こんにちは。
日々の臨床で、患者さんからこのようなご相談を受けることはありませんか?
「健診で血圧が高めと言われて、薬を飲まないといけないか不安で…」
「昔は『年齢+90』が基準だと聞いたことがあるけれど、今の基準は厳しすぎるのでは?」
患者さんにとって「血圧の数字」は常に気になる健康指標の一つです。しかし、高血圧の基準値が時代とともにどのように変化してきたのか、その背景まで理解されている患者さんは多くありません。

今回は、1960年以降の高血圧基準の歴史的変遷を振り返りながら、基準厳格化の背景と、私たち鍼灸師が臨床でどのような効果的なアプローチ(頸動脈洞刺鍼など)を行えるのかについて整理してお伝えします。
 
■ 1960年以降の高血圧基準の変遷
日本の高血圧の診断基準は、社会構造や医療データの蓄積に伴い、以下のように厳格化されてきました。 
1)1960年代〜1980年代:最高血圧「160 mmHg」時代
1960年のWHO(世界保健機関)基準や、かつての日本における一般的な目安では、収縮期血圧(最高血圧)160 mmHg以上、拡張期血圧(最低血圧)95 mmHg以上が高血圧とされていました。また当時は「年齢+90(例:60歳なら150 mmHg)」という俗説も広く知られていました。

2)2000年(JSH2000):成人基準が「140/90 mmHg」へ
日本高血圧学会が「高血圧治療ガイドライン2000(JSH2000)」を発表し、成人の高血圧基準を明確に「140/90 mmHg以上」と定めました。大規模な疫学調査により、血圧が140/90 mmHgを超えると脳卒中や心筋梗塞のリスクが有意に高まることが明確になったためです。

3)2019年〜現在(JSH2019):診察室血圧「130/80 mmHg」を目指す到達目標へ
近年のガイドライン(JSH2019)では、診察室血圧で「140/90 mmHg以上」を高血圧と診断しつつも、降圧目標値は「130/80 mmHg未満(75歳未満の成人)」へとさらに引き下げられました。早期予防の重要性がますます強調されています。

■ なぜ基準は厳格化されたのか?
基準が厳しくなった最大の理由は、脳血管障害や心疾患などの重大なリスク予防です。血圧がわずかに高い段階から適切な介入を行うことで、将来的な重症疾患を大幅に減らせることが明確になったためです。

■ 高血圧に対して鍼灸師ができること
基準の厳格化に伴い、「薬を飲むべきか」「生活習慣で下げるべきか」と悩む患者さんが増えています。ここで私たち鍼灸師が果たせる役割は非常に大きいです。

1)効果的な治療法としての「頸動脈洞刺鍼」 高血圧に対する代表的かつ効果的なアプローチの一つが「頸動脈洞刺鍼」です。 頸動脈洞に存在する受容器(血圧受容器)へ適正な刺鍼刺激を与えることで、反射性に迷走神経(副交感神経)を亢進させ、交感神経の過剰な興奮を抑制します。これにより、血管抵抗の軽減や心拍数の安定を促し、血圧の低下・安定を図ることができます。 (※安全な取穴と慎重な手技、適応の鑑別が前提となります) ]

2)自律神経系へのアプローチと東洋医学的調整 ストレスや過緊張、不眠による交感神経の優位は、末梢血管を収縮させて血圧を上昇させます。全身の自律神経のバランスを整えるとともに、東洋医学的に「肝陽上亢」や「陰虚火旺」といった病証を見極めて配穴を行うことで、血圧のみならず頭痛・のぼせ・肩こりといった不快症状も同時に改善していきます。 


3)生活習慣指導と医療機関との連携 減塩や適度な運動指導、家庭血圧の測定習慣をサポートします。また、急激な血圧上昇が見られる場合や鍼灸の適応外と判断される場合は、適切なタイミングで専門医の受診を勧める判断力も「信頼される鍼灸師」として欠かせません。 

───────────────────────
■ 鍼灸臨床チャンネルのご案内
────────────────────────
YouTubeでは、
臨床の現場で役立つ情報を日々発信しています。
ぜひチャンネル登録をして、
最新情報をお見逃しなく。
鍼灸臨床チャンネル
▼ チャンネル登録はこちら
https://www.youtube.com/@五枢会鍼灸
────────────────────────

五枢会 武藤由香子

日々の臨床で、「肩こり」を主訴に来院される患者さんは非常に多いですよね。 しかし、問診を深掘りしていくと……
「実は肩こりだけじゃなくて、頭も重くて痛むんです」 「ひどくなると頭痛がして仕事に集中できないんです」
このようなお悩みを同時に打ち明けられた経験はありませんか?
実は、鍼灸院を訪れる肩こり患者さんの多くは、単なる肩の張りだけでなく「高い頻度で頭痛を併発」しています。
患者さんが本当に解決したいのは、肩の重さそのものだけでなく、それに伴って起こる「頭痛」や「日常の不快感」であるケースが非常に多いのです。
今回は、臨床で遭遇する機会の多い「緊張型頭痛」に対するアプローチの考え方をお伝えします。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
■ 緊張型頭痛への基本戦略:筋緊張が強い部位への刺鍼
 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
肩こりを伴う頭痛の多くは「緊張型頭痛」に分類されます。 精神的・身体的ストレスや姿勢不良によって、首から肩、背中にかけての筋肉が持続的に収縮し、血流障害が起こることで発症します。
この緊張型頭痛に対して、臨床で確実に変化を出すためのポイントは「筋緊張の強い部位(トリガーポイント・反応点)を見極め、適切に刺鍼すること」です。
具体的には、以下のような部位の評価とアプローチが重要になります。

1.頸後部・後頭下筋群へのアプローチ 後頭下筋群や頭半棘筋の緊張は、大後頭神経や小後頭神経を刺激し、後頭部から頭頂部への締め付け感・痛みを引き起こします。

2.僧帽筋上部・肩甲骨周囲の調整 肩の張りを強く訴える患者さんでは、僧帽筋上部腱画付近や肩井穴付近に強い圧痛や硬結が見られます。ここへの適切な刺鍼により、局所の血流障害を改善させます。

3.側頭筋・咬筋への波及 噛みしめや食いしばりがある患者さんでは、側頭筋への刺鍼も頭痛の緩和に欠かせません。
単に肩全体を優しくほぐすだけではなく、「どの筋肉の緊張が頭痛の原因(引き金)になっているのか」を正確に見極め、狙いを定めた刺鍼を行うことで、治療直後から「頭が軽くなった」「視界が明るくなった」という高い効果を実感していただけます。
「肩こり」として来院された患者さんの背景にある「頭痛」を的確に改善できるようになると、患者さんからの信頼度は一気に跳ね上がります。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ■ 【11/8(日)開催】頭痛の鍼灸治療セミナーのご案内 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「頭痛患者さんへの取穴や刺鍼の深さに迷いがある」 「緊張型頭痛だけでなく、偏頭痛やその他の頭痛へのアプローチも学びたい」 「治療直後にしっかりとした変化を出して、信頼される施術者になりたい」
そうお考えの先生に向けて、頭痛の鍼灸治療に特化した実践セミナーを開催いたします!
本セミナーでは、頭痛の鑑別から、直後効果を出すための具体的な取穴・刺鍼テクニックまでを体系的にお伝えします。

【セミナー詳細】
 ■ セミナー名:頭痛の鍼灸治療セミナー 
■ 開催日時:2026年11月8日(日) AM 9:00〜(※開催時間にご注意ください)
 ■ 会場:東京都目黒区自由が丘(自由が丘ムトウ針灸院)
 ■ 内容: 
・頭痛の分類と鍼灸適応の鑑別 
・緊張型頭痛・頭痛疾患に対する評価法 
・筋緊張部位への的確な刺鍼テクニックと実技指導
・片頭痛に対する遠隔取穴の方法と実技指導
頭痛治療を得意分野にし、臨床の幅を大きく広げたい先生のご参加をお待ちしております。
▼ 詳細・お申し込みはこちらから
 https://5su.muto-shinkyu.com/category/2097416.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 
■ 編集後記 
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「頭痛の患者さんを集客するのは難しそう…」と感じている先生もいらっしゃるかもしれません。
ですが、実は「頭痛患者」として集客を行わなくても全く問題ありません。
なぜなら、今回お伝えしたように、当院に来院される「肩こり」の患者さんの多くが頭痛を抱えているからです。
肩こりの問診や評価を丁寧に行い、背景にある頭痛にも的確にアプローチできれば、肩こり患者さんへのアドバイスや治療を通じて十分に頭痛を改善することができます。
特別な頭痛集客をしなくても、目の前の肩こり患者さんをしっかり診ることが頭痛治療への第一歩になります。
今週も素晴らしい臨床ができますように!

五枢会代表 
武藤由香子
□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

こんにちは。
日々の臨床で、高齢の患者さんやご家族から「最近物忘れが増えて不安」「このまま介護が必要な状態になったらどうしよう」といったご相談を受ける機会が増えていませんか?
超高齢社会を迎えた現在、要支援・要介護状態になる患者さんは増加の一途をたどっています。 
患者さんが最期まで自分らしく元気に過ごすためには、「介護状態になってから対応する」のではなく、「要介護になる前段階でいかに防ぐか」という予防の視点が極めて重要です。

 厚生労働省の調査などによると、要介護状態となる主な原因の割合(パーセンテージ)は以下のようになっています。
・認知症:約18%〜20%(要介護になる原因の第1位)
 ・脳卒中(脳血管疾患):約16% 
・高齢による衰弱(フレイル):約13% 
・骨折・転倒:約12%
 ・関節疾患:約11%

このデータが示す通り、介護状態に陥る最大の原因は「認知症」です。
認知症は一度進行してしまうと、病識の低下やセルフケア継続の難しさから、改善や維持の難易度が大きく上がってしまいます。
 しかし、健常な状態と認知症の中間段階である「MCI(軽度認知障害)」の段階であれば話は別です。
MCIの段階では、患者さんご本人の「認知症になりたくない」「仕事を続けたい」という意識が高く、生活習慣の改善や鍼灸治療にも積極的に取り組んでいただけます。 
このMCIの段階で適切なアプローチを行うことで、認知症への進行を防ぎ、健常な状態へ回復・維持できる可能性が十分にあります。

東洋医学的にも、認知機能に関わる「心(神明を司る)」や、脳髄を養う「腎」のバランスを整え、頭部(椎骨動脈など)へのアプローチで脳血流を改善することで、認知機能の維持・向上が期待できます。
また、臨床現場で見落としがちなのが「薬剤誘発性認知障害」です。睡眠薬・抗不安薬・抗うつ薬などの長期服用や多剤併用が、認知機能の低下を引き起こすケースがあります。
 こうした薬剤を使わなくて済むように、根本原因となる不眠症やうつ病への鍼灸治療が重要です。
これからの時代、単に痛みを抑えるだけでなく、認知症・MCIをはじめとする予防医療や認知機能の維持・向上にまで踏み込める鍼灸師が必要とされていくでしょう。

五枢会代表 武藤由香子

超高齢社会が加速する中、日々の臨床で「最近物忘れがひどくなった」「家族の認知機能低下が心配」といったご相談を受ける機会が増えているのではないでしょうか。 
認知症と一口に言っても、その背景にある原因や病態は様々です。 病態に応じた適切なアプローチを行うためには、まず「どのタイプの認知症なのか」を正しく整理することが欠かせません。 
今回は、主要な認知症の種類別の原因と、臨床で見落とされがちな「薬の副作用による認知機能障害(薬剤誘発性認知障害)」について詳しく解説します。 

1. 認知症の種類とそれぞれの原因
認知症の約85%以上は、以下の「4大認知症」が占めています。 
① アルツハイマー型認知症(最多) 【原因】アミロイドβやタウタンパクと呼ばれる異常なタンパク質が脳内に蓄積し、神経細胞が徐々に破壊・脱落することで脳が萎縮します。記憶を司る「海馬」から萎縮が始まるため、初期症状として記憶障害(物忘れ)が目立ちます。 

② 脳血管性認知症 【原因】脳梗塞や脳出血、微小な脳血管障害により、脳の神経組織へ酸素や栄養が行き渡らなくなることで発症します。高血圧や糖尿病などの生活習慣病が主な背景となり、できること・できないことがはっきり分かれる「斑(まだら)認知症」や、感情のコントロールが難しくなるのが特徴です。 

③ レビー小体型認知症 【原因】「αシノクレイン」という特殊なタンパク質が脳内に蓄積(レビー小体)し、神経細胞を障害します。リアルな幻視(実際にはいないものが見える)や、パーキンソニズム(手足の震え、筋固縮、歩行障害)、自律神経症状が伴うのが大きな特徴です。 

④ 前頭側頭型認知症(ピック病など) 【原因】脳の前頭葉や側頭葉が局所的に萎縮することによって生じます。記憶障害よりも、理性や社会性を司る部位が障害されるため、万引きや暴言といった人格変化・脱抑制、同じ行動を繰り返す「常同行動」が初期から現れます。 

2. 見落とし厳禁!「薬の副作用」による認知障害(薬剤誘発性認知障害)
臨床上、特に注意しなければならないのが「薬剤誘発性認知障害(薬剤性認知症)」です。 これは、処方薬の毒性や副作用によって一次的に認知機能の低下やせん妄が生じる状態を指します。 
「急に物忘れが激しくなった」「急にぼんやりすることが増えた」という場合、進行性の認知症ではなく薬の影響である可能性が疑われます。 

【原因となりやすい主な薬剤】 ・ベンゾジアゼピン系睡眠薬・抗不安薬(覚醒度を低下させる) ・抗コリン作用を持つ薬剤(第一世代H1受容体拮抗薬、抗パーキンソン病薬、三環系抗うつ薬など) ・H2受容体拮抗薬、抗てんかん薬など 
特に高齢者では、複数の医療機関から処方された多剤併用(ポリファーマシー)により抗コリン作用などが相乗的に強まり、記憶力低下やせん妄を引き起こしやすくなります。 

薬剤誘発性の認知障害は、原因薬剤の変更や中止によって改善・治癒が見込める「治療可能な認知症」です。 問診時に現在の服用薬を確認し、疑わしい場合は主治医や薬剤師への相談を促す視点を持つことが大切です。 

【編集後記】
患者さんやご家族から「これって認知症でしょうか?」と相談された際、単に「年相応ですよ」で済ませず、薬の影響まで含めて多角的に見立てができる鍼灸師は、医療現場でも深く信頼されます。 
日々の問診や評価の精度を一層高めていきましょう! 

五枢会代表  武藤由香子 
 

臨床の場で、患者さんからこんなご相談を受けたことはありませんか?

「最近、人の名前がすぐに出てこなくて……」
「買い物で同じものを買ってしまうことが増えたんです」

単なる「加齢による物忘れ」として聞き流してしまいがちですが、実はその背景にMCI(軽度認知障害)が潜んでいるケースは少なくありません。

「認知症になってしまったら、鍼灸でできることは限られているのではないか……」と感じておられる先生もいるかもしれません。

しかし、「MCI(軽度認知障害)」の段階であれば、鍼灸治療によって状態を改善・維持できる可能性が十分にあります。

今回は、「鍼灸で認知症(MCI)は改善するのか?」という問いに対して、東洋医学的アプローチの視点から解説いたします。

■ MCI(軽度認知障害)とは?
MCIとは、健康な状態と認知症の中間に位置する状態です。
日常の生活動作は自立しているものの、記憶力や判断力などの認知機能に軽度の低下が見られる段階を指します。

認知症へと進行してしまうリスクがある一方で、このMCIの段階で適切に対応すれば、正常な状態へ回復したり、進行を大きく遅らせたりすることが可能とされています。

■ なぜ鍼灸でMCIが改善するのか?(東洋医学的アプローチ)
東洋医学において、認知機能や精神活動は五臓の「心(しん)」と「腎(じん)」に深く関わっています。

心(しん): 「神明(しんめい)を司る」とされ、思考・記憶・意識・感情などの高次脳機能を統括します。

腎(じん): 「精を蔵し、髄を生じ、脳に通じる」とされ、脳の栄養源である「髄海(ずいかい)」を養います。

加齢やストレス等によって「心火」と「腎水」のバランスが崩れる「心腎不交(しんじんふこう)」の状態に陥ると、脳髄が養われなくなり、神明が乱れて記憶力低下や集中力低下が現れます。

■ 臨床における治療のポイント
MCIへのアプローチでは、単に頭部の局所穴を刺激するだけでなく、「心腎の調和」を目的とした全身調整が不可欠です。

心経・心包経へのアプローチ: 神明を安定させ、脳血流や神経伝達物質の安定を図る。

腎経へのアプローチ: 腎精を補い、髄海を満たすことで脳の機能を底上げする。

椎骨動脈や頸部へのアプローチ: 脳循環・海馬付近の血流障害を改善する。

このように「心」と「腎」の働きを整えることで、頭の冴えや記憶の定着、日中の活動意欲が高まり、MCI症状の改善へとつながっていきます。

五枢会代表 武藤由香子

☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 
日々の臨床で、このような経験に悩んだことはありませんか? 
知識も経験もあるはずなのに効果に差が出てしまう。
そこで見落とされがちなのが「寒熱の判定と調整」です。
臨床において、寒熱の調整は最も大切と言っても過言ではありません。

結論からお伝えすると、基本原理は「冷え(虚血)には灸」「熱(炎症)には鍼」です。
•    冷え(虚血)の状態: 局所の血流障害や機能低下が起きているため、温熱刺激(灸)によって温調・補血を図り、循環を促進させることが最優先となります。
•    熱(炎症)の状態: 局所で炎症反応や過剰な緊張・充血が起きているため、瀉法や鎮痛・消炎を目的とした刺鍼(鍼)によって熱を放散・清熱させる必要があります。
この寒熱の調整が的確にうまくいった場合、患者さんの症状は劇的に改善します。
長年続いていた痛みや不調が、その場で嘘のように軽くなることも珍しくありません。

しかし、問題は「寒熱の調整を誤ったとき」です。 
例えば、熱(炎症)が燃え上がっている部位に安易にお灸を据えてしまったり、著しい冷え(虚血)に対して適切な温熱を加えずに強い刺激の鍼だけを施したりすると、かえって炎症を増悪させたり、予備力を奪って症状を悪化させてしまうことがあります。
自律神経系や難病・重症例の患者さんほど、上半身に熱があり下半身が冷えている「寒熱錯雑」の状態に陥りやすいため、正しい鑑別が治療結果を決定づけます。

「自分の寒熱診断が本当に合っているのか自信がない」 「複雑に入り組んだ寒熱錯雑の状態を、一目で見極める鑑別法を身につけたい」
そう感じている先生のために、当会では寒熱の正確な診断と、直後効果を出すための実践技術を学べるセミナーを開催しております。
────────────── 
【五枢会 実践鍼灸セミナーのご案内】
▼各セミナーの詳細はこちら
https://5su.muto-shinkyu.com/
──────────────
 

日々の臨床で、こんな壁にぶつかることはありませんか?
「舌診・脈診・腹診を丁寧に行ったのに、いまいち診断の確信が持てない…」 「主訴部位をしっかり治療しているのに、なかなか直後効果が出ない…」

四診を駆使して患者さんに向き合うほど、得られる情報が多くなり「どの臓腑・経絡が本当の根本原因なのか」と迷いが生じてしまうのは、決して珍しいことではありません。
実は、四診で判断が割れる時や診断に迷った時にこそ、最も確実で嘘をつかない指標となるのが「背部(頚部・腰仙部を含む)の反応点」です。
四診のなかでも、なぜ背部・頚部・腰仙部の反応点を観察・触察することがこれほど重要なのでしょうか。

理由は大きく分けて3つあります。
① 自律神経系と内臓(五臓六腑)の異常がダイレクトに現れる
背部や頚部、腰仙部には、五臓六腑の反応点である背部輸穴や華佗夾脊穴、自律神経系と密接に関わるポイントが集中的に存在します。 舌診や脈診で確証が持てない時でも、背部を丁寧に触察していくと、特定の高さに「局所的な筋緊張」「凹み(陥下)」「皮膚の冷えや熱感」「圧痛」といった明瞭な異変として身体からのSOSが現れます。

② 脊柱アライメントの乱れと神経ストレスの「原点」がわかる
腰痛や坐骨神経痛などの腰下肢症状、あるいは肩こり・首痛や手足のしびれといった整形外科的疾患はもちろん、自律神経失調症や慢性内科疾患に至るまで、その多くは脊柱アライメントの不整や脊柱起立筋群のアンバランスを背景に持っています。 頚部から腰仙部までを含めた脊柱全体の反応点を捉えることで、「単なる局所の痛み」ではなく「どこで歪みや神経ストレスが生じているか」という病態の全体像が一目で立体的に浮かび上がってきます。

③ 「直後効果」を出すための確実な取穴ポイントが見つかる
診断がブレる原因は、単に知識不足だからではありません。効果的な「反応の出ている生の経穴(異常部位)」を捉えきれていないことにあります。 背部・頚部・腰仙部の反応点を的確に捉え、適切な刺激やアライメント修正を加えることで、その場で関節可動域が広がったり、筋緊張が解けたりと、再現性の高い「直後効果」を生み出すことが可能になります。
舌診・脈診・腹診という伝統的な四診に「背部・頚部・腰仙部の反応点観察」と「的確なアライメント評価」を組み合わせることで、先生の臨床における診断の軸は決してブレなくなります。

五枢会では、知識だけで終わらせず、臨床で即座に結果を出し、再現性の高い「確固たる診断力・治療力」を身につけるためのセミナーを開催しています。
•「診断や取穴にいつも迷いが生じてしまう」
•「主訴部位への施術だけでなく、根本原因にアプローチしたい」
•「直後に変化が出る再現性の高い技術を習得したい」
とお悩みの先生は、ぜひ当会のセミナーでその技術と臨床変化をご体感ください。
────────────── 
【五枢会 実践鍼灸セミナーのご案内】
▼各セミナーの詳細・お申し込みはこちら
 https://5su.muto-shinkyu.com/category/1832204.html 

こんにちは。 自由が丘ムトウ針灸院、院長の武藤由香子です。 
皆様は、「鍼灸院に行くのは、腰や肩が我慢できないほど痛くなってから」 「病気と診断されてから受けるもの」と思っていませんか?

実は、東洋医学において鍼灸が最も得意とし、真価を発揮するのは **「病気になる前の段階」**なのです。 
東洋医学には**「未病治(みびょうち)」**という言葉があります。
「未病」とは、「本格的な病気(検査で明確な異常が出る状態)には 至っていないけれど、体調不良や違和感のサインが出ている状態」を指します。
今回は、なぜ症状が重くなる前、あるいは病名がつく前の「未病」の タイミングで鍼灸を受けることが正解なのかについてお伝えいたします。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 ■ 1. 病院の検査で「異常なし」の段階こそ、改善の絶好チャンス!
「病院で検査をしても『問題ありません、加齢のせいです』と言われたけれど、 つらい症状がある……」 当院にもこのようなお悩みで来院される方がとても多くいらっしゃいます。
現代医学の検査(血液検査や画像診断など)は、細胞や組織そのものが 壊れている「器質的疾患(がん、骨折、重度の潰瘍など)」を発見するのが得意です。
一方で、組織は破壊されていないけれど、働きが低下したり自律神経・血流が 乱れている「機能的失調」は検査に映りにくいのです。
この「機能的失調=未病」の段階は、言い換えれば **「壊れてはいないため、元の健康な状態に最も戻しやすい時期」**です。
この時期を放置すると、やがて本格的な器質的病気へと進行してしまいます。 だからこそ、検査で異常がない段階でのケアが重要なのです。
 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 
■ 2. 鍼灸が「病気前」に効くメカニズム 
鍼灸治療を行うと、以下のような変化が身体に起こります:
 ① **自律神経と血流の調整** 緊張した筋肉を緩め、全身の血流を改善して自律神経のバランスを整えます。
② **自然治癒力・免疫力の向上** 
お灸や鍼刺激によって白血球の働きを高め、体が自ら修復する力を後押しします。
③ **内臓機能(特に脾・胃)の活性化** 東洋医学でいう「脾虚(ひきょ:消化吸収力の低下)」を改善し、 エネルギー(気・血)を生み出す力を補います。
病気が進行してから治療を始めると、回復までに多くの時間と通院回数が 必要になります。
しかし、「なんだか最近疲れやすい」「胃がもたれる」「首コリが取れない」 といった初期のサインでお手入れを始めれば、短期間で効率よく 元の元気を素早く取り戻すことができます。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
 ■ 自宅でできる!未病を防ぐ3つの健康法 
ご自宅でも毎日少しずつ「未病治」に取り組むことで、 病気にならない身体を作ることができます。 
【ツボ刺激(お灸)】
 ★ **足三里(あしさんり)** ・位置:ひざの皿の下から指幅4本分下、すねの外側の凹んだところ。 ・効果:胃腸の働きを高め、全身の免疫力・エネルギーをアップさせる 「養生のツボ」です。松尾芭蕉も旅の途中に据えていたことで有名です。 ・方法:せんねん灸を1日1回据えるのがおすすめです。 (※食欲が増すツボでもあるため、ダイエット中の方は控えめに) 

【食養生(食事)】 ★ **食べ過ぎを防ぎ、胃腸をいたわる** 
満腹になるまで食べ過ぎると、消化のために全身の血流が消化器に集中し、 筋肉が弛緩して肩こりや倦怠感の原因(脾虚)となります。 
腹八分目を心がけ、発酵食品(味噌、納豆など)を日常に取り入れましょう。

【体操・ストレッチ】 ★ **背骨と股関節をほぐす軽運動** 
・毎日、朝や入浴後にゆっくりとした深呼吸をしながら背筋を伸ばし、 股関節や肩まわりをほぐすストレッチを行ってください。 ・姿勢を整えることで気のめぐりが良くなり、自律神経が安定します。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 
ご自身の身体が出している「小さなサイン」を見逃さず、 定期的なメンテナンスとセルフケアで、病気を未然に防ぎ健やかな毎日を過ごしましょう。
 ご不安な点やご家族のお身体のお悩みなどがございましたら、 いつでも気軽にご相談くださいね。
 今日から少しずつ、未来の健康への投資を始めてみましょう! 
――――――――――――――――――――――― 
🌿 **健康情報をYouTubeで発信しています!
** 鍼灸やセルフケアに関する動画を配信中です。ぜひチャンネル登録してご覧ください。
 https://youtube.com/@自由が丘ムトウ針灸院
 ―――――――――――――――――――――――
 **自由が丘ムトウ針灸院** 院長:武藤 由香子 
〒152-0035 東京都目黒区自由が丘1-13-14 自由が丘スカイビル703 
TEL:03-6421-4117 
ホームページ:http://muto-shinkyu.com/ 
―――――――――――――――――――――――
 

こんにちは。五枢会の武藤由香子です。

臨床を行っていると、このような場面に遭遇することはありませんか?
「教科書通りに診察し、効果的なはずの治療をしたのに、患者さんの症状がまったく変化しない…」 「前回と同じ施術をしたのに、今回はなぜか効果が出ない…」
どれほど臨床経験を積んだ鍼灸師であっても、治療効果が思うように上がらず、「次の一手をどう打つべきか」と悩む瞬間は必ず訪れます。

そのような場合、まずは刺激量の調整をしてみます。
しかし、それで効かない場合は、「症状がどこから来ているのかをもう一度捉え直し、アプローチそのものをガラリと変えること」です。

効果が出なかった時、「この症状は本当にその部位の問題なのか?」と視点を切り替えることで、臨床の壁を破ることができます。
今回は、アプローチを変えることで劇的に改善した2つの臨床例をご紹介します。

【事例1】足のしびれ:腰椎へのアプローチで不変 → 梨状筋への切り替えで改善
腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症が疑われ、下肢のしびれを訴える患者さんに対し、腰椎のアライメント調整や腰部への刺鍼を行っても症状が全く変わらないケースがありました。

理学テストを行ったところ、Kボンネットテスト陽性でした。
この場合、しびれの原因は腰椎ではなく「梨状筋による坐骨神経の圧迫(梨状筋症候群)」である可能性あります。
実際に腰部から梨状筋・殿部へのアプローチへと切り替えたところ、長年続いていた足のしびれがその場で大幅に改善しました。画像診断や従来の病名にとらわれず、解剖学的な神経走行や理学テストから原因部位を再評価することが重要です。

【事例2】殿部痛:坐骨神経へのアプローチで不変 → 股関節の治療で改善
殿部痛(お尻の痛み)に対して、坐骨神経の走行に沿った刺鍼や腰殿部への治療を続けても変化が出ないケースも少なくありません。

この場合、痛みの真の原因が股関節の機能障害(支持力低下・可動域制限・血流障害)から来ていることがあります。
坐骨神経へのアプローチから「股関節の治療」へと切り替えたことで、殿部への過剰な負担が抜け、急速に症状が改善へと向かいました。痛む部位そのものではなく、「股関節」という隣接関節の動態に着目することがブレイクスルーの鍵となります。

このように、臨床で結果が出ない時に「どこから症状が来ているのか」を多角的に捉え直し、アプローチを変える引き出し(診断力・臨床力)を持つことが重要です。

五枢会の公式YouTubeチャンネル「鍼灸臨床チャンネル」では、こうした臨床の現場で役立つ実践的な知識や、治療穴の探し方、視点の切り替え方などを分かりやすく解説動画でお届けしています。
ぜひチャンネル登録をして日々の臨床にお役立てください!

▼ 【YouTube】五枢会 鍼灸臨床チャンネルはこちら 
https://www.youtube.com/@五枢会鍼灸
五枢会 代表/自由が丘ムトウ針灸院 院長 武藤 由香子
 〒152-0035 東京都目黒区自由が丘1-13-14 自由が丘スカイビル703
 公式HP: https://5su.muto-shinkyu.com/ 

こんにちは。
日々の臨床の中で、ふとこんな疑問を感じることはありませんか?
「同じ経穴を使っているのに、なぜ治療効果に差が出るのだろう?」 「教科書通りにアプローチしているのに、なぜ思うような結果が出ないのだろう?」
一生懸命に知識を深め、技術を磨いている先生ほど、こうした臨床の「壁」や「迷い」に直面することがあるのではないでしょうか。
単に知識や手技の数を増やすだけでは、突き抜けられない瞬間があります。実は、安定して高い治療効果を出し続ける鍼灸師には、共通して大切にしている「本質的な原則」が存在します。

今回は、現場で成果を出し続け、患者さんから深く信頼されるために欠かせない「鍼灸治療において最も大切な3つのこと」を整理してお伝えします。ご自身の臨床と照らし合わせながら、ぜひチェックしてみてください。
【鍼灸治療における大切なこと3選】
1. 診断の前の「施術者自身の状態(エネルギー)」を整える
施術者自身に疲労や邪気が溜まり、感覚が鈍っていると、取穴や診断に迷いが生じてしまいます。判断がブレる原因は知識不足ではなく、施術者の状態にあることも少なくありません。まずは施術者自身の状態をクリアに保つことが、すべての診断・治療の土台となります。
2. 直後効果(その場での変化)を追求する
可動域の改善や筋緊張の緩和など、治療直後に「客観的な変化」を体感してもらうことが、患者さんとの強い信頼関係を生みます。直後効果を安定して出せるようになると、治療の軸がブレなくなり、リピート率や満足度も大きく高まります。
3. 「痛む部位」だけに囚われず、アライメント全体を評価する
腰痛や関節痛であっても、局所だけの問題ではなく、脊柱や足部などの全体的なアライメント異常が根本の原因になっているケースが非常に多く存在します。アライメント全体を整える視点を持つことで、難症例や慢性疾患への対応力が高まります。

いかがでしたでしょうか。 これら3つの原則を意識するだけでも、日々の視点や臨床での判断スピードは大きく変わってきます。

【YouTubeのご案内】
YouTube「鍼灸臨床チャンネル」では、臨床の現場で役立つ実践的なテクニックや疑問の解決法を毎週わかりやすく解説しています。ぜひ日々の勉強や臨床の振り返りにご活用ください。
▼ YouTubeチャンネルの視聴・チャンネル登録はこちら https://www.youtube.com/@五枢会鍼灸

【編集後記】
臨床で壁にぶつかったとき、新しい手技を探すことも大切ですが、基本となる「見立て」や「手の感覚」に立ち返ることが何よりの解決策になることがあります。
今回ご紹介した3つのポイントやYouTube動画の内容が、先生の本日の施術におけるヒントとなれば幸いです。
先生の臨床がより楽しく、そして確固たる結果につながることを心より応援しております。


五枢会 代表 武藤由香子