靴ノート
人間の記憶力ってのは、かなり”あやふや”なもので、一度にいくつもの事を覚えていることはとても難しいことです。一足目の靴を作り終わって、2足目を作り出す時に『インソールってどうやって釣り込むんでしたっけ?』と殆どの人が言いますので、『私って、記憶力ないんです。。。。』って落ち込んでる人がいましたが、全然普通です。
で、生徒の皆さんには、事あるごとに『ノートに書いておいてね!』と言ってますが、ただ箇条書きで書き残しても、後で読んだら『なんのこっちゃ?』って人が多いのではないでしょうか?
アッパーを釣り込む とだけ書いていても、どうやって木型にアッパーを沿わせて、どうやって何ミリの釘を一番初めに打つか、アッパーを真っ直ぐに設定するにはどこを見て真っ直ぐのバランスをとるか?などなど、書き込むことは多いと思いますが、私が学んでいるときはイラストで、上から見た図と断面図を書き、その時使う工具とその握り方、力加減などもみっちり書いたはずでしたが、2足目を作る時、そのノートだけでは沢山の疑問や不確かなことも出て来たので、足数を重ねるごとにノートにどんどん付けたし、修正を加えていった。そうやっていって、ノートに書き込むスペースが無くなる頃には、ノートを見なくても靴が作れるようになっていました。
今でも私はノート付けはしていて、素材の違いによる制作方法の違いの検討や、他の職人から聞いた話や、革の厚さに対しての糸の本数での見た目の違いや耐久性についてだとか、まだまだ沢山書き込むことがある。そして、私はこのノート付けが大好きです。イラストに嵌ってみたり、どうやって説明したら理解しやすいか?なども考えていくと本当に楽しいし、ノートのページが増えるごと、冊数が増えるごとに満足感もあり、読み返しても楽しいです。私の宝物だし、1億円で売ってくれ!って言われても断ります。いや、1億円なら考えるかな?(笑)
先週お教室の生徒さんが凄いノートを持ってきた。2004年~と書いてあったので、4年前にこのお教室が始まった時からのノートの中には、デジカメでとった画像にイラストを書き込み、その下に説明文が加えられているのですが、その画像の量の多さと要点の分かりやすさ、しっかり順序どおりに工具の使い方、ナイフの入れ方の向きまで分かるようになっていたり、失敗した所をどうやって修正したかって事まで細かく書いてある。写真だから分かりやすいし、写真のアングルもなかなか良い。他の生徒さん達に回して見てもらったら、かなり皆さんやる気が出てきたみたいです。というより、コピーが欲しい!!と言っている人が多かったです(笑)。私も嬉しくって、自分のノートじゃないのに、『学ぶって事はこういうことだよ、諸君!』なんて言ってましたが、他にも細かくイラスト入りで丁寧にノートをつけている人も結構いて、皆さん目標は『出版します!』だそうですが(笑)、素敵な靴作り本が出来上がると良いですね。それらのノートは出版までいたらなくても(笑)立派な財産ですものね。一つでも多くのことを書き込んで、頭と体で技術を吸収していって下さい。疑問がでたらどんどん質問してくださいね。皆でどんどん上達していきましょうね!
週末に靴作りをして、週日の夜はノート作り。靴づくり三昧で楽しいじゃないですか!!靴の歴史なんて、たかだか200年。京都の八つ橋なんて創業400年とかって聞きましたんで、歴史的に言ってもまだまだ。(何で八つ橋と比べるかは?ですが。。。)もっと、もっと歩きやすく、履き心地良く、デザイン良く、長く愛用できる靴作りに改良できる余地ありありです。未来の人々を驚かす靴作り文化を”自分の両手”で築いていきましょう!!