以前のメールマガジンで治療の実力をアップするためには実際に治療することが最も重要と書きました。
更に加えると、「治療費を安くしない」ことも重要です。

良く治療費が2,000円未満であったり、鍼1本100円で治療しているという話を聞きます。
特に鍼灸整骨院で多いような気がします。

そのように安い治療費だと治療効果が出なくても「許してもらえる」のです。
治療費というより「鍼や艾の実費」、若しくは治療してもらったという「ご苦労さん代」という範疇に入ってしまいます。

ある程度の治療費を設定すると、「効果が出ないとまずい」という断崖絶壁に立たされることになります。
そのプレッシャーをバネに実力をつけていくのです。
ですから治療費は地方であっても最低4,000円以上にはした方が良いです。

しかしあまりにも高く設定し過ぎるとプレッシャーに押し潰される可能性があります。
その価格にあった価値を提供できないと、クレーム・ドロップアウトにつながります。
ご自分で納得のいく金額に設定してみて下さい。
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*五枢会治療セミナー
再現性の高い治療・有効率の高い治療をマニュアル化し、治療セミナーを行なっています。
興味がある先生・学生の方は下のホームページをご覧になって下さい。
http://5su.muto-shinkyu.com/

現在重症の疾患を幾つも併せ持つ患者さんを治療しています。
課題が多いものの、歩行障害が改善しているのでお伝えします。

◇脳性麻痺・頸部脊柱管狭窄症・腰部脊柱管狭窄症・小脳梗塞・側弯症を合併している症例
81才女性
1才の時に脳性麻痺に罹患し、それ以来手足の痙性麻痺・構音障害が続いています。
73才で小脳梗塞になり、失調歩行があります。
脳性麻痺により、側弯がひどい状態です。
その他股関節が硬い・扁平足・首下がりなども見られます。
主訴は腰痛・頚肩部痛・大腿部痛・歩行困難などです。

いったいどこから手をつけたら良いのか悩む症例です。
今まで色々なアプローチをしてきましたが、現在はとにかく脊柱のアライメントを改善し、側弯症を改善する治療を中心に行っています。
その他痛みの治療や股関節の可動域改善・扁平足・首下がりの治療も行っています。

側弯症は改善してきております。
歩幅は5cm程度が20cmまでになりました。
痛みは部位によりますが、軽減が見られています。
首下がりはまだ改善に至っていません。

この様な重篤で多症状の患者さんは治療方針を立てるのが難しく、評価も困難です。
歩幅・可動域などを測定や理学テストを行い、改善の目安としています。

弟さん夫婦がこの患者さんのケアをしているのですが、「とにかく車イスや寝たきりにならないで欲しい。」との要望です。
出来るだけ自立歩行が続けられるよう鍼灸治療を続けていただいています。
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今回は症例報告です。
50代女性
初診 2022年6月X日
元来便秘症で2-3日に1回の排便とのことでした。
10年前に乳癌の既往があります。
来院2週間前に腹痛・嘔吐・下痢・血便が出現して来院しました。
初診時に病院で検査をすることを勧めました。
鍼灸治療を6回継続した結果症状はほとんど消失しました。
その間に病院で検査をすることを何度も勧めましたが応じない状態でした。
6回治療後の8月に、「病院で検査をしていただかないとこれ以上鍼灸治療は出来ません。」と言うと来院しなくなりました。

その後の経過は通院中の妹さんから聞きました。
10月に腸閉塞になり、検査をしたところ、S字結腸癌(ステージⅡ)という診断が下ったとのことです。
腸管内にはかなり前の便がたまっていたとの事です。」
12月に腹腔鏡で手術をしたとのことです。

この症例を通して感じたことが2点あります。
1.    鍼灸治療で腸閉塞の症状を緩和することが出来る可能性がある。
そのために病気を見逃す可能性がある。
鍼灸治療で腹痛が軽減したからと言って器質的疾患がないとは言い切れない。
過去にも慢性腹痛の患者を長期間にわたって治療して結局原因が腸閉塞だった症例が報告されています。

2.    ほとんど毎日排便があっても便が腸管内にたまっていることもある。
この症例以外に現在腸閉塞になりかかった患者さんを診ていますが、ほとんど毎日排便があったとのことです。
ある時ひどい腹痛が出現して検査をしたところ、かなり便が溜まっていたとのことです。
原因は近日中に検査する予定となっています。
別のケースでは腹部膨満感がひどく、検査したところ便がかなりたまっていたというものもあります。この方もほぼ毎日排便がありました。
脊柱管狭窄症がありました。

原因不明の腹痛には注意する必要があると痛感しています。
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患者さんの訴えの中で多いものとして「肩甲間部の頑固なコリ」があります。
肩甲間部の頑固なコリを取るのが難しい点として、下方に肺があるので直刺できないという事が挙げられます。
したがって横刺をすることになります。

まず遠隔取穴として沢田流郄門・俠白に刺鍼します。
次に局所治療を行います。
肩甲間部の筋緊張を菱形筋ととらえている方が多いですが、実は胸腸肋筋の場合の方が多いです。
まず菱形筋なのか胸腸肋筋なのかを鑑別し、該当筋の筋線維に対して垂直に横刺します。

これでコリ感が半分以下になれば大丈夫です。
もしまだかなり残っている場合は局所に皮内鍼や円皮鍼を貼って終了します。

肩甲間部に頑固なコリがある方は、肩のアライメントに問題がある(五十肩・不良姿勢など)か、精神不安が強いなど原因がありますのでその対処も重要です。
患者さんの訴えの中で多いものとして「肩甲間部の頑固なコリ」があります。
肩甲間部の頑固なコリを取るのが難しい点として、下方に肺があるので直刺できないという事が挙げられます。
したがって横刺をすることになります。

まず遠隔取穴として沢田流郄門・俠白に刺鍼します。
次に局所治療を行います。
肩甲間部の筋緊張を菱形筋ととらえている方が多いですが、実は胸腸肋筋の場合の方が多いです。
まず菱形筋なのか胸腸肋筋なのかを鑑別し、該当筋の筋線維に対して垂直に横刺します。

これでコリ感が半分以下になれば大丈夫です。
もしまだかなり残っている場合は局所に皮内鍼や円皮鍼を貼って終了します。

肩甲間部に頑固なコリがある方は、肩のアライメントに問題がある(五十肩・不良姿勢など)か、精神不安が強いなど原因がありますのでその対処も重要です。
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読者の皆様はどのくらいの鍼の太さ・長さを使っていらっしゃいますか?
学校で配布された鍼を今でもそのまま使っている、何となく使っているなどという場合もあると思います。

私は刺鍼する場所に応じて鍼の太さを変えています。
手足は最も細く、腰部は最も太く、首肩はその中間です。
また、人によって太さを調整しています。

治療効果が十分に発揮できないとき、鍼を少し太くするだけで効果が出ることがあります。
また、鍼の刺激が強すぎる時には鍼の太さを少し細くするだけで緩和されます。

私が使っている鍼は1番細いのでは直径0.10㎜、1番太いので0.30㎜です。
中国鍼を用いている先生はもっと太い鍼を使っていると思います。

鍼による治療効果を高めたい方、気持ちの良い鍼にしたい方はぜひ鍼の太さの調整にチャレンジしてみて下さい。
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今回のテーマは「運動鍼」です。
運動鍼は遠藤唯男先生が最初に提唱した刺鍼法です。
運動鍼は可動域制限に対して絶大な効果を発揮します。
寝違え・五十肩の他、腰部・股関節・膝関節・足関節の可動域制限にも効果的です。

方法として痛みの部位に刺鍼しながら動かす人もいらっしゃるようですが、私は遠隔取穴をしながら患部を動かす方法を取っています。
痛みの部位に刺鍼しながら動かすのは痛いし、鍼が曲がったりする場合もあるので避けたいです。
可動域が治療直後に改善すると患者さんの満足度も高くなると思います。

運動鍼は関節を動かす向き・患者さんの呼吸・用いる経穴などを工夫することにより効果が高まることが多いです。
この様に何らかの工夫を加えることで効果が高まる治療はやっていて楽しいし、飽きないです。
やはりつくづく思うのは、こなす治療をしていると進化しないです。
しかしちょっとした工夫をしながら治療成績を上げていると進化するし、楽しいです。
そのように鍼灸を今後も続けていきたいと思っております。
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良く「実力をつけるためにはコツコツ努力をすることが大切だ。」、とか「急に実力をつける方法はない。」とか言われます。
その通りでコツコツと努力することは重要だと思います。

問題は努力の中身ではないでしょうか。
特に重要なのは「実践」と考えています。
どんなにたくさん勉強しても実際に患者さんを治療していかないと実力をつけるのは難しいでしょう。

例えば水泳の理論をたくさん知っていても実際に泳いだことがない人に水泳を教わりたいでしょうか?
患者さんへの実践は慣れる事だけではありません。
実際に臨床に当たってみると教科書通りでないことがかなり多く、更に勉強する必要が出てきます。
患者さんだけでは十分に実践を積めない場合は家族・親戚・知人にドンドン治療してみて下さい。

実践するリストの中で最重要人物はご自分です。
自分の身体に治療することが最も勉強になります。
昭和の初期に活躍された鍼灸の名人澤田健先生は病気になった時に自分で治療して極意を体得されたとのことです。
そしてその弟子で昭和の時代に活躍された代田文誌先生は「自分が病気になれば色々なことが分かる。」と提唱されていました。

無理に病気になるのは本末転倒ですが、ちょっとした体調不良でも自分で治療をする習慣をつけることが大切だと思っております。
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以前のメールマガジンで症状が多い患者さんの対処法をお伝えしました。
その時には1つの経穴で多くの症状を改善できる治療をすることを提案しました。
この方法は今でも使っており、有効な治療法だと思っております。

しかし、症状が多いのには根本的な原因があると考えられます。
第1に1つの病証が様々な症状を呈していることが考えられます。
脾虚証・腎虚証・瘀血証・痰飲などが候補として挙げられます。
場合によっては複数の病証が存在し多彩な症状になっている場合もあります。
更年期障害や自律神経失調症などに見られるパターンです。

第2に痛みの閾値が低下していることが考えられます。
体のあちこちが痛いという場合、その可能性が高いです。
抑うつを伴っている場合は相当可能性が高いです。

第3に心気傾向が強い場合も考えられます。
些細な症状を気にし過ぎるタイプです。
この様な患者さんは不安感が強く心配して症状を言っているので、まず説明をして安心をしてもらうことが大切です。

症状の多い患者さんに対しては、まず1つの経穴で多くの症状を改善できるものを選ぶという事と同時に、根本的な解決策として病証の改善・痛みの閾値を上げる・安心感の提供をするという事が良いと思います。
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鍼灸師の資格を持っていて開業している場合特に定年はありませんが、いつまで仕事をするべきでしょうか?
一般の企業では60~65才で定年となりますが、定年がなければ75才位まで仕事が出来るのではないでしょうか。
そのためには体力・知力・技術力をキープする必要があります。

高齢で鍼灸師を続けるメリットとしては、高齢者の治療を自分の身体で研究対象としてできることです。
自分の健康管理と治療法の開発を行えるという一石二鳥の効果があります。
超高齢社会を迎え、鍼灸師の担う役割も大きくなると思います。
認知症・脊柱管狭窄症・骨粗鬆症・パーキンソン病などが増えていく可能性が大きいですが、ひどくなる前に治療をしていくことが重要と考えています。
その中で鍼灸も大きな役割を果たせるのではないかと思っております。
そのためには高齢になっても現役で活躍する鍼灸師は不可欠なのではないでしょうか。

鍼灸師が持つべき知識の中で時に重要なものとして「病態把握力」があると思います。
病態把握がなぜ重要なのかについては、主に3つのポイントが挙げられます。

第1に鍼灸の適応かどうかの判定に役立つという事があります。
例えば頭痛を例に挙げます。
頭痛で鍼灸の適応は、緊張型頭痛・片頭痛を始めとする血管性頭痛・神経痛などが挙げられます。
不適応疾患としては、くも膜下出血・髄膜炎・脳腫瘍などが挙げられます。
特に癌の患者さんでは脳に悪性腫瘍が転移する可能性を考える必要があります。

第2に予後の推定が出来るという事があります。
予後は、その症状が器質的なのものから来ているのか機能的失調から来ているのかで推定できます。
例えば神経痛でも原因が骨棘によるもの(器質的)であれば回復が難しいけれど、筋肉のエントラップメント(絞扼・機能的)であれば回復し易いと判定できます。

第3に治療法の決定に役立つということがあります。
治療法は筋肉の緊張が原因であれば原因筋への刺鍼を行います。
神経痛であれば神経上の圧痛点への施灸を行います。

病態をとらえることは、鍼灸の病証を決定すると同じくらい重要です。