観た、『電人ザボーガー』 | Joon's blog

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どんな傑作にも100点を、どんな駄作でも0点を与えないのが信念です

 

『電人ザボーガー』を観ました。

 

国会議事堂に現れたサイボーグ組織シグマの幹部ミスボーグ。ミスボーグと配下のロボットには警察の武力では歯が立たない。

そこに現れた、バイクに乗った一人の男。人型ロボットに変形するバイク、電人ザボーガーと共にシグマと戦う彼=大門豊は父を殺したシグマ、そしてその首領である悪ノ宮博士を憎んでいた。

再び現れたシグマのロボットと戦う中、大門はミスボーグと心を通わせる。

秘密刑事としてシグマと戦いながらも、若杉議員の独善的なやり口が許せない大門の迷いから、ザボーガーはミスボーグと共に爆発してしまい……といったお話。

 

『電人ザボーガー』と言えば、数多ある70年代のヒーロー作品の中の一つですが、そのリメイク作品です。

こういうジャンルの客には一定数存在する、オリジナルを盲信しているようなメンド臭いオジサンは、リメイクなんて言葉を聞いた瞬間に反感を抱いた上で非難するのが常です。

本作は大門豊の青年期と中年期を描き、特に後者は高齢により体にガタが来ている大門を、しかもそれをお笑い(系)タレントである板尾創路さんが演じるんだから、おふざけ感丸出しの、オリジナルを冒涜するような作りに怒りすら感じていた事でしょう。

そこまで分かっているんだから見なきゃいいのにと思いますが……見ちゃうんだよねぇ(笑)。まぁ、一見もしないで批判する連中よりはフェアだとは思いますが。

 

なんて、偉っらそ~な事を言ってる連中でも、あの歌が流れるところでは、絶対に心が震えてますよ。どんなに強がって見せてもね。

ああいう、古参ファンなら確実に落とせる作戦、ちょっとズルいよね~…。

 

オリジナル版を観ていた子供も、今ではとっくにオジサンとなり、中年となった大門と近い歳にすらなっている事でしょう。腰が痛いだの血糖値が高いだのと体が不調を訴えたり、中には仕事にあぶれてしまった人もいるでしょう。

『電人ザボーガー』という作品をダシに使った事に腹を立てる人はいるでしょうが、“その後のヒーローの姿”を描いた点についてはもう少し評価をしてもいいんじゃないかと思います。

歳を取った悲哀が根底にありますが、これを大マジに描いてしまうと重苦しい雰囲気に陥ってしまいますし、昨今ではオジサンの体の不調が笑いに結び付く風潮もありますから、時代背景を鑑みてもコメディっぽい見せ方で良かったんじゃないかと思います。

歳を食ってもできる事はあるし、残りの人生にも希望はある――絶望ばかりの人生はあり得ないと説いているようなメッセージは、やはりオジサンに向けた作品なんでしょうね。

 

総じて出演者の力演には拍手を送ります。

青年期の大門を演じた古原靖久さんはアクションのみならず、この後に何をしでかすか分からないような正義バカの熱血漢を、暑苦しいほどに(笑)演じているのが好印象です。

新田を演じた渡辺裕之さんは、否応なしにもオリジナル版を演じていた根上淳さんを思い出させる風貌で、本作で一番ハマっているキャスティングでした。

そんな男性陣以上の力演を見せてくれた女性陣、ミスボーグを演じた山崎真実さんとAKIKOを演じた佐津川愛美さんには拍手どころか、スタンディングオベーションですね。

うら若き&可愛らしい女子が、あんなコント寸前の恥ずかしい恰好で(笑)大マジで芝居をする姿は、昭和ドラマには当たり前にありましたが、平成ではなかなか見られません。声も出ているし、おそらくシナリオには「きゃーっ!」と書いてあるであろう叫び声を、そのまんま読んでないのがいい。

 

後ろの音や音楽の音量が大きくて、俳優のセリフが聞き取りにくい事は昨今のテレビドラマでも多いですが、本作にもそんな箇所がいくつかあります。

クライマックスでの、中年大門と悪ノ宮博士のやり取りとか、俺ッチだけなんでしょうかね、悪ノ宮博士のセリフが聞き取れないんですよ。

あれをキチンと聞き取れた上で、会話として自分の言葉を返す大門さん、どんだけ体にガタが来ていても、耳はまだ良いんですね…。

 

全体的におふざけ感があるのは否めませんが、だからって今の時代に昭和のオリジナル版を見れば、ゲラゲラ笑いながらツッコみたくなるところも必ずあります。

「ザボーガー、お前……泣いているのか?」

ロボットであるザボーガーが涙を流すんですよ、目の下からピュピューっと(笑)。

俺ッチはコレを見て、声を出して笑うと同時にウルッとも来ました。密かに本作の名シーンだと思っています。

思えば、これは映像特典のメイキングでも言及されていましたが、昭和の仮面ヒーローは泣く事が多かったですよね(思い出せる範囲で、泣いているのを最後に見たのは『特警ウインスペクター』のバイクルかな)。

それが今では、仮面越しに涙を流すヒーローなんて皆無です。

“メカに水は厳禁だ!”とか“被り物の外にまで涙が溢れるのかよ?”なんて下世話なツッコミなんか要らねぇんだ、ひと目で感情が伝わるビジュアルこそが必要なんだよ!と思うんですが……どーでしょ?

 

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うお、いつの間に↑↑Blu-rayの廉価版が出ていたんだ。

俺ッチぁ、サントラやブックレット付きの↑のスペシャルエディションを買ってましたが、今はもう売ってないのね…。

 

そして、本作を盛り上げるこの2曲も忘れるべからず!

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