それは、好みの問題です。
「おっと、ちゃんぽん来ましたね」

「うわ、おいしそう!」
と大杉主任の目が輝く。
「個人的な意見ですが、長崎の街中華で“ちゃんぽん”がまずい店って、ないと思います。まぁ、好みの問題ではありますけどね」
「ほんとに美味しい!」
大杉主任は、一口食べて、うれしそうに、冷房の効いた店内で湯気の立つ器を見つめていた。
食事を終えた一行は、徒歩で10分ほどの場所にある「ながさき地域戦略研究所」へと向かった。昼下がりの陽ざしのなか、路面電車の音を聞きながら、静かな街並みを歩く。
「私はここで失礼します。すぐ近くに『ながさき漁業協同センター』がありますので、そちらに戻ります」
と上田さんが足を止めた。
「すみません、何から何まで……」
天野次長が深々と頭を下げる。
「いえいえ、お安い御用ですよ」
上田さんはにこやかに手を振り、そのまま歩き去っていった。
その足で「ながさき地域戦略研究所」の建物を訪れると、受付ロビーに人の気配があった。
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