- 白夜行 (集英社文庫)/東野 圭吾
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***この本は2005年12月頃読了しました***
19年前の大阪の質屋殺し。迷宮入りしたこの事件に関係した少年と少女が歩んだ道は…。絶望の白い光の中、魂の荒野を行く男と女を、叙事詩的スケールで描く傑作ミステリー長篇。
(出版社/著者からの紹介)
ものすごく深い闇を背負った二人とそれを取り巻く人々。二人の感情や思考などの描写はない。
描かれているのは周りから見た、感じたりした二人のこと。
どんな表情で、どんな感情で、どんな会話が、どんな約束が、どんなやり取りが二人の間にあったのか・・・すべては読むものに委ねられる。
様々な第三者の視点のみを通して、読み手が一緒になり犯人を、そしてその動機を推察していく。
犯人の目星は推測に容易い。しかしその動機が一番の謎。
それが最後に描かれることにより、それまで幾重にも張り巡らされた伏線が集約し、ついに一つになる。
雪穂が言った言葉
「あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。だけど暗くはなかった。太陽に代わるものがあったから。」
暗い夜そのものの人生を歩んできた彼女。暗闇に差し込む一筋の光だった太陽。
その「太陽に代わるもの」すら失った彼女・・・。
人形のように表情がない顔で言った最後のセリフ・・・。
白い影のように見えた彼女の後ろ姿と、これからの彼女を想像すると胸が痛く、そしてゾッとする・・・。
いや、しかしおれの拙い想像では推し量れないほどの感情なのだろう・・・。
本当の意味での理解は到底できない。その経験がないからだ。
微かな光しか届かない「白夜」な世界。
そんな白夜の中をもがき苦しみ、必死で歩いてきた二人。
太陽の光を求め、太陽の下を歩きたかっただけの二人。
これからの雪穂の行く道は白夜ですらないのだろうか・・・。
最後の最後まで、読み手側に委ねられる感情の読み取り。
おれのような妄想大好き人間にはたまらん一冊でした( ´艸`)
ドラマ化されたようですが、ドラマはほぼ観てません。
★★★★★
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◇『卒業』 ◇『11文字の殺人』 ◇『名探偵の掟』 ◇『どちらかが彼女を殺した』
◇『悪意』 ◇『白夜行』 ◇『片想い』 ◇『レイクサイド』 ◇『さまよう刃』 ◇『夜明けの街で』
◇『新参者』
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