※※※本編の内容・ネタバレを含んでいます。ご注意ください。※※※



みなさまこんばんはダイヤモンド
満です赤薔薇

今回から『ファタモルガーナの館』の感想記事を分割してあげていきます。
実は1記事にまとめようと思ってたのですが、思った以上にファタモルガーナの館が面白くて面白くて各章の感想がとても長くなりました。笑"

⚠ちなみに私自身は既に全エピソードクリアしています。
各章終えるごとに感想を書いていたので、見当違いな推測をしている部分もありますがご了承ください。

また、『ファタモルガーナの館』の性質上、未プレイの方はネタバレなしでプレイしたほうが良いと思いますので、そういった点もご注意くださいね。






























Prologueでは、雨の打ちつける音の中、陰鬱な薄暗い館でひとりの人間(プレイヤー)が目覚めるところから始まる。
傍らには体温が無いかのようにひんやりとした"館の女中"が仕えていて、あなたはこの館の主人と告げられるが人間は何も覚えていない。
主人の帰りを待ち望んでいた館の女中は、この館で起こった悲劇の歴史を見せると言ってくれた。
過去を追体験していくことで、もしかしたら記憶が戻るかもしれないからと。
この館の女中は黒髪に妖しい微笑みをたたえたとっても綺麗な方なんですが、もう絶対人外の方なんだろうなぁ、多分、記憶喪失の主人公も…と思いながら館の歴史を追うことになりました。




The first door -1603-
最初に館の女中が連れて行ってくれたのは庭園の扉。
中世を少し過ぎた頃、屋敷にはローズ家という全員亜麻色の髪を持つ美しい家族が裕福に幸せに暮らしていた。
なんとこの時代から既に、"館の女中"は屋敷の女中だった。
絶対人外の存在なんだろうなぁ、纏うオーラが只者じゃない。

ローズ家の兄妹・メルとネリーは、王子さまとお姫さまのごっこ遊びをするほど仲が良かったが、成長しメルは将来の進路、ネリーは政略結婚の影がちらついて、何の心配もない子供時代は終わろうとしていた。
そこへやって来たのがとある白い髪の娘。
この白い髪の娘は館の女中と並んでこの世の物とは思えないくらい美しいひとで謎めいていて、メルが気になっちゃうのも分かる。

距離感近すぎて近姦の予感はしてたけど、ネリーは自由奔放なようでその実不自由だったから歪んでしまったんじゃないかな。
自分を助けてくれる王子さまを探していたのは白い髪の娘だけではなくネリーも一緒で、ネリーは自分で自由に王子さまを見つけに行くことは許されなかったのは哀しい。
結婚相手は由緒正しいお金持ちって決まりがあったとしても、もうちょっとネリーに選ばせてあげてほしかった。

白い髪の娘はローズ家の専属画家だった父親が不当に追い出されて悪評が広まって職を失い、困窮した生活の中で亡くなったことで、ローズ家に復讐しに来た女の子だった。
それがローズ家に実際やって来てみると、初めて会う奥方様は手厚く侍女として迎え入れてくれて、メルは白い髪の娘に一目惚れで優しく優しく話しかけ続けて白薔薇のブローチまでくれたものだから、復讐の心が揺らいでいったらしい。
メルのことを優しい人だという白い髪の娘だけど、彼女もとても優しい子なんだろうなぁ。
それでも亡くなった父のことを思い、自分を奮い立たせてメルの寝込みを狙って殺しに来るのだけど、メルはまだ詳しい事情が分からない状態でも動じず、白い髪の娘には何か事情があるはずだから話してほしいと、自分を殺そうとしたことをあっさり許すんです。
彼女の事情を聞くと、それは自分たちの家が悪い、君にもっと可哀想になれなんて言えない、君のお父さんが生きていたら何かできたんだけど…と声を掛けてくれて、白い髪の娘に恋してるとはいえメル優しい!これは両想いまっしぐら間違いなしと確信した。
身分の違いは、白い髪の娘が良家の養女となることで簡単に解決できると解決策まで考えてくれていたメル。
ちなみに第一章で一際輝いていたシーンはここだと思う。
だって白い髪の娘がベッドの上のメルにナイフを突きつけているのに傷ついた顔をしていて、そんな彼女に柔らかく言葉をかける慈愛のメルがスチルつきで描かれているんですもの。
そして本物の令嬢のように着飾らせて、今までは興味のなかった観劇にメルと白い髪の娘は初デートに出かけるというシンデレラ展開。
うん、もうここでハッピーエンドの文字出てきていいです、むしろそうしてくださいって思ったけどそうは問屋がおろさない。
メルと白い髪の娘が近づいていっているのに加えて、嫌いな相手との結婚を強いられて苛立っているネリーとばったり鉢合わせてしまうんです。
ネリーはふたりが仲良く一緒にいるのを見て、お姫様のようにメルの後ろに控える白い髪の娘を見て、怒り狂い罵倒するけど、愛する人のできたメルはネリーの無礼な態度に怒り返し、平手打ちをする。
もちろん白い髪の娘は何も悪くないし幸せになってほしいんだけど、このときの図は完全に白い髪の娘が勝者で、ふたりの立ち位置が真逆すぎてネリーが哀れにも思えました。

館に帰って荒れるネリーは、部屋に飾ってあった絵画の下に隠されてあった文書を見つけてしまうのだけど、そこにはなんと、白い髪の娘がメルの妹であることを示唆する内容が記されていた
あぁ、ついに悲劇が訪れてしまったか…。
にしてもこんな展開になるなんて全然想像してなかったよ。
その後、人が変わったかのようなネリーは白い髪の娘の美しい長い髪を奪い、メルに白髪の娘が妹であることを暴露。
どっちも驚きだったけれど、ネリーが白い髪の娘の髪取るっていうのが衝撃すぎて一瞬何が起こったのか分からなかった。
ショックを受けて街に飛び出したメルは、髪を失って布を被っていた可哀想な白い髪の娘を物乞いと勘違いして汚らわしいと言ってしまい、慌てて謝ったものの、傷心の白い髪の娘はそのまま宵闇に紛れてどこかへ去ってしまった。
結局、メルと白い髪の娘は結ばれることはなかったようです…。

メルは17歳、ネリーは14歳でまだまだ若くて子供と言ってもいい年齢なんだから、今回のことで深い痛手を負ったとしても10年後20年後には立ち直れたりしないかな…って淡い希望を抱きましたが、立ち直って幸せになれたら悲劇じゃなくなっちゃって、ファタモルガーナの館の設定がブレブレになっちゃうか。

サスペンス・ミステリー・ホラーって公式に書いてあったのですが、ひとまずこの第一章を終えて、そこまで怖くはないかなと感じました。
怖いシーンといえば、ネリーが狂って白髪の娘の髪を綺麗に剃ったか切ったかしてかつらにして、自分の頭に被せて背後に雷鳴らしながらメルを夜這いしに来たシーンだけど…って、改めて文にしてみるとすごいシーンだな。
しかもネリーは箱入りのお嬢様のはずなのに、どうやって暴れている人のロングヘアを真っ直ぐ剃った上に短時間でかつらにしたんだ(職人技)。
とにかくネリーのその白髪かつらを被ってダークに嗤うスチルがちょっと不気味だなって思ったくらいで、夜の館の淀んだ闇や不気味さ、物語全体を包む仄暗さは漂うものの、どちらかといえば誰の想いも結ばれずに終幕してしまう哀しい恋物語だった。





↓ファタモルガーナの館、次回の感想