ドラマ 3作品 「 ある女流作家の罪と罰 」、「 記者たち 」、「 アレクサンドリア 」 | berobe 映画雑感

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「 映画 」と「 本 」の感想

M・マッカシー 主演の 実話犯罪 ドラマ 「 ある女流作家の罪と罰 」

 

社会派ドラマ 「 記者たち 衝撃と畏怖の真実 」

 

歴史ドラマ 「 アレクサンドリア 」

 

の 3作品

 

 

 

「 ある女流作家の罪と罰 」 (米・2018)

 

メリッサ・マッカシー 主演の 「 実話犯罪 モノ 」の 人間ドラマ。

 

劇場未公開 作品。

 

 

 

ベストセラーを 出したこともある

伝記作家の リー・イスラエルM・マッカシー )。

 

新しい企画は 通らず、 校閲の仕事も クビ になり、

家賃も滞納、  愛猫も病気に…と 厳しい状況の 彼女 は、

大事にしていた 「 キャサリン・ヘプバーンからの手紙 」 を売る事に。

 

そこで 「 著名人の手紙 」が 高く売れる事を知った 彼女 は、

手紙を捏造し、売る事を 思いつく…。

 

 

 

伝記作家の リー・イスラエル が 犯した

「 著名人の ( タイプ打ち )手紙偽造 事件 」 を描いた作品です。

 

「 才能 」には 社会的に

「 認められるモノ 」 と 「 認められないモノ 」 に分かれますが、

 

( 使い方 次第とも いえるが )

 

リー の 「 才能 」は 後者であった わけですね。

 

しかし、ベストセラー作家 である事を 考えると、 「 前者の才能 」 も

あったわけで、

 

そういう 意味では ままならない話 でもありました。

 

 

出来心が発端 だろうけど、他人のコートを しれっと盗める リー からは「 犯罪への ハードル低下 」※ が窺えますね。

 

 

( ※ 「 仕事 」と 「 お金 」が ストレス要因 だが、「 アルコールの面 」も 結構 大きいか。

それに 「 猫の病気 」と 「 トム・クランシーのギャラ 」(?) も加わる

事になる )

 

 

相棒?になる ジャック・ホッカ は、

楽天家 というか、刹那的?で なかなか 危なかっしい人物 なのに、

 

しか 協力してくれる人がいない 状況は なんだか 切ない。

 

もっと 切ないのが、「 ファンの女性への裏切り 」で、

後半は そっちの方が 胸に来ましたね。

 

 

「 手紙の偽造 」で 興味深かったのが、

「 タイプ打ちの 手紙 」という事で、内容( 文章 )が 重視される という

ところ。

(サイン鑑定は おざなり だった )

 

それと 「 書き手に合わせ タイプライターを 使い分ける 」 など、

徐々に 手の込んだ 偽造 になる過程も 面白い。

 

 

あと、本作は 地味~に 「 猫映画 」 でもあったのかな?

最後も 「 仔猫 」 だったしね。

 

「 手紙の捏造 」は “飼い猫のため” でも あったのに、

あの代償は 大きかったな~。

 

 

それと 今作は 意外にも 「 失恋映画 」 でも あり(?)で、

そっちの面でも 切なかったですね。

 

 

 

( 『 ある女流作家の罪と罰 』より、リー 役の M・マッカシー

 

この役で オスカー「 主演女優賞 」に ノミネート。

 

ひと昔 前なら K・ベイツ が 演じてそう )

 

 

 

( 『 ある女流作家の罪と罰 』より、

ジャック 役の リチャード・E・グラント

 

こちらも 「 助演男優賞 」で ノミネート )

 

 

 

( 『 ある女流作家の罪と罰 』より、猫と暮らしている リー

 

 

 

R・E・グラント の 「 調子いい 軽快な喋り 」や 「 仕草 」も 面白かった

けど、 個人的 には

 

リー の エージェント、マージョリー を演じた  ジェーン・カーティン

「 ビジネスライクな 態度と 対応 」が 印象深かったな。

 

 

「 “実話犯罪モノ”  好き 」 としては まあまあ 楽しめましたが、

チョット地味な作品 でしたね…。

 

アカデミー賞で 「 3部門 ノミネート 」 された作品なのに

日本では 未公開 ですが、その理由も 何となくわかります。

 

 

 

 

「 記者たち 衝撃と畏怖の真実 」 (米・2017)

 

「 実話モノ 」・人間ドラマ 作品。

 

監督は ロブ・ライナー で、ウォルコット局長 役で 出演もしてます。

 

 

「 9.11 」後の 2002年。

米政権は 「 イラクに大量破壊兵器がある 」 という 主張を発表、

それに疑問を 持った 新聞社「 ナイト・リッダー 」 の記者が 調査を

開始するが…。

 

 

 

記者 ジョナサン・ランディ 役、ウディ・ハレルソン

記者 ウォーレン・ストロベル 役、ジェームズ・マースデン

 

特派員・ギャロウェイ※役、トミー・リー・ジョーンズ

 

( ※ 『 ワンス・アンド・フォーエバー 』(02年)の原作者の 1人。

映画の 会見場面があった )

 

 

 

前に ブログで 取り上げた 『 バグダッド・スキャンダル 』(18年)は、

 

「 国連で 起こった  “イラクの 石油食料交換・プログラム” を

利用した 汚職事件 」 を描いた作品 でしたが、

 

終盤に 「 イラク侵攻 」の場面がありました。

 

その後 観た、

ディック・チェイニー を 描いた “コメディ”※ 『 バイス 』(18年)

後半も、この 「 イラクの 大量破壊兵器 」を 巡る話。

 

( ※ アメコミ 『 バットマン:キリングジョーク 』ジョーカー は、

「 世界は 悪趣味な ブラック・ジョーク 」と 言っていた )

 

というわけで、「 実話映画 」で 繋がる形 での 観賞で、

なかなか 感慨深い 気持ちに なりましたね。

 

 

「 9・11 」後、米国アルカイダ がいる アフガニスタン に 派兵するのかと 思いきや、

何故か テロとの 関係が見えない イラクに 「 派兵する 」 との 情報が流れ、

 

それに 疑問に思った 新聞社「 ナイト・リッダー社 」の局長、

ウォルコットが 2人の記者、ランディストロベルに その調査を

命じます。

 

一応、米国は アフガニスタン でも 「 ビンラディン捜索 」※

しているんですが、 結局 逃げられるんですよね。

 

( ※ 実話映画 でいえば 『 ゼロ・ダーク・サーティーン 』〔12年〕

『 オレの獲物はビンラディン 』〔16年〕 と 続く… )

 

 

 

( 『 記者たち 』より、ウォルコット局長 役の 監督 R・ライナー

 

ちょいちょい “イイところ” を 持っていくんだよな~ )

 

 

 

( 『 記者たち 』より、ランディ 役の W・ハレルソン

 

 

 

( 『 記者たち 』より、ストロベル 役の J・マースデン

 

 

 

( 『 記者たち 』より、ランディの妻 役の ミラ・ジョヴォビッチ

 

は ユーゴ圏 出身らしく、「 愛国心で ユーゴスラビアは解体 した 」

みたいな、“ユーゴ・ジョーク”? を かましてました )

 

 

 

( 『 記者たち 』より、

ストロベル が知り合う リサ 役の ジェシカ・ビール

 

 

 

政府 からは

「 イラクと アルカイダの 繋がり 」 や 「 破壊兵器 」の “証拠” が

次々と 出てきますが、それは 関係者 曰く

 

「 先に 決定を下し、それにあった情報を 集める 」

「 情報の いいとこ取り をした 」 結果 で、

 

「 侵攻の 正当化 」の “証拠” でしかないんですね。

 

後半、情報提供者 が言う、

「 パウエルは 情報を 80% 破棄 」 が 恐ろしい…って なんか

既視感が あるな。

 

 

「 否定記事 」 を書いている 「 ナイト・リッダー 」 は、

“他紙に 記事を提供する 新聞社” なんですが、

 

大手の メディアは 政府の言う 「 大量破壊兵器の存在 」 を

信じているので

「 否定の記事 」 は 載せてもらえず、結局 あっさりと 「 イラク侵攻 」は

行われちゃうんですね。

 

 

監督の R・ライナー 演じる ウォルコット局長

 

「 我々は ~ NYタイムズ でもない、ポスト でもない、ナイト・リッダー だ 」

のセリフ は “熱い” けど、 監督自ら なので、なんか ズルいゾ~。

 

 

 

「 アレクサンドリア 」 (スペイン・2009)

 

紀元4世紀、ローマ帝国支配下の エジプト が舞台の 歴史ドラマ。

 

アレハンドロ・アメナーバル 監督&脚本。

 

 

あまり興味が なかったのですが、

アメナーバル 監督だし、レイチェル・ワイズ も 出ているし…って事で

とりあえず 観てみたら 面白かったですね。

 

 

実在した 哲学者で 天文学者の女性、ヒュパティアと その弟子たち と、

「 エジプトの神々 」を 否定、信徒を迫害し 勢力を 広げた

「 アブラハム宗教 」( ユダヤ教、キリスト教 )の話。

 

 

この時代は プトレマイオス により 「 地動説 」が 否定され、

「 天動説 」が 主流 でしたが、

 

ヒュパティア は 疑問を もち続けていました。

 

しかし、「 アブラハム宗教 」 が台頭、知識を 保管する 図書館を

荒らし、「 エジプトの神・セラピス 」の像も 破壊※

 

それを 発端に、“異教徒” への迫害が 始まります。

 

( ※ アブラハム信徒の 「 頭に “植木鉢” 乗せてる 神を 信じるか~ 」 が 面白かったな )

 

 

その後、ヒュパティア は 細々と 研究、

 

弟子の2人、

オレステス「 エジプト長官 」、 シュネシオス「 主教 」 に、

 

ヒュパティアの 元奴隷、ダオス「 キリスト教徒 」に…と、

 

それぞれの道を 歩む 展開に。

 

面白いのが その後 「 キリスト教 VS ユダヤ教 」 となり、

最終的に 「 ユダヤ教徒 」が 追い出されるところ。

 

「 ユダヤの安息日 」に 彼ら を襲う 「 強硬派 キリスト教徒 」が

卑劣でしたね~。

その後の 「 ユダヤ教徒の 反撃 」も 大掛かりで 凄かったな~。

 

あと、両者共 「 “石投げ” で 攻撃 」なのも 興味深いですね。

 

 

キリスト教は 次第に 勢力を 拡大、ついには ローマ側にも

( 改宗を迫り )信徒を 増やしていくんですが、

 

そんな キリスト教徒 にとって、

「 神の言葉を 受け入れず、男に 従わない女性 」 ヒュパティア

邪魔な存在。

 

って事で 最終的に キリスト教徒 から 「 魔女 認定 」 されます。

 

ちょうど 「 太陽が 中心なのでは?」 との 答えに たどり 着きそうだった ヒュパティア だったのに、

最後に キリスト教徒に 殺される※のが 無念 でしたね。

 

( ※ 史実では 「 虐殺された 」 らしいが、映画では 「 石打 」で 苦痛を 与えたくないとの想いから ダオス が 「 窒息死 」 させる )

 

 

 

( 『 アレクサンドリア 』より、ヒュパティア

「 地球の軌道は “円” ではなく “楕円” では?」 と 気づく 場面 )

 

 


( 『 アレクサンドリア 』より、天文学者・ヒュパティア 役の R・ワイズ

 

 

 

( 『 アレクサンドリア 』より、

エジプト長官・オレステス 役の オスカー・アイザック

 

 

 

( 『 アレクサンドリア 』より、

主教・シュネシオス 役の ルパート・エヴァンス

 

 

 

( 『 アレクサンドリア 』より、ダオス 役の マックス・ミンゲラ

ダオス は 映画オリジンの 人物のようです。

 

マックスドラマ『 ハンドメイズテイル 』ニック ですね )

 

 

 

( 『 アレクサンドリア 』より、

キリスト教徒 による、ユダヤ教徒 虐殺の 一場面 )

 

 

 

話の他にも セット?も 素晴らしくて、個人的には かなり 面白かったのですね。

 

本国スペイン では 大ヒットし、「 ゴヤ賞 」では 7部門 取った

みたいですよ。