一昨日、政府・菅官房長官が、沖縄県の翁長(おなが)知事と会談した際、翁長さんが政府の「粛々と進める」という表現に対して「上から目線だ」と不快感を示したことを受けた対応で、菅さんが記者会見で「不快な思いを与えたなら使うべきではない」と説明した、と報じられた件。


翁長知事が、先の知事選において「民意」を受け、前知事と政府との「合意」を方向転換するのは理にかなっていると思えます。が、その同一人物が、前知事と政府との「合意」を堅持してほしいとは筋が立たないと思うのです。



菅官房長官、翁長知事

前者は、普天間基地の県外移設であり、後者は2013末に安倍首相が前知事に表明した2021年度まで3000億円台とする沖縄振興予算の確保について「約束は守っていきたい」と述べた内容。これは、竜頭蛇尾、羊頭狗肉の無理難題と言わざるを得ないと思いますが、いかがなものでしょう?


とかく、「沖縄の民意」ということで、「安保」を「本土」に一方的に押し付けられた被害を喧伝されますが、その代償としてそのお詫びを、上述のような「沖縄振興予算」という形で「本土」の日本国民はこれまで実質的に分担している訳です。


にも関わらず、首長たる人物が若者言葉のような「上から目線」という表現で不快感を示すとは情けない。いい加減にしてほしい、と言いたいのです。しかも、その首長の発言は、近くて遠い隣国の政府が主張しているような物言いです。


国と地方自治体の関係。それには、各々の責任と権限があります。税金に基づく予算配分上では主従関係があるのでしょうし、国政と県政には不可分の役割があり、その関係は国民の負託なくしてはありえません。その点、翁長知事は大いなる勘違いをなさっているとしか思えません。


国防について、もうその役割は十分果たしたからお役御免だけれど、これまでの「被害者」としての慰謝料は今後ももらいますよ、という主張は通りませんよ。普天間の辺野古移設を阻止されるのならば、「沖縄振興予算」は諦めて下さい。もうこれ以上、「本土」の日本人が沖縄「県民」に一方的に押し付けただけの過失とは言われたくありません。








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