長崎「さしみシティ」プロジェクトの総括は…。
2024年6月11日 総括レポートより抜粋
「長崎の魚」の認知度向上に向けて、キャッチコピー・ロゴマーク「さしみシティ」を掲げ、全体のブランドプロモーションを進めているものの、観光客がイメージしやすい具体的なグルメとしてのプロモーションは十分でないため、具体的なグルメとしての「長崎の魚」の認知度の向上につながっていない。
読み終わると同時に、室内に微妙な沈黙が流れた。
「……ダ、ダメじゃないですか〜!」
思わず大杉主任が、声を上げてしまった。
「いや、ほんとに。惜しいところまでは来てるんでしょうけどね」
と天野次長が苦笑まじりにフォローする。
亀田主任も、少し照れたように頷きながら、
「課題は山積みです。でも、挑戦は始まったばかりですから」
と、ふたたび資料に目を落とした。

しばらく沈黙が続いたあと、亀田主任がふたたび立ち上がり、会議室のキャビネットへと向かった。
手に取ったのは、A4サイズの白い紙ファイル。背表紙には「おさかなサブスク」と、テプラが貼られている。
「こちらも、少しユニークな取り組みなんですが――」
ファイルを開いた亀田主任が説明を始めた。
「“おさかなサブスク”というのは、一言で言えば“パーソナライズされた魚の定期便”です。最新の冷凍技術『凍眠』を使って、鮮度とおいしさを保ったまま、魚種豊富な長崎の魚を個人向けにお届けする仕組みです」
刺身の組み合わせは月2回、利用者の自宅へ配送される。冷凍庫を開ければ、いつでも魚がある――そんな新しいライフスタイルを提案しているのだという。
「県内外の企業が連携して始めた“オープンイノベーション”の成果でもあります。いわば、長崎発の“魚の未来”を探るプロジェクトですね」
亀田主任はそう言って、にこりと笑った。
キャッチフレーズは、
「常備菜ならぬ“常備魚”。常に冷凍庫にさかながある生活。」
「直近の評価は、どうなんでしょうか?」
と天野次長がたずねた。
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