※※※本編の内容・ネタバレを含んでいます。ご注意ください。※

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⚠各章終えるごとに感想を書いているので、見当違いな推測をしている部分もありますがご了承ください。









みなさまこんばんは虹
満です台風

昨夜、おやばけ!をクリアしました雷
これにてファタモル関連のフリーゲームすべてをクリアしたことになるのですが、めちゃめちゃ楽しかったと共に、あぁ…終わってしまった…と寂しさが込み上げています傘
…こうなったら、設定資料集や画集も購入をキメることにする!!



































The fifth door-1099-
今度は聞き手側であった〈主人公〉・ミシェルが、館の女中にかつて存在した真実を見せることになった。
これまでと立場が逆転しているかのようで、新鮮な気持ちでシナリオを読み進めることになりました。
館の女中・ジゼルは、商家の生まれで父がなくなって以来、母と姉と三人で貧しい暮らしを送っていた。
姉が貴族の男性と結婚が決まりかけるが、ジゼルの家の資金が足りず、結婚の話は立ち消えそうに。
そこへ、働き手として、またジゼルの家の暮らしの支援と姉の結婚の後押しの約束をしてくれたのがボランジェ家という貴族だった。
母や姉を幸せにするために、ジゼルには断るだなんて選択肢はなく、喜んでボランジェ家へ奉公へ上がった。
ところが、それから"ある事件"が起きたことをきっかけに、彼女は罪人さながらにあの館へと馬車で送られる。
館の主人として、そこにやはりミシェルがいた。

これまで"館の女中"として生気はないが美しく謎めいた人物としてストーリーテラーの役割を担ってくれていた彼女ですが、ここで描かれているジゼルは頬に赤みが指していて笑顔はパッと花が咲くようにイキイキとしていて、彼女が抱えている壮絶な過去や苦悩を感じさせない明るさと家族想いな性格が印象的でした。
ただ、はじめはジゼルもミシェルも互いの深い事情はもちろん知らず、ジゼルは屈託なく歩み寄ろうとするけど、ミシェルは警戒心ばりばりでジゼルには何か裏があるに違いないと考え、きっぱりと拒絶の態度。
どうやったらふたりの距離が縮まるかと言ったら腹を割って話し合うしかないんだけど、その機会も壮絶なものだった。

ジゼルもただ明るいばかりではなく、暗闇の館でのミシェルとすれ違うばかりの生活に心が折れそうになっていてそこも人間らしいなと思ったし、それでも現状を改善しようと行動したジゼルには力強さを感じた。
一方、ミシェルはジゼルの素性を知るために実家の母に手紙を送り、彼女のあらかたの素性を知った。
そんなことは知らないジゼルは、ミシェルの部屋まで会いに行って直接話し合おうとするのだけれど部屋の主はおらず顔を引き裂かれた白い髪の娘の絵画が隠されていて不気味に思っていたところへタイミング悪くミシェルが登場。
ミシェルは実家からの手紙でジゼルが父と関係を持ったことが判明し、金目当て自分に近づいたのだろうとジゼルにナイフまで当てて詰め寄ってしまう。
ジゼルは怯えて声が出せず、ミシェルからは誤解されたまま、とうとう館から逃げ出して森の中を彷徨い、人生に絶望して死を覚悟するまでになってしまった。
いつも明るくて、ミシェルに何度冷たくされてもめげなかった、このまま彼の心の壁も吹き飛ばせてしまえそうなくらいだった彼女が死んでしまいたいと思うだなんて、見ていてしんどいものがありました。
実はジゼルはボランジェ家の当主(ミシェルの父)から長期間、無理やり関係を持たされた挙げ句、ジゼルが当主を誑かしたとされてミシェルの館に送られたという過去があった。
当主は本当に許せない。
そんな苦しい過去を持ちながらも、誰からも守られなくても、それでも未来は今よりも良くなると信じて踏ん張り続けたジゼルは立派だと思う。

そして、ジゼルが森で瀕死になっていたところを近くの村の代表が助けてくれた上に家や自給自足の生活を教えてくれて、一時の安堵を覚えましたがそれも長くは続かなかった。
この村の代表がジゼルに求婚するけど、ジゼルは衝突したとしてもミシェルのことがどこかで気になっていたから、誤り続けるしかなかった。
何の後ろ盾もない新参者の娘が村の代表からの求婚を断り続けるというのはもう悪い予感しかしなかった。
ジゼルがめっちゃ美人さんで気立ても良いのは分かるんだけど、村の代表も彼女の立場が弱いことは分かっていただろうしもうちょっとある程度で諦めるか距離を取るかして欲しいかなとこの時は思っていた。
この後、それどころではないさらにしんどい展開が待っていた。
これ以上ジゼルが過酷な運命を辿るのは可哀想だと思いながらも、プレイヤー側としてはとにかく見守っていくしかなく覚悟をしながらシナリオを進めていきました。
この村はこれまで税の徴収を免れていたが、ついに領主に村人の存在がバレてしまい税の徴収が始まり生活が苦しくなって村人たちの鬱憤が積もっていったことと、恐らく村の村長がジゼルを逆恨みしたことで、ジゼルは盗人という無実の罪を着せられて、拷問に遭い、村人たちに貞操を狙われることになりかける。
ひとりの女の子にこんな卑劣なことをするなんて許されないし、結婚を断られようが財政が厳しかろうが、遅かれ早かれこの村は自滅していく先が見える。
追い詰められたジゼルは機転を利かせて例の館には金目の物があると言って難を逃れようとして、村人たちと共に館まで行くことに。
そこへ毅然とした態度で現れたミシェルは、自分は魔女の呪いを受け継いだ者だ、お前たちを呪い殺してやる、その女は生贄として置いて行け、この館を二度と訪れるな!と勢い良く言い放って助けてくれた…。
自分は魔女同然だと大勢の村人たちに言ってしまって、あとになってこの館が襲撃されたらと少し懸念が過ぎったけど、個人的に、ジゼルは誰からも助けてもらえず辛い目に遭う描写が多かったから初めて助けてもらえて安心したし、武器も使わずにたったひとりで村人たちを追い返してくれたミシェルは眩しくてかっこよかったです。
ちなみに村人たちは自分たちにとって都合の悪いことは言わず、館の金品を奪うことを提案したのはジゼルとだけ言って逃げていったのだけど、ミシェルはジゼルに暴力振るったりはしないものの、強盗疑惑や父との関係のことなど猜疑心は残ったままだった。
有無を言わさず村人たちを追い払ったミシェルに負けないくらい、ジゼルは感情を爆発させて、"私のことを殺してよ!誰も私の言うことなんて信じてくれない!話したってどうせ信じてくれないんでしょう!"とすごい気迫でミシェルに叫ぶ。
ミシェルはきっと、元々はそんなに頑なな人ではなかったんでしょう。
館の中に入れてくれて、ジゼルが泣き止むまでひたすら黙って待ってくれて、ジゼルが今までのことを洗いざらい話しても全部受け止めてくれました。
そして、自分の父親が行った行為に心を痛め、被害者のジゼルに何と声を掛けていいのか分からず、どんな声を掛ければ彼女にとってベストなのか必死に考えてくれた
彼女の事情を知らなかったとはいえ、自分の行動だって悔いた。
このシーンはミシェルの普通の人らしさというか、実家で虐げられつつもその後の館の中である意味守られていた善良な心が照らし出されているようだった。
"自分にナイフを当てて脅したことを謝ってほしい"とジゼルから言われて、ミシェルは謝る。
"もう一回"と言われて、もう一度謝って、"もっと血が滲むくらい頭を下げて、腹の底から声を出して、謝ってください!"と言われて、"大変申し訳ありませんでした…ッ!"と叫ぶシーンは、笑いどころではないのかもしれないけど思わず笑ってしまった。
なんだか気が抜けて安心したというのに近い感じ。
でもジゼルも"ヘンな人"と笑っていたので、やっぱりここは少し笑ってもいい場面だったのかも。笑

ミシェルが話をちゃんと受け止めてくれたおかげで大分気持ちが落ち着いてきたジゼルは、ミシェルを村人たちに売ろうとしてしまったことを謝りますが、ミシェルはそれを元々は自分の側に非があった、あなたは悪くないと言ってくれて彼の事情も話してくれた。
ミシェルは自分は白い髪に赤い瞳という容姿と、長く陽光に当たれない体質から、悪魔の子だと母親が狂い、父からは死を望まれるようになったんだそうです。
それを唯一の味方だった兄が、父にはミシェルは死んだことにして、この館にミシェルを暮らさせて、今回はさらにジゼルにミシェルのお世話を頼んだらしい。
ミシェルにも家族の中に味方がいてよかった…。

腹の中を話したふたりが、それからは最初の頃と比べ物にならないほどは仲良くなっていく過程は大変和みました。
とにかくふたりの会話の応酬が楽しすぎるので未プレイの方にもぜひ見てもらいたいくらい。
序盤の頃、ジゼルがトラウマからミシェルの手を振り払ってしまってそれを"人アレルギーなんです"と誤魔化したのですが、どうやら魔女の声が聞こえるらしいミシェルが突然大声を出してしまったとき彼は"自分につっこみを入れる癖があって…"と言って、"それは私の人アレルギーと同じくらい苦しい言い訳です"とジゼルからツッコまれていて面白かった。
彼に魔女の声が聞こえるのはギャグでもなんでもなくむしろ重大フラグだと思いますが、ジゼルからは"この人、心を悪くしているんだわ。繊細そうだし。私がついてなんとかする!"って思われていて…。笑
あとミシェルの料理の腕があれだったり味覚音痴だったり、ニンジン嫌いなところとか、ちょっと天然でかわいいとも思える意外な一面が見れたのも良かった。
館中の窓を取っ払って明るい雰囲気にしたり、一緒に本を読んだり平和な毎日が過ぎていく。
ジゼルがお庭で一年かけて咲かせた薔薇をミシェルにプレゼントして、その薔薇をミシェルは無意識に、ジゼルの髪に飾ってあげちゃうんです。
それって行動で告白してるようなものだよね。
我に返って慌てるミシェルも微笑ましかった。
その後、ジゼルの方から告白して、ふたりらしい不器用で真っ直ぐな騒動が少しあったけど、やっと想いが通じ合ったのがめっちゃくっちゃ嬉しかった!です!

このふたりが両想いになるまでの日々は、それはもう幸せな気持ちをお裾分けしてもらえること間違いなしです。
事実、私がそうでした。笑

でもね、悲劇で終わるのがファタモルです。
ボランジェ家の当主の死の知らせが入り、ミシェルの兄がボランジェ家を継ぐだろうということになって、ミシェルはボランジェ家へ戻ることに。
ジゼルが首都に戻れるように便宜を図ってくれると最初は言ってくれた。
そう最初は言ったんだけど、あまり積極的に出れないミシェルが勇気を出して、"自分とボランジェ家へ戻ってほしい。あなたのことは、もう傷つけさせないから"ともっとジゼルが嬉しくなることを言ってくれて、見てる私も大歓喜でした。
ミシェルもう完全に王子。
そして有言実行するために、母と兄にジゼルと一緒に帰ることについて手紙まで書いてくれた。
ただそれが仇となってしまったのか、ある夜突然、大勢の騎士に館を包囲され、ジゼルとミシェルとは幸せの絶頂から一転した危機的状況に。
ふたりに死の香りが漂ってくる緊迫感が凄まじかった。

結局、あのステンドグラスのある教会の塔に追い詰められて、ミシェルは声が聞こえると言っていた例の魔女と何らかの契約を結んだようで、自分だけが扉の前に出て殺されてしまいました。
塔の扉は魔女の力、もといミシェルの行動によって固く守られ、ジゼルが生き残ることは叶いました。
ただ、ジゼルはたとえ死ぬことになったとしても、最後の最後までミシェルと一緒にいたかった。
そのささやかな願いが叶わないなんて、やっぱりすごく哀しい。

場面は変わり、ここまで物語を追ってきたミシェルの働きかけによって、館の女中ことジゼルは記憶を取り戻した。
ミシェルは生きて自分の記憶を持っているのはここまで。
それから何があったかはジゼルの話を聞くしかないです。
かつての自分の決断によってジゼルを哀しませたことを悔いているミシェルは、再びジゼルの心をまるごと受け止めようとしているみたいで、どれだけ長い時間が経ってもふたりともお互いへの気持ちはずっと変わらないままなんだなと、哀しく切ないながらもそれだけではない気持ちになりました。
あれからジゼルが〈館の女中〉になるまで何があったのか、どうして1000年近くもミシェルを待つことになったのか(というか待つことが可能になったのか)、次章を楽しみにしたいと思います。




↓ファタモルガーナの館、次回の感想