※※※本編の内容・ネタバレを含んでいます。ご注意ください。※※※






みなさまこんばんはおひつじ座
満です赤薔薇

私は普段、クレンジングや洗顔料を除けば、化粧水と乳液しかスキンケアしない人間なのですが、先日ルルルンのワンナイトというパックをしたらお肌の調子がぐんと良くなって感激しました星空
…これからはこまめにパックしようおひつじ座


































The six door-1099―???-
今回の物語は、ふたつありました。
どちらも辛く哀しい物語だったけれど、それでも諦めないミシェルの強さに救われる思いだった。

前半は、館の女中ことジゼルの物語。
ミシェルが魔女モルガーナと契約したおかげで命が助かったジゼルですが、最愛の人を失って絶望のどん底にいました。
そんな彼女に声を掛けたのは、館に潜む姿なき魔女モルガーナ。
モルガーナは丁寧で優しげな口調ながらもジゼルを追い込んでいく
追い込んだかと思いきや、ミシェルの再生を願う、ミシェルはミシェルのままで再生することを約束してくれる。
ただ、モルガーナはジゼルのことまでは知らないと言い出して、そう言わずなんとかジゼルとミシェルをもう一度会わせてあげて欲しい…とやきもきしていたら、ジゼルが自分と共に行くならば、ジゼルはジゼルのままでいられると言い出したんです。
要は人外になるということだけども、ジゼルには他に道がなかったから一も二もなく承諾。
こうして館の女中として永遠の刻を館でミシェルを待つことになったらしい。

そこからは3番目の扉の1869年までジゼルが館の女中として心の中ではどう思っていたのかが明かされるんだけど、意外なことに、思ったよりもジゼルは人間のままだったように思えました。
体は生気を失い、睡眠も食事も必要としなくなくても、心は常に葛藤していた。
超然としていて掴めない性格になったように見えても、正気を保つのも精一杯で、ミシェルを待ち続けることが人間として生きていた頃のジゼルを繋ぎ止めていた。
館の歴史の中で白い髪の娘・ミシェルが現れる度に、彼女こそがあのミシェルなんじゃないかと、彼女が自分のことを覚えているんじゃないかと淡くひたむきな期待を抱いていたのは、どんなに館の女中の殻をつくっていてもジゼルがどこまでもジゼルだった証拠だと思う。

1689年の白い髪の娘・ミシェルに"初めまして"と言われたとき、彼女の心は崩れ落ち、ミシェルのことも自分自身のことも一度は忘れ去ったけれど、それでも{旦那さま}の帰りを忘れることはなかったんだから、完全にミシェルを忘れていたわけでもなかった。
ここまで千年近くも孤独に蝕まれ、モルガーナの言葉に心を翻弄されながらも健気にミシェルを待ち続けるなんて、誰にでもできることじゃない。

こうして長い時を経て、ジゼルとミシェルは再会を果たすことができて、本当に本当によかった。
たとえ生きていなかったとしても、この館にいてはいけないから二人で館を出ようというミシェルの提案に、個人的にはもしもふたりがふたりでいられなくなったらと少し心配にはなったけど、とにかくジゼルとミシェルが、ふたりの納得のいく幸せを得るのを見守りたいと思った。
そこへ黒い影のような形で現れたのは、魔女モルガーナ。
やっぱり黙って見送ってはくれないよね…。
魔女モルガーナはある復讐をするためにジゼルを館の女中として居させ続けたのだけど、どうやらその目的を超えてジゼルとミシェルをここに居させたいように見える。
ジゼルを魔女をミシェルは追いかけて、恐らくステンドグラスの教会の物見の塔に連れ去ったことは見当がついたのに、そこには3つの鍵穴のついた錠前が掛けられていた。
以前、生前のミシェルを知っているようなことを言っていた喋る絵画に再び会いに行くと、錠前の鍵を持っている三人の男について教えてくれた。
って、三人の男ってまさか?
そのまさかのまさかで、一番目の扉のメル、二番目の扉のユキマサ、三番目の扉のヤコポの亡霊たちとそれぞれ会って、無事に鍵を手に入れることができた。
意外とメルがなかなか鍵をくれなくて(笑)、深刻な状況のはずなのにミシェルの苛立ちとツッコミが光っていてちょっと面白かった。
ヤコポも心の壁あったり銃を向けてきたけどなんだかんだで鍵をくれて、ミシェルの身は無事でいられるだろうかと思ったユキマサは鍵をくださいって言ったらあっさりくれた。笑

ミシェルがモルガーナの元へ辿り着ければジゼルを解放してくれるらしいのだけど、その道中、モルガーナは自分の境遇を話し始める。
モルガーナが味わった苦痛がそのままミシェルにも降りかかってミシェルはすごく苦しむんだけど、絶対に諦めない強い心に感動した。

モルガーナの人生は、聖女として生きることを強いられたことから始まったそうです。
彼女の母は男に捨てられたか何かで、その辛さを自分は神の子を宿したと言うことで晴らしていただけだったみたいだけど、モルガーナの生まれた日に干ばつの続いた村に恵みの雨が降ったことで、その言葉は信じられるようになった。
モルガーナは聖女だと村人たちから讃えられて、モルガーナの血を飲んだ重病人が思い込み効果で回復を遂げたことから、ますますその地位は確立されていくばかりかと思われた。
モルガーナの母は欲が出て、モルガーナの血とお金にしようとするけど、彼女は毅然と聖女としての振る舞いを説いて血を使った商売を拒否する。
モルガーナは"不思議な力を持った聖女"ではなかったけれど、幼い頃から聡明で真面目で、高潔だったのは間違いないと思う。
名前がその人をつくると言うけれど、モルガーナも聖女だと言われることで元々の真面目さが良く伸びたんじゃないかな。

けれど翌日、モルガーナはある領主の元に売り飛ばされて、縛り付けられ手足を傷つけられて無理やり"聖女の血"を取られるという、大人でも恐ろしくてたまらないことをまだ9歳のモルガーナがされてしまう。
身体的・精神的苦痛を与えられる日々の中で、やがて傷ついていないはずの顔が爛れて、今度は"魔女だ"と糾弾されて殺されそうになったところを、奴隷の一揆に紛れて奴隷の男に救われ、娼館で匿ってもらえることになった。
傷つけられていない顔が焼けただれたのは、モルガーナの心のダメージが現れたってことなのではと考えてしまう…。

娼館で3年は平穏な暮らしをするけど、そこも強盗に襲われて、今度は奴隷の運搬馬車に入れられるけど、モルガーナは自分の不幸を嘆くのではなく、娼館で親切にしてくれた人たちへお礼ができていないと涙を流すような美しさがあった。
モルガーナが聖女というのは、あながち間違いではなかったのかもしれない。
その運搬馬車の中である獣のような男が立ち上がり、監視の者だけではなく、馬車にいたモルガーナ以外の者を全員殺したことで、結果的にモルガーナは助かった。
自分ではない者のために泣いていたモルガーナに思うところがあったのか、この時は獣のような男(というかユキマサの前世)は彼女を見逃した。

餓死しそうになりながらも、彼女が住めそうな薬草屋の小屋を見つけたモルガーナは、そこで4年は安寧の時間を過ごせた。
その時間を破ったのは、亜麻色の髪の青年(というかメル)。
彼は優しい声で話し柔らかい物腰で、"病弱の妹のために薬が欲しい"とモルガーナの元へ通うようになり、しかもモルガーナの顔を見てもちっとも怯えることはなく、モルガーナは普通の女の子らしくメルのことを好きになった。
そしてメルの役に立ちたいと思って、再び血を分け与えるようになった。
彼女の血は気休めなので妹の容態は一時的にしか良くはならなかったけど、モルガーナは自己犠牲のような形でひたすら血を与え続けていたのに、メルはユキマサと組んでモルガーナを襲いにきた。
ユキマサはモルガーナの片腕をいきなり切り落としてメルに渡し、モルガーナをそのまはま抱えて教会まで運んだ。
その教会はあの館のことで、この時代は修道女が仕切って病人や貧しい者たちの面倒を見ていたようです。
描写はほぼなかったけど、ユキマサはこの修道女のことがきっと心の拠り所で、修道女のそばにいる時は人でいられたという例のパターンなんでしょう…。
ヤコポがモルガーナを再び買い取ったため、彼女の血は無理やり教会の人たちに与えられることになった。
モルガーナは不衛生な物見の塔で監禁され、必要なときに血を抜かれるという家畜か何かのような扱いにあって…、腕を切られるのもとんでもなく怖かったろうに。
正直に言うと、前世とはいえ(人物はそのままのようだけど)3人とも、何でこんなことしたんだろうって思ってしまった。
ユキマサはいわゆるサイコパス的な何かかだと思うからやったことは許されないけど、行動自体は分からなくもない。
でもメルやヤコポは、再生した彼らを見た限りだと欠点があっても、モルガーナにしたような行いをするとまでは思えなかったから、何故なのかと悲しくなった。

衰弱して亡くなったモルガーナにお互い罪を押し付け合う3人を、死んだモルガーナは幽霊のような存在になって見つめていた。
3人の男たちはそれぞれ無残な死を遂げることになり、モルガーナは3人の男に呪いをかけた。
それが、彼女の語る物語でした。

復讐したって自分が傷つくだけだと、純真で優しいミシェルの言葉をモルガーナは拒絶してしまうのだけど、ミシェルの気持ちもモルガーナの気持ちも分かるような気がして複雑だった。
ただ、復讐をしたところで、一時的にモルガーナの気が済むことはあっても、心が晴れることはない…と思う。
復讐をしたことによって、娼婦たちに手足に薬を塗ってもらったり、メルが散歩に誘って湖畔で微笑んでくれたときのような、幸せで温かな気持ちにはなれないのも事実だとは思う。
モルガーナはただ母の言葉を信じていただけで、聖女と讃えられて調子に乗ったというようなことを彼女は言っていたけれどそんなのある意味子供らしい反応で、彼女は不遇な状況でも人への感謝や思いやりを忘れなかった、自分の生き方を考え続けていた。
苦しんで苦しんで亡くなって、自分を苦しめた人間たちを呪って、そこには館に関わったジゼルとミシェルも巻き込んでしまって、そういうふうに在るしかない、かつて聖女として在ろうとしたモルガーナがそういう在り方から抜け出せないでいるのはやはり可哀想だと思います。
あと3人の男たちが再生したあとの悲劇は彼らに対する復讐だったみたいだけど、白い髪の娘がかなり巻き込まれて辛い目にあっててやっぱり白い髪の娘は不憫だと思う。

モルガーナの過去を知ってその痛みを追体験しても、ミシェルはジゼルへの想い、モルガーナへの憐憫を持ち、ついに物見の塔の最上階に辿り着けた。
ジゼルは無事だったけれど、そこで彼女から告げられたのはミシェルが触れられたくない事実。
ミシェルは女性(元・女性?)であるというんです。
過去の歴史の中で繰り返し登場した白い髪の娘は、主人公のミシェルと同一人物だったのか?
ミシェルについての謎もなんとなく察しましたが、それについてはまた次回、考えたいと思います。




↓ファタモルガーナの館、次回の感想