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Kierkegaard

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チグリス、ユーフラテス、バビロン・・・何故バベルの塔は・・・

還りたい・・・還りたい・・・、何処に?

世代も変わり、薄れゆく彼の星の記憶・・・

塔を、高く、もっと高く、・・・祈りが通じるように・・・

***

「キョーコちゃん、君のお兄さんが、君に頼んだことは、解放してくれだった。君にしかできないんだ」

「何をすればいいんですか」

「君の時間と体を頂戴?」

「何ですかそれは!」

「先輩・・・、物事は具体かつ的確に説明すべきかと」

「端的に言ったつもりだけど?」

「お前、さっきサクリファイス(犠牲)の儀式って言ってたよな、こいつをまさか・・・」

「うん、キョーコちゃんは、燔祭の羊になってもらうつもりだけど」

「おまえら!」

尚が蓮に殴りかかるが、ひょいと避けて尚の背中で両手を締め上げた。

「いてえな、離せよ」

「せっかちだね、君は、この俺が可愛いキョーコを黙ってくれてやると思うの?これはダミーだ、この結界を世界を壊すためのね」

「マリアちゃん、箱はどこにあるか分かった?」

「ご、ごめんなさい、わからないの」

「そう、まあ、でも当てはなくもないからね。キョーコちゃんにしかできない、マリアちゃんをこの世界から解放して、お父さんやお母さんのいる世界に戻してあげるために、身代わりとして君が必要なんだ」

「マリアちゃんを、元の世界に戻せるんですか?」

「目に見えるだけが、自分たち流れる時間だけが、世界ではないんだよ。彼女が消える前の世界に戻すことは可能なんだ」

「私はどうすれば?」

「君がこの世界の光になるだけだ、一瞬だけね、この俺が石ごとこの世界を破壊するから。俺を信じてくれればいい」

キョーコは、マリアを見やる、兄はこの少女を解放したくて、大学で建築史を勉強していた、石のありかは?

目を閉じて、ノートに書かれていたのは

「敦賀さん、私、石のありかが分かるかもしれない。兄は、ノートにその場所を、それをあなたたちに伝えたかったと思います」

「ありがとう、教えてその場所を」

「光と影が交わる塔の頂上に石は封印されていると、それでわかりますか?」

「レイノ、光と影が交わる場所は、一つだな」

「ええ、だからか、彼らは翼を広げた・・・」

「そうみたいだ、レイノ、そこのせっかち君、二人で石を持ってきてくれ、石が揃ってから儀式を始める」

「行こうか、尚」

「おい、その石さえ壊せば、キョーコを犠牲にすることないんじゃ」

「同時でなくてはいけないんだよ、行くぞ」

レイノと尚は、教会の中に戻り、塔を目指した。

建築士は、男爵のために、母屋、図書館、教会以外に塔を作った、学園の敷地内に塔など見当たらないのに・・・

レイノは迷わずにその場所へ進む、寮と図書館を結ぶ中間点に

「おい、何にもないぞ」

「時間は、大丈夫だな」

夕日が西にそして地上に塔が浮かび上がる、それは、母屋と図書館の屋根に仕掛けられた影絵、朝と夕にだけ、一瞬だけ現れる塔だった。

レイノは塔の天辺から一筋の光が伸びている、目指す場所を二人は駆け足で向かう、影絵は一瞬なのだ。

そして、見つける、鬱蒼と茂る木々の間に隠されるによう建つ小さな塔を、仕掛けが施してあったが、二人は苦労してこじ開け箱を取り出した。

「急ごう、時間がない」

「ああ」

二人は教会へ急ぐが、彼らは、つい先ほどいたあの世界へ戻ることが出来なかった。

「間に合わなかったのか・・・」

「蓮・・・」

つづく その15  へ

***

確定申告は、すごい待ち時間だった・・・私のHPはゼロです。