『トラック野郎 爆走一番星』を観ました。
今日もトラックを走らせる一番星=桃次郎とジョナサン=金造は、馴染みのドライブインに立ち寄る。
そこに勤め始めた瑛子に一目惚れする桃次郎。桃次郎は瑛子の気を引こうと奔走する中、同じくトラック運転手の千秋に好かれてしまう。
過去の因縁からジョナサンをつけ狙うボルサリーノ2とは何者か?
幼い姉弟を残して出稼ぎに来ている松吉はどうなるのか?
そして、桃次郎の恋の行方は…?
様々な騒動があった年の終わりを告げるべく、除夜の鐘が鳴り始め……といったお話。
トラック野郎シリーズ、第2弾です。
予備知識なんか無用、それなりに人間らしい感情を持っていれば誰でも楽しめる、笑いあり涙ありの娯楽映画の王道を行くような作風が最高です。
…と、堅苦しい言い回しをしましたが、平たく言えばスゲーくだらない下品な笑いが満載なのが良いんです。“ウンコチンチン、おならプ~”とかでゲラゲラ笑う小学生の延長かよ、みたいな(笑)。
のっけからウンコが漏れそうで紙がないとかやってるもんね、最高かよ。
しかし令和の現代に再見すると、なるほど、こりゃ地上波での放送は絶望的だなと感じます。
まず道交法に抵触しそうなシーンの多い事多い事。両側1車線の道路で並走するわ、シートベルトはしないわ、トラックの運転席に10人くらい詰め込むわと、昭和であってもどうなの?と。
テレビ放送における倫理規定の根っこにあるのは、テレビを見て真似をする人が増えてしまう事への懸念なんでしょうが、ここまでやれば、よっぽどのバカでもない限りは真似をする気になりませんよ(笑)。
そんな極めつけである、一番星とジョナサンのトラックを筆頭に、直列したデコトラが高速道路の左車線を埋め尽くすラストカットは圧巻!
他に、エロ要素もやや多めで、背景に貼ってあるポスターも含めて女性の乳首が見えるなんて当たり前。
現在BSフジで『ドリフ大爆笑』が再放送されていますが、現代に放送する際はたとえポスターであっても乳首にはボカシの修整を入れるくらいだから、地上波はおろかBSでの放送も無理そうですね。今では微笑ましくすら見える昭和のエロに反応するちびっ子がそんなに多いのか?と思うんですが…。
今作のワッパライバルはボルサリーノ2。
かつて警官だった頃の金造に目を付けられ、さんざん虐められて借金を抱えた恨みを晴らすため、執拗に金造をつけ狙います。
その名の通りボルサリーノハットを被り、スリーピースに身を包んだ伊達男、それがボルサリーノ2。
土砂を積んだダンプカーからこんなカッコの人が現れたら、真っ先にたじろぎますよね。借金まみれの生活から這い上がったのは良いけど、何をきっかけにこうなったんだよ(笑)。
演じる田中邦衛さんの超個性もあって、インパクトの強いキャラです。
余談ながら、世の中にいるのは金持ちと貧乏人の2種類しかいない云々と力説するシーンがありますが、明らかにセリフをつっかえてます(笑)。
今の時代ならセリフを噛んだ噛んだとハシャぎますが(どう面白いの分かりませんが)、このくらいの言い間違いがあった方が芝居としてはリアルなんですよね。
言い間違いをそのまま残した作品って、映画史においても実に稀な存在ではないでしょうか?
それでも芝居を続けた邦衛さんだけでなく、カメラを止めなかった監督の裁量に拍手です。
出稼ぎに行った父を待ちながら暮らす、幼い姉弟の薫と雄一。
他人に甘えず、なるべく自分の力で生きようとする2人の姿が健気で健気で…。特に姉の薫を演じている千葉由美さんという方の、子役ながらも達者な芝居が胸を打ちます。
『トラック野郎』に限らず、昭和の子役は多くが大根なので、この千葉さんのように芸達者な人は貴重です。前作で松下家に引き取られた由美を演じている子なんか、どうしてこの世界に入って来たんだと思わせるまでに、目も当てられない芝居だったもんなぁ。後に、どっかの養子に行く事になるけど。
******************
******************
******************
Blu-ray版の映像特典は予告編のみ。
いつか廉価版が出るとは言え、東映のDVD・Blu-rayは高っかいですよねぇ。
===============