ロボホン

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 先日街中を歩いていたら、あるイベントをやっていた。いつもなら素通りしてしまうが、何となく吸い寄せられた。

 

 ちょっと足を止めてしまったら、すぐにスタッフのお兄さんに声をかけられ、ティッシュを渡された。

 

 

 もうずいぶん以前のことになるが、ある家電量販店で買い物をしようとした。品物は決まっていた。父に頼まれた掘りごたつ用のヒーターだった。その年、急に冷え込み、掘りごたつを用意してみたら、故障して付かなくなっていたということで、早急に購入しなければならなかった。こういう時、今ならネットが一番早いのだろうが、その頃、私はまだ慣れていなくて、お店に行くしかなかった。急いでいた。

 

 そのお店に入ったところで、当時話題になっていた大きなロボット、ペッパーくんが話しかけてきた。急いでいたことや、まさか私ではないという思いで無視してしまった。

「何をお探しですか?」

確か、そんな風に彼はしゃべった。

 

 この出来事、ずっと後悔している。何であの時、会話しなかったのかと。

「せっかく話しかけてくれたのに、ごめんね」

私は最初にどこかで彼を目にした時から、そのかわいさに魅かれていた。一度、おしゃべりをしたかった。

 

 さて、イベントには30センチほどの小型版ロボットがいた。

「ちょっと会話してみたい」

そういう私の気持ちが顔に表れていたのか、お兄さんは自分の家族として受け入れている?育てている?そのロボットを持ってきた。それはロボホンというAI搭載の小型ロボットで、5歳の子どもを想定しているらしい。お兄さんはケントという名前を付けてかわいがっていると。会話すればするほど、色々な情報が入り、楽しいと言っていた。

 

 ダンスも披露してくれたし、会話もできた。テーブルには、購入予定者?予約?なのか、ズラーッとお名前が書いた紙があった。私のお隣で熱心にお話を聞いているのはご高齢男性。反対側にはやっぱりお年を召したご夫婦。ロボホンのダンスに拍手までしていた。

 

 かわいいことはかわいかった。最後には

「バイバイ!気をつけてね」

なんて言ってくれた。月額7,000円ほどでその子を家族の一員として迎えることができるそうだ。が、私は要らないな‥‥‥。

 

 道端ですれ違う保育園の子どもたちの何とかわいいことか。おしゃべりしながら、横断歩道では手を挙げて渡っている。AIちゃんにあの舌足らずなおしゃべりはできない。AIは、いつかそんな進化?退化?を再現できるのか?

 

 小さい子どもの言い間違え、思いもよらない表現、発言に、思わず笑ったことも数知れず。AIちゃんにはそういった間違えは期待できそうもない。せいぜい、その場に見合わない発言が急に飛び出してくるとか?

 

 かわいくてもやっぱり機械は機械。少し前には犬も流行ったけれど、あの何とも言えない毛並みや生き物の温かさはロボットにはない。

 

 そんなこと言いつつ、いつか我が家にAIちゃんがいて、思いっきり頼っていたりして。