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Kierkegaard
(挿絵がどんどん手抜きに、...他の落書きで忙しかったりするのである)
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尚は、キョーコの帰りを待っていた。・

キョーコが自室のドアを開けると、尚が抱きついてきた、キョーコは目をぐるぐるさせて硬直した。

「・・・アイツに何もされなかったか?」

「は、話をしていただけだよ。寮のこととか・・・、あの、男同士でこの体勢は・・・」

「俺は関西人だ、スキンシップだ」

キョーコは、頭の中で?マークをいっぱいにさせた、この体勢はまずい、なんだか嫌だ、とにかく両の手を突いて離れようとしたが、尚の腕の力がより強くなる。

「尚くん、嫌だ、離してくれ」

「・・・俺、お前が女だって知ってる」

「な、なんで」

「最初、ぶつかったとき、胸が当たった」

「嫌だ、離して」

「俺じゃだめなのか?お前あの教生や寮長には話せても、同室の俺じゃ頼りならないのか?」

尚は、真剣なまなざしをキョーコに向ける、人懐こい親切な同居人だと思っていた、キョーコを男だと信じてなくて、女の子だから親切にしたのだろうか?知り合ってまだ間もなくて、怖いと思った。

キョーコはひどくおびえた目をして尚を見つめる、尚は全身で拒絶する少女に腕の力を弱めた。

「・・・悪い」

「ごめん、自分のことで他人に迷惑を掛けたくないんだ。探している人がいるんだ、その人に逢うまで、私が女ってことを内緒にしていて欲しい」

「理由も言わずにってのは、虫が良くないか」

「わかってる、お願いだ」

「・・・あとで絶対話せよ」

「ありがとう」

それからキョーコと尚は、それぞれの布団にくるまって、ぽつぽつと話をした。

ストームのこと、学園の噂、眠りの翼が二人を覆う、どんな夢を見るのだろうか?

翌朝、ごく普通にふるまった、キョーコは安心した、だが、彼女は知らない、彼がどれほど彼女を想っているのか。

朝のホームルーム終了時、キョーコは蓮からメモをもらった。

メモには、時間と場所が記されていた、放課後、キョーコは、蓮にもらったメモの場所へ向かった。

鎮守の森の奥にある聖堂へ・・・

キョーコが聖堂の中に入ると、蓮とレイノがいた。

ステンドグラスが陽を受けて色鮮やかな影を作る、キョーコは気づかない、色鮮やかな影が普通と違うということを。

カソリック教会のステンドグラスで描かれた絵は、新約聖書の物語をモチーフにするものだ、イコンもそうだが、三賢人だったり、神の子の誕生だったり、だがこの聖堂に描かれる絵は、・・・

彼の国はいまはもうない、古の一族の血は絶えた、結界の要の聖堂に、贄としてキョーコは呼ばれたのだろか?

古い世界、新しい世界、目に見える世界だけが世界ではないのだ。

光は重なると白く透明になる。世界が重なるとき、それは・・・

「待ってたよキョーコちゃん」

「先生、レイノさん、お話って何ですか」

「これは君の兄さんの願いでもあるんだ、君にしかできないことだ」

「何をすればいいんですか」

「こちらに来てくれればいい」

キョーコは、ゆっくり歩を進めた、聖堂の中央になったとき、目を開けられないほどのまぶしい光に覆われた、そして彼女は意識を失った。

意識を失う瞬間、ステンドグラスの絵が目に映る、一見神の子を祝福する絵のように見えるが、生命の木と竜が、それと船だった・・銀色の船だった・・・

チグリスユーフラテス、バビロン、バベルの塔はなぜ崩れたのだろうか


つづく その13  へ

***

これは学園SFミステリー深夜枠ドラマであり、ご都合主義で尚が主役なのだ(多分