妹が海外の自宅に戻り、不安ながらも母の生活は落ち着いてきた。ヘルパーさんにお風呂の介助をお願いする曜日と時間、それに従って体温、血圧を測り、湯をはったりと、母はその準備も慣れてきた。服薬もできている。散歩のコースも入院前の距離まで伸びてきた。

 

 私は週末に訪れるが、それ以外にも出社前の時間を使ってお惣菜を届けたりして安否確認をしている。そして、築50年の実家、大きなリフォームもしたことないから、あろうことか、この時期にあちこちと不具合が生じている。

 

 昨年夏には大きな雨漏り、入院中には水道水漏れを直し、現在は、はがれ落ちた外壁工事をしている。母は退院後で落ち着かないだろうが、生活に支障が出るため、そのままにしておくことはできない。

 

 先日、実家を訪れた帰り際、いつものように母は部屋から出て勝手口まで見送りに来てくれた。いつも

「おかあちゃん、ここでいいから」

と部屋で手を振るが、母はゆっくりと立ち上がり、壁を伝ってのろのろと歩きだす。

 

 勝手口のドアから毎回手を振ってくれる。このたび初めて

「またおいで!」

と言われた。今まではいつも

「また来てね!」

だった。

 

 「また来てね」

に深い意味はないだろうが、

「また来ておしゃべりしようね」

「ババ抜きやろうね、ゲームしようね」

「重いものを移動させたいけどお手伝い頼むね」

「また来ておつかいしてほしい」

って、なにか依頼をされる感じだ。

 

「またおいで!」

って嬉しい言葉だな。私は自分が66歳でもありながら、子どもであることも強く意識した。帰りの足取りがいつもより軽かった。

 

 今日は『こどもの日』だ。