名古屋市内にある、福沢諭吉の娘婿&恋人で女優の貞奴の旧宅二葉館の話に戻ります。
中には2人が暮らした時の小物・家具などが置かれているだけでなく、
広いので一部が展示館として利用されていました。
2Fには、名古屋出身作家の関連資料などが並びます。
特に力を入れていたのが、城山三郎関連の展示。
寄贈を受けた書を活用して、書斎が再現されています。
雑然としていますが、在りし日の茅ヶ崎の書斎の様子はこんなものじゃなかったようです。
以下本人の証言からー
わが書斎
新刊にせよ、古書にせよ、本は見つけたとき買っておかないと、ふたたびめぐり合えないことが多い。脅迫感にかられて、せっせと買う。買っておけば、必らずいいことがある気がして買う。買っておかねば、いつか、きっと心貧しい思いをする日が来るような気がして、買う。
(略)
こうして、いまはただただ、本に追いつめられて行く運命である。すでに床の上に平積みになった本の柱は、胸のあたりに迫ってきている。やがては背丈ほどにもなり、当主をのみつくしてしまうであろう。肉体的危機さえ感じられるというのに、当主は面倒がりもせず、むしろ嬉々として、相変わらず本を買い続け、埋蔵量はふえるばかり。
しかし、石油の例でもわかるように、埋蔵量の減るのは、心細い。ふえるのは、心強く、たのもしい。
これは、わたしにとって宝の山である。家がつぶれようが、体が押しつぶされようが、宝の山はふやし続けよう。
(略)
たしかに下積みの身となると、本もまた発見・起用が難しく、同じ本を二冊三冊と買ったりしている。
ただし、わたしは、「死蔵」とは思っていない。連載の終わったあとなど、ふいに思い立って、猛然とこの宝の山に挑みかかり、ひっくり返す。
死蔵のはずの本たちが、にわかによみがえり、当主もまたいきいきする。宝の山は大きいほどよいー。
『わたしの情報日記』より
この文章とともにかつての書斎の写真が展示されていました。
撮影隊は、部屋に入ることができず、ベランダから撮影したのだとか。
(ネットサーフィンで知った情報によると。)
ただそこにあるということで満足感が得られ、心が豊かになるような気がする、
その感覚は、私にも覚えがあります。
(もっとも私の場合、超スケールダウンして、プチなレベルではありますが。)
これは少し前までの話だけど、
美術展覧会のカタログなどは、同じ展覧会はもう二度とこないから買わずにはいられませんでした。
たとえあとで見なくても、買ったという行為・そこにあるという感覚が充足感を呼ぶ、というか。
断捨離にいそしむ最近はもう、美術館の図書館に行けばいつでも読める、
と思い、買うことをほとんど辞めましたが。
ただ、美術館や絵画のカレンダーは、毎年多めに=部屋の数以上に買っているかな。
もう蛇足だよね、とか思いつつ、タンス、クローゼットが置いてあり、洋服を
取りに行くだけの滞在時間がもっとも短い部屋にも。
この部屋には、来年のカレンダー(出光美術館)がすでに待機中。
勉強部屋は一番お気に入りのカレンダーを掛けることにしていて、今年はモネ。
来年はゴッホです。
机の上には、海外美術館の卓上カレンダーも。
さらにほしくなって買った近美の卓上カレンダーは今、食堂のテーブルの上に。
ほとんど見ませんが。
以前はよく日本画のカレンダーを冷蔵庫側面に貼っていたけど、
熱放出上よろしくないという話をさんざん聞くのでそれは辞めて、美術館マグネット
を貼るだけにとどめています。
***
上の写真に写っていた城山の書斎は、第三書庫だそう。
別途第一、第二書庫があるうえでのあの埋蔵量ということ。
仕事上、文学だけでなく、政治経済、歴史の本も購入対象なので
書庫パンクやむなし、といった状況でした。
ということで、↓この書斎は、
実際よりはこれでもずいぶんすっきりとしている再現なのでした。
著書紹介コーナーは、きわめて整然と。
場所は、2F階段を上ってすぐのところです。
名古屋市内観光① 杉浦非水原画のステンドグラスの数々 二葉館
名古屋市内観光② 紅葉ライトアップにうっとり 白鳥庭園
名古屋市内観光③ 見る角度で全然違う黒川紀章設計の名古屋市美術館
名古屋市内観光④ 世界最大級 ギネス世界記録保有の名古屋市科学館
名古屋市内観光⑤ 貞奴の家に再現された城山三郎の書斎
名古屋市内観光⑥ ピカソも描いた女優の館
名古屋市内観光⑦ 教会&ステンドグラス巡り
名古屋市内観光⑧ 和のたたずまい 四間道 +全日本フィギュア
名古屋市内観光⑨ ノリタケの森 / クリスマスイルミネーション / 屋根神様
名古屋市内観光⑩ 旧控訴院は陪審法廷にもステンドグラス
名古屋市内観光⑪ 輸出陶磁器商の館「橦木館」のステンドグラス
名古屋市内観光⑫ 和室も素晴らしい橦木館
名古屋市内観光⑬ ミシュラン2ツ星フレンチレストランの日本店舗にて