海賊のヴァロはスペイン船を乗っ取った。そこにあった武器をスペインからの独立を目指す共和派に売り、さらに共和派のリーダーを捕らえてスペインに売るという都合のよい計画を立てた。しかし共和派のリーダーの娘を好きになった。
製作:1952年、脚本:ローランド・キビー、監督:ロバート・シオドマク
■ はじめに
◆ 登場人物
ヴァロ(バート・ランカスター) 海賊船の船長
オホー(ニック・クラヴァット) ヴァロの部下
ベローズ(トリン・サッチャー) ヴァロの部下
エル・リブレ(?) 共和派のリーダー
コンスエロ(エヴァ・バルトーク) リブレの娘
プルーデンス(ジェームズ・ヘイター) 共和派を応援する科学者
パブロ(ノエル・パーセル) 共和派
グルーダ男爵(レスリー・ブラッドレイ)
総督(エリオット・メイクハム)
◆ 補足
本作は、キン肉マンのバートが女装するという必見の映画である。いや、見たくないか。海賊映画というものの、気球、潜水艦、ニトログリセリンも登場する。
バートとニックは幼馴染で、俳優になる前は、二人でサーカス団でアクロバティックなことをしていたらしい。本作のアクションでは、この経験が十分に生かされている。
ヴァロが率いる海賊船の名前は不明。ここでは「海賊船」としておく。
■ あらすじ
◆ スペイン船
グルーダ男爵が乗ったスペイン船が航行していた。注、この船も名前は明らかにされない。
漂流している船を見つけた。近寄ると人影がない。ボートを出して調査した。船に乗り込むと、船員がここそこに倒れていた。どうも疫病でやられたらしい。
この船は実はヴァロの海賊船。乗り込んだ船員が油断していると背後から殴り倒す。全員を殴り倒した。
そして今度は、海賊船からスペイン船に忍び込んだ。分からないようにすこしずつ船員を倒していく。ある程度まで倒すと一斉攻撃をかけた。スペイン船を乗っ取った。
だがしかしスペイン船には武器は満載だが宝物類は積まれてはいなかった。ここでヴァロは「武器は金になる、コブラ島の共和派反乱軍に5万フロリンで売ればよい」と思いつく。
さらにスペイン船にグルーダ男爵が乗っていると知って「共和派反乱軍を5万フロリンでグルーダに売る」とアイデアを発展させた。グルーダも同意し「君たちが反乱軍の首領を捕まえればさらに5万フロリン」と一石三鳥の案が出来上がった。注、「反乱軍を売る」という話と「反乱軍の首領を捕らえる」というのは同じことではないかと思うが、ヴァロが喜んでいるので、そのままにしておく。
「荷物を積み替えるのが面倒」という安直な理由で、グルーダたちを海賊船に移動させ、スペイン船に乗ってコブラ島へ向かった。
◆ コブラ島
コブラ島は総督に支配されている。共和派のリーダーのリブレは捕らえられている。
グルーダが乗っているスペイン船(実はヴァロたちが乗っている)が沖に見えたので、祝砲を撃つ。スペイン船からは総督に手旗で「ベストが流行、収まるまで船内で待機」と知らせる。
ヴァロは「エル・リブレを連れて帰る」と言ってオホーとボートで出発した。上陸してパブロに会い「王に反逆する人々を探している」というがパブロからはぜんぜん信用されない。
二人は総督の衛兵を「共和国万歳」と挑発して逃げ回った。ここがやたらとごちゃごちゃ。
◆ コンスエロ
二人は最後はパブロたち共和派に匿われた。「戦ってなけりゃスパイとして殺していた」とパブロ。
「エル・リブレに銃と弾薬を供給する」というが、パブロたちに捕らえられた。そして「海賊に銃を運ばせろ」と言われる。しかしコンスエロは「リブレを助けるのが先」と反対する。
ここでまた総督の衛兵が乱入してきて、みんな逃げ惑う。この中でコンスエロが「エル・リブレを助けるのよ。協力して」と二人を縛っていたロープをほどいた。
三人はボートで脱出してスペイン船に戻った。ここでコンスエロは自分がリブレの娘であることを明かした。
◆ 晩餐会
ここでヴァロ、オホーはスペインの軍服を着て、コンスエロとともに「グルーダ男爵がリブレを引き取りに来た」と上陸する。注、ベストは収まったことになったらしい。
三人を歓迎して盛大な晩餐会が開かれた。延々とダンスをやっている。コンスエロは「いつまでこんなことをやってるの?」とイライラ。
やっとダンスが終了し、リブレと共和派に協力している科学者のプリューデンスが引き渡された。
早速二人を連れてもどろうとしたが、さらにショーに招待された。踊り子たちが踊る。
しかしその踊り子たちの中にかってヴァロに捕らえられた女性がいた。その女性が大声で騒いだ。慌てて逃げ出した。
衛兵の一団に取り囲まれるが、ヴァロは別の衛兵の一団に「反乱がおきた、捕らえろ」と命令し、衛兵同士が内輪もめ、その間に馬車に乗って逃げ出した。
逃げている馬車の中で、親子はだきあい、コンスエロはヴァロにキスをした。
◆ 陰謀がばれた
ということで、五人(ヴァロ、オホー、リブレ、コンスエロ、プリューデンス)は、スペイン船に戻った。
船員たちがコンスエロを高いところに乗せてからかっている。気づいたヴァロとオホーが助けた。
しかしベローズが「最後はどうせグルーダに売り渡すんだろ」とばらした。本当のことを知ったコンスエロはヴァロを睨みつけた。
船室でコンスエロは泣いている。ヴァロが入ってきた「明日コブラ島で、三人(リブレ、コンスエロ、プリューデンス)を下ろして銃を渡す、礼はいらない」と言い渡した。
しかしこれを、窓の外からベローズが聞いていた。
ベローズは手下のスライミーに命じて、グルーダと総督に知らせる。注、まだグルーダは海賊船に乗っているはずだが、グルーダは島にいてスライミーは島まで泳いでいく、ここは展開がおかしい。
グルーダと総督は「彼らを捕らえろ」と話す。さらにグルーダは「睡眠薬が入った酒を用意しろ」と総統に指示した。
◆ リブレとコンスエロが捕らえられ、ヴァロたちも捕らえられた
ヴァロとコンスエロが船室にいる。「甲板に人がいなくなったらボートで出発しろ」。
ここで二人はキスをする。「一緒に来て、仲間になって」「勘違いするな、俺は正義とかは信用しない」と話す。
ここでコンスエロは「では私のことは(信用しないの)?」と聞く。このことばがかなりわざとらしいが、二人はもう一度キス。
リブレとプリューデンスが入ってくる。「教授は後で送る」と言ってリブレとコンスエロはボートで出発する。
しかしボートは、衛兵のボートに追いかけられる。
それを見たヴァロは部下に「撃て」と命令するが誰~も従わない。ベローズが裏切ったからである。リブレとコンスエロは捕らえられた。
そしてヴァロ、オホーとプリューデンスも捕らえられた。
◆ ヴァロたちはコブラ島、ベローズたちは捕らえられた
三人は、ボートに手首を鎖で括り付けられて流された。オールもないので、このまま流れていくだけである。
ここでプリューデンスがなんとボートを揺らしてひっくり返した。ボートはひっくり返って、ボートの底のわずかな空間で息をする。
しかし足が使えるようになった。足で泳ぐ、足が海底についた。コブラ島に上がった。
一方男爵は「総督が用意した酒がある」と酒をベローズたちにふるまった。これは先述の睡眠薬が入った酒である。
ベローズたちは眠りこけた。そしてたたき起こされて、海に投げ入れられた。そこには網が仕掛けられていて、みんなまとめて網で釣り上げられて、隣のもとの海賊船の柱から吊り下げられた。
◆ ヴァロたちは鎖から逃れた
コブラ島では、漁民が漁に出かけようとしている。みんなボートを担いで海岸に向かっている。
しかし突然総督が出漁を禁止した。漁民たちはまたボートを担いで陸に上がっていった。三人も漁民たちに交じって、ボートを頭上に抱えて、うろうろした。
パブロに鎖を切ってくれるようにお願いしたが断られた。
また例によって衛兵たちに追いかけられるドタバタがやたらと長く展開する。結局衛兵二人をボートで壁に押し付けて気絶させて、銃を奪った。
その銃で鎖を断ち切った。
◆ コンスエロが総督と結婚させられる
さて、突然コンスエロが総督と結婚させられることになった。「死んでやる」と頑張るか結局結婚させられることになる。
一方リブレは処刑される。住民には、さらに穀物が課税させられた。
盛大に結婚式を行うつもりである。
◆ ヴァロたちは反撃の準備
コンスエロの結婚、リブレの処刑、さらなる課税の掲示がだされて、住民たちの不満は高まった。何とか反撃できないか?
プリューデンスは「科学に不可能はない」と言って、気球や潜水艦、ニトロの話をする。しかしこれは一般論で言ったつもりだったのだが、ヴァロが「それじゃやってみろ」といったので、プリューデンスは本気になった。
プリューデンスが設計図を書きまくる。みんなは設計図に従って武器を作る。
大砲を作る。銃を作る、爆弾を作る、気球も作る、それらを馬車に据え付ける、いろんな場所に隠す、そして攻撃の配置につく。
プリューデンスもニトロを作った。
◆ 結婚式
祭壇が作られた。総督とコンスエロが祭壇の上にいる。
まず最初は美女から花束の贈呈。赤いスカートの三人の美女が馬車から降りて祭壇に近づく。三人の「美女」はなんとヴァロとオホーとプリューデンスではないかっ!
三人が祭壇に近づいた。そこでパブロが祭壇の後方から殴りこんでくるが、殴り倒された。それをきっかけに大乱闘。
そして住民たちが攻撃の狼煙を上げた。銃撃、砲撃、火炎放射器。
グルーダと総督はコンスエロを拉致して逃げ出した。ヴァロとオホーは気球を飛ばして追撃。空からニトロを投げると衛兵たちが吹っ飛ぶ。
◆ 総督はスペイン船に逃げた
グルーダと総督はコンスエロを連れてスペイン船に逃げた。
ヴァロとオホーは空から海賊船に接近した。注、海賊船には、ベローズなどが網で捕らえられており、また衛兵たちがが見張りとして留まっている。
海賊船のそばにニトロを投げた。衛兵たちは、その爆発に驚いて海に飛び込んだ。二人は海賊船に乗り込んで、ベローズたちを解放した。ベローズたちは、こんどはすなおにヴァロに従う。
海賊船はスペイン船を追跡した。スペイン船と並走する。みんなスペイン船とは反対側の舷から海に飛び込む。潜って海賊船の下を通り、さらにスペイン船の下を通って、反対側からスペイン船を襲う戦術である。
ベローズだけは、ヴァロを裏切った罪滅ぼしのため、海賊船に残りスペイン船にできるだけ接近して戦術を支援する。自分は犠牲になるつもりである。
スペイン船は全員が海賊船の側に寄って海賊船を攻撃する。ヴァロたちは反対側の舷から上って総攻撃。
大乱戦になるがグルーダと総督をやっつけてコンスエロを解放した。
ヴァロとコンスエロはキスしてエンド。
■ 蛇足
リブレがどうなったかは示されない。コンスエロがニコニコしているから、たぶん助かったのでは?
最後決着がついた後で、プリューデンスが一人乗りの潜水艦に乗って登場する。ここが残念だが、海賊船→スペイン船の下を泳いで行くところを、潜水艦にしてほしかった。
■ 出演作
◆ バート・ランカスター
(1947)真昼の暴動/Brute Force
(1947)暗黒街の復讐/I Walk Alone
(1948)私は殺される/SORRY, WRONG NUMBER
(1949)裏切りの街角/Criss Cross
(1952)真紅の盗賊/The Crimson Pirate
(1953)白人酋長/His Majesty O'Keefe
(1954)アパッチ/Apache
(1957)OK牧場の決斗/Gunfight at the O.K. Corral
(1960)許されざる者:妹は先住民の娘なのか?/The Unforgiven
(1960)エルマー・ガントリー/魅せられた男/Elmer Gantry
(1951)復讐の谷/VENGEANCE VALLEY
(1961)明日なき十代/The Young Savages
(1950)美女と老人と偽札/Mister 880
旅路:シーズンオフの海辺のホテルで展開する人間模様/Separate Tables
(1960)許されざる者:妹は先住民の娘なのか?/The Unforgiven
(1956)空中ブランコ:驚異の三回転/Trapeze
(1948)殺人犯と看護師/Kiss the Blood Off My Hands
(1947)砂漠の怒り/Desert Fury