※※※本編の内容・ネタバレを含んでいます。ご注意ください。※※※






みなさまこんばんは赤薔薇
満ですピンク薔薇

前回のA Requiem for Innocenceに引き続き、今回はアセントデリ、After Happy End、Fragmentの感想になりますコーヒー

































-アセントデリ-
ジゼルと出会う前、ミシェルが館で一人暮らしをしてモルガーナの声が聞こえるようになった頃のお話。
光のささない真っ暗闇の館は、ミシェルを救ってはくれなくても追い詰めることもなく、一種の安らぎを与えてくれるものだった。
家族からほぼ見捨てられているような孤独と、モルガーナの復讐を促す囁きを跳ね除けるように、ミシェルは心を閉ざしていたけれど、本編の通り、それでもミシェルは心を持ち合わせていた。

そんなある日、館の玄関でひとりの人物が倒れていた。
その者は顔や体に痣が広がり、痩せ細り乾燥していて、ミシェルはミイラのようだと率直に思い、伝染病かもしれないとも考えた。
厭世的で誰にも関わるなと言われていたこともあり、ミシェルにはその者を捨て置くこともできたけれど、そこはやっぱり優しいミシェルです。
その者を背負って、館の客室まで運んでベッドに寝かせて、お水も渡してあげました。
その謎の人物は、イメオンと名乗り、思いがけずカラッと明るい口調で話し出した。
イメオンは、伝染病と診断されるまでは気ままな旅人で、最後の希望を持ってこの館にやって来たと語る。
この館には、願いを叶えてくれる魔女がいると噂で聞いたと。
ミシェルはうちの魔女は人を癒やすような力は持っていないと言うが、陽気な性格だけど心に容易に踏み込んでこないイメオンを少し気に入ったのかな。
口では観察対象と言ったけども、ミシェルはそのままイメオンを館に置いてあげることに決めた。
モルガーナは死にゆくイメオンをふたりで見守ることしかできないと言った。

病が進行して段々と弱っていくイメオンだけど、どんなに体が辛くても前向きな姿勢は変わらず、館の中の唯一の太陽のように気丈に振る舞うところが、もうこのまま病気を吹き飛ばせるんじゃないかと思わせられるくらいでした。
イメオンと関わっていたら逆に元気を貰えそうな感じ。
実際ミシェルはイメオンは死が迫っても希望を持ち続ける人間で自分よりも天使にふさわしいと思い、憧れと嫉妬をないまぜにした感情が出てきてしまうくらい静まり返っていた心が波打ったようです。
ミシェルは自分の名の元になった大天使に皮肉を感じていたのかそのステンドグラスが嫌いで、イメオンにステンドグラスを大布で隠す手伝いを頼む。
通常なら死期の迫っていそうな病人に力仕事は頼まないけれど、病人扱いせず下手に憐れんだりもしないミシェルにイメオンはホッとしたみたい。
重たい大布をお互いに息が上がりながら運んで(ミシェルは途中まで平気なフリをしてた。笑)、ようやくステンドグラスの場所まで運んだときにはふたりともクタクタで、それすらもなんだか笑えてきちゃうミシェルとイメオンは、長い時を共にして多くの言葉を交わしたわけではないけど、充分に友人同士に見えた。

ある時、イメオンは元気な旅人だった頃の冒険譚を語ってくれた。
本編で描かれた通り、ミシェルは騎士や武勇伝にまっすぐに憧れる子供時代だったし、病気侵されてかすれ声しか出なくなっても陽気なイメオンには旅や冒険譚が似合って、本当はイメオンの話を聞くのは有意義で楽しかったと思う。
その夜には、ミシェルは夢の中でかつて本で読んだ冒険譚の草原にイメオンといて、ふたりで理想郷を目指していたくらいだったから。
イメオンとなら友人になれる、自分は友人が欲しいと素直になりたかったと、閉じ込めていたはずの心が開き始めているのをミシェルは感じ取っていた。
逃げることのできない自身の境遇や解放されることのない孤独から発生した諦めの気持ちと、ふとしたきっかけで溢れ出そうになる純粋な気持ちとの狭間で揺れ動くミシェルが切なく、どんな状況でも他者を呪わず純粋な心を保つ彼の一種の強さも垣間見えた気がしました。

翌朝、弱りきっていたイメオンは最後の力を振り絞ってミシェルに別れの挨拶をしに来て、イメオンは自分が良い家柄の出身であること、家に縛られても自分らしさを捨てて従ってきたのに病になった途端、家族や兄弟が自分を幽閉し悪魔と罵ったこと、そこから逃げ出してきたので実は奔放な旅人ではなかったことを打ち明ける。
そしてミシェルが何も語らずとも、ミシェルも自分と似たような境遇であることを悟っていたけど、それがこの館に留まった理由じゃないと話してくれました。
周囲から忌み嫌われた自分に対等に接してくれたミシェルが、本当は自由でなかった自分に自由をくれたことに感謝していると、そう言ってくれました。
「私たちは、良い友人だったと思わないか?」

そのままイメオンはミシェルの元を去るけれど、館の玄関でひとりになったとき、モルガーナが姿を現して、ミシェルやプレイヤー側からは分からなかったイメオンの真実が展開される。
ここがもうホントに涙出そうになる場面で…、まずイメオンと友人になりたいというミシェルの気持ちは、あと一歩で届きそうなのに届けることはできなかったように見えるけど、イメオンはミシェルが友人を求めていたことが伝わっていたことみたいで安心した。
そして、イメオンはミシェルの心を守ってくれていたことも分かったんです
イメオンは実は女性でした。
女性、しかも元は美しかったのなら、自身の容貌の変化は深く傷つくものであっただろうし、それに加えて家族からの仕打ち、実家を出てからの周囲の仕打ちにも打ちのめされてきたはずのイメオンが陽気に振る舞ったことがどんなに気丈なことであったか改めて思った。

昔の貴族の女性だからこその不自由さを我慢しながら生きてきて何よりも自由を求めていたからこそ、家を放って放浪してきた旅人だと語っていたのだと思うと、イメオンの心からの願いが伝わってくるようだった。
イメオンは最初は、病を治すのではなく、実家を呪うために館に訪れていたのだそうです。
けれどミシェルが自分を受け入れてくれて数日後にモルガーナが姿を現して、ミシェルの心を裏切れば願いを叶えると言われていたけれど、イメオンは断った。
たとえ病に侵されていても、実家に罰が当たらなくても、ミシェルが与えてくれた精神的な自由こそがイメオンが真に求める希望だったからだと思う。
それにミシェルが女性不信であることを悟っていたため自分の性別を隠し、大切な友人であるミシェルの心を守ることを優先してくれた。
そして館を出て安らかに亡くなりました。

悲しい別れとなったふたりだったけれど、ミシェルがイメオンを、イメオンがミシェルを大事に想う気持ちがストレートだったからか、あまり悲惨なバッドエンドだとは感じなかった。
今回の出来事で、ミシェルは友情という人間らしい大事な心を保つことができたと思うし、決して少なからずその後のミシェルの行動に影響しているとも思う


「私たちは、良い友人だったと思わないか?」

「私たちは、良い友人だったよ」

それがふたりの結論で、孤独も病も呪いも何も邪魔することはできなかったものだったと思います。







-After Happy End-
本編終了後、再開を果たしたミシェルとジゼルの幸せな一日を描いた短編。
最終章の感想記事が超長文になってしまったので書きませんでしたが、
サラサラ長髪を後ろでひとつ結びにして全身ダークトーンのコーディネートのミシェルかっこいい!!男前!!!(長)
中世の人間時代の時と違って、キレイなロングヘアになったジゼルも素敵!
館の女中時代と人間時代のジゼルが上手く融合した感じ。
またパァッと底抜けに明るいジゼルが楽しそうにしていて、見てるこちらも嬉しかった。
ミシェルは中世の人間時代から行動力が大幅にバージョンアップして、"君を愛している"なんて告白をドストレートに2回もしてました。
ジゼルも驚いていたし私も少し意外に思ったけど、あんだけハードな人生とベリーハードな最終章を乗り越えたんだもんね。
デートの定番、映画を観に行って、ピクニックでジゼルお手製弁当を食べたり、街を巡り歩いたり、ミシェルの家にお泊りしたり(手を出さなかったミシェル紳士)、普通の人が手に入れられる普通の幸せな時間をふたりが過ごせたことにめちゃくちゃ感動した。
本編があったからこそ甘々な恋人デートができてるふたりの様子が通常の何倍も感極まった。
おふたりともお幸せに!
ミシェルとジゼル大好きな人は絶対、プレイした方が良いと思います。
そして、モルガーナとふたりがまさかの再会できたこともすっごく嬉しかった!
やっぱもうこのままミシェジゼの養子として育った方がモルガーナ幸せになれんじゃないかと思いつつFin。






-Fragment-
本編終了後、故郷で平和な生活を送るモルガーナとヤコポの短編。

って、モルガーナとヤコポ、館から解散したあとこんなにイチャついてたの!?(違うけど違わない)
イチャついてたというか、お互いに生前でも館の中でも言えなかった言葉をちゃんと言い合うことができたって感じです。
モルガーナ途中で微笑んでたし、彼女の笑顔が見られてヤコポよかったじゃんか!ってこれまた嬉しい気持ちでいっぱいになった。
最後には生まれ変わりの道へと進んだようだけど、ふたりはきっとまた巡り会えるとこの短編を読んでさらに確信できた。
モルガーナは自分の出自を語り、父が母を捨てなければあんなことにはならなかったのかもって淡々と言うのですが、それに対してヤコポがカッと怒ったみたいで(ヤコポはプレイヤー視点なのでほぼセリフなしだった)、その様子も正義感が強い本来のヤコポらしさを感じた。
ヤコポが叶えたがっていた地位や権力を手に入れるという夢を、今は理解しているというモルガーナですが、それでも暴力は奮ってほしくないと言っていました。
モルガーナを絶望させたのは領主といい暴力の力が大きかったし、モルガーナにとって元々大切なひとだったヤコポに暴力を使ってほしくないのは、やっぱり彼のことが大事だからだと思う。
するとヤコポは、"なら新しい夢を見つける"と言い出して、どんな夢だろう?って思ったら、"君を振り向かせる"だって!
もちろん画面のこちら側で全力で応援させてもらいたいのだけど、どうしたのヤコポすごく素直でストレート。
そして自分の名前を呼んでほしいというけれどモルガーナは話を逸したりしながら交わし続けますが、
"僕はこんなにも君の名を呼んでいるのに"
"君のことが、好きなんだ"
って、破壊力ハンパない言葉をヤコポが言っていました。
ヤコポのセリフは選択肢(といってもひとつしか表示されないタイプのもの。臨場感を出そうとしたのかな)なんだけど、この場にいるヤコポは色んなしがらみに絡まれてずっと言えなかった思いを全て彼女に伝えられていたと思う。
本編では記憶の世界から戻ってきたあと、館ではあまりたくさんの言葉は交わせなくて、モルガーナの笑顔が見たかったヤコポが少し悲しそうにしていて、モルガーナもどこか思うところがある様子なのが気になっていましたが、その後、ふたりが落ち着いて話せる場があってよかった。
モルガーナはヤコポに抱きしめられることを受け入れていたし、最後には名前を呼んでくれたり(本編でもあの3人の男たちの中でヤコポだけ呼んでくれてたね)、もう両想いでいいと思う、このふたり。
これでふたりともすっきりとした温かな気持ちで、来世でまた巡り会えたらいいな。
もう一度言っちゃいますが、ヤコポとモルガーナが大好きな人は絶対プレイした方がいいと思います!




↓ファタモルガーナの館 現代編の感想