その瞳に映るもの

東京カレンダーの二人

こんばんはいつもご訪問ありがとうございます8/21（水）発売予定東京カレンダー（特別号）の表紙に東方神起という事で、撮影ビハインドが昨日のXにあがっていましたね早速スクショ祭りだったのですが（笑）気になった事が一つスクショと共に書かせていただきます※ここから先はネタバレです発売当日まで何も見たくない！という方は回れ右でお願いしますでは参りますやっぱりくっつき神起～と思っていたら、ん？よーく見るとこのソファ、一人掛けを横に並べただけじゃーん!!!どうしてラブソファじゃないのーーーーっこれじゃあユノもチャンミンも密着不足で脇腹がスースーしちゃうチャンミンはめちゃくちゃ怖い眼差しをカメラマンさんに向けてますけど..."僕のユノヒョン最高でしょ？でもなんでこのソファなの？肘掛けが邪魔でくっつけないじゃないですか!?"それとは対照的に優しい笑みを浮かべるユノ、さすがです"仕事だからちゃんとやるけど、この肘掛けがちょっと邪魔かないや、仕事だからちゃんとやるけど、どうせならもうちょっとチャンミンとくっつけると良かったかな...アハハ"...と、勝手に心の声を代弁させていただきました今回のビハインドではこれが唯一のくっつき神起で、本誌にはもっといいショットがあるのかな？なさそう？そこが気掛かりユノとチャンミンのソロショットはたくさんありましたけど、やっぱりくっついて欲しい!!欲を言えば過去のVOGUEとか、禁断系のグラビアが欲しい↓↓禁断系↓↓密着神起が苦手な方も中にはいらっしゃいますが、ずっとブロケミでやって来た二人を見ている私にとって、めり込んでいない二人は二人じゃない!!くらいの気持ちです(笑)美しい二人が顔を寄せて甘美な空気を醸し出しているシーンは、溜め息が出るくらいに芸術的で、安っぽいBL要素は皆無ですよね!?気を取り直して、ビハインドのスクショをペタペタ貼っていきます!!やっぱりこういう髪型が好きーチャンミンのこの角度好きーで、本日Xに上がった画像がこちら↓ちょちょちょちょちょっと待ってユノとチャンミンが遠すぎる...遠すぎるのよぉ～...黙っていても、大きなソファに当たり前のように真ん中に密着して座る二人ですよ？黙っていても、無意識にお互いの方に傾いてしまう二人ですよ？エレガントなシルクっぽいブラウスを、上まできっちりボタンを留めているユノに対し、チャンミンは第二ボタンまで開けていて挑発的だし、どこか危なっかしい雰囲気間に3人くらい座れそうな余白は、どちらが先に仕掛けるか警戒している、そういうストーリーだと思っていていいですか？今回のコンセプトはブロケミ封印なのかな...だったらちょっと(いや、かなり)寂しいでも、そこに美しい二人がいるならそれを愛でるのみ!!!本誌を開くのが楽しみな事に変わりはありません来日したのはこの撮影だったのかな？エーネの打ち合わせとかも兼ねてたかな？帰国してしまったけど、酷暑の日本に来てくれてコマウォヨ～ユノとチャンミンがいつも笑顔でありますように...↓足跡代わりに、ポチ！お願い致します♪にほんブログ村※画像お借りしました※

俺の愛しいご主人様　１

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m俺がこの屋敷に仕えるようになってそろそろ5年...まだ執事としては赤子も同然だそもそも30代という若さでこれだけの屋敷に仕えるのは珍しく、本来ならばある程度の経験を積んでからが一般的だでも俺の場合、ここで執事として長年仕えていた父が引退する流れで息子の俺に白羽の矢が立った...という少し変わった事情があった執事の息子だから執事になる、という短絡的な考えでは決してなく、執事として働く父の背中を見て育った俺は、幼い頃からその仕事ぶりに憧れと尊敬の念を抱いていただから俺にとって、誰かに仕える事は決してマイナスではなく、むしろ尊ぶべき仕事だった屋敷の主である旦那様は、年齢的には父と殆ど変わらなかった温厚な性格で、誰にでも分け隔てなく接してくれる性格が俺は好きだった実際、父には執事としてよりも、友人として接してくれていたような気がするその旦那様が数ヶ月前に天寿を全うし、一人息子が後を継いだ一人息子はチャンミンといって、俺より2つ年下のとても美しい青年だ幼い頃から近くにいたので、もはや俺にとっては弟みたいな存在だ突然自分が屋敷の主となり、まだ気持ちが追い付いていないのか、頻繁に俺を呼び付けては執務やその他諸々の相談を受けていた「で、この手紙はどう処理したらいい？」チャンミンはクリーム色の封筒をポンと机の上に放り投げると、困り果てた顔で俺を見上げたそんな顔で見られても、内容を確認しない限り俺には答えようがない「チャンミン様、そちらは今朝、朝食の席で私がお渡ししたお手紙のようですが、内容はご覧になりましたか？」「勿論読んだよ、ユノも読んでおいて」「それは致しかねますこのお手紙はチャンミン様に届いたもので、私が確認できるのは宛先と送り主の部分だけでございます手紙の中身までは拝見できません」「でも読まないと、僕の質問に答えようがないよね？」「それはそうですが...」「僕がいいと言っているんだから、とにかく読んで」「...かしこまりました」「それと、いつも言ってるけど、僕に"様"ってつけなくていいよ子供の頃は呼び捨てだったでしょ？」「そうですが、今や屋敷の当主となられた以上、そういう訳には参りません」何か言いたげなチャンミンを無視して俺は封筒から手紙を取り出しさっと目を通した内容は至って簡潔、チャンミンからすると従兄に当たるS氏からで、先代が亡くなったお悔やみに屋敷を訪問したいと書かれていたでも俺は、S氏の目的がお悔やみだけでないのは分かっていた彼はチャンミンをただの従弟だとは思っていないのだ「...で、どうなさるおつもりですか？」「どうって...断る訳にもいかないし、招待するしかないでしょうね」「では、2階の一番大きな客間を掃除させておきます」そう言って書斎を出ようとしたら、"待って"と呼び止められた「ねぇ、本当に招待していいと思う？」「どういう意味ですか？」「だってほら、あの人は昔から何かと僕に...ユノだって知ってるでしょ」「チャンミン様に好意を寄せられている、という事ですか？」「そう、だから本当に呼んでいいものかどうか...招待するとなれば少なくとも一泊はしていくだろうし...まぁ、ユノがいるから安心と言えば安心だけど...」「起きている間は私もお傍にいられますが、寝室に下がられた後はなかなか...」チャンミンは渋い顔をして俺を見たその表情の意味するところは分かるけれど、まさか一晩中一緒にいる訳にはいかない「あ、だったらユノも僕の寝室で寝ればいいんじゃない？使ってない客間からベッドを一つ運び込めばいい」「私がチャンミン様の寝室で休むという事ですか？それは...」それは都合が悪い無防備なチャンミンを前にして、自分がまともに眠れるとは到底思えないそれに、執事と屋敷の主人が同じ部屋で眠るなど、他の使用人に知られたら一大事だ「それなら僕も安心だし、ユノも安心でしょ？早速ベッドを移動してもらおうかな...ユノにお願いしてもいい？」「チャンミン様、それはあまりよろしくないかと思うのですが」「どうして？従兄がいる間だけなんだから別に問題ないでしょそれに、僕がそうして欲しいって言ってるんだから、ユノは断れないよ」チャンミンはそう言って勝ち誇ったような表情を見せたこちらが何を言っても大抵はチャンミンの要望が通るのだから、無駄な抵抗というものか書斎を出ると、そのまま他の使用人に声を掛け、チャンミンの寝室に一番近い客間からベッドをどうにか運び出し、チャンミンの寝室の隅に設置したそれなりの大きさのあるベッドを本体と寝具と別々に移動するのはなかなか骨の折れる作業で、終わった頃には誰もがみんな汗だくだった事情も分からず作業に駆り出された使用人たちは、どういう訳でこうなっているのか興味津々で、いっそ事情を説明してしまいたくなったけれど、チャンミンとS氏の間に余計な噂が立てられては困るので、そっと黙っておいた夕食の席でチャンミンにベッドの設置報告をすると、何だか妙に嬉しそうだったたかが俺ごときが同じ部屋で休むというだけで、どうしてそんな嬉しそうな顔を見せるのかそれを見せられた俺がどういう想いでいるのかチャンミンは知らないし、無自覚だから厄介だ常に一定の距離を置いて接しようと努めていても、ふとした瞬間に俺の気持ちは簡単に揺らいでしまう「もう準備できたって事は、今夜からでも僕の部屋で寝れるんだよね？ねぇ、試しに今夜から来ない？」「え？」「ユノが僕の部屋で一緒に寝るなんて、なんだか子供の頃を思い出すよね」俺の目をじっと覗き込むチャンミンの大きな瞳に胸の奥がざわっとした確かに幼かった頃、旦那様のご厚意で時々チャンミンと一緒に寝させてもらっていた天蓋付きの大きなベッドに二人で思い切りダイブして、高価な羽毛布団に穴を開けて部屋中羽だらけにした事もあった今はすっかりそんな童心とは縁遠い年齢になってしまったけれど、チャンミンはその当時の事をしっかり覚えていたそれは俺にとっては意外でもあり、嬉しくもあった「お誘いは光栄ですが、自室で休ませていただきます」「そうなの？どうして？」「それは...私はあくまでチャンミン様の護衛の役割でございますから、今はまだ必要ないかと」「そう...それは残念」チャンミンは不満そうに残りのワインを飲み干すと、ナプキンで口元を拭って席を立ち、"書斎にいる"と言って食堂を出て行ったそれから俺はいつものようにキッチンで自分の夕食を済ませ、頃合いを見てコーヒー一式をトレーに載せて書斎へ向かったチャンミンはソファに座って本を読んでいた愛らしい丸い頬に長い睫毛が影を落としてるのが遠くからでもよく分かり、その美しさに一瞬我を忘れて見惚れてしまった「チャンミン様、コーヒーをお召し上がりになりますか？」「なんだ、それで来たの？てっきり寝室で寝る気になったのかと思った」「それは申し訳ございません」「まぁいいやコーヒーだったらユノも一緒に飲もうよ」「いえ、私は...」「いいからいいからあ、たまには僕がコーヒー淹れてあげようか」チャンミンはそう言うと、サイドボードに置いたポットを手に取りカップに注ぎ始めた当然のことながらカップは一人分しかない「どうしてもう一つ持って来なかったの？これじゃあユノの分が淹れられないよ」「チャンミン様の分があれば十分ではないですか私は後で下げに参りますので...」「ダメだって、ユノはここにいて僕の話し相手になってよ従兄が来るって分かったせいか、なんだか気分が落ち着かなくて」チャンミンはカップを持ってソファに座ると、自分の隣を叩いて"ほら"と言ったどうしたって断れそうにもないと、俺は諦めて隣に腰を下ろしたこうして二人で過ごす事は時折あるけれど、今夜の俺はチャンミン同様、S氏の事で妙な胸騒ぎがして落ち着かないチャンミンはコーヒーカップを両手で包んで一口飲むと、しみじみと"美味しい"と言ったその吐息まじりの言い方にドキッとして、慌てて視線をよそに移した距離が近過ぎるとこうなるから困るのだ「ユノも遠慮しないで飲んでよ、冷めると美味しくなくなっちゃうから」そう言ってチャンミンが俺を見たけれど、幼かったあの頃とは違い俺たちはもう大人で、主人と執事という立場上、同じカップを使う事はできないいや、それ以前に...躊躇していると、チャンミンはカップを手に取り俺に差し出した「まさか僕が淹れたコーヒーが飲めないなんて言わないよね？」冗談交じりに笑顔でそう言われて仕方なくカップを受け取ると、その温かさにホッとすると同時に鼓動が速まるのを感じたカップの縁にそっと唇をつけたその瞬間、必死に忘れようとしていた幼い頃の記憶が脳裏によぎった少年だった俺が、芝生に寝転ぶチャンミンの柔らかい唇に触れたあの時の記憶が...いつもご訪問ありがとうございますデジャヴュのように、屋敷主人シリーズ（笑）の再来です今回は主人がチャンミン、ユノは執事役ですXVの二人を題材に何か始めたくなって、そうなるとどうしてもこういう設定になってしまい...短編の予定ですが、お付き合いいただけますと嬉しいです!!※画像お借りしました※

たまには雑談でも

こんにちはいつもご訪問ありがとうございます「メインディッシュの後には」が終了して、次のお話に取り掛かってはいたのですが、う～ん、設定というか、背景というか、既に自分が出しているお話と似てしまって新鮮味がないので頓挫しています...（そんなことより「転校生」どうなった？ですよね...スミマセン）頭の中で朧げに、こういうお話はどうかな、こんな設定もいいかな、なんて考えていても、それを続き物として具体化するのって、ある程度ストーリーが纏まらないと始められなくて、そこでユノとチャンミンがバババっと天から降りて来てくれると勢いでどんどんお話を書き始められるんですけど、今回はまだそういうお告げ的なものがなく...そんな訳で、新たなお話投稿までしばしお待ちください...さて、アリーナツアーの当落結果はいかがでしたか？私は11/30（土）のさいたまスーパーアリーナ（P席）、3/5（水）横浜アリーナ（一般）のお席を無事にご用意していただけました前半後半で１日ずつ行きたいと思っていたので、これで満足です!!!初めてのP席なので、だいぶんドキドキしております...ﾜﾅﾜﾅそれにしても...P席は高いなぁ...ショージキなところを申すと、お土産いらないのでもう少し価格を抑えて欲しい!!!P席1枚で一般席2枚分ですもんね...相場を高くしないと競争率が高くなってしまうのでしょうけど、買う側としてはお土産がいるかいらないかって部分もあるとは思うので、そこのところが難しいですねユノのドラマ撮影も順調なようで、久々のインスタLIVEがありましたが私はスマホをリビングに放置して寝ているので全く気付けず気付いたとしても恐らく深夜なので起きてまでは見ないかな...とは思いつつ、それでもやっぱり朝起きて通知を見た時はガックリでした久々だったのにぃ～...反転されたいつものユノの姿でフル動画も上がっているようなので、後でゆっくり見ようと思いますこちら、ユノIGから拝借カラフルで楽しいpost↓↓ぜ～んぶ、同じ時期に撮影したのかな？季節感が違うような気もするので、ずっと撮りだめていたんでしょうね長い目で考えて、先の先のゴールまで見据えて着々と準備を進めていたんだろうと思うと、本当にユノの頭の中ってどうなっているんだろう？私たちには想像もつかない壮大なビジョンの中で生きているんだろうなはぁ...（深々と溜め息）私事ではありますが、この度転職する事にしまして、７年半働いている今の職場を辞めて、８月前半から別の職場で働きます人間関係はとても良好ですが、別の部分でのストレスが大きく、更には人件費の予算の都合でシフトを削られたりして思うような収入が得られず、思い切って転職してしまおう!!とそういう意味で精神的に落ち着かないのもお話書きが進まない理由かもしれませんあとは、今週末から息子が夏休みに入るので、それもまた悩みのタネこの夏休みがまた長くて、8/26（月）までって...長いって!!!私が仕事の日は夕方まで学校内の学童に行ってもらうので、ある意味学校があるのとほぼ一緒ですが、お弁当を用意したり、朝の時間がいつもより不規則になったり、やっぱり落ち着かないそしてその間に夫がお盆休みで10日間も家にいるし...落ち着かないの極み!!!私にはお盆もお正月もないっていうのにー愚痴ってスミマセン...アリーナツアーまでまだまだあるなぁなんて思っていたらきっとあっと言う間でしょうねどんな二人に会えるのか、どんな演出なのか、どんなセトリなのか、今からもうわくわくしますできるだけMCは二人でわちゃわちゃして欲しい!!!そういう二人を見ているだけで超超幸せだし、最高です日本のバラエティにもばんばん出て欲しいし、そこでもやっぱり二人でわちゃわちゃしているのを見たい!!!全国放送で見せて欲しいチャンミンが結婚しようが子供が生まれようが関係なく、もうとことんホミン沼から抜け出せないんだなと実感ですそろそろいいんじゃない？と思われたとしても、こればかりはどうにもなりませんだって...ユノが超絶カッコ良くて、チャンミンがめちゃくちゃ可愛いからいけないんだぞ（言い訳）ユノとチャンミンがいつも笑顔でありますように...↓足跡代わりに、ポチ！お願い致します♪にほんブログ村※画像お借りしました※

メインディッシュの後には...　６【完】

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m"ユノ"、"チャンミン"...と、名前で呼ぶようになった僕たちは、日を追うごとにどんどん絆を深めて行っただからと言って周りに気付かれてはいけないので、バイト中はできるだけ他人行儀に振る舞い、バイトが終わると僕の家に行ってストレス発散をする..なんて事はしょっちゅうだったバイト先の誰も知らない秘密の関係を、僕たちはそうやって秘かに楽しんでいたその日、バイト終わりにいつものように牛丼屋で夕飯を食べていると、スマホを見ていたユノが思い出したように"あ、そうだ"と言った「明日、俺の大学の知り合いが来るって言うから先に言っておくよ」「知り合い？友達？」「うん、まぁ、そんなとこ仕事中は私語はできないって言ってはあるけど、話し掛けられたら助け舟出して」「僕が？そんなの自分でどうにかすればいいじゃん、友達なんでしょ？」「頑固な人だからどうかな、言う事きいてくれないかも」「なにそれ」何だかちょっと変だな...と、ユノの反応に直感的に違和感を覚えた友達かと訊かれて、"まぁ、そんなとこ"と答えたのも引っ掛かるし、もしかしたらこれは要注意人物だぞ、と、僕のアンテナがピピピと立った翌日、僕はお客さんが入って来る度に、これか？と身構えてはユノの反応を窺って、そうじゃないと分かるとホッとして、またお客さんが来ると身構えて...を繰り返していた19時半を過ぎた頃にユノの姿が一瞬消えて、あれ？と思っていたら、少し引っ込んだ奥のテーブルで誰かと話しているのが見えたあのテーブルは予約のお客さん優先で、恐らくユノは友達に頼まれでもしたのか予約しておいたのだろう逸る気持ちを抑えてそれとなく様子を見に近付くと、そこには女性が二人いたユノと親し気に話す様子から、本当にただの友達なのかもしれないけれど、女性の方がやたら笑顔で声のトーンも高くて、これは明らかにユノに好意を持っていると分かったユノは女性がダメだし、僕と言うれっきとした恋人もいるのだから、何も心配する事はないと分かってはいても、やっぱり気になるし、いい気はしないいつまで話しているんだろうと思いながら眺めていると、"話し掛けられたら助け舟出して"と言われていたのを思い出した話に花が咲いていようが関係ない、お客さんとの過剰な会話は禁止されている僕は真っ直ぐユノの元へ向かった「いらっしゃいませ、お話の途中ですが、少々失礼いたします」僕はそう言うと、ユノの肘をクイと引っ張ってテーブルから離し、耳元でコソコソと話すフリをした実際には何も言っていないけれど、ユノはすぐにアドリブで返してくれて、そのままお客さんに一礼すると、僕と一緒にバックヤードに戻った「ごめん、ありがとう」「あの人たちが昨日話してた知り合い？」「うん、大学の先輩」「先輩なの？同期じゃなくて？」「そうだよ私語はダメだって言ったのに、やっぱり捕まったあの人、俺の言うことなんて全然聞いてくれないから困るんだよな」弱みでも握られているのか？と思ったけれど、そんなふざけてる場合じゃないユノが"あの人"と呼んでいるのが二人のうちのどちらなのか、それが気になって気になってしょうがないどちらも目を引くような華やかなルックスで、言われてみると確かにお姉さんぽいちなみに僕が苦手なタイプだ「もしかしてラストまでいるとかないよね？」「あの人たち？まさか、食べたら帰るんじゃない？今からラストまでってまだかなりあるし、飲み屋じゃないからねなに、心配？」「心配って言うか...いたらヤだなって思って」ユノは僕の言葉にフッと笑った「大丈夫だよ、向こうは女の人だし」「そうだけど、そんなのどうなるか分からないじゃん」「性別が変わるとでも言うの？」「違うよ、ユノの好みが変わる可能性だってあるでしょ？ある日突然、女性が恋愛対象になるかもしれないし」「そうかなでも、それを言ったらチャンミンだって同じ可能性を秘めてるって事だよねその場合はどう言い訳するの？」「え...」ユノは狡い自分の問題を僕の問題にすり替えているどう言い返そうか考えようとしたら、レジカウンターのベルが鳴ってお客さんが会計で呼んだユノは僕の脇をサッとすり抜けて出て行くと、僕はその様子をじっと遠くから眺めていたユノは誰が見たってハンサムで、大抵の女性が二度見するおまけに男らしくて優しくてユーモアのセンスもあって、これで好きにならない人はいないそんな人を恋人にしてしまった自分の宿命なのかもしれないけれど、これから先、ずっとこうして嫉妬や心配から解放される事はないのかと思うと、少し気が滅入ったレジから戻って来たユノは、僕の隣に立つと肘で僕の脇をクイと突いた何かと思ってユノの方を見ると、キザっぽく僕に向かってウィンクをした「今日も泊まりに行くよ」「え、今日も？だって明日も大学あるでしょ？」「そうだけど、別に関係ないじゃんチャンミンちから行けばいいんだし、前もそうしたし」お客さんがお店に入って来て、ユノはメニューを持って行ってしまった僕は僕で他のお客さんに呼ばれてそちらに向かったもう...いつも勝手なんだからでも、そういうユノだから好きになったんだよね「お疲れ様でしたー」更衣室に残っている人たちに挨拶をして出ると、僕とユノは通用口から外に出たユノの先輩たちはあれから2時間ほど食事を堪能し、21時過ぎには帰って行った閉店まで残って一緒に帰ろうとか言い出したらどうしようと思っていたので、レジで会計している姿を見た時、僕は心の底からホッとした「ねぇチャンミン、今日は牛丼テイクアウトにしようか」「食べて行かないの？」「何かさ...店で食べてる時間がもったいない気がして」「ふぅん、まぁ...ユノがそうしたいなら僕は構わないよ」「じゃあ決まりね」店の裏手に停めていた自転車を出している間、ユノはスマホを見ていたそして突然大きな声を上げたから、僕は心臓が止まりそうになった「な、なに!?」「マジかよ...先輩、店の前で待ってるって」「...え、どういう事!?」「あの後、適当に時間潰してまた戻って来たんだって一緒に飲みに行こうって言ってるんだけど」「それは勿論...ユノとって事でしょ？僕は含まれてないよね？」「あー、まぁ...そうだけど」僕はユノをじっと見た一人で行くのか、僕も連れて行くのか、それとも断るのかそれによってはこれからの僕らの恋愛が前途多難かどうかが分かる「どうするつもり？」「うん...」ユノは明らかに悩んでいる行きたいけど僕を置いて行けないし、なのかチャンミンを誘っていいものかどうか、なのか行きたいなら行けばいい、そして僕を置いて行けばいい「とりあえず先輩が待ってるって言うから、向こうに回ろう」「僕も行くの？」「だって、向こう回らないと帰れないだろ、どっちみち」ユノと二人で店の表側に回ると、さっきの二人が並んで立っていて、ユノを見付けると笑顔で駆け寄って来た僕が一緒なのに気付くと、あら？という顔をした「ユノ君帰っちゃったのかと思った」「まさか、先輩に黙って帰ったりしませんよ」「だよねーねぇ、今から飲みに行けるでしょ？一緒にいるのは、同僚の方？」「え？あぁ、彼は俺の後輩です」「じゃあ後輩君も一緒に行こー!!」「あ、先輩、ちょっと待ってください!!本当に申し訳ないんですけど、俺たち行けないんですよ」キョトンとする二人にユノは、これから後輩の家でゲーム大会をするのだと話したそんな予定はないし、そもそも僕の部屋でユノとゲームをしたことすらないけれど、ヲタク仲間が既に集まっているから今更予定は変えられないと話すと、先輩二人は渋々諦めて帰って行った牛丼を買って僕の家に帰り着くと、いるはずのないヲタク仲間が大挙して待ち構えていた...という事は当然なかった牛丼を食べながら、よくあんな突拍子もない話が思い付いたものだと盛り上がった「ああでもしないと絶対諦めないと思ったんだあの人たち、ヲタクを毛嫌いしてるから」「そうなんだ？でも、ユノがヲタクだったらそうはならないんじゃない？二人ともユノの事、好きみたいだから」「どうかな、別にどうでもいいよ俺にはチャンミンがいればいいし」ユノはそう言って牛丼を一気に口の中にかき込んだキュンとさせるセリフを吐いといてそれ？と思いながら、そんなユノの飾らないところもまた魅力なんだよな、と思って見ていた食事を済ませてシャワーを浴びて、その流れで軽く触れ合い、ベッドに移動した後は思う存分に愛し合った僕の部屋は角部屋だから、階下だけを気にすればいいできるだけベッドが軋まないように、ゆっくりと、でも深く、深く、愛し合ったそれから2年の歳月が経ち、就職が決まったユノは大学卒業の一ヵ月前にバイトを辞めたユノがいなくて少し寂しいけれど、毎週末のようにユノが泊まりに来てくれるから全然問題なかったそれに、毎週金曜日はユノが店で食事をしてくれて、食事の後はそのまま僕のアパートで僕の帰りを待つ、というお決まりの流れが出来ていた「ただいまー」帰宅した僕は牛丼でお腹を満たすと、待ちくたびれた様子のユノに向かって思い切り飛び込んだどんなにお腹一杯だったとしても、お互いメインディッシュの後のデザートは別腹だ甘く蕩けるようなひと時を、僕らは胸焼けするくらいに味わったまぁ...胸焼けなんて滅多にしないんだけどね～　完　～いつもご訪問ありがとうございます少し短めの６話編成でしたが無事に完結する事ができました楽しんでいただけましたでしょうか？消化不良でないといいのですが...最後までお付き合いいただきありがとうございました♪※画像お借りしました※

地上波サイコーです

こんにちはいつもご訪問ありがとうございますさて、皆さまご覧になりましたか？「2024 FNS歌謡祭 夏」・Stand by U・Mirotic～呪文～「週刊ナイナイミュージック」・Hot hot hotリアルタイムでは見られなかったので、録画をゆっくり堪能しましたXでは事前に告知含めネタバレをがっつり見ていたので、衣装やステージがどんなものか知った上で見たのですが、それでもドキドキしました～良かったですよね「Stand by U」に関しては、例の紅白の映像は見た事があったものの、五人の頃はまだ東方神起を知らず（汗）、色々あった事も過去の話としてしか知らないので特に何のわだかまりもなく見ましたけど、ひたすら悲しく切ない曲ですね...そこからのミロ（Mirotic）だったので、ユノのオラオラに痺れましたまずは番組告知の動画から（スクショ）↓↓いつもの安定の距離感にホッとにかくフレームの中に二人（だけ）がいてくれたらそれでいい!!二人の話す姿を見ているだけで幸せだし、世界は平和です終わった後はたくさんの公式画像が出ていましたので拝借ですチャンミンがキレイなお姉さんになってますとにかくキレイなお姉さんですユノとケンティーはメッシュ地のインナーで、チャンミンは首に何か巻いてますチャンミンてこういう衣装が多いですよね、メッシュと違う意味でセクシー公式Xも貼っておきます↓↓ /／#FNS歌謡祭夏 #FNS限定スペシャルコラボ🌟 ＼ 続いては なんと!! ◢◤ #東方神起 × #中島健人 ◢◤ 番組共演をきっかけに仲が深まった2組！ ♪ Stand by U ♪ 呪文-MIROTIC- の２曲を披露❤️‍🔥 大注目のコラボです！🫣#東方神起ケンティー pic.twitter.com/sJI0ifaQKH— FNS歌謡祭【公式】 (@fns_kayousai) July 3, 2024 ╭━━━━━━━━━━━╮ ガッツリ歌って踊ります ╰━ｖ━━━━━━━━━╯#東方神起 のお2人のメッセージ📹 番組共演きっかけ FNS歌謡祭でコラボしましょう!!が実現!!#中島健人 さんと熱くコラボ🕺 楽曲は 今夜の事前番組で解禁😏#FNS歌謡祭夏 7/3(水)18:30〜生放送📺 楽しみな方🙋‍♀️🙋‍♂️ pic.twitter.com/wcAoBfCfAQ— FNS歌謡祭【公式】 (@fns_kayousai) July 2, 2024どれもユノはカッコ可愛くて、チャンミンはひたすら可愛くて、この二人が本国で20年も活躍し続けている38歳と36歳で一人は妻子持ちだなんて、本当に信じられません贔屓目に見てしまうからどうしようもないんでしょうけど、ステージで他の出演者さんたちと映っていても、二人だけ飛び抜けて背が高くてスタイル良くて笑顔で常に何か動いていて（笑）、存在感があり過ぎましたパフォーマンスを見ていても、二人だけのグループって一人一人の歌唱力とかダンスとか仕草とか凄く良く見えてしまう分、大勢の若手くんたちと比べると不利なように思えるんだけど、実力があるからそれが逆に強みになるというか、二人だけなのにこれだけのパフォーマンスができるのかぁーーー!!!!って、なりますよねそういうとこ、見ていて凄く誇らしかったですそしてナイナイミュージックFNSとは打って変わって明るいジーンズの衣装でした♪お疲れ気味だったようにも見えたけれど、常に笑顔で場を盛り上げてくれて、Xでもファンでない方々からの嬉しいコメントたくさんお見掛けして嬉しかった出演者の中で一番年長？だったのかな、気を遣ってもらっていた感じでしたね一番年長でも、きっと一番ジェントルマンだったのではないでしょうか冬のFNS歌謡祭にも是非出演して欲しいし、コラボもいいけど単独ステージも欲しい!!アリーナツアーがあるから、それに合わせて新曲出るのかな？だといいなユノのドラマとかベンジャミンバトンとか本国ソロ活も大事だけど、こうして二人が揃って日本の歌番組に出てくれるのが一番嬉しいな欲を言えば日本の地上波バラエティにも出て欲しい（わちゃわちゃして欲しいの）あ、話が飛ぶんですけど（笑）ビギシャルの「SHOWが無いっ！」はご覧になりましたか？5:58～のユノのセリフがツボに入って、繰り返し再生してしまいました「あそこまで財布持って行かないでしょ？」チャンミンと堤さんの声が高いので、そこにいきなりユノの低音が入ってもうどうしようって感じで堪りません最後にハハハと低く笑うところまで含めて、めちゃくちゃキュンキュンしますので是非!!ユノのパーマは役作りのために必要なのでアレですが、アリーナツアーの頃にはさっぱりしていつものサラサラ黒髪になっていて欲しいと願う今日この頃です...一気に夏らしく暑さが増してきましたので、皆さまどうぞご自愛くださいませ最後まで読んでいただきありがとうございました追伸「メインディッシュの後には...」は次か次で完結しますユノとチャンミンがいつも笑顔でありますように...↓足跡代わりに、ポチ！お願い致します♪にほんブログ村※画像お借りしました※

メインディッシュの後には...　５

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)mチョン君が僕の太腿の脇に手を置くと、ソファの座面に体重がかかった弾みで僕の体はチョン君の方に傾いた美しい鼻筋と真っ黒な瞳が視界一杯に入って来て、僕は思わず息を止めたこんなに近くでチョン君の顔を見たのは初めてだ「な...何する気？」「自分が俺と同じだって知らなかったんだね俺、とっくに気付いてるんだと思ってた」「超能力でもない限り、そんなの分からないよ」「そう？その割にはすぐ赤くなってたよねだから俺、脈ありかなって思ってたんだけど」「...だから僕にちょっかい出して来たの？牛丼屋に誘ったり、僕の家で泊まるとか言い出したり」「ちょっかいって、言葉が悪いな牛丼屋は単純に親切心から誘っただけだよ家に行きたいって言ったのは、本当にドラマが見たかっただけ」顔に息がかかるくらい近くて、チョン君から甘ったるいカシスの香りがした余りの近さに後ろに下がろうとしたら、チョン君の手がスッと伸びて来て僕の背中に回されたこれは完全にロックオン状態だ「恥ずかしいの？」「恥ずかしくない方がおかしいでしょ、僕たち、ただのバイト仲間なんだよ？」「ただのバイト仲間？俺はシム君をただのバイト仲間だとは思ってないよ」「あそっか、チョン君は先輩だったね」「...そういう意味じゃないんだけど」「だったらどういう意味？」あ、墓穴掘った、と思った時には手遅れだったチョン君の顔が目の前いっぱいに迫って来て、思わず目を瞑ったら、直後に柔らかいものが唇に触れたそして、触れたと思った次の瞬間にはもう離れていた「...こういう意味だよ」チョン君の真っ黒な瞳の中に、僕の顔が映っているのが見えた今、僕はチョン君しか視界に入っていないし、チョン君の視界には僕しか入っていないお互い見つめ合ったまま、数秒前には唇が触れていたと思ったら、顔が燃えるように熱くなったどうしてキスなんてするんだよそんなことされたら、自分の気持ちが嫌と言うほど分かってしまうじゃないか「...僕、チョン君が好きみたい」気付いたら告白していたチョン君は猫のような目を大きく見開いて僕をじっと見て、それからふっと目を細めて笑った「抵抗するかと思ったのに、案外素直なんだね」「...抵抗した方が良かった？」「まさか、今のままでいいよそっか、俺の事が好きなんだ？」チョン君はそう言ってニヤっとした不敵な笑み、とでも言うのか、ドラマとかでは見たことがあるけれど、実際にそういう表情をする人を見たのは初めてで、間近で見てドキっとした不敵な笑みのチョン君は怖いくらいに色っぽかった「このまま押し倒してもいい？」いきなりチョン君からそう訊かれて、僕は目が飛び出そうになったこういう事って、いちいち断りを入れるものなのか「は？え、ちょっと待って、何で!?」「...この状況だとそうなるのが自然な流れだよね」「でも、待って、僕は今チョン君が好きって告白したけど、チョン君は？した？してないよね？僕は自分が好かれてるかどうかも分からないまま押し倒されるの？」チョン君は"はぁ"と溜め息をつくと、"分かんないかな"と言った「好きでもないのにキスすると思う？」「そういう人だって中にはいるよ」「じゃあ俺がそうだって言うの？そんな浮ついた男だと分かってて家に連れ込んだんなら、シム君は相当危なっかしい人なんだなでも、だったら余計に、俺がシム君を好きかどうかなんて関係ないんじゃない？強引に押し倒されたって文句言えないよね」「...え？」と思ったらもう仰向けに倒されていて、チョン君の美しい顔が僕を見下ろしていた「俺がシム君を好きかどうか知りたいなら教えてあげるよ好きだからキスしたし、押し倒したし、めちゃくちゃドキドキしてる」「...ドキドキしてるの？」チョン君は困ったようにふっと笑った「ねぇ、こうやってるのだって結構恥ずかしいんだよ？だから俺のやる事にいちいち理由を訊いたり、ちょっと待てとか言わないで欲しいんだけどタイミングと勢いって大事だと思うんだよね」「...ごめんなさい」「謝らなくていいから、先に進めていいかなこれ以上待たされたらシラケちゃうよ」シラケたら困ると思った僕は、咄嗟にチョン君の頭を掴んで自分の方に引き寄せ、勢いに任せてチョン君の唇に自分の唇をギュッと押し付けた突然僕がそんな事をしたものだから、チョン君はバランスを崩して僕の上に完全に乗っかって、唇どころか鼻までぺしゃっと押し付ける形になってしまったチョン君は肘を伸ばして上半身を起こすと、鼻を抑えて顔をしかめた「...イテテ」「ご、ごめん...ちょっと勢い付け過ぎた」「シム君のキスが激しいのは嬉しいけど、顔面アタックすることないじゃん」「本当にごめん、痛かった？」「痛くないって言ったら嘘だけど、でも、嬉しいからいいよ」チョン君はそう言って優しく僕を見た今まで見せた事のない優しい表情に、胸がトクンと鳴った「チョン君...まだドキドキしてる？」「うん...でも、シム君がGOサイン出してくれたから、さっきとは違うドキドキかな途中で待ってって言われても、俺、もう止めるつもりないからね」それからチョン君の顔がゆっくりと近付いて来て、今度は優しく唇が重なったお互い好きだと分かった以上、僕らを踏み止まらせるものは何もない僕はチョン君の背中に腕を回すと、ガッチリとホールドして体を密着させたこのままどこまでも、行けるところまで行ってしまいたい、そう思ったそして実際、僕らはそうした「んん...ん」ベッドで寝返りを打とうとして、何かにぶつかって目を開けたすぐ目の前に、誰かの後頭部があったあ、そうだ、チョン君と僕のベッドで寝てたんだった枕元のスマホを見ると、覚えている限りではまだ寝てから1時間も経っていない正確には寝ていたというよりも、ウトウトしていたらいつの間にか眠っていたという方が正しいチョン君はスヤスヤ寝ているし、かといってこのまま自分も寝るという感じでもないひとまずベッドから降りてリビングに移動すると、冷蔵庫からコーン茶を出してグラスに注いだあの後、ソファでキスをして、軽く触れ合って、そこからシャワーを浴びてベッドに行って...思い出しただけでも体が熱くなるような、夢のような甘いひと時をチョン君と過ごしたお互いそういう行為が久々だったせいか、最初はぎこちなくて、でも少しずつ慣れて来ると、僕もチョン君も結構大胆になったもう僕たちは、こうなる以前の何でもない二人には戻れない「チャンミン？」声がして振り向くと、チョン君がリビングに出て来ていたもう僕を苗字では呼んでいない行為の最中から、いつの間にかチョン君は僕を名前で呼んでいた「ベッドにいないからびっくりした」「ごめん、喉が渇いちゃって...飲む？」チョン君は僕の隣に座ると、僕の手からグラスを奪い取ってゴクゴクと全部飲み干した仕方なくもう一度冷蔵庫からコーン茶を出して注ぎ足した「てっきり、俺とああなったのがショックでこっちで寝てるのかと思った」「まさか、何でショックなの？」「だって...結構強引だったし、何度も求めちゃったし」「ううん、それは僕もそうしたかったから」「本当？」「嫌だったらちゃんと嫌だって言うし、僕が遠慮すると思う？」「まぁ...思わないね」「でしょ？」「この後どうするの？まだ起きてる？」「ううん、これ飲んだら歯磨きして寝るよ」「そっか」グラスに残っていたコーン茶を飲み干すと、僕はソファから立ち上がったチョン君も一緒に来るかと思ったら、まだ座ったままぼんやりしている「どうしたの？寝ないの？」「うん...俺、こっちで寝るよ」「え、ベッドで一緒に寝ないの？狭いから？」「確かに狭いけど、それだけじゃないよ一緒にいると、また抱きたくなっちゃうからさ」そう言ってチョン君はポリポリと頭を掻いた照れているような、遠慮しているような様子が可愛く思えてキュンとしたそんな可愛いところを見せられたら、僕の父性がウズウズしてしまう「いいよ、あと1回だけなら」「...いいの？」「その代わり、1回で終わりだからね」「そう言うチャンミンの方がもっとって言うかもよ？」「それはない、絶対に」僕はそう言い切ったけれど、結局はチョン君の読みが正しかったそして今度は僕が、チョン君を名前で呼んでいた※画像お借りしました※

メインディッシュの後には...　４

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m＜ The view from Yunho＞その日、バイトに行くと、店主から新入りを紹介されたシムという大学生で、俺より一つ下の学年だった緩いウェーブがかった茶色い癖毛に同じ色の大きな瞳と、何でも良く食べそうな大きな口がチャームポイントか、いかにも店主が好みそうな可愛い系の男だシム君は俺と同じホールスタッフに配置され、暫くは俺の下で研修する事になったホールスタッフは俺以外にも2人いて、それぞれローテーションで回している自分で言うのもおかしいけれど、洋食屋らしからぬイケメン揃いなせいか、女性客、特に中高年の比率が多かった喫茶店で働いていたというだけあって、シム君はよく気が付く男だった職場に女子が少なくて張り合いがないという理由で辞めてしまった人の代わりなので、このまま続いてくれたらいいなと思う恋愛も大事だけれど、人間関係を築いたり、今しかできない事をがむしゃらにこなす事だって大事だ俺はバイト先にロマンを求めていないので、辞めた理由にイマイチ共感できなかったそんな俺の日常に、シム君は現れたそして、瞬く間に俺の脳内を占拠してしまったここで知り合ったバイト仲間とはずっといい友情を築いてきた俺が、いかにしてシム君を振り向かせるかを必死で考えているこんな事は初めてで、シム君の無自覚な魅力と色気に完全にノックアウトされてしまったコーヒーの香りで目を覚ますと、一瞬自分がどこにいるのか分からなかった使い慣れた自分のベッドとは違い、やたら狭くて堅い寝心地で、だんだん意識がはっきりして来ると、自分がゆうべシム君の家に泊まった事を思い出した大きく伸びをしようにも足が肘掛けにぶつかってしまい、ソファからはみ出して思い切り両手足を伸ばすと、凝り固まった体の節々がようやく解放された「あ、起きた？」どこからか耳触りの良い柔らかな声がして、シム君が台所から顔を出した目覚めて最初に目にするのがシム君の顔とは、これは夢じゃないかと思った「そろそろ起こそうと思ってたんだけど、時間、大丈夫だよね？」「...何時？7時か...うん、大丈夫」「今ご飯作ってるから、あと10分くらいで出来るよ」欠伸をしながらノロノロと起き上がると、そのままソファに座ってぼんやりと足元の床を眺めた起きてすぐに行動できるタイプではないのでアイドリングが必要なのだそうしている間にもバターの香り、パンの焼ける匂いが漂って来て、自然と口の中は唾液で満たされ、思わずゴクリと唾を飲み込んだどんなに寝惚けていても、食欲だけはしっかり機能しているらしい食欲が刺激されたところでようやく洗面所へと向かったそれから2人で慌ただしく朝食を済ませ、一緒に駅まで行き、それぞれ大学に向かった出会って2日目で家に泊まったのはちょっと強引過ぎたかもしれないでも、シム君の性格を考えると、向こうの出方を待つのはなかなか根気がいると思った慌てて行動に出る必要はないのかもしれないけれど、だからといって気長に待つつもりもなかった「おはようございまーす」二日後、更衣室に柔らかな声が響いてシム君が入って来ると、俺と目が合うやカバンからプラスチック製の薄いケースを取り出し俺に差し出した「これ、この間のドラマのダビング」「お、ありがと、早いねあ、借りた下着は今日洗ってるから明日持って来るよ」「うん、でも、急いでないからいつでもいいよ」すると、会話を聞いていた他のメンツがなんだなんだと興味を持ちだしたので、俺がシム君の下着を借りたいきさつを説明すると、いつの間に二人は仲良くなったのかと軽く盛り上がったこれで相手が女子だと冷やかしのネタにされるけれど、相手がシム君だったのでそうはならず、適当なところで話は終わったでも、シム君の顔は終始真っ赤だった他のメンツが出て行って俺とシム君だけになると、慌てて出て行こうとするシム君の腕を掴んで引き留めた「ねぇ、今日も帰りに飯どう？」「夕飯？いいけど、ちゃんと自分ちに帰ってくれるよね？」「当たり前だよ、これ以上パンツ借りるわけにはいかない」「やめてよ、ダイレクトだなぁでも、チョン君がうちに泊まったって周りに知られたのはちょっと恥ずかしいな」「何で？」「だって...勘違いされても困るし」「勘違いって？」「...分からないならいいよとにかく、ちゃんと家に帰るって約束してくれるならいいよ」「分かってる、ちゃんと帰るよ顔が赤いけど大丈夫？」「え、そう？ちょっと暑いのかも、この部屋」そう言ってシム君は手でパタパタと顔を扇いだそういうとこだよ、と、俺は心の中で突っ込んだそんな態度を見せられたら、誰だって期待してしまう「チョン君も早く着替えなよ、あと1分で打刻だよ」シム君はそう言って更衣室を出て行ったシム君の言う勘違いとは、俺たちが妙な関係だと思われたら困るという事なのかその割にはいちいち赤くなって意識している風に見えるし、シム君の真意が見えなくてイラっとするでもまぁいい、しっかり反応を見せるという事は、脈があるという証拠だ今日は無理でも、明日またシム君ちに行けばきっと答えは分かる「え、明日、またうちに来るの？」「うん、ダメ？」「だって...何しに？」「何しにって...青春に具体的な動機なんてないよ」俺はそう言うと、豚汁をズズ..と啜ったいつもの牛丼屋で夕飯を取りながら、俺は珍しく明日の予告をしていた今回は最初から泊まるつもりで必要な荷物は持って行こうと考えていた「青春って...意味分からないんだけど」「深夜番組とか見ながらグダグダ飲んで過ごすってのも楽しいじゃん？」「チョン君が飲まないのに僕一人で飲んだって盛り上がらないよ」「じゃあ、少しくらいなら飲むよシム君ち、居心地がいいから気に入っちゃったんだよね」「でも、ソファで寝るんだよ？」「全然オッケー、寝袋でも持って行くよ」そこでようやくシム君はOKしてくれた翌日バイトに行くと、シム君は俺を見るなり顔を真っ赤にして明らかに挙動がおかしかったバイト中も話を聞いていなかったり、いつもの気が利くシム君とは別人で、その動揺っぷりが可愛くて、早くバイトが終わればいいと思ったそして...バイトが終わり、いつものように牛丼屋で夕飯を済ませてからシム君のアパートに移動すると、途中のコンビニで俺が飲めるような軽めのアルコールやつまみを買った「じゃあ、何だか分かんないけどカンパイ」ソファの前で買って来たものを広げると、シム君は缶ビール、俺は甘めのカクテル缶で乾杯をしたつまみのスナックを食べながらテレビを点けると、いかにも深夜番組らしく、若い男女のタレントたちが際どいトークを繰り広げていたそしてトークが終わると、次は水着姿のセクシー女優数人が覆面座談会をするという変わったコーナーが始まったテレビは点いていても内容に関しては大して興味を持っていなかったので、何が始まろうと特に気にしていなかったけれど、シム君はそうではなかったようで、そのコーナーが始まった途端にそわそわし始めた「チョン君て普段こういうの見てるの？」「ん、これ？全然」「そっか...普段はどんな番組見てるの？」「深夜だったら大抵は映画かなこういうワチャワチャした番組って苦手なんだよね、内容がさ...」「あ、じゃあ他のにしようか」そう言ってシム君がチャンネルを変えたら、いきなり濃厚なベッドシーンが目に飛び込んで来て、成人向けドラマがまさに見せ場の真っ最中だった慌てたシム君が再びチャンネルを変えようとして、リモコンが手から滑り落ちたテレビからは女優の甘い吐息とムーディーな音楽が流れていて、とても気まずい「テレビ消しちゃえば？」「あ、そうだよね、別に無理に見なくたっていいよね」俺が床に落ちたリモコンを拾って電源を消すと、ようやく部屋に平穏が戻ったシム君はビール缶を一気に傾けて飲むと、視線は彷徨い、慌てっぷりが見てとれた「なんか...イマドキの深夜番組って凄いんだね」「焦った？でも、ちょっとくらいは興奮したんじゃない？」「なっ...そういうチョン君こそもっと見たかったんじゃないの？さっきの人、もの凄いエッチな体してたけど」「そうなんだ？気付かなかったシム君はああいうの見てムラムラするんだ？」「...しないよ僕は...女の子はダメなんだ」「へぇ...俺もだよ」「...え？」とっくに分かっていると思っていたから、シムくんの驚いた顔を見て驚いたということは、俺がどちらか分からずに一方的に顔を赤くしていたのか「シム君て、好きな人いる？」「え...いきなり何？」「だって、それ知っておかないと好きな人がいるならこっちも色々考えないといけないし」「いない...って言ったら、どうするの？」「そしたら...」俺はシム君の体の横に片手を着くと、至近距離まで顔を近付けた※画像お借りしました※

メインディッシュの後には...　３

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m「本当に家に行っていいの？」居酒屋を出て自宅アパートに向かって歩いていると、僕の代わりに自転車を押していたチョン君が振り返ってそう言った今更そんな風に言われても、あと数分で到着してしまう「うん、だって、もう二度と再放送しないかもしれないし、見たいんでしょ？」「見たい」見たい番組をうっかり録画予約し忘れた時の悲しみは、僕も痛い程に良く分かる幸か不幸か、居酒屋から僕の家までは歩いてすぐで、どんなにゆっくり歩いたってチョン君の見たがっているドラマまで十分間に合う、となれば、招かないのは薄情だでも、自分から提案しておきながら、実はちょっと後悔していたなぜならチョン君が僕の部屋に上がる事は全く予想だにしていない事で、ただでさえ見つめられると居心地悪くて仕方がないのに、僕の部屋でテレビを見るというのだからどうしたものか、いや、どうもしないか...なんて事を考えているうちにアパートの前に到着した「着いたよ自転車はそこの駐輪スペースに停めてくれる？一番端のとこ」「ここ？」「そう、で、鍵かけておいてね」駐輪スペースの脇を通って外階段を上り、2階の一番奥が僕の部屋だ玄関を開けて中に入ると、まずはテレビとレコーダーの電源を入れて例のドラマの録画予約をした「テレビつけとくから、適当にしてて」「ありがと」チョン君はソファの真ん中に陣取り、いつ始まってもいいようにスタンバイしていたその間に僕はシャワーの準備をして、酔い覚ましにコーン茶を一杯飲むと、チョン君の分もグラスに注いで持って行った「お、ありがと、一緒に見る？」「ううん、いい見てる間にシャワー浴びてくるから、ゆっくり寛いでてよ」「シャワー？」「だって、時間がもったいないじゃんそれに、一人で見てる方が気兼ねしないでしょ？」「まぁね」気を利かせている風に言ってみたけれど、本当はチョン君と二人きりでいるのが嫌だからで、シャワーは逃げるためのいい口実になった一緒にドラマを見たところで、きっと気が散って内容なんて頭に入って来ないあぁ、それにしても、どうして家に呼んでしまったのか...考えれば考える程、自分の判断は間違っていたのではないかと思えてくるでももう連れて来てしまったし、ドラマが終わったら帰るだろうからそれまでの辛抱だでも、もしなかなか帰りそうになかったら？泊まる、とか言い出したら？急にそんな考えが浮かんで来て、キュっと心臓が痛くなったいやいや、さすがにそんな無理は言わないだろうチョン君は歩いて帰れる場所に住んでいるのだシャワーを浴びながら鏡に映った自分の顔を見て、その不安げな表情に戸惑った今日の僕はどうかしている「...え、今何て言ったの？」「ん？シャワー浴びていい？って訊いたんだけど」シャワーを済ませて出てくると、ドラマはちょうどエンディングが流れていて、チョン君は空になったコーン茶のグラスを手にじっと画面に見入っていたそして僕に気付くと、当たり前のように"俺もシャワー浴びていい？"と言った「なんでチョン君がうちでシャワー浴びるの？」「なんでって...泊まるから」「は？」絶句、思考停止、そしてプチパニック...「ちょ、ちょっと待って、今、うちに泊まるって言った？」「言ったけど...まさかこの時間に帰れって言うつもり？もう深夜だし、そもそも俺、歩きなんだけど？」「もしかして、最初から帰るつもりは全然なかった？」「当たり前だよていうか、そのつもりで家に来ていいって言ってるんだと思ってた、違ったの？」違うも違う、大間違いだ泊まるつもりなら、最初にそう言ってくれれば家に呼んだりしなかったその代わり、僕だけ急いで帰宅してドラマの予約をして、後日、ダビングしたものをチョン君に渡せばいいだけだ「下着だけでも借りていい？シム君もMサイズでしょ？」いいともダメとも言っていないのに、チョン君はもうそのつもりなのかテレビを消して浴室の方に向かっていた「あっ、ねぇ、ちょっと待ってよ!!」慌てて追い掛けると、トイレに入ってしまったらしく姿はなく、どうしよう...と途方に暮れていると、トイレから出て来たチョン君は既にTシャツと靴下を脱いでいた「下着は？持って来てくれた？あとバスタオルも」「ちょっと待ってよ、泊まっていいなんて一言も言ってないけどそもそもチョン君も明日...っていうか今日は大学だよね？ここから通う気？」「そうだけど、何か不都合でもある？」「それは...不都合って言われたら、特に何もないけどさ...」「だったらいいじゃん」そう言ってチョン君はジーンズに手をかけて脱ごうとして、ピタリと動きを止め、僕をじっと見て軽く咳払いをした「俺が素っ裸になるとこ、そこでずっと見てるつもり？」「え？あ...ごめんっ!!」慌てて洗面所を出てドアを閉めると、閉めたはずのドアがパッと開いてチョン君が顔を出した「一緒に入る？」「...なっ、何言ってんだよっ!!」チョン君を強引に洗面所に押し込みドアを閉めると、急いでその場から離れた顔が燃えるように熱くて、心臓が物凄い速さでドキドキしているちょっと揶揄われただけなのにこんなに心が乱れて、あんなセリフを真に受けてしまった自分が恥ずかしい少しずつ冷静さを取り戻すと、今度はまた別の問題に直面したどこでチョン君に寝てもらうかを考えていなかったのだ一人暮らしなのでシングルベッドだし、寝具の予備も当然ないソファはあるものの、僕やチョン君みたいな高身長の男が足を伸ばして横になれる程の大きさもないそもそも、突然泊まると言い出したのは向こうなのだから、少しぐらい不便でも我慢してもらおう「あ、そうだ、下着とタオル!!」自分の下着とスウェット上下、それから洗い替え用の予備タオルを洗面所に持って行くと、浴室からはシャワーの音に混じってチョン君のご機嫌な鼻唄が聞こえてきた誰の歌かは分からないけれど、最近よくテレビのCMで耳にするメロディだへぇ...案外歌が上手いのか本能的に浴室の扉に背を向けていたのに、なぜだか無性に振り向きたくなって、真後ろに全裸のチョン君が立っている訳でもないのに僕の鼓動は激しく乱れた見ちゃダメだ...でも、見たいえい!!と思い切って振り返ると、摺りガラス越しに肌色の影がチラチラ動いているのが見えて、それがチョン君の裸体だと思った途端、とても平静ではいられなくなって慌てて洗面所から飛び出したやっぱり僕はどうかしているチョン君がシャワーから出て来る頃、僕はだいぶん落ち着きを取り戻していたとにかく余計な事は考えずに、ただ寝て、起きて、朝食を済ませて、大学に行く事だけを考えていればいいのだ「スウェットありがと、助かる」僕のスウェットを着ているチョン君は、同じスウェットとは思えないほどカッコ良く着こなしていて、つい見惚れてしまいそうになった「さすがに着てた服をそのままっていうのもね...でさ、悪いんだけど、ソファで寝てもらってもいい？」「あぁ、いいよごめんね、いきなり泊まるとか言い出して」なんだ、そういう気持ちがちゃんとあったんだ...「本当だよね最初に言ってくれればそれなりに心の準備もできたのに」「心の準備？」「あ...いや、ほら、色々準備しなきゃいけないでしょ？下着とか」「あぁ、あと歯ブラシとか？でも来る時にコンビニあったし、もしあれだったら今から買いに行くけど」「いいよ、歯ブラシは貰い物があるからそれ使ってスウェットはいいけど、下着はちゃんと洗ってから返してね」僕はそう言ってから、自分のベッドからタオルケットを取って来てソファの上にポンと置いた「歯ブラシは洗面所に分かるように出してあるから」「ありがと」ふとソファの端に目が行って、そこにはチョン君の脱いだ服が雑に畳まれてあった本人なりに畳んでいるつもりなのだろうけれど、僕はそれを手に取ると、もう一度キレイに畳み直してあげた「シム君て気が利くね、うっかり惚れちゃいそう」うっかりって何だよ、と思いながら、内心ではちょっと嬉しかったでも、こういうのを黙って見過ごせない性格なだけだ「単に几帳面なだけで、ずっと一緒にいたらきっと鬱陶しいよ」「そう？俺はそうは思わないけどおまけに可愛いし、むしろ一緒にいて欲しいくらいだけどな...って、どうしたの？顔が赤いけど大丈夫？」「そ、そう？気のせいじゃない？あ、もうこんな時間だ、寝なきゃ」まるで大根役者の棒読み台詞のように早口でそう言うと、僕は急いで寝室に引っ込んだその後、チョン君がどんな風に寝たのかは分からないけれど、翌朝起きてみると、チョン君はソファにこぢんまりと収まって気持ち良さそうに眠っていたその寝顔は起きている時とは違って隙だらけの完全無防備で、僕は敢えてすぐには起こさず、ゆるゆるなチョン君を暫く眺めていた※画像お借りしました※

メインディッシュの後には...　２

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m「おはようございます..」そっと更衣室のドアを開けて中に入ると、着替えていた数人が挨拶を返してくれた今日はバイト二日目、昨日に比べていくらか緊張は解けたものの、まだ皆の顔と名前が一致していないし、どうしても動きはぎこちなくなってしまう「おはようございまーす」ドアがパッと開いて、カラッと乾いた元気な挨拶と共にチョン君が入って来た僕に気付いてニコッと笑って、その明るい笑顔を見たらなんだかホッとしたここにいる全員と昨日会っているけれど、まともに会話をしたのはチョン君だけだ帰りに一緒に牛丼屋に行って良かったとつくづく思った着替え始めて暫くすると、先にいた数人が更衣室を出て行って、気付けば僕とチョン君だけになっていたようやく体の強張りが緩んでふぅと息をつくと、すかさずチョン君が振り向いた「何、まだ緊張してるの？」「だってまだ二日目ですよ？緊張するに決まってるじゃないですか」「あ、敬語直ってないそれやめてって言ったよね？」「そう言いますけど無理ですよ」「じゃあ、敬語直るまで口きかない」「えっ、そんな...」チョン君は僕に背を向けると、黙々と着替えてサッと更衣室を出て行ってしまった敬語をやめないと口を聞いてくれないなんて、僕はチョン君について働くのだから、これではまるでイジメじゃないかというか、やっている事が子供じみている悶々としたまま更衣室を出ると、軽く夕礼をして業務に取り掛かった仕事中は基本的に私語は交わさないので、僕が敬語だろうがチョン君がタメ口だろうが殆ど関係なかったそれに、口をきかないと言ってはいても、業務に関する事はきちんと教えてくれて、そういう所はしっかりしてるんだ、と変なとこで感心した20時半に交代で10分程の軽い休憩があり、僕は家から作って来たおにぎりを事務所の隅の休憩エリア食べていたすると、先に休憩を終わらせていたチョン君がふらっとやって来て、僕のおにぎりを見て"手作り？"と訊いてきた「できるだけ節約しようと思って」「へぇ...美味そうだね今度俺にも作って来てよ」「え？」「コンビニで買ってるんだけど、さすがに毎回だと飽きちゃうんだよね」そう言ってトイレの方へと去って行ったチョン君はどうしていつも僕の意思を確認せずに決定事項として言うのだろう？牛丼屋にしろ、飲みに行くにしろ、今のおにぎりだってそうだ僕の意思を確認してくれた試しがないでも同時に、それに強く反発しない自分も情けないな、と思った反発できないのか、反発しないのかは分からないけれど勤務二日目は、有難い事にお客さんが全て営業時間内に退店してくれたので、サクッと片付けに入り、退勤したのは22時半前だった更衣室で着替えていると、早速チョン君に声を掛けられた「今日、行ける？」「え？」「昨日言ったじゃん、飲みに行こうって、忘れてた？」「あぁ..」すっかり忘れていたかのような反応を返したけれど、実は仕事中、いつ言われるのかとずっと気になっていたチョン君は、"行けるよね？"と、相変わらずの口調で念押しした「本当に僕の家の近くでいいんですか？」「あ、また敬語次に敬語使ったらシム君の奢りにしようかな」「え..」「なんて冗談だけど、でも、本当に敬語はやめて欲しいんだ拒絶されてるみたいであんまりいい気がしない」「すみません」「いや、謝って欲しいんじゃなくて、敬語をやめてくれればいいだけだからさ」チョン君の気持ちは分からないでもないでも、昨日初めて会ったばかりで、もともと僕は誰とでもすぐ打ち解けるような性格じゃないただ、"拒絶されてるみたい"なんて言われてちょっとショックだった「僕の家の方でいいなら駅前に居酒屋が何軒かあるから、そこでいい？」思い切って敬語をやめてみたら、チョン君の表情がパッと変わって、ニヤリと笑った「いいよ、店は任せていい？」「分かった念の為、営業時間調べてみるね」僕はそう言うと、カバンからスマホを取り出しチョン君に背を向けたじっと見られているのがなんだか恥ずかしくて、居心地悪くて、気のせいか自分の顔が熱い敬語をやめた途端に急に距離が近くなったような気がしてドキドキした「ここ？」「うんこの辺りでは一番遅くまでやってるみたい、ここでいい？」「いいよ」駅前にある数軒の居酒屋のうち、一番遅くまで営業している居酒屋を選んだのは、長く一緒にいたいとかじゃなく、時間を気にせずいられる方がいいと思ったからだ飲食店で働いているせいか、店側のそういう雰囲気に敏感で、ラストオーダーの辺りから従業員のそわそわ感が手に取るように分かってしまう半個室に案内されると、僕は生ジョッキ、チョン君はコーラを注文した「飲まないの？」「うん、俺、普段は飲まないんだ」「飲まないって...だって、飲みに行こうって言ったのはチョン君だよね？自分は飲まないのに誘ったの？」「そうだよ、ダメ？」「ダメではないけど...僕一人で飲むのも何か...」「そこは気にしなくていいから、じゃんじゃん飲んでよ」チョン君はそう言うと、メニューのタブレットを手に取って料理を選び始めたそれを見ながら、まぁ、こういうのもいっか、と思ったチョン君の酔ったところを見てみたい気もするけれど、今より強引になられても困るので、とりあえず今日はソフトドリンクで様子見だ頼んだ料理を食べながら僕はビールを遠慮なく飲み、チョン君はコーラやジンジャーエールをちびちびと飲んだチョン君はアルコールが入っていないにも関わらず、ずっと陽気で、お手洗いで居合わせた初対面の人と立ち話をしてなかなか戻って来ない、なんて事もあった初めて来た店で初めて顔を合わせた人と仲良くなって、その人たちが帰り際にわざわざ僕らの席に来て挨拶をするとか、ちょっと信じられないそして僕はその度にちょっとイラっとしたこの"イラっ"が何なのか分からないけれど、僕と一緒に来ているはずのチョン君が知らない人と仲良くなって、僕以外の人と喋ったり笑ったり、そういうのを見るのが嫌だった「...ねぇ、何か怒ってる？」「え？」「さっきから不機嫌そうなんだけど、なんで？」「別に、普通だけど」「あ、それ人が"怒ってる？"って訊かれて普通だって答える時は、大抵怒ってるよね」だったら怒ってるんじゃないの？というセリフが喉まで出掛けてやめた確かに僕は不機嫌だし、どうして不機嫌なのかが良く分からないから余計にイラっとしたチョン君はまるで自分は無関係だとでも言うような顔をしていて、それもイラっとした「お酒が足りてないんじゃない？もっと飲みなよ」「いや、結構飲んだ方なんだけど...これ以上飲んだら酔っ払っちゃうからいいよ」「いいじゃん、家近いんでしょ？」「でも自転車だし」「押して行けばいいじゃん何なら俺が押して行こうか？」「え？」「...って冗談だよ、そんな顔しないでっていうか、俺がシム君の家に行ったら迷惑なの？」「僕の家に？」余りにも突拍子もない事を言うから一瞬頭が真っ白になったバイト先の先輩が家に来るかも、というだけで、なぜだか僕の鼓動は乱れに乱れたなぜだ？なぜいちいち僕は動揺してしまう？ちょっとイケメンってだけじゃないかイケメンなんて大学にだっていくらでもいるいや、ここまでのイケメンはいないか...とにかく、イケメンだからって僕がドキドキするのはおかしい、絶対に!!「とりあえず、もう十分だから気にしないで」「...そう？」チョン君は納得したのか、ジンジャーエールをゴクゴク飲むと、テーブルの上のスマホを取り上げ弄り始めた二人でいるのにスマホを弄る奴があるか...と思って眺めていると、突然顔色を変えて大きな声を出した「あー!!やべぇ、忘れてた!!」「どうしたの？」「今日、深夜に俺の好きなドラマの再放送があるの忘れてた!!」「録画予約してないの？」「しようと思ったけど、その時間ならいると思ってやらなかったんだよね今日シム君と飲みに行くってのに、すっかり忘れてた、どうしよう...」「何時から？」「ん？もうあと30分後」チョン君は頭を抱えて絶望の淵にいるような声で呻いたそんなに見たい番組なら家にいようがいまいが関係なく録画予約しておけばいいのに、と思いつつ、余りにも激しく凹んでいるチョン君がなんだか気の毒に思えた「良かったら、うちで見る？録画しながら見て、後でダビングしたっていいし」頭を抱えていた腕の隙間からチョン君の顔が覗いて、真っ黒な瞳が僕を切なげに見たその眼差しが妙に色っぽくて、思わずドキっとした「...いいの？」「うん、別にいいよ」「悪い、ありがと」チョン君はそう言うと、残っていたジンジャーエールを一気に飲み干し、メニューのタブレットを手に取って、僕に何の断りもなく「会計」のアイコンをタッチした内心"あ"と思ったけれど、でも今回は大目に見てあげようと思ったという事で僕は、出会って二日目にしてチョン君を自宅に招く事になった※画像お借りしました※

メインディッシュの後には...　１

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m真新しい制服に袖を通すと、パリッと糊が効いていて気持ちがキュッと引き締まるロッカー扉の内側に付いている小さな鏡でもう一度身だしなみをチェックすると、扉を閉めて鍵を掛け、更衣室を出た今日はバイトの初日だ職場は地元に昔からある老舗の洋食屋で、僕はそこのウェイターだ本当は厨房でも良かったのだけれど、店主が僕を一目見るなりホールスタッフに決めてしまった大学に通いながらなので、平日と休日を含めた週４日、時間は夕方から閉店までだ「あ、シム君、ちょっといい？」更衣室を出てすぐが事務所スペースで、そこにいた店主が僕を呼んだ店主の隣には、僕と同じ制服姿の男性が立っていた「君と同じ時間帯のチョン君には、まだ会った事なかったよね？」「えぇ」「こちらがシム君、今日から君と同じ時間帯で入るから、色々と面倒見てあげて」チョン君と呼ばれたその男性は、珍しいものでも見るような目付きで僕をジロジロと眺めたどこかワルっぽさと優等生っぽさが同居しているような雰囲気で、男の僕ですらちょっと目を見張るようなイケメンだった「とりあえず研修バッヂ付けて、暫くはチョン君と一緒に行動してね」店主はそう言うと事務作業に戻って行った「ホールの経験は？」突然話し掛けられてビクっとすると、チョン君はあからさまに嫌な顔をした「...そんなに驚く？俺が人形か何かだと思った？」「いえ...すみませんホールの経験はあります、前に喫茶店で働いてました」「そっか、じゃあ大体の流れは分かるよねうちは手書き伝票でオーダー取るから、ミスだけは絶対しないように」「はい」手書き伝票なら喫茶店と同じだでもあそこはメニューが少なかったからまだいいここは種類が多い上に、似たような名前も多いから間違えそうで怖い「とりあえず俺と一緒に動いてくれればいいよ、細かい事はその都度教えるから」「よろしくお願いします」僕がそう言ってお辞儀をすると、チョン君はそれを見てうっすらと笑った「礼儀正しいんだね、大学生だよね？」「１年です」「じゃあ俺と１学年差だ家は近いの？」「えっと...自転車で10分くらいです」「そっか、俺は徒歩10分てとこかな大学の授業が終わってから来てるって感じ？だよね、俺も一緒」チョン君はどうやらお喋りが好きらしい次から次と質問をしては、自分の情報も同じように僕に教えてくれたお陰で勤務初日の30分やそこらで僕はチョン君の大体の個人情報を得てしまったこんなに他人に話していいのかと思うような事すらも、いとも簡単に話してしまうのがちょっと心配になるくらいだった店の入り口でお客さんの入店を知らせるベルが鳴ると、チョン君はサッとメニューを手に出て行き、人数を確認してテーブルに案内水とお絞りを運んで、お客さんの注文を取り、それを厨房に伝達あとは料理が出来上がったらそれをテーブルに運ぶ...実に効率良く無駄な動きのない仕事ぶりだった19時を過ぎると一気に忙しくなり、忙しなく動き回るチョン君について回るのはなかなか大変だったそして20時半を過ぎるとようやく一段落して、ラストオーダーの21時頃にはかなり手が空くようになった「この時間になると余裕が出て来るから、営業に支障が出ない程度に少しずつ片付け始めるよ」「お客さんがいるのに片付けちゃうんですか？」「例えばここにあるメニューはもう必要ないから一冊ずつ拭いてしまったり、あとは予備で出してるカトラリーなんかも一旦洗わないといけないから厨房に下げるし、レジ周りの備品を整理したり、そういう感じかな」「分かりました」一組、また一組とお客さんが帰って行って、22時ちょっと過ぎに最後のお客さんの会計を済ませると、ここから一気に本格的な片付けに入り、全て終えて退勤したのは22時半を過ぎた頃だった「日によって違うけど、22時ジャストに片付けが始められるともっと早く終わるかななかなか帰らないお客さんなんかもいるから、それで左右されちゃうよね」「そうですよね」喫茶店はここまで閉店時間は遅くないけれど似たようなものだコーヒー一杯で何時間も粘ったり、とっくにドリンクが空になっているのにいつまでも喋っているグループがいたり、どこの店にもそういうお客さんはいるチョン君と一緒に更衣室に入ると、チョン君のロッカーは僕の隣だった何となく見られるのが嫌だったので、邪魔にならないように自分の服をロッカーから出して更衣室の端に移動すると、そこで着替えた「シム君は夕飯どうするの？」「...え？」着替えの真っ最中に話し掛けられて戸惑いながら振り返ると、チョン君は上はTシャツ、下はボクサーパンツという中途半端な格好だったそんな格好で話し掛けるなよ、と内心思いながら、そういう自分も似たような格好だったので慌ててジーンズを上まで引っ張り上げた「俺はすぐ近くの牛丼屋で食べて帰るけど、シム君は？」「僕は...特に考えてなかったです」「じゃあ一緒にどう？自転車で10分だっけ？帰宅したら23時近くになっちゃうし、腹が減るでしょ」何となく押し切られる感じで僕はチョン君と一緒に近くの牛丼屋へ行く事になった自転車を押しながら国道沿いの歩道を二人で歩いていると、人見知りの激しい僕が、今日初めて会った人と牛丼屋に向かっている事が不思議でならなかったある意味、強引に連れて行かれているようなものかもしれないけれど、それでも断らなかったのは僕自身だし、行ってもいいかな、と思えたのは珍しい僕の少し前を歩くチョン君は、黒のキャップに黒のスウェット上下、おまけに黒のスニーカーと全身黒ずくめで、制服姿の時に感じていたワルっぽさはよりリアルになっていた大学ではどんな感じなんだろう...なんて、ちょっと興味が湧いた牛丼屋に着いてまずは食券を買うと、カウンターとテーブルで迷って、チョン君は最終的にテーブルを選んだ向かい合って座ってチョン君を目の前に、改めてその完成されたルックスをじっくりと眺めた黒髪が無造作にかかる額はキレイな山型をしていて、きりりとした眉毛に黒目がちの目、スッと通った鼻筋に、表情豊かな口元...お客さんに女性が多いのはもしかしたらチョン君のせい？と思った何時間も一緒に働いていたけれど、こんな風にじっくり観察する余裕なんてなかったし、そんな事しようものならきっと怒られていた僕の視線に気付いたのか、チョン君は卓上のメニューからチラリと目だけを僕に向けた「どうかした？」「え？いえ...何でもないです」「ふぅん...今日働いてみた感想は？」「感想ですか？そうですね...時間帯によっては結構タイトなんだなって感じました」「そうだね、女性客が多いからか、後から追加追加ってなる事が多いんだよねいっぺんに済ませてくれればこっちは楽なんだけど、そんな事言えないしね」「そうですよね...」女性客が多いのは店の雰囲気やメニューも理由の一つかもしれないけれど、主にチョン君が原因なんじゃないかと思った追加追加で呼ばれる事が多いのも、単にチョン君見たさでそうなっているような気もした牛丼が運ばれて来ると、暫く僕らは無言でそっちに掛かりきりになった食べ終わってグラスの水を飲み干したチョン君が、カウンターの冷水筒をテーブルに持って来て僕のグラスにも注いでくれた「ありがとう」「明日も一緒だよね」「えぇ、そうですね、よろしくお願いします」僕がそう言って軽くお辞儀をしたら、チョン君は何か言いたげにじっと僕を見た「あのさ...その敬語、やめてくれないかな歳が近いのに俺だけタメ口で、何か自分が偉そうに感じるんだよね」「でも僕はまだ新人だし、チョン君は年上で先輩だから...」「そういうのはいいよ、それともシム君は硬派な体育会系？同じ学生同士なんだから、もうちょっと気楽にしようよ」「でも...」「あ、分かった、明日、バイト終わりに飲みに行こうよ、そしたら今よりは打ち解けるんじゃない？」「え..飲みに行くんですか？」「シム君の家の近くまで行くからさ、それなら文句ないでしょ」文句があっても、きっとこの感じだと聞き入れてもらえないだろうそもそもチョン君は先輩だから、逆らったら仕事がし辛くなるかもしれないし、勤務初日で生意気のレッテルを貼られるのは嫌だという事で僕は明日、出会って二日目のチョン君と飲みに行く事になってしまったいつもご訪問ありがとうございます「転校生」に取り掛かる前にまたまた短編投稿です主人公のシム君（大学一年生）が、バイト先でチョン君（大学二年生）と出会い、半強制的に距離を縮められて行く、軽めなタッチのお話です長くならないように、５話くらいで終わらせる予定です※画像お借りしました※

アメンバー限定記事恋に落ちてもいいですか？　１１【完】

どうしようもなくあなたに　５４【完】

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m「本当に思い残す事はない？」「ありません」「後になってやっぱり...って思っても手遅れになるけど、大丈夫？」「大丈夫です」「じゃあ...これで本当にお別れだ」そう言ってユノが悲しそうな顔をするから、僕は思わず吹き出してしまった「...なんで笑うんだよ」「だって、たかが食器を捨てるだけなのに大袈裟なんですもん心機一転するんですから、過去の物はきっぱり処分するんです」ユノの手から使い慣れた茶碗を奪い取ると、それを新聞紙に包んでゴミ袋にそっと入れたこれ以外にも汁椀やお箸、マグカップなど、ここに住んでからずっと使っていた食器たちがゴミ袋の中には入っていた何を隠そう、今日は僕がユノのマンションに移る日だ引っ越し業者が来るまでの間、僕が今朝まで使っていた食器類に別れを告げていた他の荷物は全て纏め終えていて、あとは運ぶだけだった「今夜は料理しませんけど、いいですよね？どうせ荷解きとかなんやかやで、それどころじゃないと思うんです」「そうだね、外で食べようどこにするかはチャンミンの食べたいもので決めていいからね」30分もしないうちに引っ越し業者が来て、僕たちは邪魔にならないように見届けてから、最終チェックと掃除をしてユノのマンションへ向かった空っぽになった自分の部屋を見ながらちょっとセンチメンタルになったけれど、これから始まる二人の新生活に向けて期待の方が何十倍も大きいユノのマンションに着いて少しすると引っ越し業者も到着して、そこからはとにかく怒涛の数時間だった僕の荷物はそれほど多くはないけれど、午後一に運び出しが始まって、全て終わったのは夕方になってからだった疲れてはいても、今夜からユノと一緒に寝食を共にすると思うと気分は不思議と高ぶって、なかなかお腹も空かなかった18時半を過ぎた頃、ようやく僕たちは片付けの手を止めて食事に出た新生活スタート祝いと称して駅前の焼肉屋に行くと、僕はメニューの中のホルモンのページをじっくりと眺めた「いきなりホルモン？」「えぇ、スタミナたっぷりつけましょう」「スタミナ？残りの片付けは明日でもいいんじゃない？」「違いますよ、僕も今日はこれ以上続けるつもりはありません」「そうなの？でも、スタミナつけたら寝れなくなるんじゃない？」「寝るだけだからこそ、スタミナが必要なんですだって、僕たちの初夜ですよ？」すると、水を飲もうとしていたユノがブフっと吹いた口から噴き出た水がテーブルを濡らして、慌てて僕は自分のおしぼりで拭いてあげた「大丈夫ですか？」「うん...だって、チャンミンが変な事言うから..」「変な事ですか？でも、事実ですよ今夜は僕とユノが一緒に暮らす最初の夜なんですから」「そうだけどさ...ベッドに入ったらすぐ寝ちゃうんじゃないかなお互い、朝から結構よく働いたよ」「でも...僕はそうならないに賭けます」ユノは鼻でふっと笑った「賭けなくてもいいけどさまぁ、とりあえずスタミナはつけておこうか？念の為」そう言うと、ユノは僕が開いていたホルモンのページを覗き込んだそして...ホルモンの効果は抜群だった「えーっと...それじゃあこちら、住所変更の手続きしておきますね」「はい、お願いします」総務課で住所変更の手続きを済ませると、自分のデスクに戻る前に、かつてユノが使っていた部屋を覗きに寄ったドアはしまったままで、ドアノブを回すと鍵はかかっていなかった中は無人のせいか、ひんやりとした空気が廊下に流れ出たもうどこにもユノの香りは残っていない"どうかした？"と言って優しく微笑むユノもいない無性に寂しくなってきて、ドアを閉めると足早に自分のデスクに戻った「お、シム、どこ行ってた？」「うん、ちょっと総務課に」「へぇ、何か浮かない顔してんなチョンさんと喧嘩でもした？」「してないよ、むしろラブラブ」「そこ聞いてねーしまぁでも、お前が幸せならいいや俺は俺で、頑張って自分のロマンスを探すよ」「僕は応援するよ」「...お前にだけは言われたくないそれよりさ、チョンさんと飲みに行きたいんだけど、どう？」「チョンさんと？何で？」「何でって、飲みに行きたいから言ってるんだけど？もうお前にちょっかい出さないし、純粋にまた3人で飲みたいなって思ったわけ今度の金曜とか空いてたら俺、店の予約とかするからさ、訊いてみてよ」「強引だなぁ...でもま、そういう事なら訊いておくよ多分大丈夫だと思うよ」「サンキュ」その晩、早速僕はユノにその話をしたユノは快諾してくれて、トントン拍子に話は進んだ同僚が選んだ店は、程よく賑やか、程よく半個室の居酒屋だった和やかに乾杯から始まり、僕と同僚がちょっと前までぎくしゃくしていたとか、そういうのが嘘のように楽しく時間は過ぎたそして、ふとしたタイミングで僕とユノが同棲している事がそれとなく匂ってしまって、すかさず同僚に突っ込まれた「ていうかちょっと待って、いきなりそういう流れ？チョンさんとシムって、そこまで深い関係だったの？」「深いって言うか...まぁ社会人だし、付き合ってたらこうなるのって自然な流れなんじゃない？」「そうだけどさ...それにしてもびっくりだよじゃあなに、朝は一緒に出勤してるの？」「ううん、僕とチョンさんは出勤時間が違うから別々だよまぁ、帰りが一緒になる事は多々あるけどね」「へー...そこは聞いてないけど」そんな僕と同僚のやりとりをユノは楽しそうに聞いていたずっとひた隠しにしていた二人の交際を、こうして同僚に知られても平穏に過ごせていられるのが不思議だし、有難いと思うそれから僕らはユノの提案でバッティングセンターに移動したそこは僕が初めてユノに頼まれて息抜きに付き合わされた場所で、今となっては二人の聖地みたいなものだ「チョンさん凄いっすね、めちゃくちゃ打率高いじゃないですかもしかして野球やってたんですか？」「やってないよ」「それでこの打率？すげぇ...」同僚が目を白黒させているのを見て、自分の事でもないのに僕は得意になっていたユノは何をやらせてもパーフェクトで、バッティングは勿論、バスケのシューティングゲームもほぼ外さないだからいつも、高得点を叩き出すユノを見て周りのお客さんが感心するのを、僕は密かにニヤニヤしながら眺めていた「シムはやんないの？」「僕？僕はこういうの得意じゃないから」「でも俺もやったんだし、シムもやろうよ」「えぇ？」助けを求めてユノを見たら、満面の笑顔で頷かれたその後、空振りを連発して同僚にボロクソ言われて凹んだのは言うまでもないひとしきり遊んで駅で同僚と別れると、僕とユノはホームのベンチに座って電車を待った遅い時間なので本数が少なく、まだ暫くは来ない「今日は楽しかったですか？」「うん、楽しかったよチャンミンのその顔は、そうでもなかった？」「いえ、僕も今日は凄く楽しかったですでも、本当はユノが気乗りしなかったんじゃないかって気になってたんですだってほら...あいつ、僕を襲った前科がありますから」「あぁ、それ？そんなのもう気にしてないよ久々にバッティングセンターでスカッとしたし、チャンミンの下手さも再確認できたし」「あ、酷いっ」「ハハ、冗談だよでも、懐かしかったな...あの時、思い切ってチャンミンを息抜きに誘った自分を褒めてあげたいよじゃなかったら、今こうして一緒にいなかったかもしれない」「そうですね、僕もそう思いますとてもじゃないけど、僕からユノに声を掛けるなんてできないですもん」ユノの大きな手がスッと伸びて来て、僕の手の上に重なってぎゅっと握られた顔を上げると、ユノの真っ黒な瞳が僕をじっと見つめていた「好きだよ、チャンミン」そう言ってユノは優しく微笑むと、パッと身を屈めて僕にキスをした全くひと気がない訳じゃないのに、平気で大胆な行動に出るユノにいつもドキドキさせられるお返しがしたいところだけれど、さすがに僕にはそんな度胸はない「続きは帰ってからでいいよ」ユノはそう言って握っていた手を離すと、ベンチの背凭れに寄り掛かった長い脚を持て余すように前に投げ出し、考え事でもしているような姿は、まるで雑誌のグラビアを切り取ったようにサマになっていたこんな人から好きだと言われ、キスをされてしまう僕は、世界一幸せかもしれないどちらがどれだけ想いが強いかは分からないけれど、愛されているのは確かだ「あ、そろそろ来るよ」そう言ってユノは立ち上がると、僕を振り返って手を差し出して来た僕はその手を掴んで立ち上がると、前を歩くユノの、頼もしくて温かくて、愛おしい大きな背中に胸が熱くなったこの背中に一生付いて行きたいこの背中に一生寄り添いたいあぁ、僕はどうしようもなく、あなたが好きだ～　完　～いつもご訪問ありがとうございます後半はなかなか定期的に更新できずお待たせしてばかりでしたが、遂に最終話を迎えました最後までお付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました※画像お借りしました※

恋に落ちてもいいですか？　１０

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m店に一歩足を踏み入れると、真っ先にカウンターを見たいつものように制服姿のシムさんがお客さんと談笑しているのが見える俺が入口に立っているのに気付くと、一瞬笑顔が固まって、それからパチパチと瞬きをして何事もなかったかのように再びお客さんと会話を再開したカウンターの一番端に座ると、暫くしてシムさんはやって来たどんな言葉が来るかと身構えていたら、いつもと変わらない優しい笑顔で迎えてくれた「こんばんは、来てくれたんですね」「頑張って仕事終わらせて来た」「大丈夫なんですか？仕事の方が大事ですよ」「俺にとってはこっちの方が大事だから今月のお勧めサンドイッチと、アイスコーヒーをお願いします」「かしこまりました」キッチンに入って行く後ろ姿を眺めながら、普通に会話ができた事にホッとしていた日曜日以降、メッセージのやり取りはあるものの、いつも素っ気ないから本心が全く分からず、会えば分かると思っていても、どんな風に接すればいいのか不安だった「お待たせしました」サンドイッチとアイスコーヒーが運ばれて来ると、まずは腹ごしらえでそちらに専念したそして食べ終わった皿を下げてもらったタイミングで、今日ここに来た最大の目的に取り掛かった「シムさん」「はい」「また...誘ってもいいかな」メッセージで訊けば済む事だけれど、面と向かってちゃんと誘いたい、そう思って仕事を無理矢理切り上げてここへ来たシムさんは特に動揺したり驚く様子も見せず、軽く眉を持ち上げた「...いつですか？」「え、今決めていいの？」「だって、その為に今日来てくださったんですよね？」「あぁ、うん、まぁねじゃあ...今度の日曜は？」「いいですよ」「良かったその時は...ちゃんと覚悟決めてくれるよね？」シムさんはパッと顔を赤くして、わざとらしい咳をした「それ、今言わなくてもいいじゃないですか」「でも、俺にとっては大事な事だから」「努力はしますけど、でも、期待されても困ります」「そっか...まぁ、そこはシムさんに任せるよとにかく無理強いは絶対にしないから、そこは信じて欲しい」「...分かりました詳しい時間なんかは後ででもいいですか？」「うん、いいよ」シムさんが俺を拒む事なくまた会ってくれると分かっただけで十分だそこでどうなるかはその時の状況次第、何よりもシムさんの気持ちが最優先だ珍しく店が混んで来てカウンターが満席になったので、長居は無用と店を出たすぐ隣に他のお客さんがいたのではシムさんとの会話も気を遣うし、確実に会える約束ができただけで満足だった翌朝起きると、シムさんから深夜のうちにメッセージが届いていたと知って驚いた普段は俺に気を遣って朝になるまで送って来ないのに珍しい俺が早々に帰ってしまったのが寂しかったようで、その事だけが書かれてあった寝起きにも関わらず顔はニヤケてしまうし、シムさんへの想いはますます募ってしまう狡いよな...と思いつつ、そうやってさり気なく気持ちを見せてくれる事が嬉しかったそれからまた仕事が忙しくなって、結局会えず仕舞いで日曜日を迎えた当日、シムさんはチャコールグレーのざっくり編みのニットにライトブルーのジーンズで現れた濃い目のトップスが肌の白さを際立たせて、遠巻きに見てもハッと目を引く美しさだった途中のスーパーで食材を調達すると、シムさんは夕飯の材料よりもよっぽど時間をかけてワインとビールを選んでいたそしてマンションに着いて荷物を一旦冷蔵庫にしまうと、早速シムさんは缶ビールを開けた「ちょっと待って、いきなり飲むの？」「え...ダメですか？」「料理する前に飲んで大丈夫？」「だって...家ではいつもそうしてますけど」「そっか、それならいいけど、酔っ払ってちゃんと料理できるのかなって思ったから」「大丈夫ですよ、泥酔するほど飲んだりしませんからチョンさんも何か飲みますか？」「いや、俺はアイスコーヒーにするよ」シムさんは缶ビール、俺はアイスコーヒーでソファに落ち着いた「そう言えば夕飯のメニューを聞いてないけど、訊いてもいい？」「それは出来てからのお楽しみです」シムさんはそう言って嬉しそうにふふと笑うと、缶を傾けてゴクゴクと飲んだそれを横目で見ながら、このまま酔って甘えて来てくれたらいいな、なんて安易な事を考えてしまった平静を装ってアイスコーヒーなんて飲んでいるけれど、心の中は朝からずっと穏やかではなかった何なら今夜は泊まってくれたって構わない「あのさ...今日は何時までいられるの？」「んー...成り行き次第、って言ったらダメですか？」「成り行き？」「夕飯食べたらすぐ帰れって言うならそうしますけど...」「いや、それは絶対にないからいくらでもいてくれて構わないんだけど、一応聞いておこうかと思ってお酒はまだたっぷりあるし、帰るのは全部飲んでからでもいいよ」「えぇ、そのつもりです」そう言ってまたビールをゴクゴクと飲んだ喉が渇いてでもいるのか、シムさんのピッチの速さにハラハラしていると、突然スッと立ち上がって台所の方に消え、新たな缶を手にして戻って来た「それ2本目？大丈夫？」「僕にとってはいつも通りですよ、これ」「そうなんだ？でも..」いくら何でもこの短時間に1本空けるのは普通ではないこのまま2本目を飲ませてしまっては夕飯にありつけるかどうか危うい、そう思った俺は、シムさんがプルタブに指を掛けた所ですかさず缶を取り上げた「あっ、何するんですか」「これは夕飯の時に飲むって事で、ビールは一旦おしまいここで酔っ払って夕飯作るの放棄されたら堪んないからね」「そんな...」「どうしても何か飲みたいならアルコールの入ってないもので我慢して俺のアイスコーヒーでも飲む？」そう言ってアイスコーヒーのグラスを持ち上げて見せると、シムさんは渋い顔で首を横に振った気のせいか目がトロンとしていて酔っているように見えるシラフの俺は、そんなシムさんの様子に胸がざわついた酔っているからチャンスだなんて思わないここで襲い掛かったらそれこそ俺は最低の男だ「...テレビでも見よっか」煩悩を振り払うようにテレビを点けると、ちょうど旅番組をやっていた伝統ある老舗旅館の客室の映像を眺めながら、シムさんが小さく"いいな"と呟いた「旅行？」「えぇ、僕とチョンさんでどうですか？」「俺と？」思わずシムさんを見ると、真顔でこちらを向いて"行きたくないですか？"と言った「いや...行ってもいいなら行きたいけど、俺と二人で？」「えぇこういう旅館でしっぽり...って、良くないですか？」「しっぽり..って、まだ俺たちには早い気もするけど」「そうですか？」「だって、俺たちまだ...キス？しかしてないし」"しっぽり"、という言葉の意味をシムさんは分かっているのだろうか？そこには乱れたシーツやはだけた浴衣なんかがイメージされる訳で、分かっていて敢えて使っているのなら、俺たちはいつでもそうなっていいという事だ視線を感じてシムさんを見ると、思い詰めたような表情で俺を見つめていた「もしかして、怒った？」シムさんは何も言わずに、片手をそっと俺の太腿の上に置いた手の平からシムさんの体温が伝わって来て、じんわりと熱い「シムさん？」「今日はちゃんと、覚悟決めて来ました」「...いいの？」シムさんは俺の目を見つめたまま、ゆっくりと頷いたあぁ、だから急ピッチでビールを1缶空けたのか..と納得したシムさんの手が置かれている部分を起点に、内腿から下半身へと熱を帯び始めていたベッドに移動したいところだけれど、その時間がもったいないし、気分がシラケては困る俺は意を決してシムさんの両肩に手を置くと、ゆっくりと後ろに倒したシムさんの腕が俺の背中に回されて、同時に二人の唇も重なったキスが激しくなるにつれ、シムさんの俺を抱く腕に力が入るのが分かる覚悟を決めて来たのなら、もう止まる理由は何もない今夜こそは、シムさんを...俺の全てで感じたい※画像お借りしました※

恋に落ちてもいいですか？　９

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)mシムさんの手を掴んだまま、自分で自分にびっくりしていた思いがけずシムさんの手が俺に触れたその瞬間に、何かが弾けてしまった何か言わなくては..と思っても、頭が真っ白で何も言葉が浮かんで来ないシムさんも俺を見上げたまま微動だにせず固まっている分かっている、この手は何だと言いたいのだろう俺だって、自分がなぜシムさんの手を掴んでいるのか知りたい「チョン..さん？」辛うじて聞き取れる、囁くようなシムさんの声に、ようやく俺は手を離した「ごめん...」そう言うのがやっとだったいたずらに肌に触れたせいで、シムさんへの想いが溢れてしまいそうだこめかみで脈を打つ振動が嫌と言うほどに分かる「とりあえず...コーヒー淹れてくる」「え？」シムさんのカップを無造作に掴むと、足早に台所へ逃げた逃げてばかりの自分が情けないコーヒーサーバーからカップにコーヒーを注ぎながら、どんな顔で持って行けばいいのかと途方に暮れた衝動的にあんな行動を取ってシムさんを動揺させておきながら、何も言わずにその場を立ち去り、それで平気な顔してお代わりどうぞなんて、とてもじゃないが言えない「チョンさん」背後で声がして振り向くと、いつの間にかシムさんが立っていた「僕も手伝います」そう言って俺の隣に来ると、砂糖の容器を棚から取って、もう勝手が分かっているのか迷う事なく引き出しを開けてスプーンを取り出した俺は黙って残りのコーヒーを注いだ「さっきチョンさんに手を掴まれた時、心臓が止まるかと思いました」「...ごめん、びっくりしたよね」シムさんはスプーンで砂糖を掬うとそれぞれのカップにひと匙ずつ入れ、静かに掻き回した「びっくりしましたけど、でも...嬉しかったです」「...本当に？」驚いてシムさんを見ると、少し悲し気な眼差しを俺に向けた「チョンさんは僕の言う事、素直に信じてくれませんよね」「いや、信じてない訳じゃないけど...嬉しいなんて言うから」「だって、本当の事ですから」「...そっか」手を掴まれて嬉しい..なんて、暗に俺の事が好きだと言っているようなものだまだはっきりと告白されてはいないだけに、言葉通り受け止めていいのか迷う「チョンさんは...僕に触れて、ドキドキしませんでしたか？」「...したよドキドキなんてもんじゃないけど」「でも、何も言わずにいなくなっちゃいましたよね？どうしてあんな事したんですか？僕に触れたいと思ったからじゃないんですか？」穏やかだったシムさんが、突然俺を責めるように質問をぶつけてきたこんな風に感情的になるシムさんは初めてだそれもこれも、間違いなく俺のせいだ「何も言わないなんて狡いですよ」「だって...シムさんを困らせるかもしれないけど、いいの？」「困らせてくれていいんです覚悟は...できてますから」そう言ってシムさんは俯いた耳の先まで真っ赤にして恥じらう姿に俺の中の男がムクムクと頭をもたげ、もっと恥ずかしがる姿を見てみたいと思った久々に感じる湧き上がるような衝動に、自制心なんてものを意識する余裕はないそっと手を伸ばすと、指の背でシムさんの頬に触れたシムさんはビクっと体を震わせて、俺を見上げた「どんな覚悟してきたの？」「...説明しないとダメですか？」「俺、鈍感だから」そう言って一歩近付くと、片手をシムさんの腰に回し、自分の方に軽く引き寄せた無防備に薄く開いた唇はまるで俺を誘っているように見える「いい？」シムさんは答える代わりに、俺の口元を見つめていた俺もシムさんの口元を見つめながら、ゆっくりと顔を近付けて行ったそして...柔らかくて、温かくて、なんとも言えない唇の感触に、全身鳥肌が立った乾いた唇同士は軽く触れる程度に数秒重なり、すぐに離れた「...こういう覚悟？」そう言ってシムさんの目を覗き込むと、恥ずかしそうに顔を背け、そのまま俺に抱き付いて来たシムさんの柔らかい髪の毛がさわさわと俺の耳を擽り、ほのかに甘い香りがした「凄く...恥ずかしいです」「恥ずかしい？でもそれは俺も同じだよ、俺だってめちゃくちゃ恥ずかしい」そう言って体を離すと、俯いたままのシムさんの顎を指先で持ち上げて唇を重ねた二度、三度と、触れては離れてを繰り返したでも、それだけでは物足りない試しに唇を少し開いてみると、シムさんはすぐにそれに応じてくれた遠慮がちに舌先が何度か触れ合うと、俺は顔の角度を少し変え、シムさんの舌に自分の舌を絡めた初めてキスをするとは思えない程、無遠慮に「んっ....」次第に下半身が充血し始めると、無意識のうちにシムさんの腰を強く抱いていたそして、シムさんも自分と同じ状態だと知って余計に興奮した「んっ....んふ」キスの合間に漏れるシムさんの悩まし気な吐息は完全に反則ものだここが台所でなかったら迷わず押し倒していたそうしてひとしきり熱いキスを交わすと、二人とも呼吸が乱れていた気のせいか、部屋の温度も上がっているように感じられた「ねぇ、シムさんの声...それ、反則だよ」「そんな...反則って言われても、チョンさんが下半身を押し付けるから」「俺のせいなの？」すかさずシムさんの腰を自分の方にぎゅっと押し付けると、シムさんからは"あ"と甘い声が漏れたこんな声を聞かされてしまったら、熱く火照ったこの体をどうにかしなければ収まらない「ベッドに...行かない？」「...ベッド？」「ちゃんとしたい...かなやだ？」「嫌ではない...ですけど」あれだけ激しいキスをしておいて、急に怖気づいてしまったのかシムさんは言葉を濁したまま、調理台に放置されたコーヒーカップに視線を向けた「コーヒー、冷めちゃいましたね」「後で温め直せばいいよ今はコーヒーよりシムさんが欲しい」「...ストレートですね」「あんなに凄いキスしといて、今さら恥ずかしがる事なんてないよね？」シムさんの手を引いて台所を出ると、真っ直ぐ寝室に向かったそしてベッドの上に座らせると、ゆっくりと後ろに倒した不安げに俺を見つめるシムさんを見下ろしながら、俺自身も覚悟を決めたここから先はもう、止められない「いいんだよね？」念の為の意思確認をして、返事は待たずに覆い被さると唇を重ねたもうお互いにどんなキスをすればいいのか良く分かっている「ん.....ん」シムさんの両腕は俺の背中に回され、柔らかい舌の感触と同じように、俺の脳ミソもトロトロに蕩けてしまいそうに気持ちがいいそしていよいよ我慢の限界が来て、シムさんの服に手を掛けた「待って!!」「...え？」「やっぱり...ダメです」「ダメ？でも、覚悟して来たって言ってたよね？」「そうなんですけど、やっぱりまだ無理です」シムさんはそう言って起き上がると、俺から逃げるようにベッドから降りた完全にそのつもりでいた俺は、急に気を削がれて茫然となったまさかこのタイミングでこうなるとは思ってもいなかった「ごめんなさい...覚悟してたつもりなんですけど、何だか怖くて...」「怖い？俺が？」「いえ、こういう状況が...久し振りだったから」「あぁ...そっか」そんな事を言ったら俺だって久し振りだ久し振りだからこそ、暴走してしまったとも言えるシムさんの心の準備がまだできていないのなら、そこは待つしかない大切だから、強引にはしたくない「コーヒー、温め直して来るよ」火照った体を持て余すようにベッドから降りると、台所へ向かった結局その後、俺たちはぎくしゃくしたままコーヒーを飲み、30分もしないうちにシムさんは帰ってしまった駅まで送ると言った俺を玄関先で押し留め、逃げるように廊下を小走りで去って行ったし..んとした部屋で、ぼんやりと今日の事を考えていると、ある意味これは失敗ではなく成功だったと思えて来たシムさんは俺の事が気になっていて、それはもう好きと同等で、俺と"そういう関係"になる覚悟でここに来てくれたでもいざそのシチュエーションになった時、怖さが先に立って俺を拒んでしまった俺が嫌いだから拒んだのではなく、その意志はあるものの、久し振りで怖かったのだつまり、シムさんさえ覚悟が固まればまだチャンスはある店に行くのは少し勇気がいるけれど、もう一度シムさんを誘ってみようそして、次にここに来てもらう時は...その時は、思いを遂げたい※画像お借りしました※

＊*今後のお話について＆雑談*＊

こんにちはいつもご訪問ありがとうございます前回のお話紹介から半年が経過しましたので、改めて更新させていただきますまだ読んだ事のないお話や、これから当ブログを楽しもうという方々の参考になれば幸いです....と、その前に雑談（笑）CeCiに始まり、ユノドラマ、ごぶごぶフェス、ベンジャミン・バトン、アリーナツアー発表、THE DANCE DAY、20&2ビハインドと、様々なコンテンツが目白押しで本当に忙しくて嬉しい悲鳴なのですが、それらについてまともにつぶやけていないっこのユノ、あのユノ、あのチャンミン、あの二人...スマホはずーっとスクショ祭りでフォルダ整理も追い付かないくらいなのに、どうしてもお話更新を優先してしまうので全然つぶやけず...いや、私のつぶやきよりお話チョーダイなのは分かっているんですけど（笑）と、り、あ、え、ずまずは20&2のビハインドで気に入っている画像をペタペタしますこれ↑ハートに見えちゃうから不思議～いいなぁ、この二人↑こういう後ろ姿もステキですよね↑汗でシャツが背中に貼り付いて、雄感が満載二人が向かい合って、見つめ合いながら歌うの好きこのジャケット↑、男性の衣装っぽくないこういうフェミニンな衣装も着こなせちゃうのは二人が美しいからだろうな二人とも目がキラキラしてる↑↓ソロも大好きだけど、二人揃っているのはやっぱりいいですねユノとチャンミンそれぞれの良さを引き出し合って奏でるハーモニー相変わらず「20&2」のアルバムを毎日聴きまくっていますが、掛け合いだったり、ハモリだったり、二人の声が交わると本当に美しい欲を言うと、ソロコンもいいけれど、私はユノとチャンミンそれぞれのソロコンに行きたいので、だったら普段のコンサートにソロ曲をもうちょっと多く盛り込んでくれたらいいなぁ、なんて思ったりもします（でもソロコンは日本ではなかなか難しいかな？ALLハングルでいいのでやって欲しい!!!）あと更に欲を言うと、日本のコンサートの演出がいつも派手過ぎて苦手です韓国のコンサートやアジアツアーみたいに、二人の歌を引き立てるステージセットや演出にしてくれたらいいなぁ日本での売り方はこう、韓国ではこう、みたいな設定があるのかもしれないけど...一ファンとしては二人の歌がじっくり聴ければそれが一番なんだけどなぁで、アリーナツアーが告知されました希望は11月のたまアリと、3月の横アリを各１回ずつ行きたい!!!3月はバリバリの平日なので、既に夫にはテレワーク依頼をしてあります（笑）皆様が希望の日程でお席ご用意されますように...とか書いているうちにユノスタ更新直近のも含め、お気に入りをペタペタ...なんて話し掛けてるのかなぁユノのブランドもののバッグにちゃっかり乗ってるこういう角度↑堪んないです電車で向かいに座っていたら、一瞬で恋に落ちますねカッコいいの合間にこういう可愛いの入れてくるこの画像、吹き出し使って色々遊べそうこういうのとか可愛い写真撮った後にこっちに向かって笑い掛けて、「こっちおいで」とか言われたい大きく開いたジーンズの切れ目に手を入れたら...ダメ？個人的に一番好きなのはこちら↑顔も隠れてるし至近距離でもないけど、なんか好きユノスタはちょっとしたデート気分を味わわせてくれるからいいですよね服装もお洒落だし、完全プラベ？と思ったりもするけど、ユノが楽しんでいたらそれだけで嬉しい....と、雑談が長くなりましたここから先は、お話に関してです※当ブログのお話は全てホミンBLですご興味のある方のみ先にお進みください＜＜進行中のお話について＞＞「転校生」145話より手前を目途に完結させる予定です受験が絡んでくるのでかなり難航しており、なかなか更新できません（汗）受験→進学...あたりで終わらせるつもりでいます「どうしようもなくあなたに」あと1～2話で完結させる予定です「恋に落ちてもいいですか？」あと1～2話で完結させる予定です最後はお話紹介ですリンクに飛びますので、ご興味のある方のみポチっとお願いいたします↓↓『＊*・お話紹介・*＊』いつもご訪問ありがとうございます簡単ではありますが、当ブログに掲載しているお話の紹介をさせていただきますまだ読んだ事のないお話や、これから当ブログを楽…ameblo.jpユノとチャンミンがいつも笑顔でありますように...↓足跡代わりに、ポチ！お願い致します♪にほんブログ村※画像をお借りしています

恋に落ちてもいいですか？　８

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m< The view from Changmin >チョンさんとのメッセージのやりとりは、僕にとって何よりの癒しになっていた好きでこの仕事に就いてはいるものの、やっぱりそれなりにストレスは溜まるわけで、そんなストレスをチョンさんの言葉がふわっと包んで消してくれた最近は仕事が忙しいのか、なかなか店に顔を出してくれなくて、だから余計にメッセージは二人が繋がれる貴重な手段だった「シムさん、今日は何だかテンション低くないですか？」「え？」キッチンでポテサラを皿に盛りつけていたら、オーダーを受けていたフロアスタッフがやって来てそう言った「いつもと変わらないけど？」「いやぁ、全然違いますよあ、もしかしてアレですか？例のお客さんが今日も来てないからとか？」「例のお客さんって？」「マスターが言ってましたよ、あのお客さんがいるいないでシムさんのテンションが雲泥の差だってそんなに仲が良いんですか？」"例のお客さん"とはチョンさんの事か...マスターのお喋りめ、と心の中でこっそり思ったいつもカウンターで一緒にいるからなのか、マスターにはチョンさんの事がそれとなく勘付かれてしまっていて、先手を打って僕は素直に打ち明けていたとは言え、あくまでも、歳が近くて気が合うから親しくしていると話しただけで、それ以上の事は話していないここはそういう店じゃないから、お客さんと親しくなったところで問題はないけれど、万が一関係がこじれた時に誰にも迷惑を掛けないように、とは思っている「チョンさんの事は、兄みたいに思ってるんです」「あぁ、そうだった、チョンさんでしたね」「何でも相談に乗ってくれる、頼りになる兄...だから、来ないからってテンションが低くなるとかそういうのは全然ないですよ」彼は疑るような目で僕を見たこの目は完全に信じていない「本当ですか？前に見た時、チョンさんと話すシムさんの目がハートになってるように見えたんですけど、気のせいですかね」「僕の目がハート？気のせいです」「でもま、別にいいんじゃないですか？今までシムさんのそういう浮いた話を聞いた事がないですし、たまにはお客さんといい感じになったって罰は当たらないですよ」「いい感じって、だからそういうのじゃないですって」出来上がったポテサラをカウンターにドンと置くと、彼はまだ何か言いたげに僕を見ながらそれをトレーに乗せ、結局何も言わずに離れて行った僕の目がハートになってる？まさか!!そうならないように気を付けてはいるけれど、昔から僕は感情が顔に出るタイプで、根が正直だから仕方がないでも、そういう事ならチョンさんにも僕の気持ちが伝わっているかもしれなくて、そうなると、今度の日曜に会った時、感情がダダ漏れだったらどうしようと不安になったいや、むしろその方がいい方向に運ぶかもしれない？良くも悪くも、結果は自ずと見えてくるはず悩んでも仕方がないからここはもう自分らしく行こう、そう決心した仕事が終わって帰り支度をしていると、フロアスタッフの一人が声を掛けて来た彼は僕より1つ年下で、店に来る若い女性客をナンパするようなけしからん男だ「シムさん、今日は直帰ですか？」「そうだよ」「これからちょっと遊びに行きません？」「遊びに？今から？そういう時間？」「えっ、本気で言ってますか？お楽しみはこれからじゃないですかぁ」「あ、そっか、君は明日は休みかでも生憎僕は仕事だから、直帰させてもらうよ」「えー、いいんですか？俺、この間いい店見付けたんですよ1時間10000円、追加料金なしでめちゃくちゃサービスいいところ、行きません？」完全に目尻の下がったニヤケ顔を見て、僕は思わず嫌悪感を抱いた彼が言う"いい店"というのはズバリ、性風俗だ彼の稼ぎの半分は風俗で消えて行っているのを僕は知っている「また風俗？そろそろリアル彼女を作ったら？」「風俗だってリアルですよ、生身ですからそれに、プラベで会ってくれる子もたまにいるんですよ」「でもそれって結局は仕事の延長線上でしょ？お金絡んでる時点でアウトだよどうせデート代全部払わされて、おまけに高い物とか買わされてるんじゃないの？」「...なんで知ってるんですか？」適当に言ったら図星だったので、思わず絶句したそういう意味では僕みたいに恋愛に興味がない方が幸せなのかもしれないあ、チョンさんを除いては「行くのは自由だけど、くれぐれも騙されないようにねじゃ、お疲れ様」「あ、シムさんっ」後ろで彼が何か言っていたけれど、無視して店の通用口を出た好きでもない人に体を触られたり、触ったり、そんな事のどこが楽しいのか僕にはさっぱり分からない通りに出てスマホを取り出すと、仕事中にチョンさんから届いていた数通のメッセージを開いた店に行けなくてスミマセンという謝罪から始まり、今日こんな事があった、夕飯は何を食べた、そして最後に、日曜が楽しみです、と結ばれていた店に来る事はマストではないのに、来れない時は必ずスミマセンと謝ってくるそんな必要ないのに、僕が楽しみにしているのを知っているから申し訳ない気持ちになるのだろうそういう律儀なところがチョンさんのいいところだ深夜に返事は送れないので、明日の朝に送るメッセージを今のうちにしたためた気を付けないと、つい熱のこもったメッセージになってしまうので、あくまで淡々と、チョンさんと同じように今日の出来事をメインに書いた僕からのメッセージを受け取ったチョンさんが笑顔になったらいいな、そんな事を思いながら書いた待ち合わせ時刻の5分前に到着すると、既にチョンさんは駅前広場に立っていた黒いデニムパンツに同色のデニムジャケット、インナーに白いTシャツ、スタッズの付いた黒い革靴姿、艶のある黒髪も今日はラフに流していて、いつもスーツ姿しか見た事がなかった僕は、そのギャップにドキっとしたスーツ姿もシュッと決まっていてカッコいいけれど、こういうチョンさんもいいな..なんて、遠巻きに見ながらキュンとした遂に今日、プライベートでチョンさんと会うそれがどんな変化を生むのか、楽しみでもあり、不安でもある部屋に上がって、コーヒーを飲んで、それからサンドイッチを作って食べる...たったそれだけの事なのに、僕の心臓はずっと早鐘状態で、手の平はじっとりと汗ばんでいた落ち着こう落ち着こうと思っても、チョンさんの視線を感じる度にいちいち顔が熱くなってしまうし、チョンさんがどんな気持ちで僕を見ているのかと思うと息をするだけでも緊張したそのうち酸欠になりはしないかと本気で思った実を言うと、僕は今日、チョンさんとどうにかなってもいいと、少なくともその覚悟を持って出て来ていたお互いの気持ちを確認もせずに時期尚早かもしれないけれど、何となくお互い惹かれ合っているような気がして、だから万が一そうなったとしても全然構わなかったそしてそんな僕の期待を裏切る事なく、急接近の事態は不意にやって来たそれはちょうど、僕がチョンさんに自分の気持ちをそれとなく打ち明けた直後だったコーヒーのお代わりを淹れに行こうとしたチョンさんの手に、うっかり僕は触れてしまったのだ慌てて手を引っ込めたら、チョンさんにいきなりその手を掴まれた突然の事に僕はびっくりして固まってしまって、チョンさんも同じように固まっていた掴まれた手にチョンさんの手の温もりが伝わって、じんじんしていた「チョン..さん？」辛うじて出せた声は掠れてしまって声にならなかったチョンさんはハッとして手を離すと、"ごめん"とだけ言ったもし僕が立っていたら、チョンさんは手を掴んだ流れで僕を抱き締めただろうか？もし抱き締められたら、それから先はどうなってしまうのだろう？ここがダイニングじゃなくてソファだったら...？そんな仮定の話を一人脳内で繰り広げていたら、チョンさんは僕のカップをサッと取ってキッチンに行ってしまった「...今のは何!?」心臓が口から飛び出しそうな勢いでドキドキしていた僕は、思わぬ置いてけぼりに遭って、そう呟やかずにはいられなかった着火するだけしといて後始末をしないなんて、あんまりだと思った※画像お借りしました※

＊*・お話紹介・*＊

いつもご訪問ありがとうございます簡単ではありますが、当ブログに掲載しているお話の紹介をさせていただきますまだ読んだ事のないお話や、これから当ブログを楽しもうという方々の参考になれば幸いです※当ブログのお話は全てホミンBLですご興味のある方のみ、先にお進みください*********　お話紹介　**********長編シリーズ「転校生」男子校に通う高校２年生のユノと、別の男子校から転校してきたチャンミンが出会い、恋に落ち、高校生ならではの悩みを抱えながら恋愛と向き合って行くお話です高校生設定ですが、成人指定ありです（最新話：141話）「微熱」会社員・ユノが住むアパートの隣室に、シムという男が引っ越して来て二人は出会う急速に惹かれ合いながら、思いも寄らない関係に...（全66話）「君のとなりに」恋愛下手な大学生・チャンミンのバイト先のカフェに、完璧なルックスを持つ男・ユノが客としてやって来たどこか謎めいたユノに憧れるチャンミンと、そんなチャンミンを翻弄するユノの、ちょっと大人なラブストーリー（全50話）「I'm your Butterfly」失恋の慰めにと同僚に連れられて、女装バー「Night Butterfly」を訪れた会社員・ユノそこで働くチャンスニ（チャンミン）と運命的な出会いをし、すぐにお互い惹かれ合うチャンスニ（チャンミン）の小悪魔っぷりが冴えます（全66話）「こっそり僕を訪ねて来て」独身男・ユノの住むアパートの隣、新築戸建てに新婚のシムさん夫妻が越して来たお互い在宅勤務だったことで夫のシムさんからランチに誘われ、戸惑いながらも誘いに応じた事から二人の秘密の関係が始まる（全17話）「どうしようもなくあなたに」平凡な会社員チャンミンの働く会社に企業アドバイザーとして着任したチョンさんチョンさんの気紛れに付き合わされるうちに、思いも寄らない事態になって行く...（最新話：52話）「あなたのためなら僕は」大きな屋敷に住む名家のユノの元に、新しく使用人としてやってきたチャンミン主人であるユノに見初められたチャンミンが、自分の気持ちと向き合いながら少しずつ打ち解け、関係を深めて行く（全21話）短編シリーズ「潮風と砂粒と、君の夏」大学生のチャンミンとユノの、ひと夏の出会いから始まる甘酸っぱい恋のお話成人指定なしの爽やか青春もの（全9話）「トキメキ納品します！」雑貨屋で正社員として働くシムさんの元に、取引先の新しい営業担当としてやって来たチョンさん人懐こくて優しいチョンさんに次第に心惹かれ、そんなシムさんの心を見透かすチョンさんとのハラハラドキドキな恋のお話（全5話）「君が目覚めさせるから」満員電車がきっかけで偶然知り合った会社員シムさんとチョンさん実はシムさんが痴漢被害に遭っていたと知ったチョンさんがボディガードを買って出た事から二人の関係がおかしな方向に...（全3話）「ねぇ...気付いてる？」スポーツジムに通うチョンさんとシムさんのお話ただ顔を合わせるだけの関係から一歩踏み込んだ事で、密かに相手の想いを知り、更に距離を縮めて行く（全4話）「記憶を辿って君のもとへ」小学校の同窓会で久し振りに顔を合わせたチャンミンとユノ同窓会の途中でユノに強引に連れ出されたチャンミンは、記憶から消えかかっていた当時の甘酸っぱい記憶を徐々に思い出していき...（全3話）「お茶しませんか？」急な雨に降られて慌てて入った喫茶店の軒下で、同じように雨宿りに来たシムさんとお茶をする事になったチョンさん初対面の二人がぎこちなく会話を進めるうちに、直感的に惹かれ合い、いつしか雨は止んでしまう...（全2話）「サイレン」仕事帰りに立ち寄る馴染みの店で、見慣れない男（シム）から声を掛けられたユノ思いがけず好みのタイプで、向こうもこちらに気がある素振りを見せる胸騒ぎを覚えながら探りを入れて行くと...（全3話）「愛してはいけない人」かつて愛したチャンミンに子供が生まれ、見に来いとせがまれて自宅を訪れたユノでもお互いにまだ相手を想う気持ちは何一つとして変わっていなかった苦悩するユノが出した答えとは...？（全2話）「No Sympathy」大学時代の後輩・チャンミンに恋愛相談を持ち掛けられたユノ実は大学時代からずっとチャンミンへの想いをひた隠しにしていた相談に乗るうち、その想いをどうにも隠し切れなくなって...（全5話）「映画みたいな恋をした」映画館で冴えないサラリーマンのチョンさんと衝撃的な出会いをしたシムさんなぜかそこから妙な縁ができ、再びチョンさんに会うと...なんと、そこには全く別人のチョンさんがいた!!（全5話）「君の左手薬指」輸入雑貨を扱う商社で働くチョンさんと、そこでパートとしてやって来たシムさんが、お互いの事が気になりつつも、なかなか自分の気持ちを自覚できずに葛藤する、不器用な二人の恋のお話（全11話）「君で溢れている」バリバリの営業マンとして働くチョンさんは、中途採用のシムさんを営業に同行する事に既婚者と知りながらチョンさんに惹かれて行くシムさんと、妻のある身でシムさんに惹かれて行くチョンさん立場の違いに葛藤しながらも、募る想いに抗えない二人の行く末は？（全18話）「恋に落ちてもいいですか？」バー「Phoenix」をたまたま訪れたチョンさんは、そこで働くバーテンダーのシムさんに心を奪われ、シムさんもまた同様にチョンさんに心を奪われる探り合いながら、確実に距離を縮めて行く二人の甘く優しいラブストーリー（最新話：8話）その他読み切り単発で投稿した一話完結のお話です（全12本）つぶやき不定期更新で、内容は東方神起に関するタイムリーな時もあれば、単純に私のその時々の思いを吐き出しているだけのものもあります画像で妄想シリーズお話ではなく、二人の画像をお借りして勝手に妄想劇を繰り広げさせていただきました当ブログを始めた初期のシリーズで、現在では更新していません鍵付き別館やや濃い目の成人指定を鍵（ﾊﾟｽﾜｰﾄﾞ）付きにてご案内しておりますパスワードについては必ず元記事の中に明記してありますのでご安心ください（どうしても分からなかった場合はDMをください...）↑このような表示が出ますので、パスワードを入力して閲覧可能となります一度パスワードを入力すると、同日であれば再入力は不要ですアメンバー限定記事こちらはアメンバーの方だけが閲覧できる限定記事です内容は主に、◆成人指定のお話ですが、◆ツアー参戦レポ◆ツアーに纏わるイベントレポ◆センイルイベントレポなど、東方神起に纏わる私個人のプライベートな記事もございますアメンバーは随時受け付けておりますが、条件を設けさせていただいておりますので、下記、アメンバーについての最新記事をご一読ください↓↓『★アメンバーについてのお願い★』いつもご訪問いただきありがとうございますこちらの記事は定期的に更新しております限定公開の記事が増えた事でアメンバー申請も増えておりますとても有難いこ…ameblo.jp今日もユノとチャンミンが笑顔でありますように...↓足跡代わりに、ポチ！お願い致します♪にほんブログ村※画像をお借りしています

恋に落ちてもいいですか？　７

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m顔が燃えるように熱い敬語が嫌だと言われてタメ口にしてみたものの、半ば強制的に距離を縮められたようでしっくりこない「ちなみにだけど...シムさんも敬語をやめてくれるんだよね？」「...僕もですか？」まるで心外とでも言うような目で俺を見るから、思わず"え？"と聞き返した「そこはシムさんも合わせてくれないとおかしいよね？」「おかしいですか？でも、チョンさんは僕より年上ですし...」「そんなの関係ないって年上って言ってもたった2歳だし、年代的にはほぼ一緒だよ」シムさんは納得が行かないのか、うーんと唸った敬語が嫌だと言ったのはシムさんなのだから、まずはシムさんから敬語をやめるべきだ「僕は多分無理ですよ、どうしたって敬語になっちゃいます」「どうして？職業柄？」「えぇそれに、もし僕が敬語をやめたとして、それがうっかり店でも出てしまったらマズイと思うんです」「そっか...じゃあ分かった、シムさんは敬語のままでいいよ」「すみません...」そう言ってすまなさそうにペコリと頭を下げた「12時くらいになったらサンドイッチの準備するでしょ？俺も手伝うよ」「あ、いいですよ、僕一人でできますから」「でも、調理道具がどこにあるかとか、台所の勝手が分からないよね？俺がいた方がいいと思うんだけど」「それは勘で探すので大丈夫です一人の方が集中できますし、チョンさんはテレビでも見ながら待っててください」「...分かった」敬語をやめた事で、二人を隔てる壁が取り払われて、それがいい方向に働くのかと思っていたら、実際はそれほど距離が縮まらなかった何かを期待していた俺は、見込み違いだったのではないかと思い始めていた12時ちょっと過ぎにシムさんが台所に入って行くと、俺は一人、ソファに座って指示通りテレビを見ながら待つ事にしたシムさんは客人なのに、家人の俺が寛いでいるというのはどうにも落ち着かない待っている間、台所からはカチャカチャという調理器具の触れ合う音や、冷蔵庫を開け閉めする音が聞こえて来て、それを聞きながらふと、この家で誰かに料理をしてもらうのはシムさんが初めてかもしれないと気付いた親は勿論、友人も、自分ですら殆ど料理をしていないシムさんが今日ここに来てくれた事は何かしら意味のあるものなのだ、そう思ったら、ただじっと待っているのがもったいなくて、テレビを消すと台所へ向かったテレビを見ているはずの俺が突然やって来たので、シムさんはひどく驚いていた「まだ出来てないですよ？」「分かってる」「じゃあ、何か別の用ですか？」「うん、ちょっと気になって...」「サンドイッチがですか？」「いや...シムさんが」「...え？」ちょうどレタスをパンに乗せる手順のところで、シムさんはレタスを持ったままこちらを向いた大きな目が、ひと際大きくなっていた「僕が..ですか？」「そうだって、せっかく来てくれたのに、俺一人であっちで座って待ってるなんて寂しいじゃん？」「あの...」「手伝うよ、俺にもやらせて」俺はシムさんの手からレタスを奪うと、パンの上に収まるように乗せた「こう？」「え？あぁ、はい」「あとは？」「えっと...あとは...」オロオロしながらシムさんの視線が調理台の上を彷徨ったそして、メイン食材のコンビーフの和え物が入ったボウルを俺に寄越した「これを...上に広げてください」「分かった」上手くできたかどうかは分からないけれど、とりあえず二人で作ったサンドイッチを皿に盛りつけると、ダイニングテーブルに運び、向かい合って席に着いた「いただきます」「...いただきます」サンドイッチは味付けがまさに俺好みで、あっという間に平らげてしまった店ではいつも、シムさんの作った料理を俺一人で食べているのに、今は二人で一緒に食べている、そう思ったらじわじわと心が満たされて行ったいつもこうだったらいいのに...「美味しい？」シムさんが余りにも静かなので、機嫌でも悪いのかと心配になって声を掛けた「えぇ、美味しいです」「何かさ...こういうのっていいよね」「こういうの？」「うん一緒に料理して、一緒に食べて、一人じゃないっていいよね」「...そうですね」シムさんはそう言ってふわりと微笑んだそれを見て、俺は何かに急かされるように言葉を探した「あのさ...また来て欲しいって言ったら、迷惑かな勿論、無理にとは言わないけど、またシムさんの手料理が食べられたらいいな..って」これきりで終わりにしたくない、そう思ったら勝手に言葉が口をついて出ていたこんな風に誰かに気持ちを伝えるのは久し振りで、心臓が物凄い速さで脈打っているシムさんはゆっくりと視線をテーブルの上に落としたどんな答えが返って来るのか、ゴクリと唾を飲み込んだ「僕の手料理を食べたいなら、できればお店に来てくれた方が有難いんですけど...」「あ...そうだよね、ここで食べたら売上げにならないか」「あ、いえっ、そういう意味じゃないんですでも...また来ていいなら、今度はチョンさんの食べたいものを作ってもいいですか？」「俺の？」「えぇ、だって、お店と同じメニューじゃ僕も作り甲斐がないですし、チョンさんの好物も気になるし...あ、どうせなら、夕飯にしましょうか？」「夕飯？夜までいるって事？」「えぇ、ダメですか？」「いや、ダメではないけど...」昼間に会うのと、夜に会うのとでは、こちらの心持ちが全然違うシムさんはそれを分かって言っているのだろうか「夕飯だったらお酒も飲めるし、僕はその方が嬉しいです」そう言ってシムさんは照れ臭そうに笑ったお酒が入ったシムさんがどんな風になるのか見てみたい「気が早いですけど、来週なんてどうですか？」「来週？そんなにすぐ会ってくれるの？」俺がそう言うと、なぜかシムさんはクスっと笑ったこういう時に見せる特有の色っぽい表情にドキっとした「何？おかしい？」「なんだかデートに誘われてるみたいですね、僕」「え...そんな感じだった？」シムさんは笑顔のままコクリと頷いた「でもこういうの、楽しいからいいです誰かと出掛けたり、一緒に食事したり、本当に久し振りなんです」「そっか...シムさんて、付き合ってる人とか...いたりしないの？」「え？」シムさんが驚いた顔で俺を見た流れでつい訊いてしまったけれど、これは余りにもストレート過ぎた「どうしてそんな事を訊くんですか？」「ごめん、そんなつもりじゃなかったんだけど、つい...」「僕に恋人がいるかどうか、気になりますか？」俺はシムさんが気になるし、誰かのものであって欲しくはないでも、どこまで想いを伝えたらいいのか...まだ俺たちは知り合って間もない「気になるよシムさんに特定の相手がいるのかどうか、凄く気になる」「どうしてですか？」「どうしてって、それは...シムさんの事が気になってるからだからこうしてプライベートで会いたいと思ったし、また来て欲しいと思った」シムさんは目を伏せると、すぅっと息を吸い込んでゆっくりと吐き出した答えに困っている、そう思った「困らせてるよね、ごめん来なければ良かった..って、思ったよね」すると、シムさんはパッと顔を上げた「来なければ良かったなんて、思う訳ないじゃないですかチョンさんの家に行ってもいいって言ったのは僕だし、無理やり連れて来られたとも思っていません」「でも、ちょっとは困ってるでしょ？」「それは...」シムさんの顔がみるみる赤くなって行った「それは...僕も同じだから、別に困りません」「...同じ？」「僕もチョンさんの事が気になってます気にならなかったらこんな風に会ったりしません」そうであって欲しいと願っていた事が現実になったでも、お互いが気になる存在だと分かっただけで、恋愛的な要素がどれだけ含まれているかはまだはっきりしていない気を紛らわせようとカップを持ち上げたら、既に飲み切って空だった「コーヒーのお代わり、飲むでしょ？」そう言って立ち上がると、シムさんのカップも持って行こうと手を伸ばした「あ、僕がやります」シムさんが自分のカップを取ろうと手を出して、俺の手の上に重なった「あっ、すみません」慌てて手を離したシムさんの手を、俺は咄嗟に掴んだ※画像お借りしました※

恋に落ちてもいいですか？　６

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)m駅前広場に到着すると、さっと辺りを見回したまさかとは思うけれど、もう来ているのではないかと一瞬思ったからだ幸い、見える限りではそれらしき姿は見当たらない待ち合わせは11時で、まだあと15分もある少し早過ぎるかとは思ったけれど、家に居ても落ち着かないし、外にいた方が気が紛れると思ったあぁ...それにしても緊張する俺は今日、遂にシムさんとプライベートで会うのだそれもただ会うだけではなく、シムさんが俺の家に来る部屋はしっかり掃除をしたし、換気もしたから空気もキレイだ滅多に人を招かないから、何をどうすればいいかと戸惑ったけれど、俺なりに頑張ったと思うプァァァ...ン!!警笛を鳴らしながら電車がホームに入って来るのが見えて、いよいよか、と思った時間的にも、恐らくあれにシムさんは乗っているだろうダイレクトに姿を見るのがどうにも恥ずかしくて、敢えて改札の方は見ずに広場を行き交う人々を眺めて待った少しして、タッタッ..と地面を蹴る靴音がして顔を上げると、まさにシムさんがこちらに向かって走って来るところだった俺の前まで来ると、ハァハァと息を切らして肩を上下させた「すみませんっ、お待たせしましたっ...」「走らなくても大丈夫ですよ」「いえ、チョンさんの姿が見えたので、これは走らなきゃと思って..」顔は笑っているけれど苦しそうで、いつもカウンターの向こうで静かに微笑んでいる姿しか見ていない俺にとって、そんなシムさんが新鮮に見えた「落ち着いたら行きましょうか」「いえ、大丈夫です、すぐ行きましょう」まだ息切れしているシムさんを気遣って、ゆっくりとした足取りで広場を出ると、大通りに沿って自宅マンションへと向かったサンドイッチの材料は、途中のスーパーで調達する事にしていた白のTシャツにクリーム色のブルゾンを羽織り、濃紺のジーンズ、白いスニーカー姿のシムさんは、店で見る制服姿とは雰囲気がガラリと変わり、ずっと若く見えた逆にシムさんの目には、スーツ姿ではない俺がどう見えているのか気になるところだ見慣れているいつもの景色に、シムさんの姿が入り込んでいるのが不思議だったスーパーに到着すると、シムさんは必要な材料を慎重に選びながら次々とカゴの中に入れて行ったそんなシムさんの真剣な横顔を見ていると、まるで一緒に暮らしているみたいに思えてきて、それが嬉しくて、敢えて何も話し掛けずに黙ってついて歩いた「...退屈じゃないですか？」「え？」途中でシムさんが足を止めて俺を振り返り、そう訊いて来た「退屈じゃないですよ」「本当ですか？」「えぇどんな材料が必要なのか色々と勉強になって楽しいですし、俺に構わず買い物続けてください」「...分かりました」シムさんは前を向くと、再び売り場を歩き始めたでもすぐに足を止めて俺を振り返った「チョンさん、気になるので僕の後ろを歩かないでもらえませんか？」「え？」「何か...視線を感じて、気が散るんです」そう言って俯くと、みるみる顔が赤くなっていったやっぱりシムさんは俺を意識してくれている、そう思いたくなるようなリアクションに、俺は控え目ながらそっと期待する事にした会計を済ませてスーパーを出ると、もう10分ほどで俺の住むマンションに着く徐々にゴールが近付いて来ると、それに比例して俺の鼓動も速まって行った7階建てのベージュ色のマンションの前で立ち止まると、隣のシムさんを振り返った「ここです、俺の家」「ここですか？凄く立派なマンションなんですね」「外見は立派ですけど、中はそうでもないですよ」オートロックのエントランスを入り、エレベーターで5階に上がると、出て右側、一番奥の角部屋が俺の部屋だ基本は単身者向けのマンションなので、間取りはコンパクトに1LDKだ「...お邪魔しまぁす」シムさんは恐る恐るという感じで玄関に入って来た殺風景な玄関に、昨日買ったばかりの芳香剤が少しきつめに香っていた脱臭剤では下駄箱の匂いが取り除けないと踏んだ俺は、芳香剤で誤魔化す事にしたのだけれど、開封したての芳香剤は少し香り過ぎていた「ちょっと匂いが強いんですけど...」「これ、香水系のですよね？僕も違うシリーズを使ってますけど、時間が経つと馴染むから大丈夫ですよいい匂いですね」シムさんの優しいフォローに救われながら部屋に上がり、ひとまずソファに掛けてもらったまだ昼食には少し時間が早いし、来てすぐ調理させるのも違うような気がして、コーヒーで軽く気持ちを解そうと思った少なくとも、俺は緊張を解したかった「コーヒーでいいですか？」「あ、お構いなくサンドイッチ食べる時にも何か飲みますよね？その時でいいですよ」「そういう訳にも行かないですよ、ちょっと待っててください」そう言ってキッチンに行こうとして、シムさんが上着を着たままなのに気付いた本来ならば俺が預かってハンガーに掛けてあげるべきなのだ来客が滅多にないせいか、こういう事に鈍感になっていた「気が付かずにすみません、上着、ハンガーに掛けますよ」「え？あぁ、すみません...じゃあお願いします」シムさんがするりと上着を脱いでTシャツ姿になった瞬間、肩回りの隆起に沿って生地がフィットしている様子に思わず目が行きドキっとした脱ぎ方も妙に色っぽいと感じてしまったのは、俺がそういう目で見ているせいなのか預かった上着はほんのり温かく、甘い香りがしたシムさんという存在の生々しさに、体がかぁっと熱くなった「コ、コーヒー、すぐ淹れますから」逃げるようにキッチンに向かうと、大きく深呼吸をしてひとまず気持ちを落ち着かせたシムさんの一挙手一投足に反応していたらキリがないし、まだ来たばかりでこんな状態では、これからサンドイッチを作ってもらって一緒に食べて、その頃には俺はどうなっているのだろう？不安でしかないそんな事を考えながらコーヒーを淹れて戻ると、シムさんはソファに寄り掛かるでもなく、姿勢良く座って待っていた俺に気付いてこちらに顔を向けると、ふわりと微笑んだ頼むから、そんな可愛い顔を見せないでくれ...「お、お待たせしました...」ぎこちない手付きでコーヒーをローテーブルの上に置くと、一つを取ってシムさんから少し離れた位置に腰を下ろした今回、シムさんが来るからと少し奮発していいコーヒーを買ったのに、緊張のせいか全く味が分からなかったこの分だと、サンドイッチも味が分からないかもしれないシムさんはコーヒーカップをローテーブルに置くと、背凭れに寄り掛かって部屋をぐるりと見回した「気を悪くされたら申し訳ないんですけど、思ったよりもチョンさんの部屋がさっぱりしててびっくりしました」「さっぱり...？」「えぇ、もっと雑然としてると言うか...ごめんなさい、失礼な事言ってますよねでも、こんなに何もない部屋だとは想像していなかったので...」その言葉を聞いて、やっぱりそう思うか...と思った自分でも違和感を覚えるくらいきれいに片付き過ぎていたその事を打ち明けると、シムさんは可笑しそうに笑った「そうだったんですね確かにチョンさんの人柄というか、キャラクターからすると、こざっぱりって感じではないなと思っていたんです」「そうなんですか？俺って、シムさんから見てどんな感じですか？」「んー...」シムさんはそう唸ると、大きな目で俺をじっと見つめた思わず視線を逸らしそうになって、でも、もったいないと思ってじっと我慢した薄茶色の瞳がとてもキレイだった「安心感、でしょうか」「安心感？」「一緒にいてホッとするというか、凄く落ち着く感じがします」「へぇ...って、あ、すみません、馴れ馴れしいですね」慌てて謝ると、シムさんは優しく微笑んで首を横に振った「馴れ馴れしくていいですよ、お店じゃないんですから」「でも..」「むしろそういう方が僕は嬉しいですずっと敬語なんて、何か...壁を感じて嫌です」一瞬、コーヒーにお酒でも入れたのか？と思ったシムさんの口調はふざけてもいないし表情も真剣で、だからこそ余計に、突然そんな事を言われて動揺した「俺は...敬語の方が話しやすいんですけど、まだ」「でも、チョンさんの家に来てサンドイッチを作るんですよ？もうそれなりに親しい仲なんじゃないですか？まぁ...チョンさんが嫌だって言うなら、無理にとは言いませんけど」明らかに不満そうなシムさんの顔を見て、なんでそんなに可愛いんだ？と思ったこんな表情を見せるという事は、もうシムさんはそれなりに俺に打ち解けてくれているそれなのに俺が敬語にこだわっていては、いつまで経ってもシムさんとの距離は縮まらない「じゃあ...敬語やめます...やめるよ、これでいい？」そう言いながら、自分の顔が燃えるように熱くなるのを感じた※画像お借りしました※

恋に落ちてもいいですか？　５

BL表現を含みますので、苦手な方はスルーでお願い致しますm(_ _)mとりあえず...もらった番号にショートメールを送ってみればいい...のか？店の前で、俺はメモを手に逡巡していたシムさんの連絡先が知りたいと思っていた矢先、まさか本人から直接番号の書かれたメモを渡されるとは思ってもいなかったつまりシムさんも俺と連絡先を交換したいと思っていた訳で、だったら躊躇う事など何もない...はずなのに、本当に連絡していいのか踏み切れない人通りの邪魔にならないように移動すると、書かれた番号に思い切ってメッセージを送った送信ボタンを押す時、指先が震えているのに気付いて思わず笑ってしまったあまりにも急展開過ぎて、脳がこの状況を処理しきれていないのだとりあえず送信すると、返事を待たずにそのまま帰路についた帰宅しても、反応が気になって何度もスマホを確認してしまう店の営業時間は深夜1時までだから、返事が来たとしても恐らくそれ以降そしてシムさんの事だから、返事は翌朝にしようと思うかもしれない期待せずに待っていようと思っても、なかなか寝付けず、深夜番組をぼんやりと見ながら起きていたそろそろ2時になろうという頃、ふと、自分の送ったショートメールが本当に送れているのかと気になり始めたもし届いているなら簡単にでも返事があっていいはずで、それがないのはメールが正しく送れていないからかもしれない...そう思うとまた別の意味で居ても立っても居られなくなり、もう一度メッセージを送る事にしたこんな深夜に俺から連絡が来てびっくりするかもしれないけれど、逆に喜んでくれたらいいな..なんて、淡い期待も抱いていたすると、送信してから数分も待たずに返事が送られて来たその内容を確認するまでの間、俺の心臓は壊れんばかりにバクバクしていたそれから俺たちは、幾つか短いメッセージを交わした本音は明日の事などお構いなしに、もっとシムさんと繋がっていたかったけれど、ここで無理に長引かせて面倒臭い男だと思われたくはない連絡先を交換できた事が既に大きな一歩なのだからと、押し過ぎない程度に留めた翌日から、俺とシムさんのメッセージのやりとりが本格的に始まった天気の話から前日の出来事など、本当に他愛のない内容でも、繋がっていると思うだけで俺の心は満たされた生活リズムが違うので、リアルタイムでの会話はごくごく限られていたけれど、ほんの僅かな時間でも俺にとっては十分だったタイミング悪く仕事が忙しくなり始めてなかなか店に行けなくても、メッセージが交わせる分、会えない寂しさはなんとか誤魔化せた勿論、それは俺だけの話で、シムさんがどうだったかは分からないその日、残業で遅くなった俺は、電車に揺られながらぼんやりとシムさんの事を考えていた金曜の夜だから本当は会いに行きたかったけれど、行ってすぐ帰るようなら行かない方がまだいいそれに、そもそもシムさんが俺を待っているとは限らない扉のガラス面に映る自分の冴えない顔を見て、思わず溜め息が出た...と、スマホが震えて、思いがけずシムさんからメッセージが届いたこの時間は仕事中のはずで、何事かと思って見てみると、軽食休憩だったらしく、サンドイッチの画像が添付されていた--お疲れ様です、僕はこれから夕飯です今日もお仕事で遅いのでしょうか？---お疲れ様です、俺は今、帰りの電車ですすみません、このところずっとこんな感じで店に行けてないですね--それはお気になさらず毎日遅くまでご苦労様です---それ、シムさんのサンドイッチですか？暫く食べていないので、そろそろ恋しくなってきましたww--どうぞと差し上げたいところですが、これは僕の大事な夕飯ですww来月からまた新しいメニューが出るので、是非召し上がっていただきたいです---出前サービスはないんですか？なんてww--いいですよ、伺いましょうか？---冗談です、受け流してくださいww漫才のようなやりとりを交わしながら、このしっくり感は何だろう？と思ったまだ知り合ってさほど月日は経っていないのに、そう感じさせない、まるで以前から知り合いのような、そんな感覚になる気付けば仕事の疲れは一気に吹っ飛んでいた最寄り駅に着いたところで中断すると、牛丼屋でテイクアウトの牛丼とサラダを買った店で食べたいところだけれど、自宅の方がゆっくりできるし、何より今はシムさんとの会話が優先だ早いとこ帰宅しようと歩く速度を速めたところで手の中のスマホが震えたメッセージではなく電話の着信で、表示名に"シムさん"とあってギョッとした自分でそう登録したくせに、電話が掛かって来るのは初めてだから一瞬見間違いかと思った何の予告もなくかかって来て、当然ながら心の準備などできていない俺は、震え続けるスマホに頭の中は軽くパニックだった「...も、もしもし」「あ、もしもし、チョンさんですか？僕です、シムです」初めて電話で話す割りには落ち着いたトーンで、電話越しに聞くシムさんの声は、店で面と向かって話す時とは違い少し低く聞こえた「...お疲れ様です」「突然電話してすみませんメッセージ書く時間がもったいないと思って、直接電話しちゃいました」電話しちゃいました、なんて、可愛らしい言い方をする「シムさんて今、休憩中ですよね？俺に電話なんてして大丈夫ですか？」「えぇ、食事はもう済んだので、あと5分くらいあります」「え、5分!?」貴重な残り5分を俺との電話に使おうとしてくれているただの知り合いなのに、どうしてそこまでしてくれるのか「あ、さっきの件ですけど、僕、本当に行ってもいいですか？」「...どこにですか？」「どこって、チョンさんの家ですよサンドイッチの出前サービスありませんか？って、言ってましたよね？」「あぁ、あれは冗談ですよ、真に受けないでください」「そうなんですか？でも本当に、サンドイッチ作りに行ってもいいですよ？」「それは...まずいですよ」「どうしてですか？」「だってほら、客とあんまり親しくなり過ぎると..って、シムさん言ってたじゃないですか」「でも、チョンさんは例外ですそれに、ルールを破ってもいいかって言ったのはチョンさんですよ？店以外で会えませんか？って」「あ...」そうだ、俺は確かにそう言ったあの時はなぜか店のロマンチックな雰囲気に呑まれて大胆になって、店以外でシムさんと会えたらいいなと思ったら、実際に口に出してしまったのだでも現実的に考えて、客と従業員という一線を越えてはいけないような気がしたましてや俺の自宅で、なんて「マスターだってお客様とプライベートでゴルフに行ったりしてますし、僕がチョンさんとオフで会ったところで問題にはならないですよ勿論、無理強いはしませんけど、でも、せっかくこうして連絡先も交換したんですから」「そうですけど...」「あ、僕の事、ホステスとかと一緒くたにしてませんか？」「え？」「やっぱり...やだなぁ、僕はバーテンダーですよ？いわば牛丼屋の店員と一緒なんです、そう思えば気にならないですよね？」「牛丼屋の...店員？」電話の向こうでシムさんがクスっと笑うのが聞こえたそれが妙に色っぽく聞こえて、ドキッとした「日曜だったらチョンさんもお休みですよね？」「えぇ..」「じゃあ、今度の日曜なんてどうですか？」「今度の...って、明後日ですか？」「えぇ、何か予定入ってますか？」「いや...」その日に限らず、休みの日はいつだってOKだでもここでOKしたら、本当にシムさんは俺の家に来てしまうシムさんが目の前にいるのを想像して...いや、ダメだと頭を振った「あの...もしかして僕、強引ですか？」「いや...」一応否定はしたものの、シムさんは確かに強引だでも、俺がこんなだからむしろそういう方が有難いし、このチャンスを逃したらきっと俺は後悔すると思った「そしたら...明後日の日曜に会うって事で、いいですか？」「えっと...僕がチョンさんの家に行ってもいいんですよね？」「そう..ですね」「わぁ、凄い楽しみです」シムさんの嬉しそうな声に、胸の奥がざわざわしたシムさんはただ俺の家に来てサンドイッチを作るだけで、俺はそのサンドイッチを食べるだけで、ただそれだけの事だそれなのに、どうしてこんなに落ち着かなくて、胸騒ぎがするのだろう？雑然とした自分の部屋を見回して、じわじわと事の重大さを理解し始めた明後日、シムさんがこの部屋に来るという事を※画像お借りしました※