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cb650r-eのブログ

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意外とホントかも…。

構内に、博多行き新幹線のアナウンスが流れる。

「さあ、大阪へ帰りましょう」
「地域戦略部へのお土産のカステラは、文明堂と福砂屋、両方買いましたよ」
大杉主任が胸を張って報告する。

 



「どっちが好みでしょうね、皆さん」
天野次長がほほ笑む。

 



「湯村社長が言ってたんですけど――
お祝いの場には『文明堂』、お詫びの場には『福砂屋』を持っていくのが長崎の決まりごとだそうですよ」
大杉主任が真顔で言う。

「そんなの、ウソに決まってるじゃないの。ウソ、ウソ」
天野次長は吹き出しそうになりながら言った。

「え~、私騙されたんですか~」
大杉主任が嘆く。

「でも、全くのウソでもないかもしれないわねぇ。
――ザラメ砂糖の甘みが、怒りをやわらげるとか…」
そう言って天野次長は微笑み、「かもめ号」の扉をくぐった。

二人を乗せた「かもめ号」は、静かに発車した。
美しい稲佐山の夜景を、そっと車窓の向こうに置いたまま――。

 

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お互いにエールを。

翌日曜日の午前中の長崎駅西口改札前。


飛行機キャンセルして「『リレーかもめ』で大阪に帰るなんて、奇特な人たちねぇ。
お二人の大阪での健闘を祈ってるわ。私は明日、飛行機で東京に戻って、しばらく六本木オフィスで仕事よ」

 



「本当に、お世話になりました」
天野次長が深々と頭を下げる。

「今度は、冬に“旬さば”のしゃぶしゃぶを食べに行きましょうよ」

「賛成!」と大杉主任。

「では、お気をつけて」

「伊達木社長も、どうかお元気で」

新幹線口ゲートの出発待合室で、二人は新幹線の出発を待っていたが、天野次長が部屋の外に出て、どこかへ電話をかけていた。

「亜希です。今回の長崎出張の手配、ありがとう。漁協の上田さんにも大変お世話になったわ。ちゃんぽんも美味しかったし。
……でね、もう一つ頼みがあるの。対馬の“黄金のあなご”、冷凍で送ってもらえない? 宛先は…」

そう言って、手元の名刺を読み上げている。
送り先は、もちろん伊達木社長の東京オフィスだ。

 

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110円に救われるか…。

 

俺のCB650R e-clutchには、ひとつ心配がある。
納車の時からホンダ・ドリームの市古店長が、なぜかこのことについては歯切れが悪い。

そう、e-clutchは右側が横に出っ張っている。
そのせいで当時、適合するエンジンガードがなく、仕方なくスライダーを装着した。

……が。どう見ても右側(e-clutch側)のスライダーだけ、長さが足りない。
いざ転倒したとき、本当に守ってくれるのか?
その不安がずっと胸に引っかかっていた。

そこで俺はホームセンターに足を運んだ。
目に止まったのは、内径13mmの厚手ワッシャー、4枚入り――税込み110円。
これをスペーサー代わりにかませてみる。



結果、見た目は……なんとなく悪くない。
とりあえず解決した気分になった。

ただし注意点が三つ。

1.実際に転倒時のプロテクト効果が上がるかは不明。

2.構造上問題がないかも不明(専門家にご相談ください)。

3.作業にはジャッキが必須。エンジンを持ち上げないと、ボルトは抜き差しできない。

110円の知恵と汗で作った“還暦ライダー流カスタム”。
果たして、これが俺のCB650R e-clutchを救うのか――それは神のみぞ知る、である。

 

 

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日本人選手登場!

後半戦に、ひとりの日本人選手が登場した。背番号は「14」
ちょうど目の前でプレーしている彼にボールが渡ると、スタジアムは割れんばかりの歓声に包まれた。

 


「人気あるわね~あの子。KUBO君だって。あなたたち知ってる?」
伊達木社長が天野さんと大杉さんに尋ねる。二人は思案顔だった。
確かに、他の選手とはまとっているオーラが違う。

そして――後半に見事なシュートを決め、V・ファーレン長崎が1対0で勝利した。

「やったー! 長崎が勝ちましたよ!」
「幸先いいじゃないの、天野さん」
伊達木社長が満足げに言った。

試合後、KUBO選手がインタビューを受けていた。

 

 

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再びスタジアム・シティへ 

夕方5時。再びスタジアム・シティに足を運ぶ。
開場されたスタジアムは、既に観客で満席だった。

4階のエレベーターを降り、スイートルームに入ると、二人は思わず声を上げた。
「わぁ、スタジアム盛り上がってますねぇ、伊達木社長!」
屋外の観戦デッキに出てみたり、室内のソファに感激したり、大杉主任と天野次長は落ち着かない様子だった。

「さあ、乾杯しましょう。まずは魚のカルパッチョを肴に白ワインで」
「カンパーイ!」



ほどなくして試合が始まる。
「さっきスタッフに聞いたら、対戦相手はスペインのチームらしいわ。ソシエダなんとか。ひとり日本人選手がいるらしいわよ」

「始まりました~!」と大杉主任が報告。

 


「で、どっちが長崎?」
「青のユニフォームが長崎です。たぶん」
「青、がんばれ~」と伊達木社長が声援を送ると、隣のボックス席から視線が集まったが、こちらは誰も気にしていなかった。

前半戦は「0-0」で終了した。

 

 

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この部屋で観戦よ! 

食事を終え、和食ダイニング「旬」を出ると、伊達木社長が4階にあるダイヤモンドルームへ案内した。

 



「うわ、すごいお部屋ですね。今の時間だと観客席には、さすがに誰もいませんね」と大杉主任が興奮気味に話す。
「この部屋、お友達の春奈さんにめちゃくちゃ無理をお願いして、押さえてもらったの」
「3人だけで使うの、なんか申し訳ないですねぇ」

 

 


「まぁ、たまにはいいじゃない。サッカー観戦は夕方6時キックオフ。

 

 


それまでかなり時間があるから、インディゴに戻ってゆっくりしててくださいな」

「ちなみに今日の試合、どこ対どこでしたっけ?」

「V・ファーレン長崎と…どこか外国のチームだったと思うけど…」
伊達木社長も歯切れが悪い。

 



「まさかの、誰もサッカーに詳しくない展開?」

「まあ、それもいいじゃない。おいしいワインを部屋に準備させておくから。」

 

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お値段以上か?

「はい。先ほどお品書きを拝見しました。
今日いただいた“寿司会席”――価格は10,000円ですよね」

天野次長の声が、ほんの少しだけ低くなる。

 



「このロケーションで、ホテルで……“高揚感”という意味では、確かに価格に納得できるとは思います。
ただ……」

 



「その“価格の内訳”ね」
伊達木社長がふっと笑みを浮かべる。

「ええ。正直、ネタや握りの構成は、ごく標準的でした。
いわば、“場所代”が5割。料理そのものの価値は……」
天野次長はそこまで言うと、軽く頭を下げた。

「いえ、よく分かったわ」
伊達木社長が頷く。

「“ホテル寿司”って、そういうものなのよ。
でもね、今日、私が本当に聞きたかったのは――
“あなたたちが思い描く、おさかなマルシェの姿”が、この食事で少しでも見えたかどうか、ということなの」

「……はい。逆に、方向性がクリアになりました」
天野次長は力強く答えた。

「そう。ならよかったわ」
伊達木社長は、また穏やかな表情に戻る。

「ごちそうさまでした」
天野次長と大杉主任が声を揃えた。

晴れ渡る長崎の空の下、
高層階の静かな空間に、新しい構想の輪郭が静かに浮かび上がっていた。

 

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お味はどう?

 

やがて料理が運ばれ、3人は静かに箸を進めていった。

 



しばしの沈黙。
語られることは少ないまま、それぞれが目の前の握りに向き合っていた。

やがて食事が終わると――

「さて、大杉さん。お味はどうだった?」
伊達木社長が問いかける。

「はい……」
大杉主任は一呼吸おき、ゆっくりと答えた。

「大阪の人間には、十分おいしく感じられました。でも……」

「天野さんは?」
伊達木社長が向き直る。

「はい……」
天野次長は、慎重に言葉を選びながら話しはじめた。

「ご馳走になっておいて非常に恐縮ですが……正直に申し上げると、
私たちが求めている“お寿司”とは、少し違う気がしました」

「違う、というと?」
伊達木社長の目が細くなる。

 

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長崎スタジアム・シティ

翌日の昼、土曜日。

ホテル・インディゴをチェックアウトし、3人は再びアルファードに乗り込んだ。
目指すは、JR長崎駅のすぐそばにそびえる新名所――
長崎スタジアム・シティ(長崎ピーススタジアム)。

約20分後、アルファードはスタジアムのホテル棟の正面玄関に横付けされた。

エレベーターを乗り継ぎ、ホテル12階の和食ダイニング「旬(とき)」へ。
朝の光が大きなガラス窓から差し込み、市街地と港を一望する絶景が広がっていた。

 



「わぁ、すごく眺めがいいですね」
大杉主任が思わず声を漏らす。

その横で、伊達木社長はやや真剣な口調で言った。

「今日は、ちょっと“真面目なお願い”があるの。――長崎の“寿司”の現在地を体験してもらいたかったの。
正直な感想、聞かせてね」
 

 

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かつての“食”の中心地

 

「もともと築町(つきまち)は、長崎の“食”の中心地でした。
鯨肉の専門店、蒲鉾(かまぼこ)店、からすみ屋、乾物店……老舗が軒を連ねていて、まさに“食文化の交差点”だったんです」

「それを1998年、古い市場を建て替えて、新しい“食の発信基地”として再生したのが――『マルシェつきまち』でした」



「現在は、民間企業が運営するビルの賃貸業務が主ですが……残念ながら、多くの空き店舗を抱え、苦労しています。
賃料が周辺より高いという声もあり、経営体質を見直しながら、競争力ある賃料設定を模索中です」

「なるほど……」
天野次長が、真剣な顔で考え込む。

「思ったより、簡単な話ではなさそうですね。ただ……」

「ただ?」と伊達木社長。

「このインディゴホテルも、最初は“到底無理だろう”と言われていたんですよね?」

「そう。でも、今はこうして実現してる」
伊達木社長が、柔らかく微笑みながら頷いた。

「だから言うの。天野さんなら、できるわ」

そして、力強く言い切った。

「3年――いえ、2年で。『おさかなマルシェ』、一緒に必ず実現させましょう」



その言葉に、天野次長は静かに頷いた。

「分かりました。まずは、大杉と二人で案を練って、部内で相談してみます」

「千﨑部長がどう判断するか、楽しみにしてるわ」
伊達木社長がにっこりと笑う。

「はい、全力を尽くします」

――一夜限りで復活した、ロシア料理の名店「ペチカ」の夜。
会話と料理、笑いと余韻が、まだ静かに続いていた。

 

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