シン長崎県庁舎
次の見学先は、長崎県庁舎だった。「出島メッセ長崎」の横の道路の向かいにその堂々たる姿が見える。

2018年1月から、この新庁舎で業務が始まっています。8階には展望テラスと展望室がありますので、そちらに行ってみましょう」
と上田さんが案内してくれた。
8階に上がると、開放感のある空間が広がっていた。大きな窓の向こうには、港と街がゆったりと広がっている。
「眺めがいいですねぇ」
思わず、大杉主任がスマートフォンを取り出し、景色を撮影した。
天野次長と大杉主任は、しばし黙って長崎の街並みを見つめた。ガラス越しに見下ろすその風景は、まさに変革の只中にある都市の姿だった。
「これが、長崎の“100年に一度”の再開発か……」
天野次長がぽつりと呟く。その言葉には、素直な驚きと敬意がにじんでいた。
「あそこに見える大きな建物が、長崎スタジアム・シティですよね?」
と大杉主任が指を差す。

「はい、そうです。スタジアム・シティは、2024年10月14日――スポーツの日にグランドオープンしました。今回は見学される予定ですか?」
と上田さんが尋ねる。
「残念ながら、今回はスケジュールの都合で、見学の時間が取れなかったんです」
天野次長が少し残念そうに答えた。
「そうでしたか。ぜひ次回、足を運んでみてください。おそらく、民間が建てた最初の大型スポーツ施設です。地域振興にスポーツの力がどう活かされているのか、実際に体感できると思いますよ」
「そうですね。次は必ず伺いたいと思います」
天野次長の言葉には、既に期待がこもっていた。
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