「徳川泰平の世」に終わりを告げたのが、江戸湾浦賀沖に来航したマシュー・ペリー率いる黒船艦隊でした。1853年の事です。

翌1854年には日米和親条約が結ばれ、江戸幕府の鎖国政策は終焉を迎えました。その時に開港した港が伊豆半島の下田と、ここ箱館(函館)です。

箱館奉行所は、箱館開港により設置された江戸幕府の役所です。

 

では、五稜郭内の中央にある奉行所に行ってみましょう。

 

 

「二の橋」から後方を振り返ります。あの雲が気になる・・・

 

 

門がすぐに見えてきました。

 

 

 

さらに進むと、北海道では珍しい立派な石垣とこれまた立派な松の木、そして箱館奉行所庁舎が鎮座していました。

奉行所の屋根上にある櫓は「太鼓櫓」だそうです。

 

 

開港直後は港湾近くに奉行所が置かれましたが、防衛上の問題などから内陸に奉行所を移す事になり、それと同時に奉行所を守る要塞として五稜郭が誕生する事になりました。

 

入館料は500円。順路に沿って巡ってみましょう。

 

 

 

(右)の5文字の書は榎本武揚によるもの(模写)。

戊辰戦争後、土方歳三の甥が歳三の最期の状況を聞きたく榎本のもとへ訪ねた際、故人を偲んで書き上げた書です。原本は東京都日野市の「土方歳三資料館」が所蔵しているとの事。

「部屋に入ると清らかな風が吹くような、爽やかな人物であった」という意味で、書中の「梁川(りょうせん)」は榎本の号。それを記念して市内・五稜郭南西に梁川町の地名としても残されています。

因みに市内・中島町の名は、函館戦争で陣没した中島三郎助が由来です。

 

 

 

襖を開け放つと72畳の広さになる大広間。

 

 

 

松の木はアカマツ。風情を感じさせてくれます。寒い旭川では殆ど見ませんね。

 

 

五稜郭の築造開始は1857年。

奉行所庁舎の建築開始は1862年で、1864年には庁舎がほぼ完成し、蝦夷地の統治、開港に伴う諸外国の応接・交渉、海岸防備などの業務を行っていました。
明治維新により徳川幕府から明治新政府に引き継がれましたが、1868年の箱館戦争時には旧幕府脱走軍の本拠地となっています。
箱館戦争終結後は再び明治政府のものとなるものの、役所として利用される事はなく、開拓使本庁舎を札幌に新築する目的で、1871(明治4)年には奉行所庁舎を始め郭内のほとんどの建物が解体されました。勿体ないですねぇ、そんなに使っていないのに。


現在の箱館奉行所は、2010年に綿密な復元検討を重ねて往時の姿に復元されました。

 

 

 

中庭を中心に反時計回りに見学順路が設定されています。

 

 

箱館開港に伴う五稜郭や奉行所、そして箱館戦争の解説コーナーです。

 

 

 

 

 

(下右)のエンフィールド銃は英国製のもので、幕末に大量に輸入され、戊辰戦争では主に官軍側の主力小銃でした。ただし、幕府軍も一部使用していたと思われます。

 

 

 

 

(左)足軽詰所にあった奉行所庁舎模型

(右)2005年の箱館奉行所跡の発掘調査で、玄関と内玄関の式台跡から発見された信楽焼の大がめ。

 

奉行所内の見学を終え、さあ外に出ようとすると遂に土砂降りとなって、しばし足止め。

しかし雲の様子からそれほど長い時間ではなさそうです。

やがて「とりあえず」雨は上がりました。

 

 

五稜郭内には築造当時の建物として、唯一現存している「兵糧庫」と呼ばれる土蔵があります。松の奥に幾つか並んでいる建物の一つがそうらしいのですが、この時は全く知らなくて見に行きませんでした。残念!

 

 

この後、シリーズ記事③でも書いたように、裏門橋を渡り、堀に沿って駐車場へと戻りました。

 

 

ここで箱館戦争・土方歳三つながりで。

 

 

 

 

翌日の12日(土)昼少し前、土方歳三最期の地を訪れました。

場所はJR函館駅から比較的近い「函館市総合福祉センター(あいよる21)」の敷地内です(函館市若松町33-6)。

生憎の雨でしたが、この日も土方ファンの方でしょうか、立派な花が手向けられていました。

 

 

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