靴ノート
人間の記憶力ってのは、かなり”あやふや”なもので、一度にいくつもの事を覚えていることはとても難しいことです。一足目の靴を作り終わって、2足目を作り出す時に『インソールってどうやって釣り込むんでしたっけ?』と殆どの人が言いますので、『私って、記憶力ないんです。。。。』って落ち込んでる人がいましたが、全然普通です。
で、生徒の皆さんには、事あるごとに『ノートに書いておいてね!』と言ってますが、ただ箇条書きで書き残しても、後で読んだら『なんのこっちゃ?』って人が多いのではないでしょうか?
アッパーを釣り込む とだけ書いていても、どうやって木型にアッパーを沿わせて、どうやって何ミリの釘を一番初めに打つか、アッパーを真っ直ぐに設定するにはどこを見て真っ直ぐのバランスをとるか?などなど、書き込むことは多いと思いますが、私が学んでいるときはイラストで、上から見た図と断面図を書き、その時使う工具とその握り方、力加減などもみっちり書いたはずでしたが、2足目を作る時、そのノートだけでは沢山の疑問や不確かなことも出て来たので、足数を重ねるごとにノートにどんどん付けたし、修正を加えていった。そうやっていって、ノートに書き込むスペースが無くなる頃には、ノートを見なくても靴が作れるようになっていました。
今でも私はノート付けはしていて、素材の違いによる制作方法の違いの検討や、他の職人から聞いた話や、革の厚さに対しての糸の本数での見た目の違いや耐久性についてだとか、まだまだ沢山書き込むことがある。そして、私はこのノート付けが大好きです。イラストに嵌ってみたり、どうやって説明したら理解しやすいか?なども考えていくと本当に楽しいし、ノートのページが増えるごと、冊数が増えるごとに満足感もあり、読み返しても楽しいです。私の宝物だし、1億円で売ってくれ!って言われても断ります。いや、1億円なら考えるかな?(笑)
先週お教室の生徒さんが凄いノートを持ってきた。2004年~と書いてあったので、4年前にこのお教室が始まった時からのノートの中には、デジカメでとった画像にイラストを書き込み、その下に説明文が加えられているのですが、その画像の量の多さと要点の分かりやすさ、しっかり順序どおりに工具の使い方、ナイフの入れ方の向きまで分かるようになっていたり、失敗した所をどうやって修正したかって事まで細かく書いてある。写真だから分かりやすいし、写真のアングルもなかなか良い。他の生徒さん達に回して見てもらったら、かなり皆さんやる気が出てきたみたいです。というより、コピーが欲しい!!と言っている人が多かったです(笑)。私も嬉しくって、自分のノートじゃないのに、『学ぶって事はこういうことだよ、諸君!』なんて言ってましたが、他にも細かくイラスト入りで丁寧にノートをつけている人も結構いて、皆さん目標は『出版します!』だそうですが(笑)、素敵な靴作り本が出来上がると良いですね。それらのノートは出版までいたらなくても(笑)立派な財産ですものね。一つでも多くのことを書き込んで、頭と体で技術を吸収していって下さい。疑問がでたらどんどん質問してくださいね。皆でどんどん上達していきましょうね!
週末に靴作りをして、週日の夜はノート作り。靴づくり三昧で楽しいじゃないですか!!靴の歴史なんて、たかだか200年。京都の八つ橋なんて創業400年とかって聞きましたんで、歴史的に言ってもまだまだ。(何で八つ橋と比べるかは?ですが。。。)もっと、もっと歩きやすく、履き心地良く、デザイン良く、長く愛用できる靴作りに改良できる余地ありありです。未来の人々を驚かす靴作り文化を”自分の両手”で築いていきましょう!!
本物を作ろう!
さてさて、今週もなんだかんだとお教室も終了。体調不良でお休みの方が多かったですが、皆様どうぞお大事に!
今週は自分で作った木型のフィッティング(仮縫い)を終え、普通は仮縫い靴は破棄してしまうのですが、『もったいない』と言って、セメンテット用のウェルトをつけて、ゴム底をつけて、十分履ける靴にしていた生徒さんもいました。『なんか、これで満足しちゃった!』と喜んでいましたが、ちゃんとシャンクやサイド・ライニング入れて、革底の履き良さと、比べてみるのも良いですよ!以前にも、同じ木型でセメンテット製法の靴とハンド・ソーン製法の靴を作った生徒さんが、履き心地の違いをびっくりしていましたが、これは理屈で幾ら説明しても、体感してもらわないと分からないことなので、是非試してもらいたいです。
その他にも、1足目の木型を抜いた生徒さんも2名いました。一人は足の薄くて細い方なので、中に敷物を入れて調整しなくてはならなかったですが、もう一人の生徒さんはかなりフィットしていて、『あ~、ほうほう。。へ~。。』など、一歩づつ丁寧に床を踏みしめながら、意味不明な単語を発していたかと思ったら、教室に履いて来ていた靴を指差して、『この靴って全然あっていなかったんだ!全然あってない!!』と、自分で作った靴のフィット感の良さを不思議がっておりました。良かった、よかった。
ただ、靴の本当のフィッティングが分かるのは数ヶ月歩いた後に分かります。最初は革が硬く、ソールのそりが悪い為と、インソールもなじんでいない為と、アッパーにしわがまだ入らない為に、その靴が本当に心地よくなるまでには至らない。逆に、足入れの時は『ぴったり!』と思っても、なじんできたら指に当たる部分なども出てきたりするので、靴を最後に完成させるのは、靴の持ち主の仕事となります。勿論、その後に再度職人が修正を重ねるのですが。。。ですから、完璧に靴が完成するには、靴の製作が終わった後、数ヶ月を要します。大体、4ヶ月履いてみて、なお問題がなければ、『完璧なフィッティング』となります。
4ヶ月位履くと、フィラーのコルクもインソールもあるべき形に形成されますし、ソールも返りが良くなり、その結果紐の締めの位置も定まって来ます。足入れの時に12ミリ位、羽(フェーシング)が開いていた場合、丁度良いと思われる6ミリ位の開きに収まります。ですから、最初から開きが6ミリしかない場合、なじんでくると羽が全部閉じてしまい、羽の調整が出来なくなってしまうので、こういった場合はふつう、中敷に厚いものを入れて底からスペースを上げることを殆どの靴屋さんはしています。私の場合は、底に厚い中敷を入れるとせっかくの木型の形状を失ってしまうのを避けるために、タンを取り外してタンの中にふんわり感が心地よいフォームを入れます。そうすることにより、木型のボトムのフィッティングを変えることなく、羽の開きを出すことが出来ます。手間は掛かりますが、木型から全部一人で作っているわけですから、今更そんな手間の一つや二つ、何てことないですよね。
手間を省かないという事で思い出しましたが、今週の教室でも生徒さんが『一つ雑に作業すると、どんどん雑が広がっていく。。。』って言ってましたが、それは確かです。真っ直ぐにすべきところを、『あ~面倒くさい!』といい加減にしてしまうと、後々いくら叩いても削っても”真っ直ぐ”にはなりません。インソール作りをいい加減にすると、ウェルトがゆがみ、ソールがゆがむ。釣り込みをいい加減にすると、アッパーはゆがみ、しわが入り、ウェルトもゆがみ、ソールもゆがみ、ヒールの積み上げが過酷になったりもする。手抜きは全部自分の後々の作業をどんどん困難にするだけでなく、仕上がりも今ひとつになる。これは、すべての物づくりについて言えることでしょうね。早く、大量に出来るからと言って農薬をふんだんに使った野菜は畑をだめにし、人間の体に害を与える。製法の甘い服はすぐにほつれてくるし、家具も電化製品も手間を省くとろくな物にならない。作り手はどうすれば良いのもが出来るかって知っているのに、コスト削減、手間削減ってばかりやっている昨今、せっかく自分の靴を作るのですから、思う存分手間暇かけて、本物の物づくりをしていきましょうね。本物と本格派は全然違いますよ。
ファースト・シューズ
今週は年内に靴を仕上げようとがんばる生徒さん達の気合が漲っておりました。食欲の秋、読書の秋、スポーツの秋に『靴作りの秋』も加えて頂きたいと思います。この調子で今年を乗り切りましょう!
11月にBWS日曜教室http://www.geocities.jp/benchwork_study/sunday.html (←こちら詳細)を開催いたしますが、靴作り初心者の方でも気軽に作れますので、是非是非ご参加くださいませ。こちらのファースト・シューズ作りは木型を使わずにベビーシューズが出来ますので、作り方を覚えておくとプレゼントなどにも喜ばれますし、自分の靴のミニチュア版なども応用で作れますので、楽しいですよね。
生徒さんの中にも、奥様がご出産間近の方もおりますし、自分の姪っ子さんの為にベビーシューズを作成中の生徒さんもいます。大切な新しい家族の為に靴を作ってプレゼントするってのはとっても素敵なことですよね。
生まれて初めて履く靴ってのはとってもスペシャルで、これから始まる人生をしっかり地について歩いてもらいたいという願いも込められていると思います。ヨーロッパ等ではファースト・シューズを一生大切に持っている人も多く、私も息子のファースト・シューズは玄関に飾ってあります。今や、私の足のサイズとほぼ同じ大きさの息子の足を見ながら、嬉しいような淋しいような気持ちですが、玄関で小さなかわいい靴を見るたびに、息子の赤ちゃん時代を思い出して懐かしく暖かい気持ちになります。日本にもファースト・シューズを大切に取って置く習慣が根付くと良いと思います。
日本では一生とって置くものって、写真と『へその緒』くらいですものね。私がイギリスの病院で出産した時に看護婦さんが『日本人はへその緒を取って置くって聞いたから、はいこれ!』って渡されたへその緒は20センチもあり、まだ乾燥していないものを”生”で手渡され、途方にくれましたが(笑)。。。ま、へその緒も良いですが(笑)、ファースト・シューズを見ながら、子供達の成長を楽しく見守ってゆくもの良いですよね。
休日のナマステ、ヤーマン!
ナマステ、ヤーマン! なんのこっちゃ? 日曜日に急ぎの仕事を片付けて、昼過ぎから代々木公園で開催されていた『ナマステ・インディアン』へ行き、インド三昧をしてきました。インドの料理をたっぷり食べて、インド雑貨を友人と興奮ハイテンションで漁り、満喫。沢山の人と、出展数の多さに友人と『これからは韓流でなく、インド流の波が来そうだね!』とワクワク。『インドが大好き!!」と言うと、たまに『ねえ、インドのカースト制度についてはどう思ってるの?』など言う人が未だにいて、『じゃあ、日本の沖縄問題や、アイヌ、イヌイットについてはどう思うの?』と聞き返しますが、すべての国の文化には良い面と悪い面が必ずある。私はそういう事以前に、それぞれの国の持つ歴史や文化を良い面から見たい。イギリスに行きたての時はインド人の多さにびっくりしたけれど、彼らの勤勉さと知的さにも驚いた。ヒンドウー教の神様達の神話はヒチャカ・メチャカで、人間の奥底にある善も悪も体現していて面白いし、ヨガの素晴らしさ、宗教アートのポップさ、食事の美味しさ、美男美女の多さ(笑)にインドに首ったけです。そんな訳で、フラッと寄るつもりが、時間がアッという間に過ぎ、夕方急いで新木場へ。
新木場で、『CLUB SKA』の20周年があり、SKAの王様 ”THE SKATALITS”がジャマイカから来日でのライブあり。彼らのステージを見るのは4回目(イギリスで一度)。60年代から活動しているバンドで、杖を突いて歩いているメンバーもいるので、ステージに見えてからマイクに辿りつくまでのゆっくりさが、おージャマイカ!!って(笑)感じでしたが、楽器持って音が出たとたん、『かっこいい~』と興奮した。70歳過ぎてこんなにかっこよく見える男達、あんなにかっこよい音楽って!やっぱりジャマイカン・スカ(ロック・ステディー)は最高だ!!ライブ中、ずーと昔の事が色々と思い出されて、懐かしくって仕方がなかった。私は15年位前まで、SKAバンドを6年間やっていたから、『CLUB SKA』は馴染みがありイベントには時々参加していたし、当時お世話になってた方々もDJブースに勢ぞろいしていて、タイムトリップした感じでした。2階から見ていたんだけれど、1階はフロアーを埋め尽くす大勢のSKAファンがピョンピョンとSKAのリズムに合わせて踊りまくっていて、圧倒された。60年代にジャマイカで生まれた音楽がイギリスへ渡り、ロックと混じって2-TONとなったり、その後日本に渡って、東京スカパラのような和製SKAが出来たりと変容しつつも、未だに人々を魅了してやまず、SKATALITESは益々リスペクトされている。レゲエの生みの親でもあるSKAがオリジナルの人達によって守られている。どんどん新しく変化する素晴らしさも音楽にはあるけれど、ずーと変わらず守られ続けられる音楽も素晴らしい。ライブが終わって、興奮で高揚した友人と銀座の名曲喫茶へ行こう!と銀座へ行ったら、無くなっていて(涙)残念。。。と思っていたら、高校時代の友人から『今すぐ、蒲田へ来い!』と電話が来て蒲田へGO.
蒲田へ着くと、沖縄に住んでいる友人が出張で東京へ来ていたので、一緒に飲む。22,23年の付き合いだから、お互いを知り尽くしているつもりなんだけれど、沖縄の友人は合うたびに純粋になっていっている気がする。色んな苦労を乗り越えて、どんどん純粋にどんどん心が広くなっている。20年前は自分が今のような大人になるなんて思っていなかったよね!とお互い『年齢を重ねる』って事の不思議について話す。肉体年齢と内面年齢ってのは、かなり開きがあって、内面はまだ20代なのにね~。きっと70歳位になっても、同じなんだろうね。と。70歳になっても、好きな音楽にワクワクして、好きな事に没頭して、お酒飲んでワイワイ馬鹿やって、小さい悩みに戸惑ったり、変で面白い人間に惚れ込んだり、体の不調を抱えても医者の指示に従わず(笑)、何をするにも少数派の方へ寄りがちで。。。。人生ってのは、その人の意思でいくらでも変われるものだけれど、変わらないってのも、悪くないな。
本当にこの日は色々あったのだけれど、一貫してテーマは『不変の良さ』だったようです。私の仕事についてもそうだけれど、不変であり続ける為には、「今」を後悔しないように自分を信じて、周りの疑わしい波に乗らないことだろうな。やってる事は変わらなくても、人間は幾らでも精神的に成長できるものね。より広く、より深く、自分を掘り下げて生きたいです。
あみだ結果発表
本日の午後のクラスで『あみだ』による公正な選抜により、ロブ木型職人による、木型作製モデルとなる足の持ち主が決定しました!!選ばれし者は!!ドラムロール。。。。。。。。♪土曜日・午前クラスの七海さんに決定しました。おめでとうございます!!他の方々、来年に期待しましょう~。いや、自分で木型作りに励みましょう!
今週も上記のようなこともあり、ワイワイと賑やかに9月の教室も終わりましたが、最近は生徒さん達の作る靴も華やかな靴が多く、私も楽しいです。コル○のパクリ木型を作っていた人も思いのほか(笑)出来上がったら、素敵な靴に仕上がって、本日履いて来ましたがなかなか良い出来です。1足目の靴が出来上がった人達も、1足目にしては本当に良い出来で、かわいく&かっこよく履きこなしています。私は途中経過の段階で、どうなることやら。。。。と不安が何度もよぎりましたが(笑)、木型を抜いてポリッシュ終わるとすっかり見栄えが良くなって、良かった~!!と胸を撫で下ろすのですが、作った本人もキラキラした目で喜んでくれるので、本当に嬉しい。現在、『いい加減、HPをもっと何とかしよう!計画』を考え中で、新しいHPには皆さんが作った靴を随時アップしていけるようにしたいと思います。だって、本当に素敵な靴が多いですもの。木型もそれぞれの個性が出ていて面白いし。
木型製作を教えていて、面白いな~と思うのは、足の形に合わせながらバランスをとっていくと、その足の持ち主の雰囲気にマッチしていくこと。私は注文靴を作っていて、お客様が足入れをして鏡の前に立った時、『わ~似合うな~』と毎度思うのですが、これは私の思い上がりか、私の才能か!?と思っていましたが(笑)、基本をしっかり抑えて作れば、誰が作ってもそうなるのか~と、思い始めてます(撃沈)。ま、でも自分で自分に似合う靴が作れるって事は、素晴らしいことなので良いとしましょう。
教室始まって以来の、1足目製作に恐るべき長時間を費やしている生徒さんもやっと本日メンチュロウをヒールとウェルトに塗る事が出来て、靴が仕上がった日にはクス球を割りたい位なのですが、毎週毎週、私にケチョンケチョンに言われ、慰められ、急かされ、脅され、励まされ。。。。の日々を送って数年。。。1足目が終わったら、『もう靴作りなんてヤダ!』と言うかと思ったら、『2足目はブーツ作ります!』と飄々と言うのでズッコケました。それぞれ人のペースと時間軸って違いますね~。楽しんで靴作りをするってことが一番大切な事だと思うので、長~い目で見守って行こうと思います。でもK君10月中には。。。。いや、そのままマイペースで楽しんでください。(笑)
個性的で愉快な50人の生徒さん達の靴作りに立ち会える日々、なんだかとっても幸せです。靴作りってやっぱり良いですね。
雨用の靴&靴の製法色々
今日お客さんと次に作る靴のことを話し合っていて、スウェードの革をお見せして『この革は撥水性がありますよ。』という言葉から、雨用の靴を作りましょうと言うことに急転換しました。『革底の革靴を雨用??』と不信がる人は多いいと思いますが、雨用の革靴も可能です。台風のような大雨じゃ、やはり不安ですが、小雨や『今日は雨の確率が50%だけれど、どの靴履こう?』と悩むようなときには是非お勧めしたい、というような靴は可能です。
この場合、アッパーの革はエナメルかスウェードかヌバックの革を使います。エナメルは水をはじきますので、お分かりいただけると思いますが、スウェードやヌバックは”毛”がある為に、革の地肌(銀面)に直接雨が付きづらく、”毛”が守ってくれる。今回仕入れていたスウェードは油分が多い革だったので、水をつけても革の上で水の粒となって乗っかっていて、水を良くはじく。油分の少ないものでも、スウェード用の防水スプレーを吹きかければ同じように機能してくれるので、問題ない。
さて、底材。通常と同じ革底材を使いますが、作る際にソールの革は良く水に浸して水気を取った後、じわじわと乾くように影干しを少しして、湿りけのあるうちにハンマーでガンガン叩いて、きめを潰しておく。こうしておくと革は硬くなって若干薄くなりますが、目が詰まってその後、水に濡れても、縮まなくなる。こうしておいて、出し縫いすると水に濡れても革の縮みも少なく、水の染込みも少なくなるのですが、さらに、雨用にするにはソールとフィラーの間に、防水性&撥水性の高い布を入れておくと、ソールが水に濡れても靴の中にまで染込むことがなく、さらに安心。この布は防水&撥水性のあるフィールド・ジャケットに使われるような布を入れるのが良い。下手にビニールのような通気性のない物を入れると、履いた後、水が靴の中に溜まって逆効果。布であることがポイント!
以上のことで、かなり雨対応できますが、もう一押し。『水』を何が何でも入れないぞ!という場合に、ウェルトを『ストーム・ウェルト』にする。(日本ではノウィージョン・ウェルトって売られてる)これは、ウェルトの形状が普通のウェルトのように平らな革でなく、ウェルトの中央部に山が付いているもの。この山を木型の輪郭を縁取るように掬い縫いしていくと、ウェルトとアッパーの間の隙間がなくなる為に、雨をシャット・アウトできる製法です。
こんな感じで、雨用靴が出来上がります。後は、雨の日に履いた後、新聞紙を丸めて靴の中に入れて、しっかり湿気を取った後、シュー・ツリーを入れて、トリートメント効果のあるクリームを靴底に塗って頂けたら、完璧!雨の日もダンディーでいられます(笑)。
『ストーム・ウェルト』も『ヴェベルド・ウェイスト』も『スクウェア・ウェイスト』もインソールの作り方が違うので、生徒の皆さんには、実際にそれぞれを作ってみて製法の違いを楽しんでもらいたいです。この他の製法としては『ノウィージョン・ウェルト』(アッパーの脇に縫い目が見えるもので、アッパーをインソールと縫った後、アッパー下の部分をウェルトとして使う製法)こちらも、防水に良い。それから、『ノウィージョン・ストーム・ウェルト』ってのもある。こちらはノウィージョンとストームの合体型で、ウェルトとアッパーとインソールをノウィージョンの要領で縫い付けた後、ウェルトを倒してソールと縫う製法ですが、見ないと「何のこっちゃ?」って、感じですよね(笑)。そのほかに『ノウィージョン・ストーム・ノウィージョン・ウェルト』(他の製法名があると思いますが。。。)って、もういい加減にしてちょ!って感じの製法もあります。こちらは簡単に説明すると、やたらとステッチが多い製法です(笑)。(注:製法の呼び名は国や会社で違います。ノウィージョン系は特に!ややこしい。)
その他は『ブラインド・ウェルト(またはドレスと言う』」(ウェルトを見えないように前周ヴェベルって感じです)、『パンプ製法』、『チャンネル・ウェルト』(ウェルトにチャンネル(ふた)を空けて縫う製法です。)とりあえず私が出来るのは上記の製法です。まだ、靴の製法は色々あるけれど。。。。『オパンケ(カ)』は日本でやり方覚えたけれど、見た目が『かっこいい』とも『美しい』とも思わないので、たぶん一生作らないと思うし、『マッケイ』は機械生産用に開発した製法なので、これをわざわざ手でやる必要性が全くわからないので、やらない。『マッケイ』については、生徒からも時々聞かれるんだけれど、マッケイ製法だと、オールソールの修理の限界回数が2回くらい。機械だと、元の穴と同じ穴に縫うことが不可能に近いらしいので、何度もオール・ソール取替えをするとインソールが穴だらけになってしまうので、2回位が限界だそうです。修理の場合、手で穴を見ながら縫えばもっとソール取替えができると思うから、修理用にマッケイ製法を知っておくのも良いかと思うけれど、仕事で賃金貰う場合、人件費がかなり掛かると思います。。。。
それとマッケイは掬い縫いをしないでインソールとアッパーとソールを直接いっぺんに縫うので、縫うまでアッパーはインソールに糊付けしているだけで、アッパーとインソールの一体感が弱い。釘でグイっとつり込みしたまま、ウェルトを縫いつける掬い縫いがない分、テンションの掛かり方がハンドソーン・ウェルテッドよりだいぶ劣るし、生産性の良さ以外に長所が見つけられなく、興味もわかないので作らない。このテンションの弱さはパンプ製法でもいえるけれど。パンプはオペラ・パンプスとルーム・シューズ用なので知っておいても良いかなと。ま、日本でハンドソーンの革底のルーム・シューズを履く人はいるのだろうか?ですけれど、イギリスではベルベットのスリッポンで甲の部分に手縫いの豪華な刺繍が施される。家の家紋や会社のマークを入れる人もいるし、奥様が自分で刺繍して、『夫へのクリスマスプレゼントに!』なんて素敵なことする方もいました。私はあのルーム・シューズ見ると、バスローブ着てブランデーを片手に、葉巻をくゆらしてる姿を想像してしまいますが。。。(笑)私も一足持ってるので、今度教室に持っていきますね。ロブではクリスマスに社員に一足靴をプレゼントしてくれるんだけれど、その靴はお客さんがキャンセルした靴や、修行中の職人が作った靴の中から選ぶから、自分の足に合うものは見つからないので、何でもいいや!って、このスリッパを貰ったの。それが、なぜかサイズがぴったりで驚いたんだけど、履く機会は今だなし。今度、バスローブとブランデーと葉巻を用意して履いてみようかな?(笑)
あみだ 今週締め切るよ。
やっとこさ工具がイギリスから届きました!!こんなに遅れた理由は、何だか色んな理由があったようですがとりあえず届いてよかった、よかった。ってことで、今週からイギリスからの工具の発注受付を始めます。ポンドが安いうちに発注しときましょ~って、出来上がるのはいつのことか?とりあえず、工具を欲しい人は、カタログから選んで、教えてくださいね。工具は少しづつ、必要なものを揃えていく楽しみと、作る意欲と、倦怠を乗り切るきっかけ(笑)もくれますものね。
それから、11月にロブの木型職人が木型の講義をしてくれる予定です。その時、生徒の1名のドラフト(足型)から職人が木型を作ることを見せてくれるので、その1名を選出する『あみだ』大会をやります。あみだ大会(笑)に出場希望の方は、教室内の伝言メモに名前を記入してください。見事あみだで選ばれた方は、ロブの木型職人に自分の木型を作ってもらい、その木型をプレゼントされます。ラッキ~!!あみだは今週締め切りますので、急げ!!来週、あみだ大会を地味にじみーに行います。
今週も世間はバタバタと色んなことがあって、不安も益々つのりますね。リーマン・ブラザースの経営破綻!!サブプライム問題もどんな具合に進んでいるのか?って時、米軍事産業専門投資会社カーライル(ブッシュ一族経営)の子会社のヘッジ ファンドがつい最近倒産して、あれれ??と思っていたら、リーマン・ブラザースが!!このまま、世界恐慌に突入したら、第3次世界大戦へ!ってことになりますからね。冗談じゃなく。
農薬漬けのお米もね、酷いよね。私は食料の調達は、生活生協かワークショップの数件隣のNATURAL HOUSEで購入しているから良かった。。と思ってたら、給食も!!ってんだから。何を考えてるんだ!!官僚の癒着もあるらしいしね。腐った人間が上から目線で国民の安全も何も考えず、目先の欲のみで責任の重さも何も分からないんじゃ、どうしたらいいのよね。政治家も官僚ももう誰も信用なんてしていないと思うけれど、どうなってしまうのだろうね。私達の生活は。自民党の首相争い演説もどきで『チェンジ!チェンジ!』といってる人もいますが、それが分かってるなら、早く政権交代しちゃってよ。自民党は腐りきちゃってるもの。民主党はとりあえず、自民党を潰す事に夢中で、ハードルの高い事言ったりして、実際に実権をにぎっても公約なんて守れっこないのは目に見えるしね。がんばれ!社民党、共産党!!後ろの方で小声でムニュムニュ言っている場合ではないでしょって、思います。
アメリカの大統領選の演説見てると、なんだかこっちまでやる気になってくるのはなぜだろう?(笑)あんな演説された日にゃ、「ついてくぜ!!」ってこぶし握っちゃう気持ち分かるわ~。リーダーらしく見えるものね。日本人は何でああいう演説を誰もできないのだろう?演説の教育も必要よね、リーダーを狙う人達は。人に的確に伝えるって事ができないと、リーダーなんて務まらないものね。
ま、また世間話の愚痴は尽きないのでこの辺でやめておきますが(笑)、パラリンピックは良かったな~。日本も沢山メダル貰って、感動した。私はオリンピックに関しては無関心で、どうでもいいの。だって、テレビや新聞に取材されてる選手って、みんな大企業のスポンサー持ちでしょ。オリンピックの選抜選で負けたのに『ママでも金』とか言ってた人とか、オリンピックに出してもらっやって、彼女に勝った選手の立場はどうなるのだ?彼女の悔しさとか、この4年間のがんばりは報われるのだろうか?スポーツマンシップが聞いて呆れる。企業に振り回される選手が可哀想で、見てられない。それに比べて、パラリンピックは地味なのが良い。TVでもっと見れたら良いけれど、そうなると汚されるような気がするから、地味でいいの。スポーツを通して、本来のオリンピックの目的であろう国同士の交流や、個人の努力の成果が私を純粋に感動させてくれた。人って凄いな~って、私もがんばろう!って勇気をもらえた。パラリンピック、4年後も楽しみだ。
「当たり前って」何だろう?
米同時テロ9.11から7年が経った。7年前のこの日、当時の会社の同僚がNYへ出張へ行っていて、ホテルのテレビで信じられない光景を見て、ホテルの窓から外を見たら、テレビの光景と全く同じに煙を出しながら崩壊していくタワービルが目の前に見え、体中に鳥肌を立てながら頭の中が真っ白になったと、出張から帰ってきてから教えてくれた。私は友人が数人NYに住んでいたので焦って連絡したら当日は電話が繋がらなかったけれど、友人達は全員無事でほっとした。あの日を境に戦争に対する不安は一気に増した。『なぜテロ組織は結成されたのか?』『なぜ人間は戦争をするのか?』って疑問が自分の中でどんどん大きくなっていった。色々な本を読んだり、ネットで調べたりするたびに、少しづつ世界の歴史と資源をめぐる闘争と、それにかこつけて儲けようとする欲の塊の一部の人間達に怒りが起こってきた。犠牲者はいつも何の罪もない市民だから。
この7年間で世界情勢は不安と恐怖と沢山の不幸を多くの人々の生活へ運び込んだ。そして、益々世界平和から遠ざかるニュースで世界中溢れている。イラク情勢も何の改善もないままに、何の罪もない人々が無残に殺され続けている。この間にロシアと中国は力を持ち、今後のアメリカとの冷戦再開の不安もつのる。激戦中のアメリカの大統領選の結果によって、平和への希望が持てるのか、最悪の事態が発生する可能性が出てくるのか、日本のこれからにも関わってくる。そんな中、リーダー不在の日本では、国民を無視して、何のマニュフェストも持っていない『ただの目立ちたがり議員』達が、お祭り騒ぎで首相の”席とり合戦”を始めた。どうせ数ヶ月の名ばかりの”首相”になるだろうに、幾ら税金の無駄使いをする気だろうか?福田首相もこんな事言ってますが、↓
http://www.mmz.kantei.go.jp/jp/m-magazine/backnumber/2008/0904ya/0904souri.html
政治とは何かと聞かれ「当たり前のことを当たり前に誠実に積み重ねていくこと」と答えていますが、もう『ええええ!!!!???』ですよね。当たり前のことって何ですか?と聞きたいところです。国民の「当たり前」と政治家の「当たり前」のギャップを考えると、2世議員なんて、一般国民の生活状況を知らないのだろうし、興味もないのでしょうね。
私達国民、世界の人類全員の『当たり前』とは、毎日普通に雨露しのげて、プライベートが保てる家で、普通にご飯が食べれて、普通に清潔な寝具で睡眠ができて、普通に仕事をして、普通にお給料がもらえて、普通に家族と仲良く笑って、普通に夢持てて、自由に語れて、普通に文化活動を楽しめる、って事じゃないでしょうか?そうすることが、そんなに贅沢なんだろうか?そんなに難しいことなんだろうか?何にもしていないのに、生まれた国がそこだったってだけで虐殺されたり、宗教や肌の色や目の色や国籍で人間扱いされなかったり、国や命を奪われたりって事が世界から消えることはありえないのだろうか?そんな理不尽なことが起こらないようにするために、国民が安心して生活できるように環境を整えるのが政治家の仕事だと思っている私は間違っているのだろうか?『当たり前』の人間の生活ってのは何なんだろうか?
どうか、7年間という月日がただ意味なく過ぎていませんように。人々の苦しみと悲しみがただの過ぎた過去の日々に決してなりませんように。
BWS日曜教室
展示会で発表しましたが、11月から不定期に『日曜教室』を開催いたします。
日曜教室ではBWSで学んだ講師たちが、物作りの楽しさ、手を使う楽しさを一人でも多くの人に伝える為、一緒に楽しむ為に1回から4回で仕上がる履物作りの手ほどきをしていきます。
第1回目は”ファースト ベビーシューズ”です。2回の受講で一足完成します。詳細、連絡先などはこちら↓
http://www.geocities.jp/benchwork_study/sunday.html
ハンドソーン シューメイキングはちょっとハードル高いかも?などお思いの方や、妊婦の親戚や友人のいる方、または妊婦本人が生まれてくるエンジェルにプレゼントを作ってみてはいかがでしょうか?きっと楽しいですよ。とってもかわいいし!!
HP上に載っているサンプルはあくまでサンプルで、自分のアイデアなどを入れて、世界で一足の素敵なベビーシューズを是非是非!!!
第2回目は12月に”原毛から作る、フェルトスリッパ”作りです。フェルトを作るということ自体、楽しそうですね。自分でフェルトが作れれば、バックや小物など、色々な物づくりに応用できますものね。
BWSにはとてもセンスの良い、面白いこと大好きな人達が沢山おりますので、どんどん持っている才能を外へ向けて発信してもらいたいと思っています。私は、ただただ応援するのみですが、BWSの小さな工房で楽しい『日曜日』が繰り広げられることでしょう。興味のある方はどなたでも参加できますので、有意義な日曜日をどうぞお過ごしくださいませ。
生徒さんの中で、講師希望の方も私がしっかりトレーニングや企画立てを指導してゆきますので、どうぞお申し出くださいませ。もちろんビシビシ行くよ~。(笑)
Bootees
蒸し暑い残暑。。。今年はいきなりの大雨や雷が数日続き、日本は熱帯雨林か?って感じですが、何とか元気に靴作りを楽しんでおります。
このところ、ブーツを作っている生徒さんが5人位いますし、私のお客様からもブーツのオーダーが増えて来ています。生徒さん達の場合、履けるのは来年の秋か?って感じですが、お客様のは何とか年内に皆さんに履いて頂けるよう、気合を入れてます。
ブーツ、ブーツと言ってますが、正確にはブーツの長さが6インチ(約15センチ)以下のものはブーティー(Bootee)と呼び、ライディング・ブーツのようなひざ下までのものをLONG BOOTSと呼びます。それらをひっくるめてBOOTSと呼んでいます。
日本では履く人はいないと思いますが、イギリスではLONG BOOTSの基本的デザインがかなりありまして、英国紳士はPTOに合わせて、履き分けているのですが、ミリタリー・ウェリングトン ブーツ(軍人用)、ステップ・イン ブーツ(スポッと履ける、ジップも紐もない、長靴のようなブーツ)、グリーンリー ブーツ(ホールカットの外羽式で上部に3本のバックル付ストラップのついているブーツ)、オックスフォード・フィールド ブーツ、ナビカット・フィールド ブーツ、バトル・ブーツ(外羽式のグリーンリー・ブーツ)、ライディング・ブーツ(乗馬用)など。どれも機能性に優れたデザインですが、現代社会ではどうなんでしょ?って感じのクラシックスタイル。ライディング ブーツは日本でも乗馬をされる方には必要なブーツだと思いますが、ひざ下までの全部のフィッティングが重要ですので、かなりパターンは難しいですし、革もかなり硬いWAX CALFを使うので職人泣かせのスタイルです。特に、丈の長さが馬の乗り心地にも左右するので、ロブの店内には馬の高さのサドルが用意されていて、フィッティングの時にお客様が店内のそのサドルにまたがって、丈の長さをチェックします。初めてお客さまがそのサドルにまたがっているのを見たときは、目が釘付けになっちゃいました。
で、生徒さんやお客様のオーダーは殆どBOOTEESなのですが、こちらは サイド・エラスティック、ジップ・ブーティー、ジョッパー、ハイロウ、ダービー、オックスフォード等のブーティーがあります。丈は11センチから15センチ位が、紐の数もそれ程多くならないし、履きやすい長さだと思います。もちろん、好きな長さにいくらでもできますけれど、靴、特にブーツは履きづらいと本当に出番がどんどん少なくなってしまうので、できるだけ脱ぎ履きし易いものを提供していきたいので、デザインをする時そういった所に気を使います。私は個人的にサイド・エラスティックがお気に入りで愛用しておりますが、60年代のビートルズが足首にぴたっとしたものを履いていて、どうしても同じものが欲しくて作ったのですが、あまりにぴったりしていて見た目は最高なのですが、履くときに足首のところで靴下止まってしまい、足入れをした後も、靴下が足の先にピター!!ときつく伸びきった状態で、うっ血するかと思った程。ちゃんと心地よく履けるまでにゴムが伸びてくれるまで半年はかかった。。。(涙)
一番楽で、履く回数が多いのはインサイドにジップが付いている、ヨーコ・オノ仕様(笑)のブーツです。かなり履き続けているので、ヒールを何回取り替えたことか。。。。今年も活躍することでしょう。
ブーツはデザイン的にのっぺりしやすいので、ストレート・キャップやウィンク・キャップがあると靴と同じ感覚で履けるので、丈とトウ・シェープのバランス次第でどんな雰囲気にもなるし、ビシッとスーツを着て足を組んだとき、すそからブーツのデザインの美しさがチラ見えするのは、なんともセクシーです。明らかに、靴下の上からすね毛が見えるのより100倍はエレガントです。(笑)
そんな訳で、この秋から冬にかけてはブーツ作りに没頭しま~す。ワクワクです。生徒の皆さんも、憧れのかっこよいブーツ作りをがんばろう!