「やっぱり……。」
「教育産業室と、文科省の方針は違うんですか?」
俺は、気になっていた疑問を御上校長にぶつけてみた。
「協力関係にありますよ。個人的には──経産省だけでなく、厚労省や国交省など、他の省庁ももっと教育に関心を持つべきだと思っています。将来の人材育成という大きな目標は、みな同じですから」
そう語る御上校長の口調は、淡々としていながらも確信に満ちていた。
「教育産業室には、文科省からの出向者や、地方自治体出身者、元教員もいます。省庁の垣根を越えて、現場と政策をつなぐ試みなんです」
さらに御上校長は続けた。
「とはいえ、日本の公教育にかけられる予算は、諸外国に比べて少ないのが現実です。そして、その限られた予算の大半は、教職員の人件費や学校施設の整備費にあてられています。教育分野においても、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を進めるには、自前主義を超えて、外部サービスとの連携で多様な需要に応える発想が欠かせません」
俺はふと尋ねた。
「7年間過ごされたという、母校・聖光学院での経験から、何を得られましたか?」
御上校長は、少しだけ笑って言った。
「子どもたちの可能性と“伸びしろ”に、ただただ驚かされる日々でした。それが一番大きかったですね」
「やっぱり……ドラマのモデルですよ、三上さん」

「だから、それは違いますって」
と苦笑しながらも、御上校長はすぐに表情を引き締めた。
「教育に、100点満点はありません。デジタル化のさらなる推進や、増え続ける不登校への対応など──私たち教育に携わる者が、自ら“次のあり方”を考え、動くべき時です。現場も、“やらされる改革”から脱却していかなくてはなりません」
言葉に一切のごまかしはなかった。
「どんな子どもでも、多様な学びにアクセスできる環境を整える。それには、民間の創意工夫や新しいテクノロジーの力が必要です。企業が地域の学びに関わることは、地方と都市の学力格差の解消にもつながります。これからも多くの企業、学校と協力して、“社会に開かれた学び”を実現していきたいですね」
そう語り終えると、御上校長は深くうなずいた。
このブログの内容はフィクションです。 実在の人物や団体などとは関係ありません。











