私は人間ウォッチング大好き。かと言って、よそ様のお姿をガン見することはさすがに失礼だから、そこまではしませんよ。ただ、ちょっと視野に入り込んだ光景、耳に入ってきた会話を頂戴することはある。旅先となると、俄然ゲットする機会が増える。

 

 帰りの機内でのことだ。その日、全国あちらこちらで大雨が降っていた。線状降水帯も発生していた。CAさんがアナウンスする。

「天候が悪いため揺れが予想されます。シートベルトサインが消えても‥‥‥」

などなど、の後に

「なお、安全な飛行には問題ございません」

が繰り返される。これは乗客を安心させるために発するフレーズとは思うが、1時間余りの飛行時間内に4回も5回も聞くのはちょっとなあ、と思ってしまう。逆に不安になる。

 

 その日、お席の前にある1人1人のモニターが突然消えた。なんでも複数ある電気系統のうちの1つに不具合が生じた、とのことだった。この時も

「安全に飛行中です」

が流れる。


 が、そろそろ着陸態勢に入るころ

「本日、電気系統の1部不具合により、エコノミークラスのお客様へ温かいお飲み物の提供ができませんでしたことをお詫び申し上げます」

って‥‥‥。違和感を覚えた私はすぐ隣の妹に小声で

「じゃあさあ、ファーストクラスとかビジネスクラスのお客さんには温かい飲み物が出されたってこと?」

って言っちゃったよ。


 通路の広い狭い、という理由から乗客に熱い飲み物がかかったりしたら大変だ。それはわかるが、電気系統の故障が理由だというところも、なんだか腑に落ちない。

 

 今まで私、飛行機に乗ったことがあるけれど、こんなアナウンスはあったかなあ?帰宅して夫に話すと、

「そこは、前方のお客様、とか後方のお客様、って言い方してないか?」

と。そうだそうだ、それなら聞いたことがある。前方はファーストクラス、後方はエコノミー、って暗に言ってる。あからさまに「エコノミー」ってランクを言っているのは聞いたことがない。マニュアルがあるだろうに。

 

 極めつけは機長のごあいさつでございました。自己紹介、お礼から始まって、高度何メートルを飛行中とか、目的地空港のお天気とか気温とかなんちゃらかんちゃらがある。最後は

「どうぞ、到着までおくつろぎください」

とか

「空の旅をお楽しみください」

みたいな締めとなる。


 がね、その日の機長さん、最後に

「到着まであとしばらくご辛抱ください」

っておっしゃいました。揺れてるのにくつろいで過ごしてください、とは言えない。でも辛抱かぁ……ってちょっと笑った。


 こういう時、すぐに何か良い言葉はないかと探し始める私。

「こんな時はどんなお声かけをしたらいいのだろう」


 私、今後、機長やCAを目指す予定はございません。

 

 こうして四国初上陸の姉妹旅は終わりました。

 

   おわり