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皆さん、 「フラーレン」 って知ってますか?
「名前は知ってるけど…」
という方は多いと思いますけど、実際にそれがどういうものかはあまり知らない人の方が多いでしょう。
世間では「ビタミンCの何百倍の抗酸化力!」とか「ノーベル賞受賞成分!」とか言ってもてはやされていますが、
実際に一体どういう物質で、どういう効果があるのかとか深くご存知の方はあまりおられないのではないでしょうか。
◎フラーレンの構造と特性
こういう写真を見たことがある人も多いと思います。
「フラーレン」という物質はこのような構造を持っています。
『炭素』という原子が60個、六角形と五角形を作りながらつながっています。
さながらこのような形から「サッカーボール」に例えられます。
こういう構造の物質が鉱物とかに含まれているそうです。
もちろん炭素の塊ですから『黒炭』や『ダイヤモンド』と同じく安定した固体物質です。
水や有機溶剤に非常に溶けにくいです。
本来の「炭素」という物質は他の原子と繋がるための「腕」が4本あります。
↓これが炭素を中心とした最も基本的な物質「メタン」です。
ご覧のように『腕』は4本ありますね。
ですがフラーレン↓では「腕」は3本しか出ていません。
これがこの物質がある特異的な性質を持つ所以であり、様々な分野での応用が期待される理由です。
実際には腕の一本を『二重結合』にしているわけですが↓、
フラーレンの特異的な性質とは
この無数の二重結合が様々な化学反応を柔軟に引き起こすという点です。
そしてその中で最も一般的なのが『酸化還元反応』で、
周囲の酸化活性物質などと優先的に反応すると言われています。
つまり周囲に「活性酸素」などがあれば、
フラーレンがまず優先して酸化されてくれる、、ということです。
これが「ラジカル(活性)スポンジ」「活性酸素除去作用」などと言われる理由ですね。
原理的にはさしてむずかしい話ではありません。
◎『ノーベル賞受賞成分』?
さてフラーレンがなぜこんなに有名になったのかというと、
1985年にこの物質に関する『ノーベル賞』が決まったからですね。
そのために昨今様々なメディアで
「フラーレンはノーベル賞受賞成分!」
として紹介されています。
しかしこれにはすご~~~~~~く、語弊があります。
厳密に言えば、
「フラーレン」はノーベル賞なんか受賞してません!
ここを勘違いしちゃいけませんよ。
そもそも数十年前にこの物質が凄いともてはやされたのは、
元々はこの『美しい外観』からでした。
「炭素がうまく繋がるとこんな物質になるはずだ」ということを大昔に学会で発表した科学者がいた、
というのがこの物質の起点で、
当時は「理論上は存在するけど実際には存在しない架空の物質」だったんです。
それが後の科学の発展によって、同じ物質が実際に発見され、さらに合成されるまでに至っています。
1985年にハロルド・クロトーらが『ノーベル化学賞』を受賞したのは、
この「存在しない」と言われていた『架空の物質』を実際に発見したという功績からなのです。
つまり『ノーベル化学賞』を受賞したのはハロルド・クロトーなど3人の化学者たちであり、
(ハロルド・クロトー、リチャード・スモーリー、ロバート・カール)
フラーレンはただ「発見された」に過ぎません。
ですから
『フラーレンはノーベル賞を受賞した成分』
という表現は大きな間違いなのです。
こうやって紹介しているお馬鹿なサイトが本当に多いことをかずのすけは非常に遺憾に思っていますが…。
ちなみにおんなじように誤った紹介をされる成分として「EGF」もありますね(-_-;)
◎フラーレンに『美容効果』はあるのか?
それで、皆さんが1番興味あるのはここだと思います。
一説には「ビタミンCの400倍の抗酸化力」だとか言われてますけど、
実際のところはどうなんだ?という話ですが…。
ぶっちゃけて言えば、
フラーレンにそんなに凄い美容効果はありません。
あまり期待しすぎないでください。
前々から言ってますが、
ビタミンCの抗酸化作用は『還元性』という性質によるもので、
これは非常に強力で、1%も入れると肌に刺激を生じます。
高濃度では3%とか5%とかありますが、これは医薬部外品や病院での処方薬扱いです。
そんなものの400倍?あったとしたら超刺激物でしょう。苦笑
大方「失活するまでの時間」を比較しているのではないかなぁと思うんですが、
そうするとビタミンCなんかは反応性が高すぎてすぐ効果を失ってしまうので
これを比較するのはおかしな話です。
そもそも効果の方向性が違うものを比較するというのはおかしなことです。
フラーレンっていうのは、
それそのものには何の効果もありません。
だってこれ、炭素の塊ですよ?;物質的には『炭』と同じです。
なのでこれだけ置いておいてもほとんど反応しません。
(ビタミンCは置いておくだけで反応していきます。)
これがとても重要なことで
結局フラーレンができるのは
「周囲の物質の反応を引き受ける」、もしくは「反応を促進する」
のどちらかです。
「それでいいじゃん」と思うのかもしれませんが、
フラーレンがそれらの効果を引き起こすには、
『二重結合の開裂』という段階を経る必要があります。
これは、
→オイルの酸化安定性を見破るには 【不飽和脂肪酸】と【二重結合】について
こちらの記事でも説明したように
「二重結合が多い」=「反応しやすすぎる」=「刺激が生じる懸念がある」
ということです。
二重結合の開裂は、この反応が起こったあとには安定化しますが、
反応中には二重結合から単結合にシフトする際の「励起エネルギー」というものが発生して、
このエネルギーによって周囲の物質が過剰に酸化されたり変質してしまうということもありえます。
ビタミンCはそれそのもが還元作用を持つ物質ですから、
ダイレクトに酸化物を還元して酸化作用を失わせる力があります。
(励起エネルギーも全部ビタミンCが受け取ってしまいます。)
ただしその分の刺激も当然ありますよね。
フラーレンは確実に安全なのか?というとそこが難しいのです。
同じように何らかの反応を起こせば周囲に何らかの影響を与えてしまいます。
しかもフラーレンの場合は「還元」だけではなくてその他のいろんな反応を起こしてしまう懸念があります。
状況によっては「酸化」だって促進してしまうんです。
正直言って、「何が起こるか分かったもんじゃない」というのがこの成分。
そんなよく分からないものを積極的に化粧品に高濃度で配合なんかできるはずもない。
実際にどうでしょうか。
有名な化粧品企業がこの成分に手を出してますか?
フラーレン化粧品をつくっているのって、大企業じゃなくてあまり名の知れない中小企業とかでしょう。
(あと件のD○Cとか…苦笑)
※
実際に世界的にはフラーレンの化粧品的な応用はかなり絶望視されています。というのも様々な反応を媒介してしまうということから、生体にプラスの反応だけでなくマイナスに働く反応も引き起こしてしまうからです。『紫外線にさらされると逆に周囲の物質を酸化してしまう』という研究報告1)や吸入ばく露で肺に炎症を起こしたりという報告2)、フラーレンが存在した方が細胞への酸化ストレスが増えるなどの研究3)もあり、今のところ安定した「抗酸化成分」とは言えない状況です。だから大きな化粧品会社は配合を控えて様子を見ているんです。
◎市場のフラーレン化粧品の「フラーレン」実際濃度は0.001%以下
さてそういうわけですから
実際の化粧品には「フラーレン」ってそんなに入れられません(^_^;)
その証拠として、
現在「フラーレン化粧品」の多くが利用している『ラジカルスポンジ』等の原料を作っている
「バイオリサーチ」
という原料会社の出している『水溶性フラーレン』等の原料資料がこちら↓。
「ラジカルスポンジ」「リポフラーレン」など5つの原料製品がありますが、
例として1番ポピュラーな「ラジカルスポンジ」の成分組成表を見てみます。
すると、「構成」の部分を見ると「フラーレン」には「<0.03%」という風に書いてあります。
つまりこの原料の中には「フラーレン」そのものは0.03%以下しか入っていないということです。
他の原料も同様で、0.03%以下もしくは0.01%以下が基準です。
そしてこちらの原料には、
「原料を1%以上入れれば『規定量以上配合』を表すロゴマークを付けられる」
という特典があるため、
「規定量以上配合」という商品がかなりたくさん出回っているわけです。
具体的には↓こういうマークですね(-_-;)
それで消費者には
「このマークが付いているってことは『フラーレン』が1%以上も入っているんだ!」
と思わせてしまうんですが、
実際には1%入っているのは『フラーレン』という成分そのものではなくて、
『フラーレンがちょっぴり溶けた原料』です。
しかも元々の原料ですら0.03%以下しか入っていないわけですから、
これがさらに1%しか入っていないとすれば…
フラーレンそのものの濃度は0.0003%以下とかになります。
まぁ規定量よりすごくたくさん入れてたとしても0.001%が関の山でしょうね。
そもそも生理活性作用があるわけでもないフラーレンがこんな少量しか入っていないのに、
それでも世に言われているような「凄い美容効果」とかあると思いますか?(-_-;)
◎フラーレンと化粧品は相性が悪い
まぁ以上のことからかずのすけは「フラーレン」という成分に、
化粧品応用的な視点ではほとんど期待していません。
フラーレンに見向きもしない化粧品会社が多いのは僕と同じくフラーレンに化粧品応用における魅力をほとんど感じてないからだと思います。
(あとコストが高すぎるのも難点)
安全性を何より重視しなければならない『化粧品』という商品において、
「何が起こるかわからない」という成分が歓迎されるはずもないんです。
純粋に一人の化学者としてはこの美しい格子とかは大好きですし、
合成化学や新規素材の開発などでは物凄く広い展望を持つ物質と言えるでしょう。
ですがやはり『化粧品』とはどうしても相容れない物質と言わざるを得ません。
それを『ノーベル賞受賞』だとか全然関係無い話でお客を釣るみたいな商法には本当に辟易しています。(゙ `-´)
こないだも言ったと思いますが、
科学を人を騙す道具に使うな、と。
ノーベル賞なんかは最たるものですよね。
科学の発展のために何人もの化学者がその生涯をかけて達成した偉業、
それを称えるための栄えある『ノーベル賞』を、
あろうことか人を騙す道具に利用するなんて…
これはまさに科学への冒涜です。
以上、かずのすけちょっぴり怒ってるよっていう話でした(-з-)
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