※※※本編の内容・ネタバレを含んでいます。ご注意ください。※

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みなさまこんばんは赤薔薇
満です羊

8月に入って、ようやく夏の終わりまであと一ヶ月になりましたねひまわり
いや9月もなんだかんだで暑いだろうからまだ夏は終わらないだろうけれど、ほりあえず夏本番!な8月が過ぎていきそうでホッとしていますクローバー
我が家は全員暑さに弱いので、早く涼しい秋になってほしいガーベラ
でも秋って一瞬で終わるんだよな…イチョウ
秋が半年くらい続いてほしいっ!!




































The seventh door -1086―????-
ミシェルが誰にも知られたくなかった過去。
波乱万丈なジゼルとの恋が実っても、それでも言い出せずにいた過去。
それを魔女モルガーナはミシェルやジゼルの前で映し出した。

ミシェルが頑なに胸の内に秘めていた秘密は、ミシェルが男性でも女性でもないことだった。
今のミシェルは体格的には男性だけど、顔立ちがあんまりにも綺麗だから、身体が中性的であることはそんなに驚かなかったというかスッと腑に落ちました。

出生はご存じ貴族のボランジェ家の〈娘〉として生まれたミシェルは、白い髪に赤い瞳という珍しくて美しい容姿をしていた。
以前ジゼルに、この容姿によって家から出ることになったと語っていたミシェルだけど、実は容姿に関してはあっさりと家族に受け入れられていた。
末子の令嬢として、長兄ディディエ、次兄ジョルジュに囲まれて賑やかに愛されて育った。
ディディエは教会の騎士を志願していて、体格も良く真面目で硬派なタイプで、ミシェルのことを末っ子としてとても可愛がってくれてる。
ジョルジュは宮廷画家で、明るく気さくで、貴族にしては言葉遣いも砕けていてとっつきやすい雰囲気。
ミシェルのことは友達みたいに接してくれて、ディディエとはボケとツッコミのような関係で面白かったです。笑
このあと多くの悲劇がミシェルを待ち受けていたけれど、ディディエやジョルジュの愛情や三人の思い出によって、ミシェルはどんなことでも耐え忍ぶことができたんじゃないかと思う。

ミシェルは母からは貴族の令嬢として、おしとやかで裁縫も得意な淑女になるよう言われ続けるのが苦痛だった。
本当はディディエのように勇ましい騎士になりたい夢があった。
ミシェルの心は男だった。
でも、周囲の誰もミシェルの本心を理解してくれず、困るばかりだった。
幸せだけど孤独な日々を送っていた14歳のミシェルの前に、ジョルジュの婚約者・エメが現れて、その可憐で朗らかな笑顔にミシェルは恋心を抱くようになった。
エメはミシェルとは正反対の、貴族の子女としての生き方を割り切り、演じている人だということが序盤から伝わってきた。
そしてエメは同性相手に対してボディータッチが多くて、でも実際はミシェルは女のことではないわけだから、ミシェルからすれば異性に頻繁に触れられてドキドキして、ある日キスを迫った。
その場はやんわりとかわしたエメが、裏ではミシェルのことを"気持ち悪い"と気味悪がっていて、しかもジョルジュの婚約者なのにディディエと浮気していて、それを目撃してしまったミシェルはひどくショックを受けてしまって気の毒だった。
この時点では、気持ち悪いって発言はどうかと思うけど、同性愛を受け入れられない人や、急にキスされそうになったら困惑してしまう人もいるだろうし、浮気も駄目だけどエメが本気で好きなのはディディエかもしれないし…とまだエメが最低最悪とまでは思わなかったんですが…。
でもミシェルが気の毒なのはまだまだこれからで、これはまだ序の口だったんです。

その後、ひどい関節の痛みが出てきたミシェルはなんと、半年の間で小柄だった身長がだいぶ伸びて、顔つきも中性的な美しさはありつつもかなり男性寄りに、声変わりもして声色も低く変わった。
それをミシェルの母は、病気だといって見たくないものを閉じ込めるようにミシェルを幽閉してしまった。
自分が男になった、男だったんだと気づいたミシェルは、晩餐会をしていた家族たちの前に体を晒して、自分が男であることを主張し、エメとディディエの浮気も告発。
その場は騒然とし、その騒ぎが収まってからも、ミシェルが受け入れられることはなかった。
ミシェルの体の成長は、父母からは呪いだと思われてしまった。
時代的にまだ専門の医療知識がなかったのもあって、ミシェルは受け入れてもらえなかったのかもしれないけど、さすがに2年間も幽閉し続けるのはやりすぎというか完全にアウトだと思う。
ミシェルの人権なんてあってないもののようにミシェルが扱われて悲しかった。

しかも浮気のことを暴露されたエメは、淑女としての振る舞いでその場を乗り切ったものの、家族から受け入れられないという自分よりも弱い立場となったミシェルを半年もの間、甚振るような残酷な顔を見せるようになって、このエメのミシェルへの虐待というか拷問ですね、拷問が見ていて怖い悔しいし怖かった。
エメは殺人まではしていないのに、なんだかユキマサと同等か場合によってはそれ以上に怖く感じた。
それにしてもここまでミシェルの自尊心をボロボロにして、長期間に及ぶ拷問をするだなんて、本当はエメこそが貴族の娘としての生き方に不満と圧迫を覚えていたのかもしれない。
だからってミシェルを拷問するのは常軌を逸しているし、現代なら普通に逮捕案件だけど。
ミシェルのことが最初から嫌いだったのは、エメとミシェルが色んな意味で正反対なのをエメが感じ取っていたからかな。
初恋の人からこんな扱いをされたら通常の拷問の何杯もトラウマになりそうでミシェル可哀想だし、ファタモルガーナの館の中で1位2位を争う恐怖シーンだと思った

心を無にしてエメからの拷問から脱したミシェルは、それからもエメの再訪に怯え、男であるはずなのにか弱い女に力で勝つことができなかった自分の無力さに打ちひしがれ、兄たちの助けを請い続けた。
けれど、どんなに叫んでも自分の存在は認められない、人間以下の扱いをされ、誰も助けてはくれない。
暴力に頼らない時点でミシェルはエメにずっとずっと勝ってると思うけど、彼が力で勝てなかったのは、病弱さと環境の酷さで弱っていたというのもあるし、ミシェルには暴力は必要なかったからとも思える。

こうした過酷な状況やその後の館での孤独や魔女モルガーナからの囁きに、ミシェルは自分は正気を失っていたと言っていたけれど、こちらから見ればミシェルは驚くほどに充分踏ん張っていたと思う
どんなに裏切られても酷い目にあっても、ミシェルは生前もそして死後も、高潔な人格を保ち続けたんだから。

そしてミシェルが16歳の夜に、父がミシェルを処刑しようとしていることを知った兄たちがようやくミシェルを助けに来てくれた。
ふたりとも誠実に謝ってくれたと思うけど、やっぱりもっと早く助けに来てほしかったし、父親が絶対的なんだろうけれど最低でも幽閉なんてするべきじゃなかった。
それでも、ミシェルはボランジェ家の人間で家族だと言ってくれたディディエと、ミシェルのことを弟と言ってくれたジョルジュに見送られて、ミシェルはそれこそ呪われたような恐ろしい実家から逃げ出すことが叶ったのは良かったと思う。

例の館でひとり暮らすことになったミシェルは、状況的にも精神的にも孤独に蝕まれながら、厳重に封鎖された物見の塔で白骨死体となっていたモルガーナを、彼女の詳しい事情は知らずとも自分の境遇と重ね合わせて深く同情、いや同調していた。
館での暮らしが8年が過ぎた頃、ミシェルを受け入れられずにいる母親から、貴族の令嬢としてのミシェルの絵画が送られてきてしまって(しかもジョルジュ作)、ここにきてもまだ自分が受け入れられない存在であることを突きつけられてしまったミシェルは初めて、自分を否定し続ける家族たちのことを恨んでしまう。
その思いが魔女モルガーナの封印を解くきっかけになったようです
ミシェルは一時的に人を憎んでも少し時間が経てば平常心を取り戻して、モルガーナから促されても結局、人を呪うことは選ばないんだから、ミシェルの精神力はやはり半端ないと思う。
ボランジェ家から脱出するときにディディエが言っていたけど、本当ミシェルはもっと怒ったりしていいくらい。
そしてあの風景画が謝っていたのはこのことだったんだ。
というか、あの風景画はジョルジュの魂なんだろうと思うと、あんなに明るくしていてもジョルジュも何百年も後悔していたんだと切なくなる。

ミシェルを魔女として殺したのは騎士になったディディエで、磔にされたミシェルに火を放ったのは母親で…、死後もミシェルがどうしてこんな目に合わなければならないのかと思うほどだった。

ミシェルとジゼルについてはThe fifth doorで語られた通りですが、"いつもにこやかな女"が苦手だったミシェルがどこか自分と似通った境遇を持ち、太陽のようなジゼルに救われた幸せな時間があったことだけは本当に幸いでした。

自分の苦しみに満ちた人生を見せられて、ジゼルにも気持ち悪いと言われて(このジゼルはもちろん幻)、潰れてしまいそうになるミシェルの元へ、モルガーナに捕らわれていたはずのジゼルが自力で抜け出して駆けつけてくれたのはホント涙出そうになった。
ミシェルを助けてくれるのはジゼルだけだよ…。
ジゼルはミシェルのこと、全部受け止めてくれました。
ミシェルをひと目見たときから男性だと思っていた彼女だけど、きっとジゼルは、ミシェルが男とか女とか関係なく好きになっていたんじゃないかと思うくらい、どこまでも真っ直ぐな愛情を感じさせてくれるようでした。
ジゼルの魂は一旦ミシェルと同一化し、ミシェルは魔女にされてしまったモルガーナをも救おうと決めました。
モルガーナを苦しめたあの三人の男たちにもまだ隠された思いがあるのではないか、そして白い髪の娘はモルガーナだと提示するミシェル。
もしかして彼は全員の魂を救う気?
ミシェルかっこよすぎです…!




↓ファタモルガーナの館、次回の感想