■ Nobody Lives Forever
ニックは除隊して元の詐欺師に戻った。ライヴァルの詐欺師から「200万ドルのカモ」を紹介された。3割を払うことで引き受けた。
ニックはカモをうまく引っかけて順調。しかしニックは真面目に仕事をしすぎて、カモの女性を好きになった。


製作年:1946、監督:Jean Negulesco、脚本:W. R. Burnett、原作:Nobody Lives Forever(W. R. Burnett)


■ はじめに

「限りある命/Nobody Lives Forever」はストーリーとは無関係だが、オヤジの口癖。

登場人物(キャスト)
 グラディス・ハルヴォーセン(ジェラルディン・フィッツジェラルド) 金持ち未亡人
 チャールズ・マニング(リチャード・ゲイン) グラディスの弁護士

 ニック・ブレイク(ジョン・ガーフィールド) 詐欺師
 アル・ドイル(ジョージ・トビアス) ニックの友達
 ポップ・グラバー(ウォルター・ブレナン) ニックの友達、通称オヤジ

 トニー・ブラックバーン(フェイ・エマーソン) ニックの元恋人
 キング(ロバート・シェイン) トニーの店の経営者

 ドク・ガンソン(ジョージ・クールリス) ドクのライヴァル
 シェイク・トーマス(ジェームズ・フレイヴィン) ドクの手下
 ウィンディ・マザー(ラルフ・ピーターズ) ドクの手下
 


■ あらすじ

◆ 除隊

詐欺師のニック・ブレイクは除隊してニーヨークに来た。元の仕事の詐欺師に戻るつもりである。

まず相棒のアル・ドイルと会った。

◆ トニー・ブラックバーンに渡した金

次は愛人のトニー・ブラックバーンに会いに行く。軍隊に入る前にトニーには五万ドルを渡して、店をやるように言っておいた。かなり増えているはずである。

まずトニーのアパートに行った。トニーはいない。中を見て回るとパイプがあった。トニーは吸わない。ニックのものではない。他の男がいるらしい。

トニーの店に行った。店はなかなか繁盛しているようである。

トニーは歌っていたが、終わって男と一緒にテーブルに着いた。

トニーに声をかけて話をした。トニーに金のことを言うと「あなたの金で店は作ったけど、うまく行かなかったの」と平然と答える。

さらに続けて「ここはキングさんの店なの。私は名前だけ。申し訳ないわ」と言うが、ぜんぜん申し訳なさそうな顔ではない。「キングさん」とは一緒にいた男。

キングを呼び出して部屋の中で対決した。キングは拳銃を取り出そうとしたが、それを制止して殴り飛ばした。

結果、キングからトニーに出資した金を取り戻した。利子付き。

◆ ロスアンジェルスに行く

アルと一緒に列車でロスアンジェルスに向かった。

到着して最初に会ったのはポップ・グラバー、通称オヤジ。街角で望遠鏡詐欺をしていた。

これをちょいと説明すると、夜、街角に天体望遠鏡を持ち出して、月や惑星を見せる。客が望遠鏡を覗いている間に財布を摺り取る。

オヤジは「俺は年だ。もうそろそろ」みたいなことをしょっちゅう言っている。

◆ ドク一味

ニックとオヤジを見ている人物がいた。ニックのライヴァルのドクの手下である。

手下はさっそくドクに報告しにエルドラドホテルに戻った。

ドックはニックとは張り合った仲である。少なくともドックはそのように思っている。

さてドックは思案の最中である。200万ドルを持っているカモがいる。しかし、もう手が出せない。

ニックが来たとの知らせを受けて、手下は「ニックにやらせよう」と言うがドクは納得しない。自分ではやれないが、意地があってニックにはやらせたくない。しかし自分ではやれない。また金もない。

◆ 結婚詐欺師の条件

結婚詐欺師の条件は、男の魅力、騙す才能・技術、金であると言える。

最初の二つは納得できるだろう。金はなぜ必要か?

結婚詐欺は先行投資が必要な仕事である。まず金持ちに見せかける必要がある。そしてプレゼントをしたり、いろいろなところに連れていったりする必要がある。

そして失敗すれば、すべて投資はバーとなってしまう。

私は結婚詐欺師はしたことがないが、長年の人間研究から分かる。

ドクが「金がない」と言っているのはこのことである。

◆ グラディス・ハルヴォーセン

ターゲットはグラディス・ハルヴォーセン。金持ちの夫が死んだばかりである。200万ドルの財産を相続した。身寄りはない。

財産はチャールズ・マニング弁護士が管理している。

現在は当地のホテルの最上階に住んでいる。

客観的に見ればドクには無理である。やっとそれに納得してニックに話を持っていくことにする。成功したらいくばくかを貰うつもり。

ドクは、まず酒場にいるオヤジに話を持って行った。

◆ やるぞっ!

ニックはアルとビーチハウスにいた。オヤジが来てグラディスの案件を話す。

ニックはオヤジから話を聞くが、あまり良さそうな話はしない。しかし、これはニックの特性で、自分で納得するまでは、否定的な顔をする。

オヤジとアルもニックのことは理解していて、わざと「やりたくないなら、それでもいいよ」みたいな話をしている。

しかしニックは決断した。

ニック、アル、オヤジはドク一味と会って打ち合わせした。

ドクはいろいろ言うが、ニックは「お前は黙っていろ」と言い渡す。ニックにしかできないし、また先行投資資金もニックが出す。

稼いだ金の三分の二はニックたち、残りがドク一味と決まった。目標額は10万ドルという話があって、ドックには三万ドルになる。

◆ ホテルで網を張る

ちょうどマニングが近づいてきたタイミングで、ニックはホテルのフロントでチェックインの手続きをした。ニコラス・ロイドの名前。

ニックがマニングのそばを通り過ぎる。その時に雇っているサクラが「あの方は海運業をしていらっしゃるんです」とマニングに囁く。

レストランでマニングとグラディスが話している。マニングはゴルフの話をするが、グラディスはあまり興味がないようである。

別の席にいたニックが近寄ってきて「この間は、ご紹介いていただいたのに無視してしまいました。申し訳ありません」とマニングに話しかけた。ご紹介云々の件は嘘。

三人は話し始めるが、秘書(!)のアルが手紙を持ってくる。「週の後半にしておいてくれ」ともっともらしい芝居をする。

ニックは二人をビーチハウスに誘う。グラディスは乗り気になる。

◆ ビーチハウスで待つ

ニックとアルはビーチハウスにいる。グラディスが来ると踏んでいる。自分から誘ってはいけない。グラディスから来るという形でなければならない。来なければ一週間でも待つつもりである。

と思ったが、まもなくグラディスがマニングとともに現れた。テーブルの上にはわざとらしくサルヴェージ船の写真が置いてある。マニングはそれについて質問した。

ここでストレートにグラディスを誘う。

二人は水着に着替えて海に入った。上がってからいろいろ話す。ニックは子供の頃の貧しい、もっともらしい作り話をした。

その日はレストラン→ドライヴ→ダンス→ボクシング観戦→音楽会と一気に突っ走った。

グラディスはボクシングの激しい殴り合いはショックだったようだが、それ以外には非常に満足した顔。

後日マニングがニックに「君の仕事に興味がある。出資したい」と話しかけてきた。もちろん、ニックの事業は嘘なので「ニューヨークの共同経営者と相談する」と逃げた。

◆ トニーが現れた

ニックの仕事は順調である。

オヤジのところに突然トニーが現れた。住所を教えたが「今は仕事中だ。邪魔をするな」と警告した。

一方、ドクも進捗状況が心配なようで、オヤジのところに来て話を聞いた。

またアルは「ニックがグラディスを本気で好きになっているのでは?」と案じている。

トニーがホテルのラウンジに来た。ニックを見つけて話しかけた。グラディスが近づいてきた。「あれがカモなのね」と話す。

アルがその場に割り込んでトニーを連れ出した。それを見てグラディスは「あの女性に対する態度は良くないわ」と注意した。

◆ マニングがドクとすれ違った

ニックとグラディスはホテルに戻ってきて、エレヴェーターで上り、それぞれの部屋に入った。

ニックの部屋にはドクがいた。「ここには来るな」「怪しまれないように注意した」「イヤなら降りる」「あと一週間待つ」という話をしてドクは出て行った。

ドクがエレヴェーターから出てくるところで、マニングとすれ違った。エレヴェーターボウイに聞くと「ロイド様(ニック)のところです」と答えた。

マニングはグラディスの部屋に入ってプレゼントを渡した。そして「ニックがどのような人間かは分からない」という。「私は幸せよ」との答え。

もうマニングはニックに対してかなり疑問は持っているのだが、はっきりとは言わない。

後ほどマニングは検事局に電話してニックのことを調べてもらうように依頼した。

◆ ニックは下りる

ニック、オヤジ、アルが話している。ニックは仕事を止めるつもりである。

ドクには約束の金(三万ドル)を自腹で支払うつもり。アルは「金を払う必要はない」と言っているが、ドクがグラディスに手を出さないようにさせるためには払っておく必要がある。

マニングとグラディス。マニングはニックの正体をばらした。「彼は詐欺師だ。本名はニック・ブレイク」。グラディスは信用しない。

ここでニックが入ってきた。「会社に問題が発生した。ニューヨークに行かなければ」という。

マニングはニックの意志に気が付いたようである。グラディスとは「五時にバーで会う」と約束した。注、ニックは会わないで去るつもり。

ニックが出て行った後、検事局の担当者が入ってきた。ニックの正体についてばらした。「しかし違法なことはしてないので逮捕できない」と付け加えた。

◆ トニーはドクに知らせた

アルのところにトニーが来た。「例のヤマがうまくいってないの?」「カモの女に本気になった」。

「ニックは上がりをひとりじめしたいのよ、結婚すればすべて手に入る」「確かに一理あるな」。

トニーはドクに知らせに行った。

ニックがドクを訪ねた。金を渡した。「約束通り三万ドルを作った」「どこで金を作った?」。

ドクは拳銃を構えた。「200万ドルの三割なら60万ドルだ」。

ニックは机をひっくり返して反撃して拳銃を取り上げて反撃した。ドクを追い出した。

◆ グラディスが誘拐された

ニックはアルとオヤジに「ドクが動いたら追跡してくれ」と言ってグラディスに会いに行った。

しかしグラディスはいなかった。フロントで聞くと「知らない人と出て行った」。

一方、アルとオヤジはドクの車を発見した。オヤジが車で追跡し、アルは酒場で連絡を待つことになった。

酒場でアルとニックが合流した。

ドクの車。ドクと手下三人とグラディス。グラディスは「ニックから頼ませた」と言って連れ出された。

しかし寂しいところに行くので、次第に疑問を持つ。

車は、海岸沿いの工場みたいな建物がある場所に入っていく。鉄塔が並んで建っている。

グラディスはもう完全に疑問を持っている。ドクに抗議するがドクは無視。

車は桟橋の前で止まった。グラディスは桟橋の途中にある小屋に入れられた。床の下は海である。

◆ 最後の対決

オヤジは、これを確認して近くにある店に入ってアルとニックに連絡した。「あの倉庫(グラディスが連れ込まれた小屋)には電話がない。電話する時はこの店にくる」ことを確認した。

アルとニックが到着した。

これからはわりと長いのだが、まとめて紹介。

小屋から一人が電話のためにでてくる。それを捕らえてアルが監視する。もう一度同じ展開。それで小屋の中はドク、手下一人、グラディス。注、電話するのはセリフの説明はないが、おそらくマニングに連絡するため。

ニックとオヤジは桟橋の下に潜り込み、ボートで小屋の下まで来て、チャンスをうかがう。

小屋では電話から戻ってこないのでドクは不審がっている。

手下が出てきたのでニックは拳銃で殴る。手下はボートに落ちた。

ニックは小屋のドアに近づいた。グラディスが逃げ出してきた。ドクがグラディスを捕まえようとする。

ドクはボートに倒れている手下を発見。ドクがニックに撃たれた。ドクは撃ち返してオヤジが倒れた。

ドクが息を引き取った。オヤジも「俺の運は尽きた」と息を引き取った。

ニックはグラディスを助け出して桟橋を通って陸に上がる。警察が到着してアルが確保している手下を逮捕した。

この後、ニックとグラディスが結ばれるのは間違いがない。
 


■ 出演作

◆ ジェラルディン・フィッツジェラルド
(1945)ハリーおじさんの悪夢/The Strange Affair of Uncle Harry
(1946)三人の波紋/THREE STRANGERS
(1939)嵐が丘/Wuthering Heights
(1946)限りある命/Nobody Lives Forever

◆ ジョン・ガーフィールド
(1946)郵便配達は二度ベルを鳴らす/The Postman Always Rings Twice
(1948)悪の力/苦い報酬/Force of Evil
(1946)限りある命/Nobody Lives Forever

◆ ジョージ・トビアス
(1946)船乗りシンバッドの冒険/Sinbad the Sailor(1946)
(1949)罠/THE SET-UP
(1941)いちごブロンド/The Strawberry Blonde
(1946)限りある命/Nobody Lives Forever

◆ ウォルター・ブレナン
(1936)激怒/Fury
(1940)西部の男/The Westerner
(1940)スワンプ・ウォーター/Swamp Water
(1941)群衆/Meet John Doe
(1944)姫君と海賊/The princess and the pirate
(1946)荒野の決闘/My Darling Clementine
(1948)赤い河/Red River
(1950)彼女は二挺拳銃/A Ticket to Tomahawk
(1950)峡谷の銃声/Singing Guns
(1952)ジャングルの逃亡者/Lure of the Wilderness
(1946)限りある命/Nobody Lives Forever