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さて興味深い話をコメントで頂いたので、本日のテーマにしたいと思います。
>>膀胱がん、オルトトルイジンが原因と推定 厚労省<<
今年のはじめですね、なんとかずのすけの出身地である福井県で起こっていた事件です。
この頃は論文やらなんやら物凄く忙しく世間一般とは隔絶されていたのでこの事件のことをかずのすけは全然知りませんでした(;^_^)
これは大変な不覚です…。。
そこで内容を見ていきますと、
三星化学工業の工場従事者6名が揃って膀胱がんを発症したということで、
その原因物質が『オルトトルイジン』であった可能性が高いことがわかったというものです。
これだけ聞いても正直化粧品の評論ブログとは何の関係もなさそうですが、
ちょっと読んでいくと気になる記述がありますね。
❝厚労省はこの物質が皮膚から体内に取り込まれたことが「推察される」と指摘。過去の作業でも防毒マスクをつけなかったり、物質が含まれていたとみられる有機溶剤が皮膚に飛び散ったりしていたといい、「膀胱がんの原因がオルト―トルイジンである可能性は非常に高い」とした。❞
このようにこちらの膀胱がんはオルトトルイジンの経皮暴露(ばくろ)=皮膚から接触して罹患したものであると厚労省の調査チームが発表しているのです。
そしてこの発表を受けて、ネット上や一部の健康マニアの間では
「やっぱり【経皮毒】って本当だったのね!」
という声が上がっているのだそうです。
そう、うちのブログでは以前からしつこく扱っている「経皮毒」の話がまた再燃しつつあるようで…(苦笑)
これはしっかり説明しとかなければならないな、
ということで本日は筆を執った次第です。
しかし前置きしますが、ちょっとだけむずかしい話になるかもです(^-^;)
でも重要なのは結論なので、難しそうなところは読み飛ばして頂いて結構ですよ~。
◎オルトトルイジンの経皮ばく露…これって「経皮毒」!?
さて今回の問題ではオルトトルイジンの経皮ばく露が膀胱がんの原因になったとされています。
実際に厚労省の調査資料を見ても、
「最も可能性が高かったのは経皮ばく露」と明記されています。
(物質が染みこんだ手袋を使用していたり素手で点検作業をしていたりしたそうです…。)
つまりこの事件は確かに皮膚から吸収された化学物質が引き金になった可能性が高いということです。
それはかの厚労省の調査によって裏付けられています。
そして
『皮膚から化学物質が吸収され、それが後にガンなどの重大な疾病を起こす…』
というと確かにあの経皮毒を彷彿としますね。
当ブログではこれまで数々の記事でこの経皮毒を徹底否定してきました。
・化学物質が皮膚から吸収?~「経皮毒」の真実を徹底究明(前編)~
・「経皮毒の勘違いポイント」について
・【経皮毒】とマルチ商法
「経皮毒?初耳だわ」という方は是非上のひとつ目の記事をご覧いただければと思うのですが、
マルチ商法などの悪質商法で未だによく利用されているエセ科学用語です。
しかし今回の事件では実際に化学物質が皮膚から体内に入って、膀胱がんを引き起こしたことがほぼ確実視されています。
なので、
『つまりこれって経皮毒なんじゃないの?』
と思ってしまっても仕方ないような気もします…。。
しかし本当のことを言うならば、
これは経皮毒ではありません。
むしろ全く無関係な話なので、
これを混同してしまうと大変です。
◎そもそも「オルトトルイジン」って?
まず今回の問題で取り沙汰されている「オルトトルイジン」という物質についてですが、
おそらく殆どの方がこの物質名は初耳なのではないでしょうか。
オルトトルイジンはトルエンという化学物質にアミノ基(-NH2)を置換した有機化合物です。
化学に馴染みのある方はこの構造を見て『芳香族アミン』の一種なんだなということに気づくと思います。
ご覧のとおりアニリン(代表的芳香族アミン)の構造を持っています。
ここから簡単に予想できる性質は、
・芳香性の化学物質(つまり匂いがある)
・弱塩基性(アルカリ性)
・非極性の有機溶剤(液体だけど水に溶けにくい)
・皮膚への刺激性(腐食作用)が予想される
→トルエン系有機溶剤の特性
・まず間違いなく毒物
などです。
というのもそもそもこの物質の基本骨格になっている「トルエン」ですが、
実験室でも使いますが非常に危険な溶剤で取り扱いに注意が要ります。
まず素手で触ってはいけないものです。
強力な腐食性があります。
アニリンだってもちろん有名な毒物です。
なのでこの構造類似性を見るからには
オルトトルイジンにもそれに似た性質があると考えるのが普通です。
そこで実際にこの物質のMSDS(安全性データシート)を見ると、
・飲み込むと有害 ・皮膚に接触すると有害のおそれ ・吸入すると有害
・劇物取締法 『劇物』 指定
・船舶安全法/航空法 『毒物』 指定
という風にやはり見るからに「毒物」ですね。
ちなみに発がん性については「発がんの恐れのある物質」として登録されていて、
許容量以上のばく露があれば発がんの可能性は十分にあったものと思われます。
(ちなみに発がんのメカニズムについては【オルト-トルイジンと発がんの関係】の記事を紹介しておきます。)
◎「毒物」が経皮吸収するのはある意味当然。
で、この物質は皮膚の腐食性があるので素手で触ってはいけないものです。
細胞を溶かしてしまうようなものですからね、
当然皮膚バリアなんてヒョイヒョイ破壊出来ます。
なのでこれくらいの毒物ならば経皮吸収作用がいくらかあったとしてもそれは全く不思議じゃありません。
しかも工場での使用ですから、
他のもっと危険な溶剤と混ぜて使ってたのかもしれません。
こういう明らかな毒物が人体に悪影響になるなんて
それは当たり前すぎる話で、
今更何を驚く必要があるんでしょうか
と僕は思います。
◎経皮毒→「日用品が毒になる」と説いたもの
そもそも「経皮毒」というのは化粧品や洗剤類などの
『日用品に含まれる化学物質』
が経皮吸収し、体内で蓄積し、後に重大な疾病を引き起こす…
としたものです。
なので上で紹介したオルトトルイジンのような明らかな毒物とでは、
話の土台が全く違ってます。
オルトトルイジンが日用品によく使われている成分だとしたらこの話は確かに通じているんですが
そうじゃないんですよね。
この成分は化粧品には全く入っていませんし、
化粧品成分に登録すらされていません。
なのでこれを混同してしまうと大変だって言いましたが、
例えば↓こちらのホームページ。
経皮毒が怖い!化粧品など肌に触れるものの成分を気にしてますか?
今回の事件をまず冒頭で紹介して、
「これが経皮毒です」からの「化粧品に気をつけましょう」という流れですが、
これってつまり言い換えると
「ダイオキシンはガンになるからお醤油やお塩に気をつけましょう」
って言ってるみたいな感じです。
こうやって聞くと凄い違和感あるでしょ(^_^;)
明らかな毒物を触って有害なのは当然なのに、
それでなんでほぼ無害の成分しか使ってない日用品まで巻き込まれなければならないの?
という話なんですよ。
今回の件で非難されてる化粧品たちはとんだとばっちりですよね…。。苦笑
◎「毒物」と「日用品の成分」を混同してはいけない
つまり今回の話の勘違いポイントはこれです。
はじめから明らかに有害であることがわかりきっている『毒物』と、
厳重に安全性が確かめられている『日用品の成分』を混同してはいけない。
ということです。
ホントは全く無関係な話なんですが、こういう「実例」を提示されてしまうと人は弱いですよね。
以前書いた「医薬品成分と化粧品成分を混同しない」というのもとても大切な話ですが、
まだ今回の事件よりは関連性がある気はしますね(^_^;)
まぁ今回の事件はかなり最近起こったものですから、
上のホームページのように経皮毒を利用してた業社がこれから悪用しはじめるんじゃないか…
と少し心配です。。
僕からすれば違和感バリバリな話ですが、
ここまでを判断するには少し踏み込んだ化学知識が必要になってきますからね。
皆様にはぜひ気をつけて頂きたいと思います。
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