刑事のトムが自殺した。特に不審な点はなかったが、同僚刑事のデイヴィッドが調べていった。
しかしトムと不倫関係を証言したルーシーが殺され、またデイヴィッドに脅しの電話がかかり、さらに妻のケイティが爆殺された。
デイヴィッドは当市で悪事を働いているラガナ一味に迫っていく。しかし他にラガナを脅している人物がいた。
製作:1953年、脚本:シドニー・ボーム、監督:フリッツ・ラング
■ 登場人物
デイヴィッド・バニオン(グレン・フォード) - 刑事
ケイティ・バニオン(ジョスリン・ブランド) デイヴィッドの妻
トム・ダンカン(-) - 刑事、ストーリー開始時に死亡
バーサ・ダンカン(ジャネット・ノーラン) - トムの妻
ルーシー・チャップマン(キャロリン・ジョーンズ)
マイク・ラガナ(アレクサンダー・スコービー)
ヴィンス(リー・マーヴィン)
デビー(グロリア・グレアム)
■ あらすじ
◆ デイヴィッド
デイヴィッドはどのような人物か?彼は実直な刑事でストレートな物言いから周囲からは疎まれていた。また当市でいろいろと悪いことをしているラガナ一味を快く思っていなかった。
しかし妻のケイティや子供には非常にやさしい夫・父親である。ケイティはデイヴィッドの署内で立場を心配はしていたが、デイヴィッドをしっかりと支えていた。
◆ トムの自殺
トムが拳銃自殺をした。デイヴィッドが捜査にあたったが特に不審な点はなかった。バーサは「トムは病弱で悩んでいた」と話した。
しかしルーシーから電話がかかってきた。ルーシーはトムとは不倫関係にあったと証言し、「トムは健康で三日前に会った時にも元気だった」「離婚して私と一緒になる予定だった」と言い「バーサはトムの金が狙い」」とも言ってバーサとの間に何かあったようである。バーサに再度確認するが、言うことは前と同じだった。
突如としてルーシーが遺体で発見された。ルーシーの死を含めて捜査を行う。ラガナ周辺の動きが怪しいが証拠は掴めない。脅しの電話もかかってくる。そのような脅しで引っ込むデイヴィッドではないが、事件の担当から外された。しかし捜査を続けた。
◆ ケイティ爆殺
夜ケイティがデイヴィッドからキーを受け取って車を運転しようとしたところ、仕掛けられた爆弾が爆発しケイティは死亡した。
子供をケイティの実家に預けた。危険なので警察に警備を依頼した。爆弾はデイヴィッドを狙ったものと思われる。デイヴィッドはホテル住まいとなった。上司からの圧力があり、デイヴィッドもうんざりだったので、バッジを返上した。
◆ リトリート
デイヴィッドはスリム・ファロウという人物を話を聞こうと、その会社を訪れる。だがスリムは三日前に死亡したそうである。責任者に話を聞こうとするが、協力しようとしない。
しかしその会社に勤めている足の悪い老女と話すことができた。ラリーという男からスリムに電話があった。しかしの苗字は分からない。リトリートという店で会うとのことだった。
◆ デビー
デイヴィッドは「21時30分にリトリートに電話をしてラリーを呼出したくれ」と頼んで、その前に店に行って電話がかかってくるのを待つ。ラリーが誰であるかを確認するためである。電話がかかってくるが、「苗字が分からなければダメ」と言われて正体は分からずじまい。
しかしそのタイミングでトラブルがあり店の女性が被害を受けた。それを助けてから店を後にした。同じくその店にいたデビーが後を追いかけて話しかけてきた。
デビーはラガナの手下のヴィンスの情婦。デイヴィッドは警戒するが、しかしデイヴィッドの部屋まで来て少しばかり話をして、デビーは帰った。
この時デビーは一味につけられていた。デビーが店に戻った後ヴィンスは火にかけられていたポットの熱いコーヒーをデビーの顔にかけた。デビーは病院に運び込まれた。
デビーは、さらに身の危険を感じたため、病院を抜け出してデイヴィッドの部屋に来た。顔の左半分を包帯で覆っている。デイヴィッドは新しく部屋を確保した。
◆ バーサ
ここで種明かしをしておく。本作は犯人側と捜査側の両方の動きを見せるタイプの映画である。ラガナ一味がルーシー、ケイティ、スリムを殺している。しかしもう一人悪人がいる。この悪人が実はラガナ一味を脅している。
それはバーサ。トムもラガナ一味の片棒を担いでいた。そしてその内容を記した遺書を残していた。バーサは、それを秘密の場所に隠しており、もし自分が殺されたならば、その遺書が公になるような仕掛けを作った。
そしてラガナ一味を脅して週500ドルの金を要求した。我々だけではなくデイヴィッドとデビーも、この事実を掴んだ。
◆ ラスト
さてデイヴィッドとデビーが話しているところにケイティの実家から電話が入った。「警備の警官がいなくなった!」。デイヴィッドは大急ぎで実家に駆けつけたが、実家はケイティの親戚の男性たちが拳銃をもって厳重に警戒しており、なんの心配もなかった。
しかしその間にデビーが行動を起こした。デビーは顔に包帯をしたままバーサを訪ねた。そして少しのやり取りの後、バーサを射殺した。これでラガナ一味の悪事が公になる。
さらにデビーはリトリートに行った。暗闇に隠れてヴィンスにたぎったポットの熱湯を顔にかけて仕返しをした。ヴィンスは負傷しながらもデビーを撃った。デビーは倒れた。
事態を察知したデイヴィッドが駆けつけ救急車を呼んだ。ヴィンスと撃ち合いになった。デイヴィッドはヴィンスにトドメを刺そうとしたが思いとどまった。
デビーは死亡し、ラガナ一味は捕らえられた。デイヴィッドは復職した。
■ 蛇足
トムの自殺は自分の悪事を反省したため。バーサはトムの死体を発見したときに、まず最初にトムの遺書を別の場所に隠している。
■ 出演作
◆ グレン・フォード
(1941)掠奪の町/TEXAS
(1946)ギルダ/Gilda
(1948)カルメン/The Loves of Carmen
(1951)脱獄者の秘密/The Secret of Convict Lake
(1953)地獄の道連れ/Appointment in Honduras
(1954)仕組まれた罠:人間の欲望/Human Desire
(1956)早撃ちガンマン:必殺の一弾/The Fastest Gun Alive
(1958)羊飼いの反撃/The Sheepman
(1947)身代わり殺人計画/Framed
(1939)アリゾナに土地を買って牧場を作る/Heaven with a Barbed Wire Fence
(1981)誕生日はもう来ない/Happy Birthday to Me
(1949)ギャングに追いかけられた男/Mr. Soft Touch
(1952)陰謀のトリニダード・トバゴ/Affair in Trinidad
(1950)秘境/LUST FOR GOLD
(1949)ある医師の生きざま/The Doctor and the Girl
◆ グロリア・グレアム
(1949)女の秘密/A WOMAN'S SECRET
(1949)渓谷の銃声/Roughshod
(1950)孤独な場所で
(1952)突然の恐怖/SUDDEN FEAR」
(1959)拳銃の報酬/ODDS AGAINST TOMORROW
(1954)仕組まれた罠:人間の欲望/Human Desire
(1955)見知らぬ人でなく/Not as a Stranger
(1953)綱渡りの男:西ドイツへの脱出/Man on a Tightrope
(1953)摩天楼の影/The Glass Wall