こんにちは。
五枢会の武藤です。
「咳が出る」と聞くと、まず呼吸器の問題を考える方が多いと思います。
もちろん、咳の多くは風邪をはじめとする呼吸器疾患で見られます。
特に咳が長引く場合には、喘息や咳喘息なども考える必要があります。
しかし、咳の原因は呼吸器だけとは限りません。
例えば、逆流性食道炎(胃食道逆流症)でも咳が出ることがあります。
そのため、咳を治療する際に大切なのは、
「咳に効く経穴はどこか?」
と考える前に、
「なぜ、この患者さんは咳をしているのか?」
を見極めることです。
■ 同じ「咳」でも原因が違えば治療も変わる
咳という症状だけを見て治療穴を選ぶと、十分な効果が得られないことがあります。
まず、
・風邪などの呼吸器疾患による咳なのか
・喘息など気道の問題による咳なのか
・逆流性食道炎による咳なのか
原因を考えることが重要です。
問診では、咳が出る時間帯や状況にも注目します。
・風邪の後から咳が続いている
・夜間や早朝に咳が出やすい
・運動や冷気で咳が出る
・食後や横になった時に咳が出る
・胸やけや酸っぱいものが上がってくる感じがある
このような情報が、原因を見極めるヒントになります。
■ 呼吸器症状による咳
風邪や喘息など、呼吸器症状として咳が出ている場合には、私は尺沢・照海などを中心に治療します。
尺沢は肺経の合水穴であり、咳をはじめとする呼吸器症状に用いる重要な経穴です。
また、照海も咽喉部や呼吸器症状に応用できる経穴です。
呼吸器由来の咳では、咳だけを見るのではなく、
・痰の有無
・痰の性状
・呼吸の状態
・咽喉部の違和感
・胸部症状
なども確認しながら治療を組み立てます。
■ 逆流性食道炎による咳
一方、逆流性食道炎(胃食道逆流症)による咳では、呼吸器を中心とした治療だけでは十分な効果が得られないことがあります。
この場合、私は「降濁作用の低下」ととらえて治療します。
本来、下方へ降りるべきものが十分に降りず、上逆することで、咳などの症状が現れていると考えます。
治療では、
・内関
・公孫
を中心に用います。
内関と公孫は、胸部から心窩部にかけての症状に応用しやすい組み合わせです。
食後や臥位で咳が悪化する場合、胸やけや呑酸などを伴う場合には、呼吸器だけでなく逆流性食道炎の可能性も考える必要があります。
■ 症状ではなく「原因」を治療する
「咳」という一つの症状でも、その背景にある原因は同じではありません。
呼吸器症状による咳であれば、
尺沢・照海などを中心に治療する。
逆流性食道炎による咳であれば、
降濁作用の低下ととらえ、内関・公孫などを中心に治療する。
このように、同じ症状であっても原因によって治療法は変わります。
鍼灸臨床では、
「この症状には、このツボ」
という単純な対応だけでは、治りにくい症例があります。
大切なのは、
「この症状は、どこから来ているのか?」
を考えることです。
症状の原因を見極め、それに合わせて治療を組み立てる。
これが、治療効果を高めるための重要なポイントだと思います。
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臨床では「めまい」を訴える患者さんに遭遇する機会は少なくありません。
しかし、「めまい」という症状だけを見て治療を行ってしまうと、思うような治療効果が得られないことがあります。
その理由は、めまいにはさまざまな原因があり、原因によって治療法が異なるからです。
まず重要なのは、「この患者さんのめまいは何が原因なのか」を見極めることです。
代表的な原因としては、
・内耳疾患によるめまい
・自律神経(神経調節性)によるめまい
・頚部筋の緊張によるめまい
・心因性によるめまい
などが挙げられます。
もちろん、これらが単独で存在するとは限らず、複数の要因が重なっている症例も少なくありません。
東洋医学的に診ると、めまいの患者さんでは痰飲を認めることが非常に多くあります。
水分代謝が低下して余分な水分が停滞すると、頭重感や浮動感、ふらつきなどの症状が現れやすくなります。
そのため、痰飲に対する治療は、めまい治療の基本となることが多くあります。
また、臨床では頚部、特に頸板状筋の筋緊張が著しく亢進している患者さんを数多く経験します。
頸板状筋の過緊張は頚部の血流や固有感覚入力に影響を与え、めまいを誘発あるいは増悪させる要因になることがあります。
そのため、この筋緊張を改善することも重要な治療ポイントになります。
一方、自律神経(神経調節性)が関与していると考えられるめまいでは、私は洞刺を用いています。
自律神経機能を調整することで、めまいだけでなく、ふらつきや頭重感、全身の不調が改善する症例も少なくありません。
このように
・痰飲の治療
・頚部、特に頸板状筋の筋緊張の改善
・自律神経(神経調節性)のめまいに対する洞刺
を病態に応じて組み合わせながら治療を行っています。
めまいでは、「何が原因でめまいが起きているのか」を考えながら治療を組み立てることが重要です。
原因を見極め、病態に応じた治療を行うことで、治療効果は大きく変わってきます。
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今回のテーマは「紛らわしい症状(1)めまい」です。
めまいは様々な原因で起こります。 内耳・自律神経・頸部の筋緊張・心因性など。 これらの原因にアプローチすることで症状の改善が期待できます。
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こんにちは。
五枢会の武藤由香子です。
鍼灸治療では、患者さんが訴える症状だけに目を向けるのではなく、その症状がどの病証から生じているのかを考えることが非常に重要です。
もちろん、症状に対する局所治療は必要です。
しかし、症状だけを追いかける治療では、一時的に改善しても、なかなか快方へ向かわない患者さんを経験することがあります。
その理由は、症状を引き起こしている根本の病証が改善していないためです。
例えば、肩こりや姿勢性腰痛の患者さんでは、根底に脾虚証が存在していることが少なくありません。
肩や腰の筋肉だけを治療すると、その場では筋緊張が緩和し症状が軽減します。
しかし、筋肉を支える力そのものが低下した脾虚証が改善していなければ、再び肩こりや腰痛を繰り返してしまいます。
そこで、局所治療に加えて脾虚証の治療を行うことで、症状の改善だけでなく、身体全体が快方へ向かいやすくなります。
では反対に、脾虚証だけを治療すれば良いのでしょうか。
確かに、体質は徐々に改善していきます。
しかし、患者さんが最も困っている肩こりや腰痛が十分に改善しなければ、「この治療は効かない」と感じてしまい、途中で治療を中止してしまう可能性があります。
つまり、
・症状に対する治療
・症状の原因となっている病証の治療
この両方を行うことが、患者さんの満足度を高め、より良い治療結果につながります。
そのためには、「この症状はどの病証と関連しているのか」を正確に判断する力が必要です。
その判定は、一つの所見だけではなく、
・脈診
・舌診
・腹診
・その他の症状
これらを総合的に評価して行います。
症状だけを見る治療から一歩進み、「症状と病証を関連付けて考える」ことができるようになると、臨床力は大きく向上します。
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こんにちは。
五枢会の武藤です。
超高齢社会となった現在、健康寿命を延ばすことは医療・介護の大きな課題となっています。
その中で近年特に注目されているのが「フレイル」です。
フレイルは適切な介入によって改善が期待できる状態であり、鍼灸治療が大いに力を発揮できる分野でもあります。
今回はフレイルの概念と鍼灸治療のポイントについて解説します。
【フレイルとは】
フレイル(Frailty)とは、「加齢に伴い心身の活力が低下し、健康な状態と要介護状態の中間にある状態」を指します。
健康な高齢者が年齢を重ねるにつれて筋力や体力、認知機能、社会活動性などが低下し、徐々にフレイルの状態になります。
代表的な評価項目として以下の5つがあります。
・体重減少
・疲れやすい
・筋力低下
・歩行速度の低下
・身体活動量の低下
これらの項目が増えるほど要介護状態へ移行するリスクが高くなります。
【フレイルは改善可能な状態】
フレイルの重要な特徴は「可逆性がある」ということです。
要介護状態になってからでは改善が難しくなることが少なくありませんが、フレイルの段階で適切な介入を行うことで健康な状態へ戻る可能性があります。
そのため早期発見・早期治療が極めて重要です。
高齢者の患者さんで、
・最近疲れやすくなった
・歩く速度が遅くなった
・外出が減った
・筋力が落ちた
・食欲が低下した
などの訴えがある場合は、フレイルを疑う必要があります。
【東洋医学から見たフレイル】
東洋医学的にフレイルの患者さんを診ると、脾虚証と腎虚証が合併していることが非常に多く見られます。
脾は後天の本と呼ばれ、食物から気血を生成する働きを担います。
脾虚になると、
・筋力低下
・易疲労
・食欲不振
・活動量低下
などが出現します。
一方、腎は先天の本であり、生命力や成長・老化を司ります。
腎虚になると、
・足腰の衰え
・歩行能力低下
・骨粗鬆症
・認知機能低下
・聴力低下
などの症状が現れます。
フレイルでは加齢による腎虚を基盤として、さらに脾虚が加わることで全身の活力が低下しているケースが多く見られます。
【鍼灸治療のポイント】
フレイルの患者さんでは局所症状だけでなく、全身状態の改善を目標に治療を組み立てることが重要です。
まずは脾虚・腎虚の改善を基本とします。
脾虚に対しては中脘、地機。脾兪などを活用し、消化吸収機能や気血の産生を高めます。
腎虚に対しては関元、腎兪、湧泉などを用いて生命力や回復力を高めていきます。
さらに変形性股関節症・変形性膝関節症・外反母趾など下肢に疾患がある場合はそれらの治療を行うことで歩行状態の改善が期待できます。
【まとめ】
フレイルは健康な状態と要介護状態の中間に位置する重要な病態です。
しかし、フレイルの段階で適切な介入を行えば改善する可能性があります。
東洋医学的には脾虚証と腎虚証の合併が多く見られ、脾腎を補う治療が重要となります。
今後ますます高齢化が進む中で、フレイルへの対応は鍼灸師に求められる重要な役割の一つになるでしょう。
ぜひ日々の臨床でフレイルの視点を取り入れてみてください。
五枢会
武藤由香子
今回は超高齢社会で患者数が増加している「認知症」についてお伝えします。
認知症は高齢化に伴い急増している疾患の一つです。
厚生労働省の推計では、高齢者の約5人に1人が認知症になる可能性があるとされています。
鍼灸院においても、認知症や軽度認知障害(MCI)の患者さんを診る機会は今後ますます増えていくでしょう。
【認知症とは】
認知症とは、一度正常に発達した認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたした状態をいいます。
主な症状としては、
・物忘れが増える
・同じことを何度も聞く
・日時や場所が分からなくなる
・判断力が低下する
・段取りが悪くなる
・感情のコントロールが難しくなる
などがあります。
認知症の原因としては、
・アルツハイマー型認知症
・脳血管性認知症
・レビー小体型認知症
・前頭側頭型認知症
などが知られています。
特にアルツハイマー型認知症は全体の約半数以上を占めるといわれています。
【軽度認知障害(MCI)とは】
軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)は、健常な状態と認知症の中間段階と考えられています。
物忘れなどの認知機能低下は認められるものの、日常生活には大きな支障がない状態です。
具体的には、
・人の名前が出にくい
・約束を忘れることが増える
・仕事の段取りに時間がかかる
・同じ質問を繰り返す
・買い物で買い忘れや買い間違いが増える
などが見られます。
MCIの段階で適切な介入を行うことで、認知症への進行を遅らせたり、改善したりできる可能性があります。
そのため、鍼灸師が関わる意義は非常に大きいと考えています。
【MCIと認知症では治療の難易度が異なる】
現在、私は軽度認知障害の患者さんに対して鍼灸治療を行っています。
臨床経験上、MCIの患者さんは、
「仕事を続けたい」
「認知症になりたくない」
「家族に迷惑をかけたくない」
という思いが強く、治療へのモチベーションが高い傾向があります。
そのため生活習慣の改善やセルフケアにも積極的に取り組まれ、治療効果が得られやすい印象があります。
一方、認知症が進行すると病識が低下することも多く、治療への意欲が乏しくなる傾向があります。
また、生活指導やセルフケアの継続も難しくなるため、治療効果が得られにくくなります。
このことからも、早期発見・早期介入の重要性が分かります。
【認知症に対する鍼灸治療】
認知症やMCIに対する鍼灸治療では、
・脳血流の改善
・神経伝達物質の分泌促進
・睡眠の質の改善
などを目的に治療を行います。
特にアルツハイマー型認知症では、記憶に関与する神経伝達物質であるアセチルコリンの低下が知られています。
鍼刺激は脳血流を改善し、アセチルコリンをはじめとする神経伝達物質の分泌を促進することが報告されています。
臨床では心経・心包経・腎経を中心に治療を行います。
東洋医学的には、
心は「神明」を司る
とされ、精神活動や認知機能と深く関係しています。
また、腎は「脳髄を養う」と考えられており、高齢者の認知機能低下では腎虚を伴うことが少なくありません。
さらに椎骨動脈へのアプローチを行い、海馬を含めた脳循環の改善も図っていきます。
【仕事を継続できるようになった症例】
現在治療中の軽度認知障害の患者さんの中には、
「仕事を続けられるか不安だった」
という方がいらっしゃいました。
認知機能の低下により業務遂行能力が落ち、このままでは退職も考えなければならない状況でした。
しかし鍼灸治療を継続することで認知機能が改善し、現在も仕事を継続できています。
軽度認知障害の段階で介入し、社会参加や就労を維持できるよう支援することは、本人だけでなく家族や社会全体にとっても非常に価値の高いことだと思います。
今後、超高齢社会の進展とともに認知症やMCIの患者さんはさらに増加していきます。
鍼灸師が早期から関わり、認知機能の維持・改善に貢献できる可能性は大きいのではないでしょうか。
【PS】
脳神経鍼灸では、頭痛・めまい・自律神経失調症だけでなく、認知症や軽度認知障害に対する治療法についても学ぶことができます。
超高齢社会で求められる鍼灸師を目指したい方は、ぜひご参加ください。
詳しくは以下のページをご覧下さい。
https://muto-shinkyu.biz/lp/202606cnacu/
超高齢社会となった現在、パーキンソン病の患者さんが以前より増えています。
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり、65歳以上では約1%前後の方が罹患するとされています。
高齢化に伴い患者数は増加しており、今後鍼灸師が対応する機会の多い疾患の一つになる可能性もあると考えられます。
今回は、私がパーキンソン病の患者さんを治療する際に重視しているポイントについてお伝えします。
【パーキンソン病とは】
パーキンソン病は脳の中脳にある黒質のドーパミン神経細胞が減少することで発症する疾患です。
原因は完全には解明されていませんが、加齢、遺伝的要因、環境要因などが関与していると考えられています。
代表的な症状としては、
・振戦(手足のふるえ)
・筋固縮(筋強剛)
・動作緩慢
・姿勢反射障害
・歩行障害
・疲労感
・便秘
・睡眠障害
などがあります。
この中でも特に患者さんの日常生活に大きな影響を与えるのが、筋固縮(筋強剛)による身体の動きの悪さです。
【筋固縮に対する治療が重要】
パーキンソン病では全身の筋緊張が強くなっています。
その結果、
・歩幅が小さくなる
・寝返りがしにくくなる
・立ち上がりが困難になる
・手の細かな動作がしにくくなる
などの症状が出現します。
一般的な鍼灸治療では、筋緊張の改善に対して遠隔取穴または局所取穴のどちらかで十分な効果が得られることが少なくありません。
しかしパーキンソン病の場合はそれだけでは不十分なことが多くあります。
私の経験では、遠隔取穴による調整と、局所取穴による筋緊張の緩和の両方を行うことで初めて十分な改善が得られるケースが多く見られます。
遠隔と局所を組み合わせることで筋固縮が緩和し、関節の可動域が改善します。
その結果として、
・振戦の軽減
・歩行状態の改善
・寝返り動作の改善
・手の動作の改善
などにつながります。
【腎虚証の治療も重要】
私はパーキンソン病の患者さんの根底には腎虚証が存在していると考えています。
東洋医学でいう腎は生命力や成長、老化と深く関係しています。
加齢によって腎の機能が低下すると、
・疲れやすい
・筋力が低下する
・足腰が弱る
・動作が鈍くなる
といった症状が現れます。
これはパーキンソン病患者さんに見られる症状と非常に共通点が多いと感じています。
そのため筋固縮や振戦といった局所症状だけを追いかけるのではなく、腎虚証に対する治療を並行して行うことが重要です。
腎虚証を改善することで、
・動作緩慢の改善
・疲労感の軽減
・歩行能力の向上
・生活の質(QOL)の向上
が期待できます。
【まとめ】
パーキンソン病の治療では、
①筋固縮(筋強剛)を改善すること
②遠隔取穴と局所取穴を組み合わせること
③腎虚証を改善すること
の3つが重要になります。
超高齢社会においてパーキンソン病患者さんは今後さらに増加すると予想されます。
鍼灸師が筋緊張の改善と全身状態の改善の両面からアプローチできるようになることで、患者さんの生活の質を大きく向上させることができるでしょう。
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超高齢社会の進行に伴い、脊柱管狭窄症の患者さんを診る機会は年々増加しています。
脊柱管狭窄症は腰部脊柱管の狭小化により神経根や馬尾神経が圧迫され、腰痛、下肢痛、下肢しびれ、間欠性跛行などを生じる疾患です。
原因としては変形性脊椎症、腰椎すべり症、椎間板ヘルニア、黄色靱帯肥厚、椎間関節肥大などの退行性変化が多く見られます。
しかし中には先天的に脊柱管が狭いタイプの脊柱管狭窄症も存在します。
近年ではMRIやCTによる診断が一般的ですが、画像所見と症状が一致しないケースも少なくありません。
MRI上で高度狭窄を認めても症状が軽度な場合もあれば、軽度狭窄でも強い疼痛やしびれを訴える症例もあります。
そのため鍼灸師としては画像所見だけでなく、機能障害を評価することが重要になります。
私が脊柱管狭窄症の患者さんを診る際に重視しているのは脊柱アライメントの異常です。
また脊柱管狭窄症では脊柱起立筋、多裂筋、腰方形筋、大腰筋、殿筋群などの筋緊張異常を伴うことが多く、これらへのアプローチも行っていきます。
鍼灸治療では
さらに脊柱管狭窄症では運動療法の併用が極めて重要です。
鍼灸治療のみで症状を改善させても、日常生活で同じ負荷が繰り返されれば再発する可能性があります。
東洋医学的には脊柱管狭窄症は単純な疼痛疾患として捉えるべきではありません。
高齢者では複数の病証が重複していることが多く、
脾虚証
腎虚証
瘀血証
痰飲
の複合病証として存在することが少なくありません。
脾虚証では筋肉の支持力低下が生じます。
姿勢保持能力が低下し、脊柱の安定性が失われるため、腰部への負担が増加します。
腎虚証が進行すると督脈の病証となり、脊柱に異常をきたします。
瘀血証では局所循環障害が生じ、神経周囲の血流低下による疼痛やしびれが持続します。
痰飲では組織間液の停滞による重だるさや感覚異常が出現します。
実際の臨床では脾虚証・腎虚証を改善しながら、瘀血や痰飲を処理していくことで治療効果が高まるケースを数多く経験します。
脊柱管狭窄症の治療で重要なのは、
「神経圧迫だけを見るのではなく、なぜその神経圧迫が生じたのかを考えること」
です。
脊柱アライメントの異常・筋力低下などを総合的に評価し治療することで、画像所見では説明できない改善が得られることも少なくありません。
超高齢社会では脊柱管狭窄症はますます増加すると考えられます。
局所治療だけでなくアライメントと病証の改善・運動療法を取り入れることで効果的な保存療法が出来ると考えています。
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今回のテーマは脊柱管狭窄症の治療のポイントです。
脊柱管狭窄症における鍼灸治療ではどういう点にからアプローチするのかについてお伝えします。
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今回は「治りにくい患者さんの対処法(4)」として、私が「超虚証」と呼んでいる状態についてお伝えします。
超虚証とは、重症の虚証のことです。
これは東洋医学の正式な病名ではなく、私が臨床上使っている用語ですが、非常に治療が難しい状態です。
例えば、
・少し外出しただけでぐったりしてしまう
・入浴するだけで疲れ切ってしまう
・鍼灸治療を少し強めに行っただけでも悪化する
・日常生活を送るだけで精一杯
このような患者さんです。
超虚証の方は、最低限の生活を維持するだけでエネルギーを使い切っている状態です。
つまり、「予備力」が極端に不足しています。
この予備力とは、
・身体を回復させる力
・活動する力
・刺激に耐える力
・病気を改善する力
などを含めた“余力”のことです。
通常の患者さんであれば、鍼灸刺激によって身体が反応し、改善へ向かっていきます。
しかし超虚証の場合、刺激に反応するための力そのものが不足しています。
そのため、一般的な刺激量では逆に疲弊してしまうことがあります。
臨床的には、
・脾虚証
・腎虚証
が合併していることが非常に多く、更に瘀血証や痰飲などが重なっている場合もあります。
脾虚証では胃腸機能が低下し、エネルギー不足になっています。
腎虚証では生命力そのものが低下し、神経伝達物質やホルモンの分泌が低下しています。
したがって、超虚証の患者さんを改善させるためには、まず「予備力を高める」ことが重要になります。
その方法として非常に効果的なのが、自宅施灸です。
お灸は軽刺激で継続的に補うことができるため、超虚証の患者さんと相性が良いです。
特に、
・地機、・関元・湧泉
などを用いた施灸は有効です。
軽度の虚証であれば、自宅施灸だけでも改善する場合があります。
しかし超虚証レベルになると、自宅施灸のみでは改善が難しいことも少なくありません。
その場合は、
・漢方薬
・栄養管理
・生活指導
などを組み合わせ、総合的に予備力を高める必要があります。
超虚証の患者さんでは、「治療をする」というよりも、まず「治療に耐えられる身体を作る」という視点が非常に重要です。
刺激量を増やせば治るわけではありません。
むしろ、“どれだけ消耗させないか”が重要になります。
超虚証の患者さんを改善できるようになると、重症患者さんへの対応力が大きく向上します。
ぜひ臨床の参考にしてみて下さい。
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毎週木曜日朝、配信をしています。
5月28日(木)AM7:00より
YouTubeライブ配信を行います。
今回のテーマは
**「治りにくい患者さんの対処法(4)」**です。
重症の虚証は治りにくい患者さんの1つです。
今までの治りにくい患者さんと違う点は鍼灸のみで対応が難しいところです。
具体的な対策についてお伝えします。
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五枢会
代表 武藤由香子
今回は「治りにくい患者さんの対処法(3)」として、“過敏な患者さん”についてお伝えします。
鍼灸臨床では、刺激に対して非常に敏感な患者さんがいます。
通常の刺激でも、
・痛みを強く感じる
・だるさが強く出る
・刺激後に疲労感が出る
このようなケースでは、刺激量の設定が非常に重要になります。
過敏な患者さんの場合、基本は軽刺激で対応します。
しかし、ここで難しい問題があります。
軽刺激で症状が軽減すれば良いのですが、軽刺激だけでは変化が出にくい場合があります。
すると患者さんから、
「効果がなかった」
と判断されてしまうことがあります。
特に、症状が強い患者さんほど“変化”を求めて来院されるため、刺激を弱くし過ぎると、今度は治療効果を実感してもらえなくなることがあります。
そこで私がよく行っているのが、“刺激を受け入れやすくする前処理”です。
お勧めの方法は、あらかじめ百会に刺鍼しておく方法です。
百会は交感神経優位の状態を改善させたり、鎮痛効果をもたらします。
このように「どこに刺すか」だけでなく、
“どう刺激を受け入れやすくするか”
も非常に重要です。
また一般的に、体格が良い患者さんは刺激量が少ないと効果が出にくい傾向があります。
つまり、本来は刺激量を増やした方が良いタイプなのに、刺激に過敏である場合、治療はさらに難しくなります。
刺激を強くすると過敏反応が出やすく、逆に刺激を弱くすると効果が出にくいからです。
そのため、
・過敏なのか
・刺激不足なのか
・どの程度の刺激量が最適なのか
これを見極めることが重要になります。
刺激量の調整ができるようになると、治療効果・再現性は大きく向上します。
────────────────────
【5/31(日)脳神経鍼灸ワンデイセミナー開催】
日時:2026年5月31日(日)9:00~12:00
会場:東京都目黒区自由が丘
<内容>
・脳神経鍼灸のコンセプトとメリット
・脳神経鍼灸の鍼灸治療
・頭痛
・めまい
・起立性調節障害
*即効性・直後効果が得られる治療をお伝えします。
詳細は以下のページをご覧下さい。
https://muto-shinkyu.biz/lp/202605oneday/
皆様のご参加をお待ちしております。
こんにちは。
五枢会の武藤由香子です。
今回は
「治りにくい患者さんの対処法(2)」
についてお伝えします。
前回は複合病証についてお話しましたが、今回は「寒熱夾雑(かんねつきょうざつ)」についてです。
寒熱夾雑とは、
「冷え」と「熱」が同時に存在している状態です。
このタイプの患者さんは非常に治療が難しく、臨床でも悩まされることが多いです。
例えば、
・手足は冷える
・お腹も冷えている
・しかし顔はのぼせる
・炎症や熱感がある
・イライラや不眠がある
このような状態です。
更年期障害や関節リウマチなどの自己免疫疾患では、寒熱夾雑がよく見られます。
冷えが強い場合は施灸を中心に行うことが多いですが、ここで注意が必要です。
施灸部位が多過ぎたり、
熱量が強過ぎたりすると、
今度は熱症状が悪化してしまいます。
・のぼせ
・ほてり
・炎症
・イライラ
・不眠
などが強くなることがあります。
逆に、熱症状を取ろうとして清熱の治療ばかり行うと、今度は冷えが改善しにくくなります。
つまり、
「冷えを取れば熱が悪化する」
「熱を取れば冷えが悪化する」
という難しい状態になっているわけです。
このような寒熱夾雑の患者さんでは、
鍼と灸のバランスを考慮することが非常に重要です。
特に注意して頂きたいのが、
「灸のやり過ぎ」です。
冷えている患者さんを見ると、つい灸を増やしたくなります。
しかし、寒熱夾雑の患者さんでは、灸の刺激量が多過ぎることで状態を悪化させてしまう場合があります。
私はこのようなケースでは、
・熱を上げ過ぎない範囲で施灸する
・上熱下寒を改善する
・上衝を改善する
などを組み合わせながら治療しています。
これらの方法は脳神経系の疾患でも応用可能です。
特に頭痛では寒熱の調整が重要です。
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【脳神経鍼灸ワンデイセミナーのお知らせ】
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5/31(日)に
「脳神経鍼灸ワンデイセミナー」
を開催します。
日時
2026年5月31日(日)
9:00〜12:00
会場
東京都目黒区自由が丘
【内容】
・脳神経鍼灸のコンセプトとメリット
・脳神経鍼灸の鍼灸治療
・頭痛
・めまい
・起立性調節障害
*即効性・直後効果が得られる治療をお伝えします。
詳細は以下のページをご覧下さい。
https://muto-shinkyu.biz/lp/202605oneday/
皆様のご参加をお待ちしております。
五枢会
武藤由香子