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Kierkegaard

その前の話 その1


緑、緑、青、青、光・・・そして闇・・・

それが僕たちの世界-

「キョーコ、俺は、君を残して消えてしまうけど、いつかでいい、間に合えばいいから、彼に伝えてくれ、ごめんと・・・」

妹であるキョーコの手許に残されたのは、一冊のノートだった。

ノートの頁を手繰りながら、兄が侵した罪が何なのか知る、だが、彼は既に亡くなっている。

兄が卒業して間もなく、五月の空を抱きしめ、彼は、屋上から転落死した。

自殺、事故両方から調査されたが、不幸な事故として処理された。

事件が報道されたとき、兄が少しだけ寂しそうな顔をしたのをキョーコは覚えているが、それだけだった。

五月の空を抱きしめた少年、彼の死は自殺だった、それは兄のせい?

兄が拒絶したから?

ノートに記されたのは、もっと別の事で、・・・。

キョーコは、兄の代わりに贖罪をしなければと思った、兄が学園を卒業して1年、まだ間に合うのだ。

丁度両親の海外赴任と重なり、一人日本へ残るキョーコを心配したが、全寮制の女子高に編入手続きを条件に赦してもらったのだ、兄が通った学園には女子高も併設されているのだ。

キョーコは、女子高でなく男子校へ編入手続き行った、キョーコが在学する高校は共学で、成績証明書およびその他書類の封を丁寧に開け、女子である箇所を全て改ざんした。

そして彼女は、最上京として学園に編入することが出来た。

誰かが私を見つめている、京は蔦がからまり白い雪に覆われた寮の窓を見やると、青年が京を見つめていた。

視線が交錯する、京を見つめていたのは、・・・

続く その3


Kierkegaard