私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

私の備忘録(映画・TV・小説等のレビュー)

日々接した情報の保管場所として・・・・基本ネタバレです(陳謝)

初回放送 2023年 BSP

原作 浅田次郎
脚本 吉田康弘
監督 小林聖太郎

キャスト
竹脇正一 - 中村雅俊
竹脇節子 - 浅田美代子
榊原勝男 - 不破万作
永山徹 - モロ師岡
堀田憲雄 - 宅麻伸
大野茜 - 前田亜季 正一の娘
大野武志 - 板橋駿谷 茜の夫
入江静 - 余貴美子
マダム・ネージュ - 三田佳子
少女 峰子 - 大月美里果
峰子 - さとうほなみ

感想
何の気なしに第1回目を観てハマった。
定年退職を迎えた日の帰り、地下鉄で倒れる竹脇正一。
昏睡状態の中で、二人の女性に引き合わされる。息子を失った過去が次第に暴かれて行く。
そして、同じく隣で昏睡状態の榊原勝男に連れられて、彼が関わった「峰子」という女性のことを知る。
その峰子がまさかの、自分の母親だったという話。
養ってもらっている家の亭主に手籠めにされ、子が出来てしまった峰子。どうしようもなくて赤ん坊を地下鉄に置き去りにした。
今まで会って来た女性は、自分が生きて来た時代に対応する年齢の母親だった。今生きているのか、いないのか・・・
捨てられたのを恨むのではなく「生かされた」と考える正一。

感動巨編というわけではないが「つい、ホロっとする」感じか。
ただ正一の戸籍謄本が真っ白というのはあり得ない。本人が拾われた状況や、養護施設の名などが必ず記載される。
それでAIに聞いてみた。
「小説「おもかげ」で養護施設で育った正一の戸籍謄本に一切記載がないというのはオカシイのではないか」→アンサー
なーるほど。やっぱファンタジーを優先してるワケだ。
オマケ
三田佳子は、なーんか違う気がする。ワタシ的には加賀まり子。


あらすじ
第1話 10/3放送
いつもの朝食風景。

「世界遺産の旅」パンプレットを見やる、夫の竹脇正一。

「いくらかかっても知りませんからね・・・」と言う妻の節子。

そして出勤する正一。
「長い間、お疲れ様でした」と頭を下げる節子。
途中、孫娘二人と娘の茜にも見送られる正一。


通勤は地下鉄。荻窪から。今日が定年退職日。新卒で商社に入社し、定年を前に関連会社に転籍。勤続42年半を経ての今日。
出社早々部下が「常務」と声をかける。本社の堀田社長が同期と聞いているが、送別会にお声がけしなくていいかとの問い。
「いい、掛けなくていい」と返す正一。「煩わせたくない」



そして送別会。皆からの寄せ書きに感謝する正一。

最後に花束を貰った。『僕にしては上出来の人生だ』
タクシー券も断って地下鉄で帰る正一。
『今死んだって悔いはない』そう思った瞬間、頭に衝撃。


倒れた正一に声をかける乗客たち。


病院に着いた社長の堀田。運転者に10分か15分待つよう指示。
看護師に案内されて昏睡状態の正一に会う堀田。
「何でこんなことに・・・」


節子がやって来た。今日になって聞いたと言う堀田。
厳しい様だと言う節子。出血が多く脳圧も高いため手術不可。
送別会の事も聞かされていなかったと言う堀田。


「節ちゃんは変わらないね」との言葉に「堀田さんも」
若い頃、あんなに一緒にいたのに、いつの間にか疎遠に・・・
主人が選んだ事でもあると言う節子。堀田が出世するほど距離を置くようになったと言う。強情なぐらい潔癖だった。
帰り際の堀田に、親友を心から誇らしく思っていたと話す節子。
家で義父のことを心配する茜の夫 大野武志。



病室にやって来た永山徹。

正一の幼馴染み。家でちゃんと休めと言って看病を代わった。

病院を出る節子とすれ違う女性。



目覚める正一。その前に先の女性が。『誰だ?この人』


妻は?と聞くと家に帰ったと言う。三日も付きっ切りだった。
どちら様ですかと聞くと「マダム・ネージュと呼んで下さる?」
フランス語でネージュは雪・・・

ディナーでもいかが?と無理やり正一の体を起こす女性。
一瞬のうちに体が起きた。スーツ姿。

「早く行きましょ」と手を引くマダム・ネージュ。

正一自身は寝たまま。


魂が抜けたと感じて彼女に「死神的な、何かですか?」と訊く。
笑って否定する女性。逆らえずついて行く正一。
ベンチで寝ている徹を見つける。

問われて「幼馴染みです」と言った。そうとしか言いようがないが、家族以上の仲かも。僕たちは孤児院で育った。

高級ホテルのレストランでの食事。「ディナーのあとは病院のベッドに帰してもらえるんですよね?」「他のベッドはお嫌?」
思わずワインを吹き出す正一。あの世、天国、冥途・・・

不思議なほど怖くないと言う正一。むしろ僕らしい。
誤解している様だと言うマダム。「ディナーを楽しみましょ」


素晴らしい料理を喜ぶ正一だが、マダムの出したハンカチの花模様に、何かを思い出す。
最後に出たおはぎを見て、やっぱり最後の晩餐かと思う正一。


死ぬ前にたべるなら「おはぎ」。子供の頃にいた孤児院の近くの和菓子屋が、時々差入れてくれた。だが年長の者に取られて、食べられる事はめったになかった。孤児院にあった「お大事箱」

皆は家族写真や母親からの手紙を入れていたが、正一には風呂敷が一枚だけ。それだけが自分の財産。

しみじみとおはぎを食べる。


もっと話を聞きたいと言うマダム。「あなたは頑張ったわ」
意識が遠のく正一。



正一の枕元で声をかける徹。「これからって時に・・・」


東京タワーが出来たばっかの時に行った。
「節ちゃんに何も話してないんだってなぁ。話してやれよ」
親がいねえだけで。同じ人間だぞ・・・

家で米を炊こうとする節子。二人分を研いでしまった。
一人だけの食事。茜からの電話。妊娠中の茜。
一月生まれで名前に「春」ってつけるのは変かな?と訊く。
夫にお兄ちゃんの事を話したら、そう言い出したという。
「ダメじゃないけど、パパに聞いてよ」「うん・・・」
パパに起きてもらわなくちゃ、と呟く茜。


電話のあと、引き出しを開けて男児の写真を出す節子。


「春くん、お願いだからパパを連れてかないで」

海辺のチェアで目覚める正一。周りには海水浴客。昭和の雰囲気。『ここ、前に来たことがある』走馬灯の様なもの?


「節子、茜!」と呼ぶ。その時「こっちよー」と手を振る女性。
良かったわねーと言いながらラムネを渡す女性。知らない人。


言われるままに飲む。名前を聞く。「静かねー」
というと、入江静さん?「それでいいわ」
勧められて座る正一。ここに来た記憶があるけど思い出せない。


「楽しくなかったから忘れたのね。可哀想な人」
「・・・思い出したのね」「おかげさまで」


「でも僕は可哀想な人なんかじゃないですよ。あの頃は家族と人生を楽しむなんて男はいなかった。少なくとも僕の回りには。みんな、しゃにむに働いていたんだ。そのおかげで家族みんな腹一杯食えた」

「やっぱり可哀想な人よ」


第2話 10/10放送
妻と娘にせがまれて海に行った。亡くなった息子 春弥の写真を手にしていた節子。「連れて来てあげたかったの!」


「約束したじゃない」「今さら・・・」
「もっと思い出してあげて」と静。
「大切なものに蓋をして生きているから、可哀想」

トラックに撥ねられた春弥。病院へ駆け付けた正一。乳児の茜を背負っている節子。大事には至っていなと知り、仕事に戻ろうとする正一。目覚めた春弥が行かないでと言うが、夜には戻って来ると言って去った正一。

結局その晩は戻らなかった。
その二日後に春弥は死んだ。脳に出血が見つかった。
現実を受け止められず、壊れてしまった夫婦関係。それを止めてくれたのが、同じ社宅に住んでいた同期の堀田。


「お互い、なかったことにしよう。忘れた方がいい」
今は茜ちゃんの事を考えろと言った堀田。「忘れたフリでいい」
僕たち夫婦は今日まで、あの言葉に縋って生きて来た。
今は出世して本社の社長。自慢の同期。
「でも、もう、思い出してもいいんじゃない?」
名の由来を訊かれて、春に生まれたからと答える。自分は親になりきれてないと未だに思う。親の存在意義を疑っている。
思わず静が差し出した手を払いのける正一。

昔から、生い立ちの事を同情されるのが嫌だった・・・
眠くなった正一の肩を抱く静。「眠ればいいわ」


意識が遠のく正一。

ナースセンターで揉めている大野武志。自分の立場を言えず。やって来た徹が竹脇正一の義理の息子だと説明した。徹の下で働いている様だ。今夜は彼が付き添う、と正一に声をかける徹。
取り乱してナースに部屋から連れ出される武志。



声をかけられて目覚める正一。どこかへ出掛けないかという。


隣で寝ている榊原勝男だと言った。正一同様昏睡状態。こっちはもう一週間だという。名札を見て「たけわきしょういち」と言うとまさかずだと訂正した正一。まーちゃんと言われていた事を思い出した勝男。自分で立ちます、とまたスーツ姿になった正一。



病院の外に出る二人。自分は65だと言う正一に80と返す勝男。
歩いた先の銭湯に誘った勝男。湯船に浸かりながら、自分は戦災孤児だったと話す勝男。

昭和20年3月の東京大空襲で焼け出された。気付いたら一人。ある日「峰子」という女に声をかけられた。それからは生きるためにかっぱらい生活。峰子か指図した。


そのうち皆バラバラになり、以後誰とも会っていないという。
自分も孤児だったと話す正一。名は施設の人が国鉄スワローズの金田正一にあやかってつけたという。たいてい「しょういち」と呼ばれる。その後の身の上も語る正一。
春弥と銭湯へ行った時の事を思い出し、湯船から出る正一。


忘れなきゃ、生きて行けないって事もある、と勝男。
屋台のおでん屋で一杯飲む二人。

親の顔を知らないという正一にしつこく聞く勝男。捨て子だと答えた。昭和26年のクリスマス・イヴに捨てられた。12月15日は推定の誕生日。桜模様の風呂敷に包まれていたと施設の人が言ったという。風呂敷がお守り。だが施設を出た後、多摩川上水に捨てた・・・

おでん屋を後にして歩く二人。勝男はここで別れようと言った。
「俺はもう、そろそろみてえだ・・・」逝くのは地下鉄の様だ。
向かいのホームへと指示されて降りて行く正一。
若い時、この地下鉄を掘ったと言う勝男。
正一がホームに下りると、そこには少年の勝男の両側に、両親が立っていた。頭を下げる。通過する列車。


病院では勝男の死亡が確認されていた。



停まった列車のドアが開く。「乗れってことか・・・」
乗り込んでシートに座る正一。
両親が迎えに来るのだろうか?いや、顔が分からない・・・
次に停車した時、女性が乗り込んで来て正一の隣に座った。
「なにシカトしてんのよ、トボけちゃって」


別にシカトした訳じゃ、と言いかけて驚く正一。向かいのガラスに写った自分の姿が、若い頃のものだった。




第3話 10/17放送
「少しは慣れた?」と訊かれてこの状況の事かと思ったら、仕事には慣れたか?との問いだった。
名を問われて峰子と答える女性。暇そうだから付き合ってと言う峰子のあとに続き地下鉄を降りた正一。
歩きながら榊原勝男のことを知っているでしょうと問う。


「泣き虫のカツ?」と返す峰子。
今、地下鉄工事の仕事だと話を合わせる正一。
入った喫茶店で客の新聞に目を止める。昭和49年12月24日。大企業爆破の記事。

カッちゃんの話を続ける峰子。

身なりが良かったから、親から金を取れると思って引き入れたという。持ってないヤツの面倒は見るが、持ってるヤツからはムシり取る・・・生きて行くためには何でもしたという。「絶対に許されない事も」
夢を訊かれて戸惑う正一。国立大学は学費が安かったし、商社に入ったのは、奨学金を早く返すために高給が欲しかった。
公園のベンチに座って、自分の夢は普通の人間になる事だったと話す正一。サラリーマンになり、結婚して家を建て、子育て。
自分はまだ恵まれていた方だと言う正一に、皆が不幸な時の不幸と、皆が幸福な時の不幸は違うと返す峰子。
どうしてこの人は、こんなにも残酷な事が言えるのか・・・
紛れもない真実。思わず嗚咽する正一。
「・・・ごめんね」

「・・・あなたは、誰ですか?」
また視界が暗くなって行く・・・



病室。眠りこけている茜の夫 武志を起こして交替する節子。


ナースに、聞こえているかも知れないと言われ、正一の枕元に声をかける節子。隣に座っている正一。


茜が、産まれて来る子供に春の字を使いたいと伝える節子。
そして、本当はあなたの過去を全部知りたいと続ける。あなたの真っ白な戸籍謄本が怖かったの・・・この空白を埋める事実。

結婚を決めた時、互いの戸籍謄本を見る。


節子は幼い頃両親が離婚し、継母と父の間に3人のきょうだいがあった。実母も再婚し子を産んでいる。節子の居場所はない。


彼女も親に捨てられたに等しい。
一方正一の戸籍謄本は出生日と名が書いてあるだけ。


「・・・それでいいか?」の言葉に頷く節子。

「でも、もう怖くないわ。私、聞くから」と節子。
「ああ、話すよ」と返す正一。
もし春クンが迎えに来ても、行かないでねと言う節子。
春弥が生まれた時のことを思い出す正一。


その時、正一の容体が急変。医師が呼ばれる。


目覚めると地下鉄にいた正一。かなり旧い客車。


前の乗客が朝鮮特需の話をしている。僕が生まれた頃・・・
乗って来た客のビラの日付が1951.12.24。


斜め向かいに座る、赤ん坊を抱いた女性が目に入る。老婦人に声を掛けられて席を移った。


その女の素性が分かって来る。世話になっている身で妊娠した。

「ウチの人じゃないだろうね?」と責める女はビンタを張る。

出て行く女に「峰子!」と叫ぶ。
道を歩く峰子に声を掛ける勝男。「これからどうすんだよ」妊娠させた相手を知っていた。「俺が父親じゃだめか?」と言うのを「ほっとけ」と言って去って行く峰子。



停まった駅で米兵とそのオンリーたちが数人入って来る。

クリスマス・イヴで酔っている。「きよしこの夜」を歌い出す。
袋から花柄の風呂敷を出す女。それは正一が持っていたもの。


風呂敷で赤ん坊をくるんだ女は、今の峰子の姿になっていた。


キミが二十歳の時、私は三十五。君が三十で、私は四十五歳。
そして暗転。静の姿に。

「キミが四十五まで生きてくれたら、私は六十」大丈夫、戦争は終わったんだもの。これからは公平な世の中がやって来る筈・・


そして正一に顔を向ける。「キミが六十五になったら、私は八十」その頃、もし生きていれば、東京のどこかで会いましょう。
そしてマダム・ネージュの姿になった。


「あなたは、頑張ったわ」涙を流す正一。「お母さん・・・」

赤ん坊を座席に置いた峰子。

停まっていた客車のドアが閉まる寸前に外に走り出た。

大声を上げて泣く。


車内では、オンリーの一人が赤ん坊を抱き上げてあやす。


皆が親身になって集まる。「僕は捨てられたんじゃない、生きるチャンスを貰ったんだ」そう理解した正一。


人々の祝福を受けて、僕は地下鉄から生まれた。

いつの間にか地下鉄は現在のものに。
花束を持って降りる正一の前に春弥がいた。


救えなかったことを詫びる正一。
「お父さんのこと、迎えに来てくれたんだな?」頷く春弥。
だが首を横に振る。「お母さんが寂しがるよ」


「ボクは平気だよ。お父さんの子だから」
そして、お願いがあるという。百歳になったお父さんと、もう一度地下鉄に乗りたいという。「分かった、約束するよ」と正一。
そして去って行った春弥。



階段を上がる正一。節子の呼ぶ声。


「ようし、生きるぞ!」