鍼灸師が持つべき知識の中で時に重要なものとして「病態把握力」があると思います。
病態把握がなぜ重要なのかについては、主に3つのポイントが挙げられます。

第1に鍼灸の適応かどうかの判定に役立つという事があります。
例えば頭痛を例に挙げます。
頭痛で鍼灸の適応は、緊張型頭痛・片頭痛を始めとする血管性頭痛・神経痛などが挙げられます。
不適応疾患としては、くも膜下出血・髄膜炎・脳腫瘍などが挙げられます。
特に癌の患者さんでは脳に悪性腫瘍が転移する可能性を考える必要があります。

第2に予後の推定が出来るという事があります。
予後は、その症状が器質的なのものから来ているのか機能的失調から来ているのかで推定できます。
例えば神経痛でも原因が骨棘によるもの(器質的)であれば回復が難しいけれど、筋肉のエントラップメント(絞扼・機能的)であれば回復し易いと判定できます。

第3に治療法の決定に役立つということがあります。
治療法は筋肉の緊張が原因であれば原因筋への刺鍼を行います。
神経痛であれば神経上の圧痛点への施灸を行います。

病態をとらえることは、鍼灸の病証を決定すると同じくらい重要です。

老化というと東洋医学的には「腎虚」という言葉がすぐに出てきます。

易疲労・性ホルモンの低下・骨粗鬆症などが相当します。

しかし、実際には老化は腎虚だけではなく、もっと複数の病証が合併しているケースが多いと思います。

 

高齢者におけるサルコペニアは筋肉量の減少・消化機能の低下による低栄養から起こるとされており、東洋医学的には「脾虚証」が相当すると考えられます。

 

動脈硬化・血液粘度の上昇も良く見られる状態ですが、「瘀血証」と関連すると考えられます。

 

最近の研究でアルツハイマー病の原因となるタウ蛋白・アミロイドβタンパクがどのように取り除かれるのか分かってきました。

タウ蛋白・アミロイドβタンパクは睡眠中に「グリンパティックシステム」によって取り除かれています。

「グリンパティックシステム」の働きは脳内の老廃物の除去です。

睡眠中に脳内のグリア細胞が収縮して水路を作り、脳脊髄液が還流して老廃物が取り除かれます。

睡眠時間が少なかったり、浅かったりするとこのシステムが十分に働かなくなるとのことです。

したがって不眠と密接な肝や心の病証も老化の治療に不可欠となると思います。

 

更に一人一人が持っている体質傾向と老化現象が合わさって症状が出ていると考えられます。

したがって老化に伴う疾患においてもオーダーメイド的治療は不可欠となると思います。

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年齢とともにかかる疾患は変化します。
その時に自分で治療することで、新たな発見・気づきが得られますのでお伝えします。

子供の頃は、喘息・扁桃炎などが多いです。
脾虚証の治療で改善するケースが多く、治療は簡単な部類に入ります。

そして女性では50才前後、男性では50~60代頃に更年期を迎え、性ホルモンの低下に伴う自律神経失調症が出現します。
冷え・のぼせ・不眠などの症状を訴えます。
陰虚火旺・上熱下寒など病証が多少複雑になり、治療も難しくなってきます。

老年期では症状が増加してきます。
整形外科疾患では変形性関節症・脊柱管狭窄症・骨粗鬆症など、内科疾患では様々な症状が出現してきます。
腎虚証・瘀血証・痰飲などの病証が関与している場合が多いです。

体調不良を自分で治療することで、治療技術が向上し、自分の健康管理もできるという一石二鳥の効果が得られます。

患者さんがひどい虚証で、手技で瀉法が出来ないという場合どうすれば良いでしょうか?
一般的には補法を行って、調子を整えてから瀉法を行うと思います。
しかし、そこまで行くのにかなり時間がかかるという事もあり得ます。

そのような時に使える方法として、「排便を促す」、「利尿を促進させる」というものがあります。
「発汗させる」のは表証の風邪などには使いますが、慢性疾患には使っておりません。
それ以外に「吐かせる」という方法もありますが、私は使っていません。

以前にもメールマガジンで書きましたが、病が軽い場合は補法で良くなりますが、重症の場合には瀉法が不可欠です。
そして重症(精神疾患・悪性腫瘍・自己免疫疾患など)の場合は虚実夾雑証になっているので瀉法のやり方に注意する必要があります。

また、精神疾患の患者さんは神経質で刺激に敏感な場合もあるので、刺激量に注意する必要もあります。
 

同じ鍼灸師が鍼灸治療を行って、ある時はとても効果を出し、ある時はなかなか効果が出ないという事があります。
その理由として治療が効きやすい人と効きにくい人がいるという事を以前メールマガジンでお伝えしたと思います。
それ以外の原因として身体の中に逆の症状があるというものがあります。
たとえば「寒と熱」、「湿と燥」、「虚と実」、「交感神経優位と副交感神経優位」などです。
具体例として「寒と熱」では更年期障害の冷えのぼせが相当します。
「湿と燥」ではアトピー性皮膚炎による皮膚炎部位の浮腫と皮膚の乾燥が相当します。
「虚と実」では悪性腫瘍・難病・自己免疫疾患・精神疾患などにみられる元気不足と持続的感染が相当します。
「交感神経優位と副交感神経優位」では不眠と低血圧、高血圧と食欲亢進などが挙げられます。

「治療のレベルを上げたい。」と思っていて上に挙げた4つの逆の症状をマスターしていない方は是非取り組まれることをお勧めします。

前回のブログでリピート率を上げるにはリピート率の高い疾患を選ぶことをお伝えしました。
そして代表的な疾患としてパーキンソン病があると書きました。
今回もう一つ紹介します。
それは「うつ病」です。
鍼灸がうつ病に効果があるかどうかは程度によると思います。
軽症では鍼灸のみで対応が出来ると思います。
中症では薬物療法をしても十分効果が出ないときに、鍼灸を合わせていきます。
また再発予防としても鍼灸は効果的です。

コロナによる影響は多岐に渡っていますが、メンタルにも大きな影響を与えています。
経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査によりますと、日本国内のうつ病・うつ状態の人の割合は、2013年調査では7.9%だったのに対し、新型コロナウイルス流行後の2020年には17.3%と約2倍に増加しているとのことです。

うつ病の症状は気分の落ち込みだけではありません。
記憶力・集中力・決断力が低下するため、休職・退職に及ぶこともあります。
場合によっては自殺に至ることもあるのは周知の事です。
そのような人生を大きく変えてしまうような病気ですので、鍼灸で予防や改善が出来ることは大変価値があると思っております。

うつ病に対する鍼灸治療は単に虚証の治療だけで改善しないことは少なくありません。
病証としては虚実夾雑になっている場合が多いです、

マーケティングの法則として、「新規獲得よりリピート率を上げる方が良い。」とされています。
なぜなら新規獲得には費用がかかるためです。
したがって「新規獲得ばかりして、リピート率が低いビジネスは失敗し易い。」とされています。
それではリピート率を上げるためにはどうしたら良いでしょうか?
幾つかのポイントがありますが、今回は疾患の選択についてお伝えします。
リピート率が高い疾患は慢性疾患です、
当然のことながらギックリ腰のような急性疾患はリピート率が低いです。

鍼灸師の先生は真面目な方が多く、鍼灸師になったのも「社会貢献」したいからと答える人は少なくありません。
しかし、経営的に成り立たなければ「絵に描いた餅」になります。
「社会貢献」と「経営」が両立するのが慢性疾患、特に鍼灸が適応する難病・重症疾患です。
難病・重症疾患の中で、鍼灸の効果が出易くリピート率が高い疾患としてパーキンソン病が挙げられます。
パーキンソン病は徐々に進行していきますが、鍼灸治療をすることで進行が抑えられることも少なくありません。
したがってリピート率を高めたい場合にはパーキンソン病の治療をされることをお勧めします。

 

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規制緩和を契機に鍼灸院がかなり増えました。
コンビニより多いという事です。
その中で残っていくためには他院との違いを明確にしていく必要があると思います。
自分の中で「他院とここが違う。来院すればわかる。」というのは弱いです。
まだ来院していない患者さんから見て「他院と違う」という認識をしてもらわなければいけません。
この差別化の中で最も行いやすいのが扱う疾患の差別化です。

整形外科疾患はどの鍼灸師でも扱えます。
なぜなら痛みの部位に施術できるからです。
ですから整形外科疾患など病巣がはっきりしている疾患で差別化するのは難しいです。
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など難易度が上がれば別ですが。
そのために五枢会では難病重症セミナーを作り、差別化できるようにセミナーを行っています。
局所治療しかしていない鍼灸師には手を出せない領域になっています。
ぜひチャレンジしてみて下さい。

 

詳細は以下を確認して下さい。
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鍼灸治療の方針で、幾つかの意見が分かれるポイントがあります。
その中の1つとして多数穴で治療を行うのか少数穴で治療を行うのかというものがあります。

多数穴治療のメリットとしては以下のことが挙げられます。
1.    局所に複数鍼灸をすることで効果が高まる。
2.    多くの治療穴を使うことで効果的な治療穴に当たる確率が高まる。
3.    たくさん治療してもらったと患者さんが喜ぶ。

少数穴治療のメリットとしては以下のことが考えられます。
1.    治療効果がシャープである。
2.    どの治療穴で効果があったのか分かり易い。
3.    刺激過多になりにくい。
4.    治療時間が短くて済む。

次に多数穴治療のデメリットとしては以下のことが挙げられます。
1.    どの治療穴で効果があったのか分かりにくい。
2.    刺激量過多になり易い。
3.    治療時間が長くなり易い。

少数穴治療のデメリットとしては以下のことが考えられます。
1.    色々治療してもらったという感じが少なくなる。
2.    治療ポイントを外すと全く効かなかったという感覚が強く感じられる。
3.    患者さんが訴えている部位に全く治療をしないとクレームが出ることがある。

おそらく多数穴治療をしている方は多数穴治療のメリットと少数穴治療のデメリットを考えて選択されていると思います。

私は少数穴治療を行っていますが、以下の点に気をつけています。
・1つの経穴で複数の効果を出すものを選択する。
・丁寧な診察・分かり易い説明を心掛ける。
(患者さんの満足は必ずしも多くの治療をすることだけではないということです。)
・直後効果を確認する。

また、1穴のみの治療も行っております。
マルチポイントというオリジナルの治療法です。
この治療法に興味のある先生はこちらをクリックして下さい。

 

 

鍼灸治療での重要な要素として、今まで直後効果を出すことを提唱して来ました。
その理由は治療効果が出ていることを確認する習慣をつけることで治療技術が向上するからです。

しかし、それだけでは十分ではありません。
鍼灸治療を続けることで、治癒に向かっていくようにできるかどうかは更に大切です。
現在の症状の原因を突き止めて、原因治療を行うことが重要と考えています。

原因治療というと体質傾向の改善を思い浮かべる方も多いと思います。
確かに内科疾患では体質傾向の改善が原因治療となる場合は多いと思います。

しかし、整形外科疾患ではアライメントの異常が原因となっている場合が少なくありません。
具体的には五十肩・脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニア・股関節症・外反母趾などがアライメントの異常が原因で起こっていると考えております。

この様なアライメントの異常に対する治療を従来の治療に加えると、治療効果が高まり、対症療法ではなく、原因療法として行うことが出来ます。