『ソーテルヌのワイン 地図付き』

　　　　　　　　　　　　ソーテルヌのワイン　地図付き

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Sauternes

　ボルドー市南東４０㎞、アキテーヌ地域圏ジロンド県、ガロンヌ河左岸に所在。白の甘口貴腐ワインの醸造地として、ドイツのトロッケンベーレンアウスレーゼ、ハンガリーのトカイとともに世界三大貴腐ワインの産地です。

　AOCソーテルヌを確認してみましょう。ボルドーは北からメドック(大きく分けてAOCメドックとAOCオー・メドック)、続いてAOCグラーヴがあり、グラーヴの南部にAOCソーテルヌがあります。注意しなければならないのはソーテルヌは別格扱いされているので、AOCグラーヴは名乗れません。

　AOCグラーヴにはソーテルヌ地区は入っていないようです。

　AOCソーテルヌはグラーヴ地区に囲まれ、北にバルザック、プレニャック、中央にボンム、南にソーテルヌ、東にファルグのコミューンで構成され、小高い丘(イケムは標高８０ｍ)をいくつも含む、全体に起伏のある丘陵地帯のようです。

　
　　　
　　

　上掲右の地図をみると空き地があることから、AOCは地番で示されているようです。地区全体をAOCに指定するのではなく、ファルグの何番と何番という風に指定されているものと思われます。

　バルサックは独自のAOCを取得しており、バルサックはAOCバルサック、AOCソーテルヌのどちらを名乗ることも可能ですが、一般にバルサックを名乗ることが多いようです。　参照甘口白ワインとAOC

　西に広がる松林(ランデスの森)が強風を防ぎ、秋口のガロンヌ河と冷たいシロン川から立ちこめる朝霧に覆われます。朝霧と午後の暖かさが交互に現れる秋の気候がボトリティス・シネレア菌の繁殖を促し、甘味なジャム状に凝縮された、糖度とアロマの高い貴腐葡萄が出来ます。

　また、ソーテルヌ地方の白色の泥灰土や粘土質の砂が太陽の蓄積熱を生み、夜間を通じて霜のリスクを減らす効果もあるとされています。

　ローストと呼ばれる完腐してシワシワの状態となった葡萄のみを数回に分けて収穫します。採れる果汁は少なく、選別や醸造に手間がかかり生産量は少ないようです。

　ワインの特徴としては、黄金色で熟成により琥珀色へと変化します。香りはアーモンド、ヘーゼルナッツ、マルメロ、マンゴー、パイナップル、桃のコンポート、マンダリンの皮、干しアンズ、、パッションフルーツ、蜂蜜等の多くの要素が調和し、さらに菩提樹やアカシア、ミモザ等の花のニューアンスが加わった豊かな香りがあるといわれます。

　味わいは力強く、とろりとしてエレガンス、残糖と酸味のバランスが良く爽やかさがあるといわれておりますが、アイス・ワインと区別するのは難しいようで貴腐の匂いを感じ取れるかにかかるようです。

　栽培される葡萄品種はセミヨン、ソーヴィニョンブラン、ミュスカデルの３品種となりますが、凡そ７０％を占めるセミヨンはワインに複雑性をもたらし、凡そ２０％を占めるソーヴィニョン・ブランはバランスと甘さに対抗するために酸味を提供し、ミュスカデルは、霜やうどん粉病に対する抵抗性が低いのですが、香りを貢献しているようです。

　葡萄の収量に関しては、AOCソーテルヌは２８hl/haを超えることが出来ないようですが、貴腐化することにより４０hl/haの収量は１８hl/ha位まで減少するとされており、植栽密度は６，５００本/ha～７，５００本/haが多いようであり、剪定も１本の樹に１～３房程度とされているようです。

　醗酵に関しては２０℃から２２℃の比較的低温で２週間から４週間かけて醗酵させるといいますから赤ワインとは大きく異なった醗酵と思われます。

　貴腐ワインの出自については諸説あるようで、１８３６年、１８４７年辺りが有力のようで、収穫の指示を出すのが遅れた(旅行説や狼狩り説)とするのが有力のようです。

シャトー・ディケム　貴腐の伝説

シャトー・ディケム　貴腐の伝説　2

　　　　　　　　　　Premiers Crus Superieur 　