのとき――。
「あっちゃー!」大杉主任が声をあげた。
「どうしたの、大杉さん」
「氷見牛、食べそこないましたよ、次長!」
「まあ、いいじゃない。次回のお楽しみってことで」

数分後、また声が上がる。
「あっちゃー!」
「今度は何?」
「お土産、買うの忘れました」
「そんなことだろうと思って、池田安兵衛商店で「反魂丹(はんごんたん)」を皆さんに買っておきました。」

 


「死者を蘇らせる霊薬じゃ~」と大杉主任がふざける。
天野次長が思わず吹き出す。

そして列車は静かに大阪駅のホームへと滑り込んだ。
 

 

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経営者の気概

旭社長は声を強めた。
「加えて、富山には“我が社も上場するぞ”という気概の経営者が多い。デメリットを承知の上で挑戦する。地元経済を牽引する存在になりたいという強い思いがあるのです」
「地元愛か…」大杉主任がぽつりとつぶやく。
「経営者の意気込みそのものが地域の空気を変えているのですね」天野次長も感慨深げだった。

予定時間を過ぎるほど熱心な視察となったが、最後に天野次長が深々と頭を下げた。
「旭社長、本日は貴重なお話をありがとうございました。大きな学びを得ることができました」
「こちらこそ。商人の街・大阪から富山の企業を見学いただき光栄です」

研究所の沼田主任も一礼し、視察は終了した。

帰りの車内で、大杉主任が窓の外を眺めながら言った。
「地方の人口減少や若者流出って、解決は簡単じゃないですけど……少なくとも富山にはヒントがありましたね」
「ええ。企業の気概と地域の支え合い。その組み合わせが、この街を強くしているのだと思うわ」天野次長が静かに答えた。

磯料理「松月」

富山経済研究所に戻ったあと、沼田主任研究員も誘い、夕食会場の磯料理「松月」へタクシーで向かった。
すでに日は落ち、外は深い闇に包まれている。

「いかにも料亭って感じで、いい雰囲気ですね」
暖簾をくぐりながら大杉主任が感心する。

 



座敷に案内されると、沼田主任が地元らしく解説を始めた。
「松月は明治44年創業。この岩瀬港町は北前船の寄港地として栄え、当時は廻船問屋が軒を連ねていました。ここでは今も富山湾の新鮮な地魚を生かした料理が楽しめます。なかでも白えびは県の名産。200匹を使って作る“白えび団子”は名物ですね」
「へぇ~、それはすごい」大杉主任が思わず声をあげた。



海鮮懐石のコースが始まる。
刺身、焼き物、煮物――次々と運ばれてくる料理に、思わずため息がもれる。
「やっぱり、おいしいわねぇ、富山の食事は」天野次長が箸を止めて言った。

 



盃を傾けながら、天野次長は今回の視察の目的を率直に語った。
「関西でもコンパクトシティを目指す都市はあります。ただ人口減少や若者流出はどこも悩みの種で…」
「なるほど。いい勉強になったようですね」沼田主任が微笑む。
「ええ。大阪に戻ってコンサルティングのプラットフォームを作りたいと思っています。もちろん時間はかかりますけど」

和やかな宴は夜更けまで続いた。

 

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上場を目指せ!

「当社は医薬品や化粧品向けのパッケージ分野で国内シェアトップを自負しております。創業は明治5年、富山の配置薬の包材供給から始まりました。2002年に上場し、現在はスタンダード市場に属しています」

展示ギャラリーを眺めながら、天野次長が小さくつぶやく。
「なるほど…薬都・富山に根ざした企業なんですね」
「この薬、私いつもお世話になってますぅ~」大杉主任が笑うと、
「ご愛用ありがとうございます」旭社長が真顔で頭を下げた。

 



見学を進めるうち、天野次長が切り込んだ。
「富山には上場企業が26社あると伺いました。なぜこの地では、上場を目指す動きが盛んなのでしょうか」

旭社長は一瞬考え、穏やかに答えた。
「まず、上場企業は若者の就職先として“憧れ”の対象になる。地域の雇用を支える存在として重要です。また自治体にとっても税収や生活基盤に直結します」

さらに続ける。
「上場によって企業の知名度や信用は格段に上がります。優秀な新卒を採用しやすくなるのも大きい。地方では安定した雇用環境を提供できることが、若者の流出を防ぐポイントです」

 



「なるほど…」三人は深くうなずいた。

 

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受け継がれる薬売りスピリット

富山二日目。
この日のテーマは、地域経済活性化の事例研究だった。
午前は富山経済研究所を訪問し、午後は地元企業を視察する。

千﨑部長の紹介で、研究所の沼田主任研究員が出迎えてくれた。
「ようこそ。昨日、千﨑部長から“富山経済のすべてをレクチャーしてやってくれ”と言われましたが、さすがにそれは無理です、とお答えしておきました。はっはっは」

 

 

「相変わらずで失礼いたしました。本日はどうぞよろしくお願いします」天野次長が頭を下げる。

沼田主任は早速、富山の経済構造について語り始めた。
「富山県には上場企業が26社あります。地域経済は比較的安定しており、人口流出も他県に比べて少ない。それは“富山人の気質”や“地場産業の歴史”と密接に関わっているのです」

午前中いっぱい、富山の薬売りの歴史から現代までの系譜、勤勉さと実直さを重んじる富山人気質など、詳しい説明が続いた。

昼食を挟み、午後からは旭印刷株式会社を訪問する。

 



工場入口では、社長の旭重徳氏が自ら出迎えてくれた。
「ようこそお越しくださいました。社長の旭です」

 


「大阪ビジネスコンサルタンツの天野です。こちらは大杉主任」
あいさつを交わすと、旭社長は自ら工場を案内してくれた。
 

 

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世界一美しい

「さあ、次長!世界一美しいスタバ――環水公園店に行きましょう!」
「……仕方ないわね。せっかくだから寄ってみましょうか」
「そう来なくっちゃ!」

秋の紅葉が彩る環水公園。水辺に映えるガラス張りのスターバックスは、確かに“美しい”と呼ぶにふさわしい姿だった。
「紅葉の季節に来られて良かったわね。本当に素敵だわ」天野次長がしみじみと言う。
二人は短いコーヒータイムを楽しんだ。

 



さて、夕食である。
二人は富山県の第三セクター鉄道・万葉線の新湊港線に乗り、新町口で下車した。駅から歩いてすぐの場所にある「割烹 かわぐち」。千﨑部長が予約してくれた店だ。

 


割烹 かわぐち

「外見は…普通~のお店ですねぇ」大杉主任が首をかしげる。
「でも、部長おすすめなんだから、間違いはないと思うわ」天野次長は冷静に返す。

店内に入っても、派手さはなく落ち着いた雰囲気。
「ここ、本当にカニのコースなんですかね」大杉主任が小声でつぶやく。

 

 

仲居さんが丁寧に料理の説明をしてくれた。
「当店は白エビやズワイガニなど、富山湾の海の幸が自慢でございます。本日は、旬のズワイガニをふんだんに使ったコースで承っております」

運ばれてきた料理に、二人の表情が一変する。
最初の一口を味わった瞬間、天野次長が思わず声を漏らした。
「……おいしい。今まで食べたことのない味だわ」
「ほんとですねぇ…!」大杉主任はもう言葉にならず、夢中で箸を動かしている。



焼きガニ、カニ刺し、カニ鍋――次々と運ばれる品に、二人はすっかり魅了された。

やがて食事を終え、会計へ。
法人カードを手にした天野次長は、明細書を見て小さくつぶやく。
「……副部長じゃないけど、これは結構いったわね」
「だって地酒がおいしすぎたんですよ。つい、ジャンジャンいっちゃいました」大杉主任はご機嫌だ。
天野次長は苦笑しながらカードを財布にしまう。
「まあいいわ。今日は学ぶことも多かったし、ご褒美ということで」

二人は、ほんのり酔いを帯びた頬で店を後にした。

 

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公共交通機関の活性化

「鉄軌道を活性化させ、その沿線に住居や商業、行政、文化を集中させる。これが“串”であり、“お団子”の都市構造です」
「お団子と串…分かりやすいですね」天野次長が感心する。

 



「実際にJR高山本線では、増発運行に加えて駅前広場や駐輪場、P&R駐車場の整備を進めました」
「沿線住民の利便性向上ですね」
「その通りです」

 



京田社長はページをめくる。
「効果は数字に表れました」
「…すごい。これほど利用者が増えたんですか」天野次長が思わず息をのむ。

 



さらに高齢者対策として、「おでかけ定期券」を導入。65歳以上は市内の公共交通を一律100円で利用できる。
「たとえば通常1,160円の区間も100円にしました」


「え、そんなに?!」大杉主任が目を丸くする。
「結果、平日利用は2倍、休日は3倍以上に増えました。健康寿命の延伸にもつながっています」

 

 


「これは…すごい取り組みだわ」天野次長が深くうなずいた。

2時間に及ぶ熱のこもったレクチャーが終わる。
「京田社長、本日はありがとうございました」
「大阪に行く機会があれば、千﨑部長に一杯おごってもらうと伝えてください」
「必ず伝えます!」大杉主任が笑顔で応じた。

二人は富山市民プラザを後にした。

 

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