訪米中の安倍首相。27日(現地時間)、ハーバード大学ケネディスクールを訪れた安倍首相は演説後に「日本政府が第2次世界大戦中に数多くの女性を強制的に性的奴隷にしたが、介入したことを認めるか」という客席からの質問を受けた件。


質問者は、韓国系ハーバード大学2年生のチェ・ミンウ氏(20)だそう。ハーバード大学で学ぶほどの秀才でもこの程度の認識か、とむなしい思い。まぁ、そういう教育を受けたのだから仕方あるまいと諦めます。


それより、カチンときたのは、このニュースを報じるメディア。彼の質問に対し、次のようなコメントはしていましたが、それだけ。



ハーバード大学2年生チェ・ミンウ

安倍首相は「(慰安婦被害女性たちが)人身売買にあい、言葉では言いようのない苦痛を味わったことを思えば今でも胸が痛む。この気持ちは歴代首相らと違わない」と話した。


引き続き「河野談話を継承するということは何度も話してきたし、こうした観点で日本は今まで慰安婦被害者を実質的に癒すためのさまざまな努力をしてきた」と話した。


最近、慰安婦問題の悲惨さを薄めるために使ってきた「人身売買(human trafficking)」という単語を再び使い、日本が紛争地域の性的暴行の根絶のために莫大なお金を投じたことを強調した。[ 中央日報/中央日報日本語版]

http://japanese.joins.com/article/641/199641.html


かつて、メディアは次のように定義されました。


メディアとは「人間社会において、人と人とを結び、人の目となり、耳となって働く情報媒体」のことであり、人々の知識や考えに決定的な影響力をもっている。メディアは、いまや私達の地球的規模の社会観、世界観を根底で支えているといってよいほどの巨大な存在となった(渡辺武達同志社大学名誉教授1997)。


上記に引用した中央日報のコメントは、次のように締めくくっています。


日本の安倍晋三首相は結局、謝罪しなかった。慰安婦被害者に対する「謝罪(apologize)」もなかったし、日本政府が慰安婦問題に介入したということを「認定(acknowledgment)」することもなかった。慰安婦被害者に対する心のこもった謝罪は探すことはできなかった。安倍首相の「謝罪なき訪米」に対する憂慮が現実となった。


私にしてみればごく普通の対応であったと思いますが、主義主張の相違には高くて厚い壁が立ちはだかっています。ここで私が気になったのは、ハーバード大学がなぜこの韓国系米国人学生にこの質問をさせ、日本国側もそれに応じたのか、ということです。


ハーバード大学は恐らく米国政府の意向もあらかじめ忖度しての判断だと思いますが、ここには総額320億ドル(約2.5兆円)にのぼる、寄付された資金などでつくる大学基金の影響力があるのではないかと思います。


安倍首相の「歴史認識」を、「抗日勝利70周年」で日本を翻弄する中国、それに追随する韓国、そしてそれを腫れ物のように扱う米国。恐らく、ハーバードには中国、韓国からの多額の寄付が投じられているものだと思います。これを、同じように腫れ物のように扱うわが国のメディアは、最早、ネット社会において情報を垂れ流すだけのレームダックとなっているのだと思います。







メディア・リテラシー―情報を正しく読み解くための知恵/渡辺 武達

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