9/12のNHKクローズアップ現代。テーマは「謎のミツバチ大量死 EU農薬規制の波紋」。スイス国立ハチ研究センターのペーター・ノイマン( Peter Neumann)氏によれば、「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介している」そうで、このミツバチの大量死が農作物に影響を与えるは甚大。
<「消失」でなぜ農作物が危ないの?/木暮太一のやさしい経済ニュース解説
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http://thepage.jp/detail/20130909-00010001-wordleaf
その大量死の原因として有力候補に挙げられているのが、1990年代から世界で急速に普及した農薬(ネオニコチノイド)。「効力が高く、効果が長持ちするため国内では農業の現場だけでなく家庭でも殺虫剤として多用されている成分」で、まだ科学的な因果関係は証明されていないものの、EUでは予防原則の立場から、この農薬に規制をかけたということ。
予防原則とは・・・
予防原則はリスク分析のリスクマネージメントと関係しているのと同様に、リスク分析の体系的なアプローチの一部分を構成していることを強調している。それは、科学的な根拠が不十分、あるいは結論の出ていない、あるいは不確実、であったりする場合が含まれる。また、予備的な科学的証拠によって、環境、人類、動物あるいは植物の健康に潜在的に危険な影響が考えられ、EUによって選択されている高い水準の保護に合致しないかもしれない、ということ示す妥当な理由の兆候がある場合も含まれる。(EU 予防原則適用のガイドライン - ne )
そんな折、地元のFMで、子供の自由研究で蜂の生態をテーマに一緒に研究したという料理研究家の話しを聞き、驚いた。
蜂は、社会性昆虫と呼ばれ、アリなどのように集団 を作り、その中に女王や働き蜂のような階層 があるような生活をしていることが知られていますが、その働き蜂は全てメスなんだそうですね。オスは特定の時期に女王蜂と交尾する為にのみ存在すると。
一つのコロニーに、1匹の女王蜂と、数千~数万匹の働き蜂、そして数十匹~数百匹のオス蜂が生活。このオス蜂たちの中で女王蜂と交尾できるのは2,3匹という超南関倍率です。しかし、交尾以外にレゾンデートルを持たないオスの蜂。
オスたちは日頃何もしないそうで、ただ働き蜂に喰わせて貰っていて、オスは女王バチと交尾するため、体力を養っている。だから女王蜂をQueenbee、働き蜂をWorkerbeeと英語で呼ぶのに、オス蜂を指す英語は雄蜂はDronebee。意味は「なまけもの」だそう。
オスは女王バチ と交尾 するため、晴天の日を選んで外に飛び立つ。オスバチは空中を集団で飛行し、その群れの中へ女王バチが飛び込んできて交尾を行う。オスバチは交尾の際に腹部が破壊されるため交尾後死亡するが、女王バチは巣に帰還し産卵を開始する。交尾できなかったオスも巣に戻るが、繁殖期が終わると働きバチに巣を追い出される等して死に絶える。(Honeybee | Sweet Nostalgia )
ラン類では、花がある種のハチの雌に似た形をしているため、そのハチの雄が間違えて交尾をしようとする。その過程で花粉の送粉・受粉が成立するのだといいます。悲しい運命のオス蜂ではありますが、地球上の花や農作物に多大なる貢献をしているんですね。
一方の女王蜂の運命も過酷。
老化 や怪我 などにより繁殖 能力を失った女王蜂は、働き蜂によって巣 の外に捨てられる。幼虫のときから餌を与えられてきた女王蜂は、自分で餌 を獲得する能力を持たないため、飢死してしまう。女王蜂を失った巣では、すぐに新しい女王蜂がたてられる。(Honeybee | Sweet Nostalgia )
このように過酷に思える蜂たちのコロニーも、福岡伸一さんの「動的平衡」の法則に則っているんでしょうね。今回はほとんとは、生物の機能を模倣することで新しい技術を生み出す学問「バイオミミクリー」としてのハニカム構造について取り上げたかったのですが、長くなったのでまたの機会に譲ります。
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