初診時の顔面神経麻痺の患者さんは今後どの程度回復するのか知りたいと思います。

顔面神経麻痺がどの程度改善するのかは、ある程度予測することが出来ます。

その時に用いられる検査法にENoG(エレクトロニューログラフィー)があります。

ENoGは顔面の筋肉から誘発される活動電位を患側と健側で比較して数値化したものです。

ENoGが40%以上では完全に回復、ENoGが10%以上40%未満ではほぼ回復、10%未満では不完全な回復になります。

この検査は病院で行なわれますが、鍼灸院で出来る検査法に柳原法があります。

柳原法は顔面の動きを10種類に分け、各項目を4点として40点満点で評価する方法です。

発症2週間で柳原法18点以上であれば完全に回復、10点以上であればほぼ回復、発症4~8週経っても10点未満であれば不完全な回復になります。

柳原法以外にも鍼灸師が出来る顔面神経麻痺の評価方法はありますが、予後の推測が出来るという事と、細かく評価できるという事で有用な評価法であると思います。

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*五枢会治療セミナー

2011年から再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。

興味がある先生・学生の方は下のホームページをご覧になって下さい。

http://5su.muto-shinkyu.com/

 

40代女性、鍼灸師。

腱鞘炎による手指の痛み・背部痛(自発痛)・肩関節痛を訴えて治療中であった。

背部痛は慢性膵炎由来と医師から診断を受けていた。

背部痛に対しては胃の六つ灸(膈兪・肝兪・脾兪)の施灸が有効であった。

したがって胃の六つ灸を助手の鍼灸師にも毎日してもらっていた。

しばらくたつと水疱が出来、大きな痂疲が形成された。

「助手は施灸が下手だから火傷になった。」とのこと。

しばらく様子を見ていたが、改善しないため皮膚科を受診。天疱瘡の診断が下った。


天疱瘡の患者の皮膚は圧迫・摩擦などの刺激により水疱を形成し、破れるとびらんや痂疲を形成します。

以前別の患者さんも天疱瘡になりましたが、皮膚科医から「鍼灸治療はやめなさい。」と言われたとのことでした。

この症例の様に施灸をした後火傷の症状がなかなか治らない場合は天疱瘡の可能性を考えなければいけないと痛感しました。

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元来活発で趣味はテニスであった。

数ヶ月前にK病院の診察で偶然腎細胞癌が見つかり、切除した(stage1)。

後頭部の痛み・腹痛・めまい・腰痛の他その時によって色々な症状を訴える。

持続して症状を訴えることは少なく、毎回メインの症状が変わる。
不安傾向が強い。


この様な場合器質的疾患より機能的失調もしくは精神的なストレスによるものではないかと考えると思います。

しかし、肺にも癌(腺癌、stage1)が偶然見つかり切除することになりました。

咳・痰などの呼吸器症状は訴えていませんでした。

この症例を通じて痛感したことは、多愁訴で症状が変わる場合機能的失調であり、検査の対象としないと考えがちですが、器質的疾患の存在を常に考慮しなくてはならないという事です。

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42才男性、身長175.7cm、体重86kg(BMI 27.8)と肥満1度である。

あまり筋肉質ではなく、スポーツは好まない。

IT関連の仕事をしている。

主訴は背部の鈍痛である。

10年以上鍼灸治療を受けているのにもかかわらず、鍼を非常に痛がる。

鎮痛を目的に某メーカーの鍼(1寸02番)を腰腿点に刺鍼したところ、非常に痛がるためやむを得ず表面電極の通電を行なった。

しかし治療効果が出ないため、百会に刺鍼しながらセイリンの鍼(1寸02番)で腰腿点に刺鍼した。

この治療法に変えてから痛みが改善するようになった。

患者さんが治療に対し、過敏であるとどうしても刺激量を減らしがちになります。

少なめの刺激量で効果が出る場合もありますが、この症例の様に多くしないと効果が充分でない場合もあります。

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52才、男性。

中学生と高校生の子供がいる。

会社の役員をしていたが、他の会社に合併吸収され、社内でのポジションが低下した。

新会社では辞めて欲しいという雰囲気が漂っていた。

不眠・腹痛・下痢を訴えている。

元来脾虚タイプであり、過労とストレスで腎虚が極まり、奇経の病証になっている。

患者さんの妻から「夫はこのままいくと、過労死ですよね。」と相談を受けた。

「確かに危険性があります。とにかく毎日自宅施灸をして、漢方薬も併用して下さい。」とアドバイスした。

自宅施灸の取穴は地機・湧泉・身柱・神道などである。

漢方薬は加味帰脾湯・補中益気湯などが処方された。

約10ヶ月間何とか持ちこたえ、会社に再就職支援のサポートをしてもらうことを条件に退社することにし、新しい会社に転職できた。

新しい会社では労働条件・社内のポジションとも良く、「こんなに楽して良いのかと思います。」との事。


学童期の子供を抱えた男性は、体調不良が著しくてもなかなか退職という選択肢を取ることが出来ない状況にあります。

体調不良が著しくなると、不眠・うつなどの症状が出現する場合も少なくなく、エネルギーが低下しています。

そうすると判断力・行動力が低下し、なかなか新しい職場を探すなどの積極的な行動をとることが困難となります。

鍼灸治療はその様なエネルギーの低下を補い、患者さんが自ら問題を解決できるようにサポートする力を提供できるのではないかと考えています。

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51才、男性。

双極性障害(躁うつ病)で通院中である。

10年前に発症したが、治療で改善し症状は比較的落ち着いていた。

20代から睡眠時間は4~5時間である。

睡眠時間が少ないなどの無理をしてもあまり辛さを感じなく、とことんひどくなった時点でうつ状態になるという。

社内で移動があり、労働時間が12~16時間/日になった。

睡眠時間は2~5時間であった。

そのころから腰背部痛・肘痛・膝関節痛を訴え出した。

腎虚が極まり、奇経の病証であった。

元気を補うにも限度がある。

移動から8ヶ月目に職場で嘔吐したとのこと。

産業医に相談することを勧め、産業医の方から元のポジションに復帰できた。

患者さんの奥様と何度も「このままいくと過労死になるかもしれないですね。」と話し合っていたが、本人は「それほどひどい状況だと思っていなかった。まだ前の職場で頑張りたかった」とのコメントにはあきれてしまった。

この様な状態を失体感症というが、失体感症になっている人は重大な症状になるまで気づかないので要注意である。

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*メールマガジン鍼灸雑記帳のバックナンバー

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元来元気がなく主婦業とパートで精一杯の状態の患者さんが、仕事で活躍する一方スポーツも行なうことが出来るようになった症例です。

40代女性、主婦で午前中のみNPOの仕事をしている。

頭痛・耳鳴・易疲労・頸部~背部のこりを訴えて来院した。

元来虚弱で風邪を引きやすく、扁桃炎・中耳炎などを繰り返している。

脾腎陽虚証で痰飲傾向もある。

治療を継続すると元気になり、テニスを始めた。

更に仕事をフルタイムですることになった。

脾虚証の患者さんは一般に体力がなく、運動を嫌う傾向があります。

脾虚証の改善とともに体力が出て、運動が出来るようになったことが相乗効果になったと考えられます。

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80代女性。

子供の頃から虚弱で頭痛で良く寝込んでいた。

30代の時に蓄膿の手術をして以来涙管が閉塞傾向になっている。

薬を服用すると副作用が強く出るため、50代から漢方と鍼灸を始め、薬は極力少なめにしているとのこと。

また食事にも気をつけ、出来るだけ無農薬・低農薬野菜にしていた。

湯河原の老人ホームに入っているため、そこから2回/週鍼灸治療に通っていらっしゃった。

とても元気で60~70代にしか見えない。

頭がしっかりしていておしゃれである。

老人ホームで陶芸・園芸をしている。

80代になっても元気で通信制の美術大学に入学し、京都に定期的にスクーリングに通っていた。


この患者さんは90才2ヶ月まで元気に活動を続け鍼灸治療を続けました。

その4ヶ月後に亡くなりました。

この患者さんを通じで痛感したことは、元来虚弱体質であっても出来るだけ現代医学の薬を飲まないようにし、食事に気をつけ鍼灸と漢方で対処すると健康寿命が上がるという事です。

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48才女性、看護師。

職場のリフォームを契機に化学物質過敏症を発症しています。

主な症状はめまい・思考力低下・便秘です。

乗り物に乗ったり、ドラッグストアに入ったり、タバコの煙・香水・整髪料・マジックのにおいをかぐと増悪します。

腹証は小腹硬満・少腹急結が著明でした。

瘀血証として血海・足五里、便秘に対して支溝・沢田流神門、めまいに対して中渚・四瀆などの刺鍼を行ないました。

症状が改善すると、腹証も連動して改善したのが印象的でした。

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大腸の石灰化により腸の蠕動運動が低下し、腸閉塞を起こしやすいという事で来院している患者さんについてお伝えします。

65才女性、やせ型で脾虚証タイプ。

既往歴は18才に虫垂炎の手術をしています。

腸閉塞が起こりそうなときには臍傍とマックバーネー点に圧痛・硬結が出現します。

そして状態が回復すると圧痛・硬結が消失します。

腸閉塞を誘発するパターンとしては、消化の良くない物・冷たい物を食べるなどです。

治療経過中に顎関節症が出現し、咀嚼筋・商陽・少沢などの刺鍼を開始してから腹部の硬結はほとんど出現しなくなりました。

その頃から腸閉塞も起こっていません。

それまの取穴(水分・大巨・血海・上巨虚・大腸兪・沢田流神門・支溝など)より上記取穴の方が効果的であったことが興味深いです。

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