・「沖縄集団自決」 県民大会の結果を受けて文化省が対応検討 ~復活する醜い事なかれ主義~
沖縄戦で日本軍が住民に「集団自決」を強制したとの記述が教科書検定で削除された問題で、文部科学省は、記述の修正が可能か、検討を始めた。検定意見の撤回を求めて9月29日に開かれた沖縄県民大会に11万人が参加したことから、町村官房長官が1日、渡海文科相に対応を指示。渡海氏も、検定制度の枠内で可能な対応を検討するよう省内に指示した。
既に複数の教科書会社が訂正申請を出す検討を進めており、集団自決に日本軍が関与したことを明記する記述が復活する可能性が出てきた。
町村氏は1日の記者会見で「沖縄の皆さんの気持ちを何らかの方法で受け止め、修正できるかどうか、関係者の工夫と努力と知恵がありうる」と述べた。渡海氏も記者団に「(検定に)政治的介入があってはいけない。しかし、沖縄県民の気持ちを考えると、両方ともものすごく重い。そのなかで何ができるか考えたい」と述べた。
渡海氏は、県民大会を受けて検討を始めたことを認め、仲井真弘多知事が上京すれば直接会うとの考えも明らかにした。教科書会社から訂正申請があった場合、「真摯(しんし)に対応したい」と語った。
文科省は「検定の撤回はできない」との立場だが、過去に事実上、方針を転換した例がある。記述を復活させるために、こうした方法を今回適用できないか検討する。 (中略)
沖縄県民大会で実行委員長を務めた仲里利信・県議会議長(自民党)は「11万人の気持ちをくんでいただいた大変な配慮だと思う。どういう形で結論が出されるのか、ぬか喜びすることなく、大きな期待を持って見守っていきたい」と話した。 (後略)
「沖縄の皆さんの気持ちを考えて教科書の記載を変えよう」「県民大会の結果を受けて教科書の記載を変えよう」
これは一体何事なのでしょうか。教科書の記載を変えようとする理由が、「記載されている事実が間違っていることが学術的に判明した」ではなく、「県民の気持ちを考えて」「県民大会でそう決まったので」なのです。これをおかしいと言わずしてなんと言うのでしょうか。「韓国人の気持ちを考えて」「中国でそう決まったので」という理由で日本の教科書を中国や韓国の言うとおりに書き換えるのと何ら変わりはありません。
この沖縄の集団自決に対する日本軍命令説は、近年それを否定する証言や証拠が出始めています。その結果、日本軍が強制したどころか、自決用の手榴弾を欲しいと、村の幹部らが軍に要求したこと、軍がそれを拒否し、生きろと命令したこと。さらには、犠牲者が遺族年金を受け取ることを可能とするために、当時の村長らが、当時島にいた軍関係者らに「命令したことにしてくれないか」と頼み、軍関係者は快く了承。こうして、軍関係者は村民の為に一生涯、犯してもいない罪をかぶってきたことまで分かってきています(座間味村の当時の村役場の関係者が、罪をかぶってもらって申し訳ないとして軍関係者に宛てた手紙まで残っています)。上記で言う軍関係者とは、座間味村の梅沢守備隊長、渡嘉敷村の赤松守備隊長のことです。調べれば調べるほど分かってくるのは、赤松、梅沢両氏の優れた人間性。これらが事実だと確定すれば、教科書に載せるべきはこちらのエピソードの方です。
教科書に記載される内容は、「より声が大きいもの」が採用され、事実は関係ないというのは、異常事態としか言い様がありません。県民の声が大きいのなら、やらなければならないのは事実を徹底的に調査することであり、県民の声を即刻反映させることではありません。政府は何に怯えているのでしょうか。国民の声を聞かなかったことによる支持率低下でしょうか?これこそが、戦後日本を見えない闇に包み続けた「事なかれ主義」の復活に他なりません。
国内外の批判の声に怯え、理不尽な要求でも呑み続けて国を貶める政権は今の日本には必要ありません。
参考過去記事:・沖縄戦の集団自決は軍命令ではなかった ~明らかになる歴史の真実~
参考サイト:【正論】秦郁彦 沖縄戦の集団自決と大江氏裁判
参考書籍:
沖縄戦・渡嘉敷島「集団自決」の真実―日本軍の住民自決命令はなかった! (ワックBUNKO)
曽野 綾子