SUDDEN FEAR

劇作家のマイラは決まっていた主演俳優レスターを交代させた。上演は成功した。
サンフランシスコに列車で戻るとき、偶然レスターと一緒になった。レスターは交代させられたことを気にしておらず、また好青年であった。
サンフランシスコに着くころには二人は親しくなっており、しばらくして結婚した。
しかしレスターの愛情がマイラの財産を奪うための偽装であると知ったマイラはレスターに復讐しようと計画を立てた。



映画関連目次(闇雲映画館)

製作:1952年、原作:エドナ・シェリー、監督:デビッド・ミラー


■ はじめに

登場人物(キャスト)
 マイラ・ハドソン(ジョーン・クロフォード) 劇作家
 アン・テイラー(ヴァージニア・ヒューストン) マイラの秘書
 レスター・ブレイン(ジャック・パランス) 俳優→マイラの夫
 スティーヴ・カーニー(ブルース・ベネット) マイラの弁護士
 ジュニア・カーニー(マイク・コナーズ) 弁護士、スティーヴの弟
 アイリーン・ネベス(グロリア・グレアム) ジュニアの恋人、前はレスターの恋人
 


■ あらすじ

◆ 「天国への途中/Halfway to Heaven」

ニューヨーク・ブロードウェイ。

劇作家マイラ・ハドソンの次の作品「天国への途中/Halfway to Heaven」のリハーサルが行われている。主演はレスター・ブレイン。

関係者はみんな満足げに、それを見ている。

いや、一人だけ例外。マイラ。マイラは主演レスターの交代を要求した。もうすでにリハーサルをやっている状況である。

マイラの言うことは絶対である。レスターは交代させられた。

レスターがやっていればどうだったのかは不明だが、結果は大成功であった。

◆ サンフランシスコへ向かう

マイラは自宅があるサンフランシスコへ列車で向かう。秘書のアン・テイラーは飛行機で先に行っている。

列車に乗って出発を待っているとレスターを見かけた。マイラが先般のことをどう思っているのかは我々には不明だが、レスターに声をかけた。

レスターは意外にもさっぱりしているようで笑顔で接した。マイラのコンパートメントに乗っていくことになった。

マイラは「あの後、あなたに何度も連絡したのよ」と言ったが、レスターは気にしていないようであった。レスターはマイラの好みの飲み物を知っていた。

一緒にポーカーや食事をして、またいろいろ話をした。つまりは仲良くなった。二人の間に、それ以上の感情が生じた可能性もあった。

レスターは本来はシカゴまでの予定だったが、サンフランシスコに変更した。

サンフランシスコでは、アンと弁護士のスティーヴ・カーニーが出迎えた。四人でダンスをした。

◆ マイラは騙された

マイラとレスターは、マイラの自宅に来た。大邸宅である。中を案内して回った。

マイラの仕事部屋の中に口述録音機があった。マイラが喋ると自動的に録音される。マイラに「試してみて」と言われたので、レスターはマイラの文章を引用して試した。

次の朝、二人は橋の上から海を眺めた。二人は別れてマイラは自宅に戻ってきた。アンが来ていた。

マイラはさっそくレスターに電話をかける。しかし通じない。我々はレスターがわざと受話器を取らないのを知っている。

マイラは焦る。我々にはもうマイラがレスターに騙されているのが分かっている。

マイラは車でレスターがいるホテルに行った。レスターは窓からレスターが来たのを確認した。

レスターは用意していたトランクを持って階段を下りた。出口でマイラと会う。

「君の場所に僕がいることはできない。環境が違うから」「私にはあなたしかいない」。マイラはもう完全にレスターの手の内である。

◆ 二人は結婚した

朝、二人はベッドの中で目が醒めた。

石の階段を下りて海に行く。急な階段で「落ちたら即死」という話をする。モーターボートに乗る。

二人は結婚して、披露バーティが開かれた。スティーヴや弟の弁護士ジュニア・カーニーやジュニアの恋人アイリーン・ネベスなどが来ている。

こっそりとレスターがアイリーンに「自分のことはばらすな」と言っている。

◆ レスターとアイリーン

カーニー兄弟の事務所にレスターが来て、スティーヴに相談している。「妻を養う身分ではないが、自立はしたい」と仕事を探している。

いやそうではない。マイラは大金持ちだが、さらに遺産が入ることになっている。そしてマイラは自分の名前を冠したハドソン基金に寄付をする。その情報を探るために来たのである。

音楽会。アイリーンがいる。レスターが現れてアイリーンと話す。もともと二人は親しい間らしい。しかし二人は小競り合いをする。

レスターはアイリーンに「マイラは基金に多額の寄付をする。ジュニアを誘惑して額を聞き出せ」「ベッドで本人に聞けば」と言っている。

アイリーンはしばらくレスターに放っておかれた恨みをあるようである。しかし「以前のように一緒に組もう」と言われて、二人はキスをした。

その後しばらくしてアイリーンからの情報では「手元に残すのは、彼女が買った不動産と印税だけ。他はバカな基金に回すのよ。高潔な女と結婚したのね」。

◆ 遺言書

スティーヴがマイラを訪ねてきた。遺言書の件。今まではアイリーンがレスターに報告したように、不動産と印税だけを手元に残すという話だったのだが、レスターと結婚したので、レスターのことも考慮しなければならない。

スティーヴの案は次の通り。「マイラの死後、夫は再婚するまで、毎年一万ドル」。わりとシンプルな案である。

しかしマイラは修正を要求する。スティーヴは用事があって出ていくが、例の口述録音機に修正要求をいれておくことになる。修正要求は次の通り。

「全作品の印税収入を夫に、また途中で離婚しても同様である。私の死後、すべての土地と株式を夫に譲渡する」。こちらはかなり大胆な案である。

◆ マイラがレスターとアイリーンの陰謀を知る

マイラの屋敷でパーティが開かれた。みんなはダンスをしたり歓談したりしている。

レスターとアイリーンはこっそりと二階の部屋に入り、今後の作戦を話した。

バーティが終わった。マイラは二階に上った。アンが「録音機のスイッチがオンになっていたので切った」と知らせた。

マイラは先般の遺言書の内容を再確認するために再生した。自分の録音が終わったところ、その後にレスターとアイリーンの声が入っていた。その内容に愕然とした。

レスターとアイリーンは、マイラが遺言書を変更して、どのような内容にするかは知らない。

二人は、紹介するのもはばかられる汚い言葉でマイラのことを悪く言い、そしてスティーヴが作成してきた案を見る。「たったこれだけ?」。

マイラの父親の遺産を相続して、新しい遺言書に署名するのは月曜日。これが二人にとっての期限。その前に何とかする必要がある。「もしマイラの身に何かか起こったら?」「その時はすべて夫のものになる」と話が展開する。

「私は銃をもってるわ」「それではだめだ、事故に見せかける必要がある」「あと三日間ね、やれるわ」と二人は決意する。

実は、これがすべて録音されていた。マイラがこれを聞いた。

マイラはしばらく泣いていた。マイラが首を絞められたり、崖から落ちたりする場面が表示される。

しかし反撃を決意した。

◆ カギと拳銃を盗む

ここで55/1:50でちょうど真ん中。これ以降の場面はすべて夜で、またライトがついてない場面が多い。そしてジョーン・クロフォードのあの特徴的な眼が強調される。

マイラはわりと緻密な計画を立てる。

まずレスターがアイリーンの部屋のカギを持っているので、レスターの部屋(これはマイラの屋敷の中)に忍び込んで、アイリーンのカギを盗みコピーして戻した。注、レスターがアイリーンのカギを持っているのは録音機に入っている。

レスターに「夏に行った別荘に行きましょうよ」と誘う。レスターはオーケーする。

レスターとアイリーンは「チャンスは一日だけ。でも事故には好都合」という話をする。

マイラはアイリーンのタマルパイスアパートに忍び込む。アイリーンのメモを盗む(字をマネするため)、毒薬があるのを確認したが、それはパス。そして拳銃を盗んだ。

◆ メモを作成する

アイリーンの字をマネしてレスター宛てのメモを作成する。「名案かある、深夜零時に部屋に来て。アイリーン」。

次にレスターの字をマネしてアイリーン宛てのメモを作成する。「アイリーンへ、完璧な策を思いついた。深夜零時に駐車場へきてくれ。レスター」。

両方が同じ時刻なのがポイント。

◆ 別荘行をキャンセルする

レスターが自分の部屋からバッグを持って出てきた。別荘へ行くつもり。

マイラ「昨日イヴの誕生日、明日は私の誕生日、なのでいつも今日はパーティを開いてるの。アンにお願いしたんだけど、伝わってなかった?」。注、イヴの名前は、ここ以外にどこにも出てこないので関係は不明。

レスターは都合か悪くなので反対するが、マイラは押し切る。この件で予定が変わったので、レスターとアイリーンは喧嘩。しかし「今夜しかない」「失敗したらおしまい」とまた決意を固める。

◆ 偽装メモを渡す

場所はマイラの屋敷。マイラ、レスター、アイリーン、カーニー兄弟。今からみんなでイヴのところに行くつもり。

アイリーンが手袋を脱いで置いているので、隙を見て「レスター→アイリーンのメモ」を入れる。

「コートを取ってくる」と二階に行く。そして足首にアザのように色を塗る。コートを着て階段を下りてくる。

しかしマイラは階段から(わざと)落ちる。慌ててみんなが駆け寄る。足がケガをしている(ように見える)。マイラは痛がる(振りをする)。

ここでアイリーンはレスターに「どうするのよ?」という顔をしている。

けっきょくマイラがケガをしたので、イヴのところには行かないことになる。それでアイリーンはスカーフを被って帰る。ここでアイリーンはメモに気づく。

レスターはマイラを抱えて二階に上がる。この時にポケットに「アイリーン→レスターのメモ」を入れる。

◆ マイラは抜け出してアイリーンのアパートに行く

マイラがケガ(←嘘)をした後、レスターがマイラに本を読んで聞かせる。マイラはそのうちに寝てしまった。それを確認してレスターは出ていった。

いやマイラが寝たのは偽装で寝たふりをしただけ。その後、レスターとアイリーンに渡したメモと合致するように自分の作戦を立ててメモを作成する。時刻がきちんと記入されている。

その要点は午前零時、アイリーンの部屋。アイリーンは駐車場に行っている。レスターは中にいる。その前にマイラが侵入して待ち構えている。そしてアイリーンの部屋から持ち出してきている拳銃でレスターを撃つ。

マイラは、この計画を頭でシミュレーションする。我々には、その映像が示される。

そしてマイラは、このメモを破って焼く。計画の中止ではなく、頭にきちんと入ったからである。証拠を消すという意味もある。

マイラは左の手袋にアイリーンの部屋のカギ、左のポケットにハンカチ(マイラの名前が刺繍されている)、右のポケットに拳銃を入れて、白いスカーフを被って部屋を出た。

◆ レスターを待ち構える

アイリーンの部屋に忍び込んでクローゼットに隠れている。アイリーンとジュニアが入ってくる。ジュニアがしつこいが、何とかアイリーンはジュニアを帰す。

もう時刻なので、アイリーンは部屋から出る(→駐車場)。マイラは隠れたまま拳銃を右手に持っている。左手にはハンカチ。

電話が鳴った。ちょっと躊躇したのちマイラは電話を取って応答する。無言。電話は切れた。注、この電話は実はジュニア。マイラが声を出したので、ジュニアは応答しなかったと考えられる。

この時、マイラは「私に人を殺すのは無理」と思い、焦って拳銃とハンカチも落とした。注、ハンカチを落としたのが重要。

レスターが入ってきた。マイラは慌てて隠れる。部屋は真っ暗。アイリーンを待っている。

レスターはタバコを吸ったりしているので、隠れているマイラは気が気ではない。

ここで電話。レスターが電話をとる。レスターが話す前に「アイリーン、なぜ出なかった!?」。焦って興奮している。アイリーンのことを心配している。何度が叫んだ後電話を切った。

しかし焦ったのはレスターも同じである。「アイリーン、どこだっ!?」と言いながらライトをつけた。ハンカチと拳銃を見つけた。ハンカチを見て「マイラっ!」。アイリーンがいないのはマイラのせいだと思った(はず)。

レスターは他の部屋を探して回る。「アイリーン、どこだっ!?」。その隙にマイラは外に出た。

◆ アイリーンとレスターが死亡した

外に出たマイラをレスターが発見した。アイリーンと誤解する。レスターは車に乗ってアイリーンを追いかける。

マイラは必死で逃げる。レスターは追いかける。石段を上って逃げる。車を下りて追いかける。元の道路に戻ると、また車で追いかける。この場面が長い。

マイラは、建物のへっこんだ陰に隠れた。レスターの車が通り過ぎていく。

前方に白いスカーフをした女性。アイリーン。レスターはアイリーン(→レスターはマイラと思っている)に突っ込む。マイラは「それはアイリーンよ~っ!」と叫ぶ。

レスターはアイリーンを引いた後、車は衝突して炎上した。

マイラはスカーフをとって、その場を離れた。