cb650r-eのブログ -13ページ目

cb650r-eのブログ

ブログの説明を入力します。

この部屋で観戦よ! 

食事を終え、和食ダイニング「旬」を出ると、伊達木社長が4階にあるダイヤモンドルームへ案内した。

 



「うわ、すごいお部屋ですね。今の時間だと観客席には、さすがに誰もいませんね」と大杉主任が興奮気味に話す。
「この部屋、お友達の春奈さんにめちゃくちゃ無理をお願いして、押さえてもらったの」
「3人だけで使うの、なんか申し訳ないですねぇ」

 

 


「まぁ、たまにはいいじゃない。サッカー観戦は夕方6時キックオフ。

 

 


それまでかなり時間があるから、インディゴに戻ってゆっくりしててくださいな」

「ちなみに今日の試合、どこ対どこでしたっけ?」

「V・ファーレン長崎と…どこか外国のチームだったと思うけど…」
伊達木社長も歯切れが悪い。

 



「まさかの、誰もサッカーに詳しくない展開?」

「まあ、それもいいじゃない。おいしいワインを部屋に準備させておくから。」

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

お値段以上か?

「はい。先ほどお品書きを拝見しました。
今日いただいた“寿司会席”――価格は10,000円ですよね」

天野次長の声が、ほんの少しだけ低くなる。

 



「このロケーションで、ホテルで……“高揚感”という意味では、確かに価格に納得できるとは思います。
ただ……」

 



「その“価格の内訳”ね」
伊達木社長がふっと笑みを浮かべる。

「ええ。正直、ネタや握りの構成は、ごく標準的でした。
いわば、“場所代”が5割。料理そのものの価値は……」
天野次長はそこまで言うと、軽く頭を下げた。

「いえ、よく分かったわ」
伊達木社長が頷く。

「“ホテル寿司”って、そういうものなのよ。
でもね、今日、私が本当に聞きたかったのは――
“あなたたちが思い描く、おさかなマルシェの姿”が、この食事で少しでも見えたかどうか、ということなの」

「……はい。逆に、方向性がクリアになりました」
天野次長は力強く答えた。

「そう。ならよかったわ」
伊達木社長は、また穏やかな表情に戻る。

「ごちそうさまでした」
天野次長と大杉主任が声を揃えた。

晴れ渡る長崎の空の下、
高層階の静かな空間に、新しい構想の輪郭が静かに浮かび上がっていた。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

お味はどう?

 

やがて料理が運ばれ、3人は静かに箸を進めていった。

 



しばしの沈黙。
語られることは少ないまま、それぞれが目の前の握りに向き合っていた。

やがて食事が終わると――

「さて、大杉さん。お味はどうだった?」
伊達木社長が問いかける。

「はい……」
大杉主任は一呼吸おき、ゆっくりと答えた。

「大阪の人間には、十分おいしく感じられました。でも……」

「天野さんは?」
伊達木社長が向き直る。

「はい……」
天野次長は、慎重に言葉を選びながら話しはじめた。

「ご馳走になっておいて非常に恐縮ですが……正直に申し上げると、
私たちが求めている“お寿司”とは、少し違う気がしました」

「違う、というと?」
伊達木社長の目が細くなる。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

長崎スタジアム・シティ

翌日の昼、土曜日。

ホテル・インディゴをチェックアウトし、3人は再びアルファードに乗り込んだ。
目指すは、JR長崎駅のすぐそばにそびえる新名所――
長崎スタジアム・シティ(長崎ピーススタジアム)。

約20分後、アルファードはスタジアムのホテル棟の正面玄関に横付けされた。

エレベーターを乗り継ぎ、ホテル12階の和食ダイニング「旬(とき)」へ。
朝の光が大きなガラス窓から差し込み、市街地と港を一望する絶景が広がっていた。

 



「わぁ、すごく眺めがいいですね」
大杉主任が思わず声を漏らす。

その横で、伊達木社長はやや真剣な口調で言った。

「今日は、ちょっと“真面目なお願い”があるの。――長崎の“寿司”の現在地を体験してもらいたかったの。
正直な感想、聞かせてね」
 

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

かつての“食”の中心地

 

「もともと築町(つきまち)は、長崎の“食”の中心地でした。
鯨肉の専門店、蒲鉾(かまぼこ)店、からすみ屋、乾物店……老舗が軒を連ねていて、まさに“食文化の交差点”だったんです」

「それを1998年、古い市場を建て替えて、新しい“食の発信基地”として再生したのが――『マルシェつきまち』でした」



「現在は、民間企業が運営するビルの賃貸業務が主ですが……残念ながら、多くの空き店舗を抱え、苦労しています。
賃料が周辺より高いという声もあり、経営体質を見直しながら、競争力ある賃料設定を模索中です」

「なるほど……」
天野次長が、真剣な顔で考え込む。

「思ったより、簡単な話ではなさそうですね。ただ……」

「ただ?」と伊達木社長。

「このインディゴホテルも、最初は“到底無理だろう”と言われていたんですよね?」

「そう。でも、今はこうして実現してる」
伊達木社長が、柔らかく微笑みながら頷いた。

「だから言うの。天野さんなら、できるわ」

そして、力強く言い切った。

「3年――いえ、2年で。『おさかなマルシェ』、一緒に必ず実現させましょう」



その言葉に、天野次長は静かに頷いた。

「分かりました。まずは、大杉と二人で案を練って、部内で相談してみます」

「千﨑部長がどう判断するか、楽しみにしてるわ」
伊達木社長がにっこりと笑う。

「はい、全力を尽くします」

――一夜限りで復活した、ロシア料理の名店「ペチカ」の夜。
会話と料理、笑いと余韻が、まだ静かに続いていた。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

―K-1の晩夏―

 

さて、夏もそろそろ終わりを告げる頃だ。
この夏、K-1では俺もすっかりスポーツ走行を堪能させてもらった。

本日のバトル相手は――
K-1の古株のひとり、「竹ちゃん」である。
歳は俺より五つほど下だったはずだが、走りに関しては雲泥の差。

コースはK-1往復、二本勝負。

……結果は、ご想像のとおり。惨敗である。
これでまた記録更新、連敗街道まっしぐら。

ちなみに、竹ちゃんの愛車はスズキのモタード、400cc単気筒。
650cc4気筒に乗る俺が、400の単気筒に毎度やられるとはどういうことか。



だが、奴のライディングは実に絵になる。
コーナー進入でスッと足を出すモタードフォーム。
切れ味鋭いライン取り。
気がつけば、俺の視界からすでに消えている。

K-1復帰後の俺の戦績――「
0勝12敗」。
この夏も連敗記録は更新中。

ひとつだけわかったことがある。
乗り続けたアラ還ライダーは強い。バイクの排気量や車種なんて大した問題じゃない。

……まあ、いいんだ。
今、俺は心から楽しんでいる。

CB650R e-clutch のある人生。これ以上、何を望もうか。

 

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

 

ここからは……


静かに余韻を楽しんでいると、久保弟シェフがテーブルのそばにやってきた。
「本日の料理は、お口に合いましたでしょうか?」

湯村社長が満足げに微笑む。
「おいしかったよ。料理も、当時の味そのものだね。完全に再現できていた」
女性陣3名も口々に「すごくおいしかった」と続く。

「ありがとうございます」
久保弟は深く頭を下げると、静かに厨房へ戻っていった。

続いて、久保兄がグラスの位置を整えながら、テーブルの上を丁寧に片づけていく。
卓上は再び、凛とした空気に包まれた。

そのタイミングを見計らったように、伊達木社長が口を開く。
「さて……少し、次の話をしましょうか」

 



その一言に、場の空気が再び引き締まった。

「ここからは、少しだけ“ビジネスの話”をしましょう」
伊達木社長の声に、皆が自然と姿勢を正す。

「早っ……昼に話したことが、その日の夜に具現化するとは。
これが、グローバル企業“フォレスト・トラスト流”のスピード感か……」
天野次長は、心の中でつぶやいた。

そして、湯村社長に、これまでの経緯を簡潔に説明しはじめた。
 

――実家が対馬のアナゴ商社であること。
――近江町市場の視察。
――長崎の寿司文化、旬アジや旬サバの話。
――アジフライの聖地・松浦のこと……。

 


湯村社長は頷きながら耳を傾けていたが、やがて静かに口を開いた。

「名刺に書いてある通り、私は『マルシェつきまち』の代表です。
……少し、築町(つきまち)の昔話をしてもよろしいですか?」

一同が静かに頷くと、湯村社長は、ゆっくりと語りはじめた。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

本日のMenu

 

「ALSACE RIESLING CLOS SAINTE HUNE 2019を選びました。アルザスの辛口リースリング、最高峰の一本です」

「出ましたね、アルザスのロマネ・コンティ」
湯村社長がうれしそうに言った。

 



「名門トリンバック家の誇る一本。フランスでも常に高得点を叩き出す、辛口白ワインですな」

料理も、ワインも、会話も。
すべてが自然とテーブルに溶け込んでいく――。

<本日のMenu>

 



前菜の盛り合わせ

サラダ

岩ガキ(石川県産)

ボルシチ

田舎風パテ(ガーリックトースト添え)

雲仙ポークの腸詰め

長崎ビーフのストロガノフ(サフランライス添え)

デザート

コーヒー

最後のデザートとコーヒーは、ホテル・インディゴのレストランからサーブされた。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

まずは乾杯!


「まずは乾杯からね」
伊達木社長が、涼やかな声で言った。

「今夜のシャンパンは、《La Grande Année 2015》をご用意したわ」

 



その言葉に呼応するように、久保兄がシャンパンクーラーから丁寧にボトルを取り出し、水気を拭う。
そして、静かに栓を抜いた。澄んだ音とともに、立ち上る香りがシャンパングラスにふわりと広がる。

4つのグラスに金色の泡が注がれた瞬間、伊達木社長が言った。

「今日という素晴らしい出会いに、カンパーイ」

グラスが軽やかに触れ合う。音が消えたあと、一瞬の沈黙。
そして、自然と笑顔がこぼれた。

久保兄が前菜をサーブする。
そこへ、発泡スチロールの箱を抱えた久保弟がテーブルに近づいた。

 



「本日は、石川県の岩ガキが入っております。生牡蠣が苦手な方はいらっしゃいますか?」

そう言って、大ぶりの岩ガキを披露する。
全員が「いただきまーす」と声を合わせた。

「夏のペチカ名物といえば、この岩ガキですよ」
湯村社長が嬉しそうに言う。

「この料理には、白ワインを合わせましょう」
伊達木社長が、空になったグラスを静かにテーブルに置き、次のボトルを促した。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。

アルザスのロマネ・コンティ

 

「そうよ。今日は本当に“スペシャル”なの」
伊達木社長は、少し誇らしげに微笑んだ。

部屋の中には、すでに二人の男性が立っていた。
控えめに頭を下げながら、来客を迎える。

「こちらが、今はなきロシア料理の名店・ペチカのオーナーとシェフ――久保兄弟です」
伊達木社長が紹介する。

 

 



「うちの会社、いま“新領域ビジネス”として、出張シェフのマッチングプラットフォーム『Premiumシェフ』を展開しているんです。
でも、今日お越しいただいたこのお二人は……ビジネスではなく、友人としてご協力いただいてます」

「インディゴのレストランオープン時にも、いろいろと助言をいただいて。それがご縁で、ね」

そして、もうひとつ明かされた事実があった。
湯村社長は、2020年に閉店するまで、ペチカの三十年来の常連客だったのだ。

「週に二回は通ってましたよ。あの店の味は、忘れようがない」
湯村社長は、少し懐かしそうに目を細めた。

 

このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。